前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい   作:遠野蜜柑

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第18話『まさか勇者のチートパワーをお持ち帰りしてんのか……?』

 

 

「あ、あんたは極悪非道で血も涙もない魔王じゃない! そんなの信じられるわけ……!」

 

「俺が極悪非道で血も涙もない魔王だったら、お前はこうやって元の世界に生きて帰ってきてないんだが?」

 

 俺は倒した勇者たちの召喚魔法を無効化して元の世界に戻してやるサービスを実施していた。

 

 こんな無料オプションをつけてくれる親切な魔王はどこの世界にもいないだろう。

 

 まあ、ただ屠るだけっていうのに飽きたから気まぐれで始めたことなんだけど。

 週刊誌のクロスワード感覚で召喚魔法を解除してたんだよね。

 勇者が来たら、『おっ、またパズル届いたわ!』みたいなノリだった。

 

「…………? どういう意味?」

 

 結城優紗はいまいちピンときていない様子。

 

「あたしは異世界で死んでも元の世界では死なないっていう召喚魔法の仕組みで帰ってきたのよ?」

 

 なんと、この元勇者、俺の心遣いを知らなかった!

 ものすごく首を傾げてる! 生きて帰れたのが当然だったと思ってやがる!

 おのれ、この恩知らず……!

 

「異世界で死んでも元の世界では死なない? そんな都合のいい召喚魔法があるわけないだろ! 安全装置みたいな加護つきの召喚を人間ごときができるものかよ」

 

 それはもはや神の領域だ。

 

 俺が手慰み感覚で解除できる召喚魔法にそんな高機能あったらたまげるわ。

 

「もしかして召喚された勇者って、本当に死ぬことはないって言われてた?」

 

「…………ッ!」

 

 どうやら図星だったようだ。

 

 うわぁ、ひでえ詐欺だぁ。

 

 平和な世界に生きてきた日本人がチートパワーを手にしただけで生死を懸けた戦いに臆せず参加できていたのは変だと思ってたけど、そういうことだったのね。

 

 要は異世界で死んでもノーダメ、コンティニューで帰れると思ってたんだ。

 

 俺が直々に撃退した勇者たちは送り返してやってたけど、魔王城に辿り着く前にくたばった連中は元の世界に帰るだけと思いながら死んでいったわけか……。

 

 南無三。

 

 ご愁傷様である。

 

「そ、そんな嘘よ……王子や姫たちはあたしを騙してたの……? ありえないわ……!」

 

 結城優紗は頭を抱えてフラフラと後退する。

 

 顔色が非常に悪くなっていた。

 

「ハッ! わ、わかったわ! あんたはそうやってあたしを惑わせようとしているのね……! さすが魔王だわ! ずるい! 汚い! あほ! ばかまぬけ!」

 

 彼女は現実逃避っぽい結論に行き着いたようだった。

 

 錯乱しているらしく、小学生男子みたいな単語を交えて罵ってくる。

 

「嘘、嘘、嘘よ!」

 

 高ぶった感情によって、結城優紗から尋常ではない魔力の波動が漏れ出てきた。

 こいつ、まさか勇者のチートパワーをお持ち帰りしてんのか……?

 あれ? じゃあ、他の送り返した連中もそうなってる?

 

 俺、地球にやばいやつら大量に送り込んじゃってました?

 

 てへぺろっ!

 

 まあ、勇者たちのいた時間軸や世界線はそれぞれ異なるはずだから、俺が生きてるこの世界にそいつらが揃い踏みしてる可能性は限りなく低いだろう。

 

 それならきっと大丈夫。

 

 何が大丈夫か知らんけど。

 

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