「黒泥…ケイオスタイドか」
黒泥──ケイオスタイドとも呼ばれる、文字通り黒い泥。
魔眼で視たある世界の存在。
ひとつは、ビーストⅡ『ティアマト』が生み出した侵食する生命の海。
もうひとつは、透明だった大聖杯が一人の悪に汚染されたことで壊滅的な破壊衝動を孕んだ聖杯の泥。
俺の
黒泥の発生原因は、大半がノイズが走っていたが、泥自身が保有する神の力の残滓から、神ティアマトのものであると推測していた。
「君の推測は正しい。あの泥はティアマト自身から発生した物だ。だけど、起源が少し異なる。
あの黒泥はこの世界で発生した物質ではない。だから君の眼には、この世のものではないと判定されてしまった」
「………この際、何で俺の思考を読めているのかは聞かないでおこう」
どうせコイツのことだ。
夢の中から勝手に人の頭を覗いたに違いない。
マーリンは観ることしか基本許されていない。
しかし、何を観るかは定められていない。だから、その穴を突いて俺の頭を覗きに来るのはよくあった。
『君の物語を見たいんだ。君の心情も一読者としては知っておくべきだろう?』
と意味不明なことを言ってきたことがあるのだ。
「この世界のものではないと言うのであれば、フォウ君のように理由不詳の流れ着いたモノ、という可能性があるってことか?」
「ああ、勿論だとも。ただ、私の記憶が正しければ、この世界に
「全知零能である超越存在が、女神ティアマトを忘れていることに違和感があったが…」
「普通は彼らが忘れる筈が無いし、気づかない筈も無い。
私の知る限りでは、現代の神々が言う最古に降臨した大神達よりも遥か昔のルールが定められてもいない太古の時代──その時代において、
彼女は最後に「最近思い出したことだけれどね☆」とウインクをしてきたので雷撃をお見舞いしてあげた。
彼女も現在の全てを見ることが出来ると言っても、一秒一秒全シーンを見て記憶している訳では無い。記憶に蓋をしていたのは仕方ない…ということにしておこう。
しかし、これで「この世界に女神ティアマトは存在しておらず、別世界のティアマト神が流れ着いた」という可能性はなくなった。
「では、何故その事実を神々が忘却したのか、は今後考えていかなければならないことであり、今回の事柄に関連している可能性もある。
第一、彼女達が存在した記憶も痕跡も残ってないにも拘らず、女神ティアマトから発生した泥と認識した」
「俺達以外に女神ティアマトの泥を利用した存在がいる、ということか。だが、泥が別世界から流れ着いたというのはどういうことだ」
黒泥はフォウ君同様、別世界から流れ着いた存在。
黒泥の発生起源は女神ティアマトであり、その女神ティアマトは遥か太古に下界に降臨した大地母神の内の一柱。
女神ティアマトは、別世界のティアマト神では無い。
控えめに言って意味が分からない。
表裏一体しているようで大事な所で食い違っている。
「詳細は不明だ。けれど、仮説として女神ティアマトは、どういう因果か別世界同様ビーストⅡとなった。しかし、何らかの理由で身動きが取れないのか行動に制限が掛けられた。そして、彼女は漂着した黒泥を取り込んだ」
本当にその仮説が正しければ、黒泥の由来がティアマトによるものと聖杯によるものの二種類から構成されていることに説明が着く。
「漂着した泥は聖杯の泥ということであれば諸々に説明が着くんだ。それにこの世界の人類悪、ビーストⅡは女神ティアマトであることは間違いない」
ビーストⅠ『ナヴィ=フィーンド』
ビーストⅡ『ティアマト』
現状発生を確認されている人類悪はこの二体であるとマーリンから伝えられた。
「あぁ、次いでだけど、君がダンジョンで出会ったあのミノタウロス。あの寄生虫はティアマト由来のものではないけれど、黒泥関連の発生物だよ。
恐らく、黒泥を提供した闇派閥が研究したんだろうね」
これまでの情報から闇派閥が黒泥に関係していることは確かだ。漂着した黒泥を最初に回収したのが闇派閥であり、以来解析と実験を続けていたのだろう。
何処かの過程で女神ティアマトがその黒泥を取り込んだことで今の黒泥に変質した。
順序が逆だったとしても、女神ティアマトはもうその在り方を穢され、元に戻ることはないだろう。
「俺は世界の為に神殺しをしなければならないようだな」
「そう気負うことではないさ。人類悪に変成した時点で神ではない。ただの獣だよ」
言葉ではそういうが、悲しげな表情を隠しきれてない。
彼女がこんな顔になるのは珍しい。
いつも飄々としていて掴み所のない表情か、人を小馬鹿に見ているような顔しか向けてこないのに。
