ミツルギとの小さな騒動から翌日、紅介達は、新たな装いを身に纏った離貅と木葉と共に早速手頃なクエストを探していたが……
紅介「…手頃なクエスト、全然無いな。」
多くの高難易度のクエストしかなかった。
ダクネス「カズマカズマ!これはどうだ?白狼の群れの討伐!」
カズマ「却下。集団戦はまだ慣れてないから危険だ。」
めぐみん「カズマカズマ!これはどうですか?一撃熊の討伐!」
木葉「一撃熊……?」
めぐみん「我が爆裂魔法とどちらが強力な一撃か、今こそ思い知らせてやろう!!」
カズマ「却下だ!名前を聞くからにヤバそうだし却下だ!!」
紅介「…ん?」
すると蒼い瞳の紅いリオルを抱き抱えた紅介はクエスト掲示板にあるクエストを見つける。
紅介「…雪精の討伐?…一匹で十万エリスも……なあ、この雪精って何だ?」
めぐみん「雪精は雪深い雪原に多く居て、一匹討伐するごとに春が半日早くなると言われています。」
紅介の疑問にめぐみんはそう言う。
離貅「春が半日早くなる…ですか……。」
めぐみん「はい、とても弱いので簡単に倒す事が出来るのですが…」
アクア「その仕事を受けるなら、ちょっと準備してくるね!」
アクアはそう言って準備をしに何処かへ走って言った。
ダクネス「雪精か……。」
そう呟くダクネスの顔はどこか嬉しそうだった。
そんなこんなで雪精討伐のクエストを受け、目的地へと辿り着いたのだが……
紅介「…なあアクア、その虫取り網とそのいくつかの小さな瓶はなんだよ。」
アクア「これで雪精を捕まえて、この小瓶の中に入れておくの。で、そのまま飲み物と一緒に箱へ入れておけばいつでも冷たい飲み物が飲めるって寸法よ!良い考えでしょう?」
紅介の問いにアクアはそう自慢そうに言う。
紅介「まあ…良い考えだな。…それはそうとして何でダクネスはその服装なんだよ。」
紅介の言う通り、紅介や離貅達は防寒着を着ているが、ダクネスは鎧ではなく私服姿でいた。
木葉「大丈夫なの?」
ダクネス「問題無い。ちょっと寒いが、これも悪くない……。」
ダクネスはそう微かに顔を赤らめながら言う。
カズマ「…まあとりあえず、雪精の討伐を開始しよう。」
ダクネスのドMな発言をスルーして、紅介達は雪精討伐を開始して数分後……
アクア「…えい!…四匹目
アクアはそう言って虫取り網で捕まえた雪精を瓶に詰めて見せびらかす。
そして紅介はこの場に連れて来た紅いリオルと共に雪精を掃討していた。
紅介(…リオルの奴、器用に氷で剣を造って戦ってるな。俺の真似か?)
紅介はそう思うように、蒼い瞳の紅いリオルは冷気へと変えた自身の波導で剣のような物を生成し戦っていた。
木葉「……楽しい。」
離貅「同感です。少々病み付きになりそうですね。」
離貅と木葉の二人はそう言ってそれぞれの遠距離武器で次々と雪精を射撃していた。
カズマ「一匹で十万エリスもするし、この調子で!」
紅介「ああ。でも、そろそろこれくらいで━━」
するとその時、向こうから謎の霧が現れた。
紅介「!?」
カズマ「な、何だ……!?」
ダクネス「ワクワク……。」
紅介&カズマ「え?」
アクア「紅介、カズマ。何故冒険者が雪精討伐を受けないのか、その理由を教えてあげるわ。」
紅介「へ?」
アクア「あなた達二人や離貅や木葉も日本に住んでいたんだし、天気予報やニュースで名前くらいは聞いた事はあるでしょ?雪精達の
木葉「そ…それって……」
アクア「そう、冬将軍の到来よ!!」
アクアがそう言った次の瞬間、紅介達は霧に呑まれるが、霧はすぐに消え、紅介達の前方の先には、白い甲冑姿の鎧武者が現れた。
ダクネス「お…おおおおお…冬将軍……!国から高額賞金をかけられている特別指定モンスターの一体!!」
ダクネスは興奮した様子で言う。
離貅「と、特別指定!?」
紅介「リオル!俺の後ろに!!」
ダクネスの言葉を聞き危険を察知した紅介は蒼い瞳の紅いリオルにそう言い、そのリオルは咄嗟に紅介の背後に隠れる。
ダクネス「コイツはきっと、将軍の地位を利用して、私を手籠めにする気だ……!私も抵抗はするが、恐らく力及ばず辱められ……ハァ…ハァ……!」
カズマ「バカーーーッッ!!このクソッタレな世界の連中は、人も食い物もモンスターも、みんな揃って大バカだあああああっっ!!!」
紅介「おい!来るぞ!!」
紅介はそう言うと、冬将軍は腰に差した刀を抜き、八艘の構えを取り、一番近くに居たダクネスに斬りかかり、ダクネスは咄嗟に防ぐが、その大剣の刀身はあっさりと叩き斬られた。
ダクネス「ああっ!?わ、私の剣が……!!」
紅介「ダクネス!!」
アクア「紅介!カズマ!よく聞いて!冬将軍は寛大よ!ちゃんと礼を尽くして謝れば見逃してくれるわ!!」
アクアはそう言って瓶に詰めた雪精を解放するとそのまま素早くひれ伏した。
アクア「土下座よ!土下座をするの!!ほら!みんなも武器を捨てて早くして!!」
アクアの言葉に紅介達は武器を捨て、土下座をするが……
カズマ「おい!お前は早く頭を下げろ!!」
ダクネス「誰も見てないとは言え、騎士たる私が、モンスターに頭を下げるなど━━な━━!?」
ダクネスはそう言いかけるが、カズマはダクネスを無理矢理土下座させる。
カズマ「いつもモンスターにホイホイついて行こうとするお前が、こんな時だけくだらないプライドを見せるな!!」
紅介(ダクネスお前こんな時に!!)
