私はオラリオから南西に位置する地図にない村で生まれた。
私には才能があったのか、齢3歳にして青年顔負けの運動神経を持っていた。
家畜相手に追い回したり、大人の見様見真似で棒を振り回したりした。
喧嘩を吹っ掛けては一方的にボコしていた私は調子に乗っていたんだと思う。
一人で村隣の山に入り、ゴブリンを相手に大立ち回りをして勝利した。
褒めて貰いたくて村に戻ったら、其処には朝「おはよう」と言ってくれた村人達も「いってらっしゃい」と言ってくれた母親も「気をつけろよ」と言ってくれた父親も居なかった。
プスプスと焼け焦げる家屋の中に、幾つもの焼けた死臭が漂っていた。
村は燃え果てた。
下手人と思われるのは巨大な龍。
「何故ここにそんなヤツが居る」
お前の居場所は北じゃないのか。
そう思わなければ、到底事実を受け入れることは難しかった。
私は必死に村の中を走り回った。
他に生き残りが居ないか。足裏が擦り切れ、火傷で痛みに顔を歪めながら私は走り続けた。
地面に突き刺さる剣を取り、生き残った魔物を片っ端から斬り殺した。
何故お前たちが生き残っている。同じ条件な筈だろう。お前達がもっと早く死んでいれば黒龍に襲われることなんて無かった。
巫山戯るな。
巫山戯るな。
巫山戯るな。
巫山戯るなっ。
私は感情の思うがまま、黒龍の元へと走った。
ありったけの憎しみと殺意を持って睨み付けた。
だが、奴からすれば私など羽虫と同程度だったのか。鬱陶しい虫が眼下で騒いでるようにしか感じていなかったのだろう。
煩わしいものを見るように、鬱陶しいものを見るようにひと睨みされただけで、私は心髄まで死の恐怖に支配されてしまった。
絶対的強者に対する恐怖心に侵された私はそのまま気を失った。
意識が遠のいていく最中、視界の端で捉えたのは咆哮を上げて飛び去っていく龍の姿だった。
あれから私は、黒龍被害の調査に駆り出されていたヘラ・ファミリアによって救い出され、寝ている間にオラリオの治療院に預けられていた。
後からヘラから教えて貰った顛末は、黒龍の襲来によって魔物の大移動によって村は蹂躙され、その後黒龍によって焼き払われたと言う。
それからはヘラ・ファミリアに加入し、ダンジョンのモンスター相手に無力だった自分の感情をぶつけていた。
同じ団員に対してもレベル1でありながら、勝てるようになった。
やはり、私には才能があると自覚できた。
順調に強くなり、直ぐにレベル2へと駆け昇った。
だが、私の根底に根付いた絶対的強者への恐怖は消えていなかった。
自覚したのは団長を相手に模擬戦をした時。
剣を握って相対する時はまだ大丈夫だった。
開始の合図共に放たれた殺意の覇気に、私は剣を取り零した。
あぁ、嫌になる。
こんな自分が嫌だ。
理解っていたことだ。
私のコレを克服しない限り、高みへ昇ることは出来ない。
でも、それでも、いざ目の前にそれが現れると自覚してしまう。
足が震え、手に力が入らなくなる。
逃げようにも腰が引ける。
頭では理解している危険信号があやふやに身体の隅々に伝達される感覚。
だからこそ、私はそんな相手に立ち向かえるあの男が眩し過ぎた。
何故一緒に逃げない。
──理解っている。一緒に逃げてしまえば、何方も生きて出られる保証はない。
何故戦える。
──知っている。彼は英雄だ。英雄はこんな所で無様に逃げるなんてことはしない。
これは、最善の選択だ。
この現場において、他に素晴らしい選択があるのなら聞いてみたいレベルだ。
「クソ!クソ!クソッ!巫山戯るな!泣くな…まだ泣いちゃダメだ。ここで泣いたら、何もかも認めてしまう」
────────────────────────
「上には行かせない。ここでお前らを止める。相棒も死なせない。どっちもやらなきゃ行けないのが先達の務めだろ?」
「ギャハハハハハ!!女の為に自らを犠牲にして英雄でも気取ってんのかぁ?!」
「嫉妬すんなよ」
アンフィス・バエナの体表を見るにさっきの攻撃は大したダメージになって無さそうだな。
加えて、あのアベルと呼ばれていた男にも直撃した筈なのに、ピンピンしてやがる。
「その虫の元凶は闇派閥で良さそうだな」
「ギャハハ!!あぁ、ああ!そうだ、そういうことだ!
