無窮の果てに   作:雀盆

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契約

 爛々と大地を照らす太陽の下、鼻歌混じりに不変不滅の女神がスキップしていた。

 ぐうたらするのが好きだった彼女がなぜ下界に降りてこうもご機嫌なのか。

 

「この後はどうするんだい?やっぱりオラリオ?」

 

 つい数刻前に眷属にしたばかりの男に目を輝かせながら聞く彼女は、ファミリア第一号の彼と睦まじく旅をすることで頭がいっぱいであった。

 

 夜明け前に2人は出会った。

 下界降臨時に発生した膨大なマナに引き寄せられた魔物にテンパった彼女を救い、家族となった彼らは日が明けて直ぐに灰となった故郷に戻った。

 生き残りを探すためではなく、家族の、仲間の弔いのために。残党は既に()()()()()()()()()()()()()居なくなっており、金目の物も武器も残されていた。

「オラリオは目指す。ただ一直線に向かうにはつまらないだろう?どうせなら色んなところを見て回りたい」

 

「ボクは君に従うよ。ボクの子どもと旅をするのが夢だったんだ」

 

 冒険者が集うオラリオ。

 それとは反面、光あるとこには影が落ちるように闇派閥を育てる温床となっているとも言える。

 事実として、俺の村を襲った闇派閥はオラリオから流れてきた連中だった。

 オラリオの詩は東の僻地まで届くほど有名ではあるが、どうも閉鎖的であると常々思っていた。 

 奴らは違反を起こした神をオラリオ外に追放する処置を度々行うが、いくらファミリアを解体したとしてもいくらでも増やせる。

 つまり、オラリオにいる連中はただ見たくないものに蓋をしてるのと同じだ。

 

 くだらない神の余興で力を欲している人間に相応の力を付与すればやることは簡単だ。

 人間の欲深さは昔から変わらない。

 他人より優位になったと勘違いした凡愚はそのちっぽけな才能で弱者に猛威を振るう。

 市民はただでさえ魔物に怯え暮らす日々に、凡愚と愚神も加わり日常を壊される。

 

 被害にあってるから助けてくれと声を上げることしかできない。

 奴らが助けてくれるのは依頼料と仲介料、内容の調査を受けたあと見合ったファミリアに強制依頼を出す。

 中には受理されないものもある。

 ようやく受理され、冒険者が駆けつけに来ても、既に村は蹂躙されていた。

 生存者はいませんでした。

 なんて巫山戯たことを抜かす。

 これはただの八つ当たりだ。

 自分の村を救えなかった己の弱さの苛立ちを、ただぶつけやすいモノに当たっているだけにすぎない。

 

 神の余興に付き合わされる人類も、自分を神だと思ってる冒険者も、頂点に立つ存在だと勘違いしている神も、無力な自分もくだらない。

 俺みたいな不幸なやつはこの世界探せばゴキブリのように湧いて出てくるだろう。

 自分が特別ではない事くらいわかってる。

 そんな大層な人間では無いことも知ってる。

 ただこの眼がある限り逃げられない。

 英雄を否定しても背中をついてまわって来る。

 

 お前は英雄になれ、と。

 

 弾みで運命を見た時点で変わらない。

 王族として()()と契約した時点で揺らがない。

 だからこそ、オラリオで自称英雄を名乗る連中が、英雄を夢見る連中を許せない。

───三大厄災?迷宮攻略?巫山戯るな。これから何百年待つ必要があるというのだ。

 

「ヘスティア、歩きながらでいい」

 

 左右に揺れる髪を靡かせて振り返るヘスティアに、神という存在についてずっと頭に引っ掛かっていた事を問い掛ける。

 

「お前たちがこの下界に降り始めた時、一番最初にこの地に降臨したのは誰だ」

 

 大穴から這い出た存在は、世界が悲鳴をあげるほどの脅威なのか?

 なぜ全能でもある神が見抜けない。

 態々下界に降りてまで、人々を英雄に導こうとするのは何故なのか。

 

「ボクの記憶が正しければ、ゼウスとウラノスがほぼ同時期に降りたことは知ってるけど、他にもいっぱい地上に降りたはずだ。

 そもそもボクは神殿に引き篭ってたから、誰が降りたかまでは把握してないんだ。

 質問に答えるなら、多すぎて誰が1番かは分からない」

 

「それはつまり、初陣のゼウスらが降りる以前に神は降臨したことがないんだな?」

 

「うん、間違いないよ。ボクたちが下界に分霊でもある精霊や権能由来の加護は送ることはあっても、ボクら自身が降りるなんてことはありえない。

 そもそも天界にいて神が下界に降りることに気づかないこともありえないよ」

 

「──ティアマト」

 

「え?」

 

「ティアマトに聞き覚えはないか」

 

「─────」

 

 沈黙が流れる。

 存在は知っているはずだ。

 故郷が違うだけで同じ神であるのなら神の母とも呼ばれた存在を知らぬはずがない。

 

「いや…あれ、う〜ん、聞いたことはあるような無いような」

 

 こめかみを人差し指で抑えて記憶を探る彼女を見て確信する。

 何かしらの方法で天界にいた頃の神に気づかせずにこの盤上を創った存在がいる。

 不可解な現象に疑問を抱かせず、その対象を下界の大穴に移した。

 理由は分からない。

 何がしたいのかも分からない。

 少なくとも、俺のこの力も今起きている現象も全て作為的であることだけ分かる。

 

「まぁなんにせよ。オラリオに行かないと何も変わらないか」

 

 

 

──────────────────────

 

シキ・アンブロシウス・ウェールズ

『Lv1』

力:I0

耐久:I0

器用:I0

敏捷:I0

魔力:I0

【スキル】

霊源の淨眼(プロビデンス)

『不安定未来視』『極行世界の認識』『螺旋縮図・根源』

 

星霊王印・始源(ガイアス・レギナ)

﹣戦闘時『星癒』『魔導』『守護者』を発現

﹣聖火の魔力を譲渡するとこで、対象を内側から癒す。

﹣指向性を持たせた魔法の威力に中補正

﹣戦闘時、一定範囲の人類に対して士気向上、ステータス高補正 

 

【魔法】

〈神葬儀礼・虚式〉

付与・速攻魔法

詠唱式『Anfang(セット)

連結式『事象解放(システム)

属性『雷霆(ケラウノス)』『聖火(ウェスタ)

 

英雄戴冠・訣別(アルス・マグナ・ヴォーティガン)

結界魔法

 

 

 




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