自身の耳に入るカズマとダクネスの会話に紅介達は焦りを覚える。
ダクネス「や、やめろぉ!くっ、下げたくもない頭を無理矢理下げさせられ、地に顔を付けられる………どんなご褒美だ……!…あぁ…雪が冷たい……!」
離貅(こんな状況で何を言っているんですかこの人は!!?)
アクア「カズマ、武器武器!早く手に持ってる武器を捨てて!!」
カズマ「あ、や━━」
すると次の瞬間、何かが地面に落ちるような音がした。
アクア「わぁああああカズマああああああ!!!」
紅介「━え━━?」
その音は、カズマとダクネスの会話から、突然聞こえ、今度は血の匂いを感じ、紅介は思わず顔を上げた。
アクア「ちょ!?紅介!!まだ見ちゃダメよ!!!」
アクアの必至の抑止の言葉は紅介の耳には入らなかった。
紅介「━あ━━」
そこに映る光景は……
顔に返り血を浴びたダクネスと……
頭部を無くし、倒れているカズマだった。
紅介「あ━あ━━」
そして、紅介の視界の端に、何かが映り、紅介は思わず見てしまった。
既に刎ねられた、カズマの首を。
紅介「あ━ア━━」
アクア「こ、紅介!!大丈夫!私がカズマを━━紅介危ない逃げて!!」
アクアはそう紅介に危険を促すが、既に冬将軍は紅介に向けて刀を振り下ろしていた。
パニシング:グレイレイヴンより
NARWHAL (boss ver)
紅介「━アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
紅介はそう叫び、紅蓮狂刃を顕現し、冬将軍の攻撃を弾き、大きく後方へ弾き飛ばす。
めぐみん「こ、コウスケさん!?」
紅介は冬将軍を怒りと憎悪に満ちた目で睨み、紅介の身に、異変が起こる。
紅介「━オ前だケハ━━」
紅介の髪の毛先の色は白く変色し━━
紅介「オ前ダケハァアアアアアアアッ!!!」
頭に
アクア「こ、紅介!?気持ちは解るけど、あなたじゃ━━ちょっと待って、何で冬将軍にダメージが!?精霊だから物理は効きにくい筈よ!!」
紅介「殺スッ!!オ前ダケハッ!!!」
紅介はそう言って
紅介「アアアアアアアア!!!!!!」
紅介は攻撃手段を失った冬将軍に対して、容赦無く連撃を叩き込み、最後に紅蓮狂刃を冬将軍の喉元に突き刺し、冬将軍は跡形も無く雪のように崩れ落ちた。
ここで曲が終わる
アクア「嘘でしょ…冬将軍を倒すなんて……!あ!カズマを生き返らせないと!」
めぐみん「コウスケさん!!」
アクアはそう言い、カズマの斬り落とされたカズマの首を拾いに行き、めぐみんと蒼い瞳の紅いリオルは紅介に駆け寄る。
めぐみん「コウスケさん、大丈夫ですか!?」
めぐみんはそう紅介に話しかけるが、紅介の髪の色は徐々に元の黒髪へと戻り、頭に生えた小さな二本の角は消え、膝を付く。
紅介「━大…丈夫…だ……でも……カズマは……」
離貅「アクアさん、本当に大丈夫なんですか!?」
アクア「大丈夫よ!私女神だから、これくらい楽勝よ!リザレクション!」
アクアはそう唱えると、斬り落とされたカズマの首が張り付くかのようにみるみる元に戻っていった。
アクア「さあ帰ってきなさいカズマ!こんなところでなにあっさり殺されてんの!死ぬにはまだ早いわよ!」
アクアはそうカズマに話しかける。
離貅「これで生き返るのですか?」
アクア「ええ。…はあ?一度生き返っているから天界規定でもう生き返れないですって?」
紅介「━え?」
アクアの言葉に紅介はアクア達に向けて振り向く。
木葉「そんな……生き返れないの?」
アクア「ちょっと!!紅介の精神がかなり不安定になっていてかなりヤバいの!!というか日本担当のエリートな私にこんな辺境担当の━━」
紅介「お前の
めぐみん「え?」
紅介はダクネスへ近付き、胸ぐらを掴む。
ダクネス「な……」
紅介「お前の所為でカズマは!!」
紅介はそう言って紅蓮狂刃を顕現し、刃をダクネスの首に当てがう。
めぐみん「コウスケさん!少し落ち着いてください!」
紅介「これが落ち着いていられるか!!コイツの所為で……コイツの所為でカズマは……!」
アクア「ちょっとちょっと!!紅介がダクネスを殺そうとしているわよ!!速くしないと取り返しのつかない事に!!」
