この素晴らしき世界に祝福を!   作:指揮官さん

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大川透(ジョジョナレーション)「前回の、ジョジョの奇妙な冒険(この素晴らしい指揮官に祝福を!)は、めぐみんに自分達の故郷、 鬼守(おにもり)(ちょう)を語り、賑やかな日課を済ませた紅介。しかしその翌日、またもやセナが訪れたッ!」



第14話 見通す悪魔

紅介「セナさん、一体どうしたんだ?」

 

今朝、突如セナが訪れた事に少し驚きながらも紅介はそう尋ねる。

 

セナ「実は、街の周囲に溢れかえったモンスターの出所を調べていたら、先日カズマ達が潜入したキールダンジョンから溢れていた事が判ったんです。」

紅介「キールダンジョンって……」

めぐみん「昨日カズマ達が行ったダンジョンですよね?私とコウスケは行っていませんよ。」

木葉「私はゆんゆんと一緒に遊んでいたから行ってないよ。」

ダクネス「私は行ったが、ダンジョンの入り口付近て待機してたぞ。」

離貅「僕は特に何も起こしてませんね。」

紅介「じゃあ、カズマもやってないとして、アクアは?」

アクア「あのダンジョンに関しちゃ、寧ろ私のおかげでモンスターは寄りつかない筈よ。」

紅介「私のおかげ???それってどう言う━━」

カズマ「よしアクアちょっとこっち来い。」

 

カズマはそう言ってアクアと一緒に紅介から距離を離し、ヒソヒソと話し始めた。

 

紅介「…あ。」

 

ふと、紅介はある予想が頭を過った。

 

カズマ「こぉんの馬鹿がぁあああああああ!!!」

 

突如カズマが叫び出してビクリと驚いためぐみん達をよそに、紅介は確信した。

アクアが何かをやらかしたんだと。

 

セナ「ど、どうしましたか?」

カズマ「いえ何も。それよりモンスターはともかく、街の人達が困っているのは見過ごせません。協力させてください。」

紅介「お、俺もだ。見過ごせないからな。」

セナ「は、はい。ありがとうございます……。」

 

紅介達、主にカズマは証拠隠滅兼、アクアの尻拭いの為他の冒険者達と共にキールダンジョンへ向かった。

 

紅介「…アレがそのモンスターか?」

 

紅介はキールのダンジョンの入り口付近で姿を隠しながらそう言う。そのモンスターは奇妙な仮面をつけた人形のような姿をしていた。

 

セナ「サトウさん、御協力感謝します。どうやら何者かがモンスターを召喚している様です。ですから術者を倒し、召喚の魔法陣にこれを貼ってください。」

 

セナはそう言ってカズマに一枚の紙を手渡した。

 

セナ「強力な封印の札です。」

紅介「(…シユカ、此処に来てからかなり警戒心を丸出しにしているな……)シユカ、どうしたんだ?」

 

紅介から呼びかけられてハッと我に返った蒼い瞳の紅いリオルこと、シユカはキールのダンジョンの入り口に向けて指を指す。

 

紅介「…何か大きな力を感じるのか?」

 

紅介の言葉にシユカはコクリと頷く。

 

紅介「そうか。…めぐみん。」

めぐみん「はい?」

紅介「シユカを頼めるか?シユカ、強い力を感じているって。」

めぐみん「解りました。しっかり預けます。」

 

めぐみんはそう言って紅介からシユカを預ける。

 

紅介「シユカ。もしもの時は、みんなを護ってくれ。」

 

紅介の言葉にシユカは力強く頷く。

 

するとその時、ドカンと小さな爆発が起きた。

 

紅介「!?」

 

その爆心地には、アクアが倒れていた。

 

紅介「アクア!?大丈夫か!?」

アクア「だ、大丈夫……。」

セナ「そのモンスター、相手に取り付き、自爆すると言う習性を持っていまして。」

離貅「シリアスサムの首なしカミカゼですか?」

めぐみん「首なしカミカゼ???」

離貅「そうですね……首が無いにも関わらず叫び声を上げて両手に爆弾を持って自爆特攻してくる人型のモンスターと言った方が解りやすいでしょうか。」

めぐみん「何ですかそれ……」

 

するとダクネスは堂々と前に出て、そのモンスターがダクネスに取り付き自爆した。

 

紅介「な!?」

 

紅介が驚愕するのも束の間、ダクネスは何ともなかった。

 