「君に託された偉業は誰にも否定する権利はない。喩え神であってもね。でも、人は愚かだからね。
心にも無いことを大衆を利用して声を大にして君の道程を否定するだろう。
だから、どうか潰れないでおくれ。君には君の味方がちゃんといるということを。かくいう私も君のファンだ。君の物語がハッピーエンドじゃないなんて有り得ない」
「お前はただ俺が必死になって藻掻いてる姿を面白がっているだけだろう」
「アハハハ、そんな訳無いじゃないか。シキは大事な愛弟子さ。君が笑っていてくれる方が余っ程良いに決まっている。
さて、そろそろ目が覚める時間だ。
ああ、そうだった。一つアドバイスを送ろう」
意識が浮上するような感覚に陥る。
現実では朝を迎え、俺の意識も覚醒に向かっているのを自覚する。
「ティアマトが最初に降臨したとされる場所が近くにある、
最後に花の香りが突き抜けて、意識が遠のいていく。
俺の本体の方はまだ眠っていたいらしい。
久しぶりのマーリンとの夢の回廊は、思いの外疲れたらしい。
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夢の回廊の出来事から数日が経った。
ヘファイストスに預けていた武器の受取と追加の武具を購入。
ヘラ・ファミリアのダンジョン遠征が終わり、不完全燃焼だったレグナントによるダル絡み。
ギルドにオラリオ外出る為の手続き諸々と追加の闇派閥の情報収集。
闘国に向かうにあたっての買い出し等々を済ませていたら、気づけば数日が経っていた。
俺は今、ヘラ・ファミリアでの修練に勤しんでいた。
最恐な女傑達によるリンチと言っても過言では無い、休みの無い猛攻撃に晒されている。
「オラぁぁぁぁ!!そんなものか?!反撃して見せろ、小童ァァァっ!!」
「それで世界が救えんのかァ?!あ゙あ゙?!」
控えめに言って怖いです。
全員目がガンギマってるんですけどっ?!
この世の終わりかってくらい広場がボコボコなんですがっ?!ここホントに地上ですかっ!
こわいこわい怖い怖い。
こっちが傷つこうものならその瞬間から治癒魔法を放たれて、気絶覚ましに顔面ビンタと電撃のお見舞い。
魔法詠唱を紡がせんと数人がかりの休みの無い近接戦と彼女達を巻き込むことを厭わない大魔法の弾幕。
「っ──────好き勝手…言い……やがって!!」
近接戦を行うヘラの戦士は5人。全員レベル4か5。
1人を相手にするだけなら、精霊の力でゴリ押しすることは出来るが、複数人かつ連携している時点でゴリ押しではなく、技術で何とかしなければならない。
隙をついて、
「テメェは世界を救うんだろっ?!」
「アタシらを殺せねぇようじゃ、世界を救うなんてガキの絵空事だ」
余興のように見ているゼウスとヘラの大きく頷いている姿を横目で捉え、思わず頭に血が昇るが、心を慌てて落ち着かせる。
好き勝手言うのは全然構わない。
だが、それを笑って流すかと言われたら別だ。
「高見で見下ろしてる気になってんじゃねえよ」
ふつふつと湧き上がる屈辱に燃える怒りは、確かにシキの闘争心に火をつけていた。
歴代最強とも言われるゼウスとヘラの子たちは、英雄に最も近い冒険者たち。
闇派閥が精力的に活動を見せないのは、最強と最恐という抑止が存在するから。
団員の過半数以上が一級冒険者に数えられる猛者。
つい最近冒険者になったシキなど、英雄に憧れる青二才と大差ないのだ。
「胆力は認めよう。だが、為す術なく殺られていては意味が無いぞ」
治療は施されても、失った体力も血液も戻ることは無い。加えて、今回の修練において、
いつもとは異なる治療工程に身体が慣れていないことも起因して、余計なストレスがシキの意識を邪魔していた。
「いい加減眼は慣れてきた。アンタらの戦い方も理解した」
「ハッハハハ!!まさかアタシ達に勝てるとでも思ってんのかっ?!」
「レグナ然り、最近の餓鬼は大人を舐め腐ってんなぁ、おいっ!」
やることは変わらない。
俺がこの数分間、ただ攻撃されていた訳じゃない。
彼女達の動きの癖やパターンを正確に読み取ることに重きを置いていた。
彼女達がどれだけ洗練された戦士であろうと、何度も読み取ってしまえば、嫌でも俺の眼は理解する。
「
団長様から大変有り難い言葉を賜るが、今はどうでもいい。
今は、ただ──己の集中を極限まで高めることに意識を割き続けろ。
「虚勢かどうか…確かめてみるか?」
一種のゾーン状態に没入したシキの瞳に映るのは、四方八方から頭に血が上った半狂乱な女達。
縦横無尽に攻撃を仕掛けてくる。
大剣の斬撃を受け流してみれば、死角から槍の穂先が胸を貫かんと刺し迫る。