アクアがそう必死に言うとカズマは目を開ける。
カズマ「う…うん……?」
離貅「カズマ!!」
カズマ「生き返れて━━っておい!?紅介やめろ!!」
紅介「━え?」
紅介は聞こえた声に思わず振り向きそこには死んだと思っていたカズマが居た。
カズマ「おい紅介、流石にそれはやり過ぎだろ、俺はこうして生き返れたから、これで良いだろ?」
紅介「カズマ…なのか?」
カズマ「ああ。頼むから少し落ち着いてくれ。」
紅介「━よ━━かった━━。」
紅介は安堵しそう言ってダクネスと紅蓮狂刃を手放し、膝をつく。
めぐみん「ダクネスさん、大丈夫ですか!?」
ダクネス「あ…ああ……。」
ダクネスはそう応えるも、紅介の紅蓮狂刃に当てがわれた首を抑える。
離貅「…なにはともあれ、なんとかなったの…でしょうか……。」
アクア「カズマ、この私に言う事あるでしょう?」
カズマ「チェン━━ありがとうな。」
カズマは何かを言いかけるも、アクアに感謝の言葉を言う。
木葉「ねえ、今日はこれくらいにして戻ろう。」
紅介「…そう…だな……。」
そうして、紅介達はアクセルの街の、冒険者ギルドへ戻ったが……
受付人「流石は魔王軍幹部を倒したコウスケ様達です!!クエスト達成金と合わせて、二億三百万エリスをお贈りします!!」
紅介達「「「「「「「二億ぅ!!?」」」」」」」
冒険者A「流石は幹部を倒したヤツなだけはあるな!!」
冒険者B「流石は紅蓮の子だぜ!!」
木葉「…凄いお金持ちになったね……。」
アクア「ねえねえ!結構良い感じに貯まったし、少しぐらい良いご飯食べようじゃないの!」
紅介「…そうだな。」
そして、いつもより少し豪華な夕食を食べる事に……。
ダクネス「…コウスケ、すまなかった。」
突然ダクネスは紅介に謝罪する。
ダクネス「私があの時、素直にカズマの言う事を聞いていれば、あの出来事は……。」
紅介「…こっちも悪かった。首に剣を当てがって。」
ダクネス「…いや、良いんだ。…あの出来事で、私は、私の愚かさを知った。だから、良いんだ。」
カズマ「…なあ、俺が死んでた間、何があったんだ?」
少し豪華な夕食を食べていたカズマは不意に疑問を言う。
離貅「…カズマが死んだ直後、紅介に異変が起きました。髪の色は白くなり、頭に小さな二本の角が生えました。そして、冬将軍を圧倒しました。その後、髪色は戻り、角は消えました。」
カズマ「…何だよ、ソレ……。」
カズマは小さく呟く。
めぐみん「…あの、皆さん。昨夜の事、憶えていますか?」
離貅「確か…かつて魔道技術大国ノイズと言う国が、数百年前にある種族が行方を眩ませたと同時に滅んだと聞きましたが……。」
めぐみん「…その種族の特徴が……あの時の紅介と似ていたんです。」
紅介「…え?」
木葉「…その種族って…一体……。」
めぐみん「鬼人族。屈強な身体を持ち、白い髪と、頭に生えた角が特徴的だと。」
紅介「…その種族が……俺と似ているって事なのか?」
めぐみん「はい。」
紅介「………。」
アクア「ねえちょっと、このお肉すっごい美味しいわよ!食べてみて!」
紅介達の話を全く聞いてなかったのか、アクアは紅介に焼肉料理を勧める。
カズマ「お前なぁ……。」
紅介「…いや、良いんだ。せめて、美味い飯でも食って、明日に備えようぜ。」
カズマ「…ハァ……わかったよ。たくっ……。」
カズマはそう言って、料理を口に入れる。
紅介「…俺は、一体……。」
紅介は、とても小さな声で、そう呟いた。
to be continued………
ミサトさん「紅介君のあの力……一体何なのかしら……それに鬼人族……あ、次回予告をするわね。…一つの謎、己の内に秘める力に恐れを抱く紅介は、カズマ、アクアと共に魔道具店の店主、ウィズのもとへ足を運ぶ。しかしその時、ウィズに一つの依頼が降りる。そしてその依頼に、カズマは……次回、『店主と屋敷と幽霊と……』。次回もサービスサービス!」
ダクネスの更生
今回の出来事でダクネスはかなり負い目を感じて、ドMを卒業しようとするが……
鬼人族
遥かな昔、ノイズと呼ばれる技術大国が滅ぶのを境に行方を眩ました謎の種族。人々はそれ以降、鬼人族はノイズと共に絶滅したと思われているが……