気分が良いのか、アベルは情報をペラペラと喋ってくれる。その間、アンフィス・バエナは唸り声をあげつつも大人しく待機していた。
「これを数匹植え付けちまえば、魔石の持つ魔力に呼応して対象を喰らい増殖していく!」
「……」
「テメェが幾ら外で武勇をあげてようが、所詮は魔石の無い劣化個体!ダンジヨン産の『
随分と愉しそうに雄弁に語る彼に、実はそんなに強くないのでは、と一瞬だけ思考したが直ぐに放棄した。
アンフィス・バエナの双口に灼熱の炎が待機していることに気づく。
「避けて尚、この熱線か…。魔導師殺しもいい所だな」
シキの敏捷は魔法無しでもそれなりの速さを誇る。
レベル4の敏捷ビルドになっている冒険者に勝てるくらいには速い。無論、魔法を使用すれば、それを優に超える速さになる。
その速さを持ってして、避けるのが寸前となってしまった事実が、熱線の繰り出される速度は異常だったことを示していた。
ジュワッと皮膚が焼かれた痛みを感じながら、
「見てから動くと間に合わない。一挙動を予想して動き続けなければジリ貧になるか」
───
纏う雷霆の出力を上げる。
ダンジョン上層で使っていた雷霆をセーブモードと評するなら、此れは本気モードと言うべきか。
ビーストIと相対した時と同レベル以上の出力。
『纏雷』はこれ迄の
スキルにある『
これ迄は、ただ付与魔法の領分で雷霆を纏っていただけ。しかし、魔法名を持たせるだけで威力に補正が入るのであれば、持たせない理由などない。
「人類悪との決戦前でデカイ経験値を貰えることに感謝しようか!さぁ、来いよデカブツ」
「虚勢を張るなよ?お前のそれは蛮勇だぜ?何処まで持つか精々楽しませろよ。ギャハハハハッ」
アンフィス・バエナの胸元にある黒い玉石が脈動したかと思うと、先程の熱線を解き放つ。
今度は同時ではなく、避け続けるシキを追い掛けるように交互に放っている。
接近して斬り掛かろうとすると、熱線ではなく、毒霧を充満させて来る。
「チッ!!」
「ハハハハハハハッ!!簡単には近付けねぇよなぁああ!!ほら、もっと踊れッ踊ってみせろッ!」
屍竜の背中から高みの見物をしている男は優位性を語っているように見えるが、その実は異なる。
そも、黒泥由来の虫に寄生させて紫紺の石で制御をしようとしたことが間違いなのだ。
その程度で階層主を制御出来るならとっくの昔に闇派閥は階層主の軍隊を生み出している。
「盲目ここに極まれり、だな」
「ああ?」
「よく見てみろ。もう射程圏内だぞ」
「───なッ?!!」
最初から屍竜にブレスレットは意味を成してなかった。
屍竜の視線はシキに対してのみではなかった。
紫紺の石を所有するアベルという男にも向けられていた。
件の男は、毒を吸い込みすぎたせいでのたうち回り、屍竜の背中から落下していた。
痛みで苦しいのか首元を両手で掻き毟っていた。
「そいつは狡猾だな。俺を攻撃しつつ、お前をどう捕食しようかずっと考えて動いていたようだ」
『屍竜アンフィス・バエナ』
蝕胎虫により生命機能、生存本能を書き換えられた憐れな階層主。
アンフィス・バエナとしての能力の他に、黒泥由来の侵食や無尽蔵の魔力供給、自己回復機能を持ち合わせている。
黒泥由来の虫は蝕胎虫という存在らしい。
鑑定に気を取らていると、声にならない呻き声を上げて必死に逃げようとしていたアベルが屍竜にバックんされていた。
「南無三…。まぁ自業自得だな」
とはいえ、人間4匹、紫紺の石を余計に捕食した屍竜は想定の上を行く強さに成長した。
今の俺で此奴を討伐することはできない。
純粋にレベル差があり過ぎて無理だ。
道連れでどうにかってところだ。
目算でレベル7上位。普通に考えて勝てる訳がない。
ハハハハハハハ……はぁ。