ダクネス「…ふむ。私が露払いの為に前に出よう。紅介とカズマは私の後ろを着いて来い。」

カズマ「お、おう。」

紅介「わ、解った。」

離貅「…ちょっと良いですか?」

 

離貅はそう言うと近未来風な形状の二丁拳銃のウルフガン(リー-異火モチーフ武器)を両手に持ち、それをモンスターに向けて発砲し、モンスターは忽ち爆発した。

 

紅介「おー。」

離貅「…僕も言った方が手っ取り早いでしょう。」

ダクネス「ぬぅん……!私の行動を一瞬で無に帰させるとは……やるなぁ……!」

離貅「ダンジョンの潜入は僕と紅介とダクネスとカズマで行きましょう。」

紅介「じゃあ、術者の対処と後始末は俺とカズマって事か。」

セナ「待ってください!四人だけでは危険なんじゃ━━」

紅介「大丈夫。手っ取り早く済ませるからさ。」

カズマ「おう!魔王軍幹部やデストロイヤーを破壊した俺達に任せとけ!(この異変の原因が俺の仲間(アクア)でしたなんて言えねぇ……)」

 

紅介達は異変解決(という名のアクアの尻拭い)の為にダンジョンに潜入したのだが……

 

ダクネス「フッフフ…!ハッハッハッハッハ!当たる!当たるぞ!紅介、カズマ見ろ!コイツら私の剣でもちゃんと当たる!」

 

ダクネスは剣が当たり、同時に痛みも感じ、そして役に立てているという彼女にとって夢の様な体験に心を躍らせていた。

 

カズマ「凄く嬉しそうだなー。」

紅介「うん。そうだね。」

離貅「…僕が行く意味ありますか?」

紅介「少しぐらい活躍させてやれ。」

離貅「解りました。」

カズマ「おーいダクネスーそのまま進めー。」

ダクネス「任せろ!あぁ……!何だ、この高揚感は……!初めてクルセイダーとしてまともに活躍している気がする!」

 

ハイテンションになったダクネスはそう言って、ガンガン前へと進んで数分後、発生源と思われる部屋の付近に辿り着いた。

 

紅介「…あの部屋か?そのリッチーが住んでいた部屋ってのは。」

カズマ「ああ。…でも……」

 

カズマはゆっくりと部屋を覗き込むと……

 

カズマ「何か居るし、どう考えてもあの人形の主だろう。」

 

カズマが覗き込んだ先には口元が開いた仮面を付けた黒いタキシードに身を包んだ男が胡座をかき、何かを作っていた。

 

紅介「…どうする?先制攻撃で仕留めるか?」

 

紅介はロングコートの裏に仕込んであった投げナイフを三本取り出して言う。

 

離貅「では、僕が奴の動きを阻害して、紅介はその後に。」

紅介「おう。」

カズマ「おい。何俺を差し置いて作戦を立ててるんだよ悪くない作戦だから良いけど。」

 

カズマはそう言うのを他所に、ダクネスは堂々と男の前に出た。

 

カズマ「おい!?」

紅介「ちょ!?」

ダクネス「貴様が元凶か。」

???「ん?ほう……?よもやここまで辿り着くとは……我がダンジョンへようこそ冒険者よ。我輩こそが諸悪の根源にして元凶、魔王軍幹部にして、悪魔達を率いる地獄の公爵、この世の全てを見通す大悪魔、バニルである!

 

なんと、その男バニルは魔王軍幹部だった。

 

離貅「魔王軍幹部の幹部!?」

カズマ「おい!逃げるぞ!」

ダクネス「女神エリスに仕える者が、悪魔を前にして引き下がれるか!」

離貅「ダクネスに合わせるには少し癪ですが、僕もエリスに仕える者として引き下がれません!」

 

ダクネスと離貅はカズマの言葉を無視してそれぞれの武器を構え、紅介はいつでも攻撃が出来るように臨戦態勢を取る。

 

バニル「ほう?魔王より強いかもしれないバニルさんと評判の我輩を?まあ落ち着くが良い。魔王軍の幹部とは言っても、城の結界を維持しているだけの、言わばなんちゃって幹部でな。魔王の奴にベルディアの件で調査を頼まれたのだ。」

紅介「!」

バニル「ついでにアクセルの街に住んでいる、働けば働く程貧乏になると言う不思議な特技を持つポンコツ店主に用があって来たのだが……そして、我輩は世間で言うところの悪魔族。悪魔の最高のご飯は、汝ら人間が発する嫌だなと思う悪感情だ。汝ら人間が一人生まれる度、我は喜び庭駆け回るであろう。」

