前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい   作:遠野蜜柑

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第9話『大いなる誤算』

 

 

 

「…………」

 

 教室の窓際の一番後ろ。

 ラノベやアニメで主人公がよく座ってる場所が俺の席だ。

 しかし、俺は一人。

 教室にはたくさん人がいて楽しそうに喋っているのに俺は一人。

 

 くそぉ……。

 いきなりのマイナス学園生活。

 いきなりなのはステーキだけで十分だよ。

 

 ただでさえ入学して一か月が経って、溶け込むには難易度高い状況だったというのに。

 

 大いなる誤算。

 

 俺はどうすりゃいいのだ?

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 結局、停学明けの初日、俺は誰とも交友を深めることができなかった。

 

 友達を作ることができなかった。

 

 ハァ……。

 従姉に『どう? 学校は楽しかった?』とか訊かれたら地獄だな……。

 そういう普通の会話をしてこない人だから大丈夫だとは思うけど。

 

 

 

 

 放課後、悲しみのスロウスタートを終えた俺はとぼとぼ下校していた。

 

「ん? なんだ……?」

 

 背後に殺気立った気配を複数感じる。

 これは……後方に10人、20人……もっとか?

 そこそこの集団からストーキングされていた。

 

 いや、でも勘違いって可能性も――

 試しに走って逃げる。

 すると、

 

 

「あ、逃げたぞ」

「追いかけろ!」

「花園さんの仇討ちだ!」

 

 

 やはり俺をつけていた。

 恐らく花園の子分たちだろう。

 幸いと言っていいのか、ヤーさんはいなかった。

 

 ああ、まったく。

 

 確かに、こんなふうに不良たちから追っかけられるやつとは誰も関わりたくないよな。

 

 須藤らクラスメートがああいう態度だったのも納得できてしまう。

 

 

「逃げてんじゃねえ!」

「落とし前つけさせてもらうぜ!」

「卑怯者が! 止まれよ!」

 

 

 バッカヤロー! 停学明け早々に喧嘩なんかできるか!

 職員室で担任の先生に『もうしません』って約束したばっかなんだぞ!

 さっさと転移で逃げたいところだが、目の前で消えたらさすがに怪しまれる。

 

 住宅街なので近くに逃げ込めるコンビニや店もない。

 

 どうする……!? そうだ! こうなりゃ国家権力に頼るしかねえっ!

 

「助けてー! 集団ストーカーに襲われてまーす! 誰か警察呼んでー!」

 

 俺は住宅街の真ん中でSOSを叫んだ。

 誰でもいい。

 聞いてる人がいたら警察に通報してくれぇ!?

 

「こいつら仲間でーす! 誰か110番してー!」

 

 徒党を組んだ連中に追われていることを懸命にアピールする。

 しかし、そんな声も空しく俺は行き止まりに追い込まれてしまった。

 ガッデム!

 

「もう逃げ場はないぜぇ?」

 

「花園さんをコケにした代償はしっかり払ってもらうぞ?」

 

「落とし前をたっぷりケツに……じゃない、ツケさせてもらうからなぁ? ウホッ!」

 

 もはやこれまでか……。

 まあ、ただの人間に殴られたところで今の俺には大した痛手じゃないけど。

 大人しくやられて飽きるのを待つか?

 

 それとも隙間を強引にくぐり抜けて逃げるか。

 

 あるいは壁を乗り越えて……。

 

 

「ちょいと待ったぁ!」

 

 

 俺がいかに喧嘩せず場を切り抜けようか模索していると、不良の群れの向こう側から朗らかな少女の声が響いた。

 

 

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