近接戦をしようにも毒で動きが鈍らされる。
遠距離からチクチクは出来なくもないが、あの図体で動きが早い。
ゴキブリみたいにカサカサ動くから、結局消耗が激しくなるのは俺だ。
「ま、なるようになるか」
───
───星辰を巡る天の王よ 我が叡智に応え 我が意志に従え その名は
顕現させた雷槍を手に持ち、飛んでくる炎弾を弾き返す。
高速移動して、屍竜を翻弄しようとするが、巨体にそぐわない速度で簡単に追いついてみせた。
雷槍を手元でペン回しの容量で高速に回転することで、自身への被害はゼロに等しい。しかし、弾いた炎弾が四方の地面や壁に弾けるので、湖は沸騰し、周囲はマグマのように煮え滾った空間となっていた。
沸騰した湖面にはレイダーフィッシュやアクア・サーペン、マーマンが浮き上がっては灰と化し魔石だけを残していた。
「水竜の癖して、火を吐くとか属性違いだろ、こいつ」
冗談としても質が悪い。
屍竜は止まらない。
巨体に似合わぬ速度で壁を這い、湖面を蹴り、天井を足場にして迫ってくる。
速い。
巨体だから鈍いなどという常識は、とうに死んでいた。
黒泥に侵された肉体は、重さを無視して跳ねる。
双頭が別々の軌道でシキを追い、片方が熱線を吐き、片方が毒霧を撒き散らす。
「チッ……!」
近づけば毒、離れれば熱線。
足を止めれば、質量で潰される。
単純だが、最悪の布陣とも言える。
シキは雷を纏い、ボコボコと沸く湖面すれすれを駆ける。
靴底が水面に触れるより早く、次の足場へ跳ぶ。
雷槍を回転させ、飛来する炎弾を叩き落とす。
27階層は灼熱の処刑場へと変貌していた。
ここでの戦闘は長くは持たないことを、シキは既に認識していた。
「元々こういう環境を支配するタイプの魔物だったのか?余りにも理性的だ」
地獄のような空間の中心で、屍竜だけが平然と動けていた。
胸元に埋め込まれた紫紺の核が、どくん、と脈打つ。
黒い筋が全身へ走り、焼けた鱗が瞬時に再生していく。
「再生速度も異常。毒霧で接近拒否。遠距離は熱線。加えて機動力もある。この環境でも蝕胎虫の活性力は衰えないか」
だが、それでも絶望するにはまだ早い。
シキは空中で身を捻り、迫る尾撃を神影でパリィの要領で受け流す。
受け流したはずなのに、衝撃だけで骨が軋んだ。
「ッ……重すぎるだろ!」
壁に叩きつけられる寸前、雷を爆ぜさせて体勢を立て直し、壁反動を利用して疾駆する。
その直後、さっきまでいた壁が屍竜の爪で削り取られた。
岩が砕け、水が沸き、毒霧が空気を腐らせる音。
──その全ての中で、シキは笑った。
理不尽な環境に対しての絶望から来るものだけでは無い。
別に逃げたって良いのだ。
冒険者であれば、絶望的な状況に陥った際、何が何でも生きる為にシフトすることは極々自然なことだ。
だが、ここで逃げればシキも地上に向かっているレグナントも生きて出られる保証は無い。
背水の陣。
過去を思い返し、幾度も経験してきたことだ。
故にこそ、笑うしか無かった。
「……全く、最高に愉快だ!上には行かせない。お前はここで止まれ、
応えるように屍竜が吼えた。
双頭の咆哮が階層を揺らす。
此れは殺意でも、生存本能でもない。
蝕胎虫によって歪められた、ただの飢餓。
喰らい、増え、侵し、より強い生命へ作り替えるという、根源より来たる悪辣な命令。
雷光が爆ぜる。
その刹那、シキの姿が掻き消えた。
次の瞬間、屍竜の左首の眼前に現れ、雷槍を突き出す。
白雷が鱗を穿つ。
同時に紡がれる連結追奏。
──咲け『
赤雷が左首を貫くように咲き誇る。
黒い肉を焼き、内側で蠢く蝕胎虫を焼き払う。
屍竜が初めて悲鳴を上げた。
浅い。しかし、確実に効いていた。
焼いた端から黒泥が湧き、蝕胎虫が蠢き、傷口を埋めていく。