離貅「…ダンジョンからこの人形がポンポン出て来て、僕達は困っているんですけど?」

バニル「なんと、此奴らを使いダンジョン内のモンスターを駆除していたのだが、ふむ…外に溢れ出していると言う事は、もうモンスターは()らぬのだな。ならば……」

 

バニルはそう手を前に翳すと、さっきからバニルの動きを真似していた人形が突如土となって崩れ落ちた。

 

バニル「次の計画に移行するとしよう。」

紅介「次の計画?何を企んでいる!?」

バニル「失敬な。自分の中にある得体の知れない謎の力に恐れを抱いている小僧よ。」

紅介「な!?」

バニル「言った筈だ。我輩はこの世の全てを見通す大悪魔であると。相手の心を読むなど容易い事だ。見えるぞ?お前が、あの力を制御出来ず、仲間を手にかけてしまうと言う恐れがな。」

紅介「━━━れ……。」

バニル「あの力を制御するなどと偽り、あの力以外の力を強くしようとする矛盾も……!」

紅介「━━黙れ……!」

バニル「自分は、ヒトの形をした化物だと言う恐れをなぁ!」

紅介「黙れぇええええええええええええ!!!」

 

紅介はバニルの言葉を遮る様に叫び、紅蓮狂刃を顕現して斬りかかった。

 

バニル「フハハハハ!凄まじい嫌悪の感情!その怒りと相まってスパイシーでご馳走である!」

 

バニルは上機嫌で言いながら紅介の怒りの連撃を軽々と回避する。

 

ダクネス「紅介!少し落ち着━━」

紅介「うるさい!!うるさいうるさいうるさい!!」

 

紅介は我を失い、紅蓮狂刃を振り回す。

 

バニル「当たらないなぁ!それでは我輩に━━ッ!?」

 

バニルが言いかけたその時、離貅は咄嗟に近未来風な形状の二丁拳銃のウルフガン(リー-異火モチーフ武器)を発砲し微かにバニルを怯ませた。

 

紅介「ッ!」

 

紅介はその微かな隙を逃さず、高速斬り上げ攻撃(ルシア-紅蓮の黄シグナル)を放ち、そして流れる様に大きく距離を詰める刺突攻撃(ルシア-紅蓮の赤シグナル)を放ち、突き刺す。

 

紅介「消えろ!!!」

 

紅介はそう叫び、左手に紅いブレードを顕現させ、息をつかせぬ二刀流の連撃を浴びせ、バニルを粉々に斬り裂いた。

 

バニル「ま、まさか━━ここで滅ぶのか━━」

 

バニルはそう呟き、仮面を残して、身体は土となって崩れ落ちた。

 

紅介「━━ッ!」

 

紅介は不意にバニルに言われた言葉を思い出し、その怒りを晴らす様にバニルの仮面を紅蓮狂刃で執拗に何度も突き刺し始めた。

 

ダクネス「お、おいコウスケ、も、もう━━。」

紅介「うるさい!!!」

 

紅介はそう叫び、バニルの仮面に向けて紅蓮狂刃を力の限り突き刺し、仮面は真っ二つに割れた。

 

紅介「俺は━━俺は、人間なんだ……。」

ダクネス「…コウ━━」

離貅「ダクネス……。」

 

離貅は咄嗟にダクネスの肩に手を置く。

 

離貅「…今は、そっとしてあげてください。…カズマ、アクアの魔法陣の処理を……カズマ?」

カズマ「…何でもない。」

 

カズマはそう言ってアクアの魔法陣がある部屋へ向かった。

 

離貅「…この魔法陣、どうやって消しましょう?」

カズマ「…俺は水を生成するクリエイトウォーターがある。それと持ってきたこの雑巾で拭くぞ。」

 

カズマはそう言って三枚の雑巾を取り出してクリエイトウォーターで濡らした。

 

カズマ「ほら、拭くぞ。」

 

カズマはそう言って離貅とダクネスに持っていた三枚の雑巾の内の二枚を一枚ずつ渡した。

 

ダクネス「…これで拭けるのか?」

カズマ「この魔法陣、チョークで描いたから消せるんじゃねえの?」

 

カズマはそう言って魔法陣を濡れた雑巾で擦ると普通に消えた。

 

離貅「では、この調子で証拠隠め……処理を行いましょう。」

カズマ「今証拠隠滅って言いかけただろ。」

 

そうして数分後、無事魔法陣の処理(と言う名目のもと)を終えた紅介達はキールダンジョンを脱出した。

 