「もうその手は喰らわねえよ」
「っ───?!」
数分前までは対処出来なかった連携に、今度は対処して見せたのだ。
迅速の徒手空拳を紙一重で躱す。
ギリギリで避けているのではない。
無駄な力を使わず、余裕を持って流れるように身体を動かしていた。
「どういうカラクリだァ、こりゃあ」
「カラナ!手抜いてんじゃねぇだろうなァ」
「ああ?!テメェこそ当てれてねぇじゃねぇかよ」
「(明らかにコイツの動きが変わった。アタシらの動きが読まれたのか?)目が随分と良いみたいだな」
「ちぃ!」
流石は第一級冒険者と言うべきか。
理屈までは分かってないようだが、この一瞬で同じ攻撃が通じないことを理解した。
彼女らもまた、目が良かったのだ。
長く冒険者をしていた経験も相まって、戦闘の感はシキ以上の冴えが効いていた。
「ヘスティアよ、本当に行くのか?」
「勿論さ。シキ君が行くところに僕アリだからね」
「人類悪…眉唾じゃったが、本当に出現したとはな」
「三大クエストすらまだクリア出来ていないのに、ここに来て…か。よもや終末が差し迫っている訳では無いだろうな」
「僕達に残された時間は少ないのは確かだよ。人類悪は一つでも世界にとっては文明を終わらせる脅威だ。
今も知らないところで活性化しているのであれば、手を付けられなくなる」
広場の隅でゼウスとヘラが真面目に議論している光景は、珍しく映っているのだろう。
シキは闘国に旅に出るに当たって調整として、ヘラ・ファミリアの扱きを頼った。
ヘスティアは様子を見る序でに、旅に出るに当たっての助力を願えないか、彼らに相談していた。
「儂の方は生憎だが、ダンジョン遠征に出たっきりだ。何人か残ってはおるが、助力になるかは微妙じゃな」
「私も助力という助力は難しいな。ゼウスが遠征に行っている間は、闇派閥の抑止としてオラリオを大っぴらに離れられん」
「そっか。それなら仕方ないさ。これまでもシキ君一人で何とか出来てたから頑張ってみるよ」
ゼウスの主力メンバーはダンジョン遠征に出征しており、ヘラの主力メンバーはオラリオ外に遠征を出すのも、今のオラリオではリスキーだった。
「コチラの処理が落ち着いたら何人か増援を向かわせよう」
「助かるよ、ヘラ」
「儂も日が間に合えば出来るだけ主力を送るとしよう。何かあればヘルメスを頼ると良い。儂らとの架け橋を担ってくれるはずだ」
ゼウスからギルドにヘルメス・ファミリアを伝令役として扱うように指名を出していた。
人類悪という脅威に立ち向かう人員派遣や動向について把握するにあたって脚というのは必要になる。
「ヘルメスか…」
シキは先に闇派閥調査の件と一緒にヘルメスから一緒に旅についてくる旨を聞かされていた。
彼らは直接戦闘に参加することはないが、いざとなれば
「にしても、シキは凄いのぉ。レベル2であの身のこなし。上位レベルを圧倒するポテンシャル」
「精霊の力でバックアップされているとはいえ、凄まじいな。アルバートが
「むむ、なんと言おうとシキ君は渡さないぞ!」
それから陽が沈むまで、シキの修練は続いた。
その夜、ステイタス更新をしたら、各数値が大幅に跳ね上がっていた。
調整としては申し分無い経験値であり、シキにとっても戦いの手数の豊富さを身に付けることが出来る良い修練だった。
───闘国に向かうまで、後7日。
彼女をガッツリ物語に絡ませる気はなかった…
今後の展開的に絡ませないといけないなと思って踏み込まざるを得なかった。
一応、彼女はプロトマーリンの容姿をした別世界のマーリンという設定。
ロクデナシ具合も方向性が少しだけ違っている。
アルトリアやアーサーの為に色々なことした記憶はないが、記録として知っている状態。
彼女の根底にある行動優先度はシキであり、人類に対しては嫌いより。
神に関してはもっと嫌っている。
ヘスティア・ファミリアに新規団員を追加しても良いか(あくまで見解の募集です。100%そうなる訳では無いのでご了承ください)
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OK:原作・オリキャラ両方共問題無
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OK:原作キャラのみ
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OK:オリジナルキャラキャラのみ
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NooO:ベル君が来るまで絶対入れるな!