「やはりな。お前、一定数以上は増えないんだろう?」
恐らく、個体値によって増幅上限が異なるタイプ。
上限まで増えたら、それ以上に増えることはない。そこから数が減ってもその条件は変わらない。
右首がシキを喰らわんと迫る。
頸がシキを捉えた瞬間、喉奥から烈火の種子が作り出される。
至近距離から熱線。
幾らシキといえど、回復する間もなく焼け解けるレベルだ。
「アホみたいに口を開いてて良いのか?」
瞬時に左手に雷槍を生み出し、それを投擲した。
白雷が迸り、赤雷が口腔内で炸裂した。
だが、そこに修復した左首が迫る。
いつの間にか喉まで修復したのか、横合いから熱線がビームのように放たれる。
「ッ──!」
噴き荒れる熱の奔流を左右へと裂く。爆炎はシキを避けるように逸れ、焦土だけを残して駆け抜けた。
だが、それでも左肩から胸元にかけて皮膚が焼けてしまう。
「ぐ、ァ……!」
激痛。
呼吸が乱れる。
視界が朱く揺れる。
「ァ…ぐっ、ハァ…ッ…ハァ…」
焼けた肉を癒し、裂けた血管を繋ぎ、死へ傾いた身体を無理矢理こちら側へ引き戻す。
「……脳が死んでなきゃ、まだ動ける」
息を吐く。
焼けた血の味がした。
肺も焼けた。
鼻の奥から人の肉が焼け爛れた匂いが突き抜ける。
屍竜が再び吼える。
今度は、二つの首が同時に大きく息を吸い込んだ。
瞬間的に悟る。
此れは、熱線ではない。毒霧でもない。
胸元の核が、先程よりも強く脈打っていた。
周囲の魔力の起こりが今までとは異なることに気づいたからだ。
「際限無しかよっ」
後ろは上層へと続く階段。
正面は屍竜。左右は燃え盛る大地とマグマの滝。
逃げ場は無い。
突破口は正面にいる屍竜に風穴を開けるしかない。
屍竜の双口に、黒い炎が灯った。
火でありながら、腐臭を放つ炎。
黒泥と魔石の魔力が混ざり合った、生命を喰うための灼熱。
双頭が天へと掲げられる。
黒き咽喉の奥で、腐敗した灼熱が渦を巻く。
それは、生命そのものを焼き尽くす黒泥の業火の如く。
胸元の紫紺の核が、鼓動を打つ度に黒炎は膨れ上がっていく。
空間そのものが軋み、27階層を満たす魔力が暴風となって逆巻いた。
「……なら、真正面から打ち砕く」
神影を地へ突き立てる。
深く息を吸い、肺の奥底まで魔力を巡らせる。
星の炉心が脈打つ。
身体中の魔力回路が焼け付きそうな程軋みを上げ、それでも尚止まることなく魔力を搾り出す。
「────星の光よ。」
世界が静まった。
雷鳴さえ止む。
「月と星を円環する主よ。」
雷が空へ昇る。
一本。
二本。
三本。
蒼白い雷柱がシキを中心に立ち昇り、天蓋のように広がっていく。
「我が叡智──真理を問い質す。」
足元から幾重もの雷紋が広がる。
それは魔法陣ではない。
世界そのものへ干渉するための”術式”だ。
「我は裁定者。己が罪を認めぬ敵に終幕を。」
雷が星へ変わる。
無数の光粒が夜空の銀河のようにシキの背後へ集まり、一つの巨大な光輪を描いた。
「是は世界を救う戦いである。」
星々が脈動する。
まるで宇宙が呼吸しているようだった。
「励起せよ────」
シキの瞳が黄金へ染まる。
「──事象解放。」
世界が白く染まる。
「
神影を天へ掲げる。
神影を中心に光が収束する。
そして、───
「『
刹那。
天を裂く一筋の星光が降った。
星そのものを剣へ変えたような、純白の光。
聖剣に等しい輝きを解き放つ。
同時。
屍竜も吼えた。
二つの口腔より放たれた黒炎は一本となり、天地を貫く黒き柱となって奔る。
白と黒。星と泥。救済と侵食。
二つの極光が真正面から激突し、世界が砕けた。
光だけが存在し、その中心で空間が悲鳴を上げる。
次の瞬間、───
───轟ッッッッッ!!!!!!