めぐみん「…!コウスケさん!」

 

出入り口から出てきた紅介を目にしためぐみんとシユカは紅介に駆け寄り、セナも続いて駆け寄る。

 

セナ「大丈夫でしたか?魔法陣は?」

離貅「魔法陣は案外脆く、水拭きで消す事が出来ました。なので、これをお返しします。」

 

離貅はそう言って封印の札をセナに返却した。

 

セナ「は、はい。(水拭き……?)…ところで、内部に何が?」

紅介「…魔王軍幹部が居た。」

セナ「魔王軍幹部が居たのですか!?」

ダクネス「ああ。だが幸いにも倒す事が出来た。」

紅介「…離貅のお陰で倒す事が出来た。」

めぐみん「おお!流石はコウスケさんです!やはりコウスケさんは━━」

紅介「それ以上言わないでくれ。」

 

紅介は低い声でそう言った。

 

木葉「紅介、今の、あなたの━━」

紅介「先に帰る。セナさん、明日の朝でギルドに行くから。」

セナ「え?あ…はい……。」

 

紅介はセナにそう言うと一足先にアクセルの街へ歩いて行った。

 

紅介「………」

 

帰路に着いて独りで歩く紅介の脳裏に、バニルの言葉が今も紅介に響いていた。

 

紅介「…!」

 

紅介は背後から近付く気配に振り返ると、シユカが心配そうな顔をしていた。

 

紅介「…シユカか。…めぐみん達から離れるな。俺がめぐみん達の所へ連れて行━━」

 

紅介がそう言いかけたその時、シユカは紅介の脚に抱き締めるようにしがみつく。

 

紅介「…わかった。一緒に帰るぞ。」

 

紅介はそう言ってシユカを抱き抱え、アクセルの街へ戻った

 

そして翌朝、紅介達は表彰されるが、紅介は用事があると言って辞退し、そして、紅介は現在、ウィズの店の前に来ていた。

 

紅介「(ウィズは中立の様な立場とは言え、魔王軍幹部だ。俺は彼女と同じ魔王軍幹部をこの手で殺した。この事は、絶対に言わなくちゃならない。)…ウィズ、ちょっと話が━━」

 

紅介は意を決して、店に入り、ウィズと早速話を付けようとしたが、彼の目の前に居たのは━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バニル「へいらっしゃい!店の前で何やら私を嫌悪感剥き出しで殺した事をやむを得ず殺した様に出来事を曲解した小僧よ!」

紅介「━━は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨夜で倒した筈のバニルが居た。

 

バニル「いやはや!まさか偶然とは言え、私の弱点である仮面を見事に破壊して倒すとは!相当我輩に対する嫌悪感で溢れていたと聞く。だがしかし!我輩の仮面をよく見ろ。額にⅡがあるだろう?残機が一人減ったので、二代目バニルと言う事だ!」

紅介「━━━」

バニル「これはこれは!昨夜を少し超える程の悪感情!今度は怒りではなく殺意とは!これもまた━━」

紅介「ッ!」

 

紅介は瞬時に紅蓮狂刃を顕現して、バニルを斬り裂こうとしたが━━

 

ウィズ「待ってください!!」

紅介「!」

 

不意に聞こえたウィズの静止の言葉に紅介は反射的に動きを止める。

 

ウィズ「バニルさんは魔王軍幹部を辞めたがっていたんです!なので、今のバニルさんは今も魔王城の結界の管理をしていませんのでとても無害な筈なんです!」

 

紅介「………ッ。」

 

紅介はウィズの言う事を信じ、紅蓮狂刃をバニルから離す。

 

紅介「………。」

バニル「我輩に対し底知れない嫌悪感を発する小僧よ。我らが商売に協力するが吉と出るぞ?それに汝の故郷と同じ出の者らと共に来るが良い。」

 

紅介「…お前とは暫く口をききたくない。」

 

紅介はそう言って店から出ていった。

 

            to be continued………




ミサトさん「紅介、あんな苦悩を抱えていたなんて……。…それでは次回予告をするわね。…魔王軍幹部のバニルと思わぬ遭遇があったものの、辛くも撃破した紅介達。しかしバニルの言った言葉が、今も紅介の脳裏に深く突き刺さっていた。そんな時、めぐみんの提案により、紅介達はある温泉街へ湯治しに向かう事になる。しかし、紅介達を待っていたのは━━次回、『水の街アルカンレティア』。次回もサービスサービス!」


この作品でのバニル

紅介に対して結構長持ちしそうなオモチャと思っている。
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