27階層が爆ぜた。
光の奔流は天井を貫き、26階層を飲み込み、岩盤を粉砕しながら上下階層へ暴威を撒き散らす。
大樹の根は引き千切れ、湖は蒸発し、滝は逆巻き、迷宮そのものが悲鳴を上げた。
爆風は巨大な瓦礫を巻き上げ、数十メートル級の岩塊さえ紙屑のように吹き飛ばす。
そして、
全てが崩壊した。
────────────────────────
どれほどの時間が経ったのか。
耳鳴りだけが続いていた。
「……ぁ……」
瓦礫を押し退ける。
右腕は動かない。
左脚も感覚が薄い。
胸は焼け、全身から血が流れている。
「……まだ、辛うじて…ッ、生きてるか」
掠れた声が漏れる。
直後、聖火が身体を包み込んだ。
焼けた肉が繋がり、裂けた筋肉が無理矢理縫い合わされる。
灯火の如く魔力はもう底を突いていた。
辛うじてスキルで自然回復する魔力を自転車操業のように無理矢理回しているに過ぎない。
故に、癒える速度より、身体が壊れる速度の方が早い。
「……これ以上は、流石に無理だな」
膝をつく。
肩で息をしながら顔を上げる。
爆煙の向こう。
巨大な影が、ゆっくりと立ち上がった。
瓦礫が崩れ、黒煙を押し退けるように、双頭が姿を現す。
「おいおい、残りの魔力ほぼ全てを注ぎ込んだ魔法だぞ!」
左首の半分は吹き飛ばした。
胸元の鱗も砕けた。
それでも、核は何事もなかったかのように脈打っていた。
蝕胎虫が群がる。
失われた肉が盛り上がり、骨が繋がり、鱗が再生していく。
まるで死という概念そのものを拒絶するように。
かつて、シキは二度再生する敵と相対した。
だが、目の前にいる屍竜の再生は最早回復の域を超えていた。
「は…ははっ…はははは!再生じゃなくて、再現か…だな」
蝕胎虫の数は増幅していない。
しかし、数は確実に減っているにも拘わらず、屍竜の生命力は変わっていない。
蝕胎虫が無尽蔵に魔力を供給しているとはいえ、所詮原本は魔物。
魔石の破壊が無い限り、消滅することは無い。
「……届かないか」
シキは苦笑した。
敗北だ。
恩恵を貰って、初めての敗北。
だが、無力感や死への恐怖感等は微塵も感じていなかった。
「ま、だとしてもここで潔く死んでやる程、俺は弱者じゃない。みっともなく、惨めたらしく抗って見せよう」
屍竜がゆっくりと歩き出す。
一歩。また一歩。
死刑宣告のように、シキの元へと迫る。
───その時だった。
「それ以上は死ぬぞ」
低く響いた男の声。
空気が変わるの感じた。
屍竜ですら歩みを止めた。
瓦礫の頂。
そこに、一人の黒装束の男が静かに立っていた。
夜そのものを切り取ったような漆黒の外套。
腰には一本の長剣。
顔の下半分を覆う骸骨の仮面。
男は屍竜ではなく、傷だらけのシキへ視線を向ける。
「ソレ相手にそこまで持ち堪えたのだ。偉業としては充分だ」
「何者だ?」
「───俺は、ザラム・ライル」
男はゆっくりと剣を抜いた。
黒い刃が月光もない迷宮で鈍く煌めく。
「ニュクス・ファミリアが団長。レベル7。以後良しなに」
『纏雷』
雷霆を纏う行為、『神葬儀礼・虚式』の付与魔法に当たる出力方法に指向性を持たせた魔法。
スキル『
これ迄はただの付与魔法として使用していた。その為、魔力を体外に放出するように使っていたので、燃費がすこぶる悪い使い方だった。
この方法を取ることで、威力に補正が入った。消費魔力は微々たる補正だが一応あるので、馬鹿みたいに消費していた状態からは改善はしている。
ヘスティア・ファミリアに新規団員を追加しても良いか(あくまで見解の募集です。100%そうなる訳では無いのでご了承ください)
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OK:原作・オリキャラ両方共問題無
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OK:原作キャラのみ
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OK:オリジナルキャラキャラのみ
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NooO:ベル君が来るまで絶対入れるな!