八雲の相棒   作:陽灯

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アリス。本人の方が人形みたいな見た目してますよね


アリス・マーガトロイドと人形劇

「良し、これでいいわ。ありがとう。」

 

「全然構わない、寺子屋の子ども達が世話になるわけだからいくらでも協力するさ。」

 

場所は人里の広場、昼過ぎにステージと席の準備を一緒にしているのは魔法使いのアリス・マーガトロイドだ。今日は寺子屋に通う子ども達のために人形劇を開きにきている。

 

魔法の森に住居を構えるアリスは元人間の魔法使いである。詳しい出自は知らないが人間の里以外の出身であることは確かであるためあまり警戒はしていない。*1

 

元人間ということもあってか人間に優しく、魔法の森に迷い込んだ里の住民や外来人を保護したり里に来て普通に買い物したり祭りの際に人形劇を披露したりしている。

 

そのため里の重役としての立場に長くいた私との交流も相応に長い。最初こそ怪しんだものの子どもを人形であやしたり保護した里の住民を家に泊めて翌日に送り届けてきたりと逆に里にプラスのことしかしていない点を見て以降は普通に関わっている。

 

魔法使いながら食事や睡眠を取るそうであることから礼として人形に使えそうな布等の素材や食料、無縁塚で拾った人形劇に使えそうな本を送りつけることで多分対等な取引ができている。その本を題材とした人形劇を披露していたこともあり、役に立って何よりである。

 

最近は物資を送る際にアリスの家で茶や菓子を頂いたり人形作りの参考にと試着係にさせられることもある。偶然魔法使い3人組の茶会のタイミングで来てしまったときはちょっと気まずかった、向こうは楽しそうだったからいいが。

 

「いつも思うがこんなに人形が同時に動かせるのすごいな、すごすぎて想像が付かない。」

 

ふと周りを見渡すと人形達が席を並べている。その数は10体以上、これを動かすのにはどんな器用さがあればできるのだろうか。

 

「長年の鍛錬ってものよ、あなたがよく言うやつね。あなたも器用じゃない、一つくらいならいずれできるんじゃない?」

 

「器用の次元を超えてる気もするが・・・まず魔力をつけて、魔法を覚えて、適応できる人形を作って・・・果てしない道のりだな。」

 

「ふふ、魔力の付け方から教えてあげても良いわよ?魔理沙やパチュリーよりは魔法の教え方は上手いしね。」

 

「最近少し興味があるし、今度お願いしようかな。・・・お、準備が終わったみたいだし子ども達を呼んでくる。」

 

広場の入り口に集まってる子ども達を呼びに行き、ぞろぞろと入ってくる。

 

「ほら、今日人形劇をしてくれるアリスさんに挨拶しなさい。」

 

「「「アリスさん、こんにちは~!」」」

 

「はい、こんにちは。好きな席に座ってね。」

 

「じゃあアリス、向こうで見てるから何かあったら呼んでくれ。」

 

「あ、ちょっと待って!実はあなたに今日の人形劇に参加して欲しいの。」

 

「私が?何をするんだ?」

 

「今日の最後の話で男の人の役をやってほしいの、これ台本。」

 

「別に構わないが・・・演技なんて普段しないからアリスとの演技力の差が目立ちそうな気がするのだが。」

 

「今日見に来てる子達は寺子屋で面倒を見てる子達なんでしょ?なら多少の差なんて気にしないわよ。みんな~!詠知先生の劇見たいよね~!」

 

「「「見た~い!」」」

 

「ね♪」

 

「・・・わかった、これに合わせて読めば良いんだな?レベルについていけるように頑張るよ。」

 

「・・・ええお願いね。あなたの番が来たら好きなタイミングで読んで良いわ、それに合わせて人形を動かすから。」

 


 

最後の話が始まるタイミングで人形のステージの後ろにスタンバイする。人形の様子は後ろからだと見えず、この状態で人形劇を行うアリスの技量に再度感心する。

 

「広い森の中の村に、男の子と女の子が住んでいました。二人は毎朝起きてから森の中で仕事をしたり、遊んだりする毎日を過ごしていました。」

 

どうやら男女のお話のようだ。

 

そのまま男の子と女の子が一緒に仕事をしたり、遊んだりする描写が続く。その中での会話は特に違和感ない演技をできたように思う。

 

「そんな中、男の子が急に悲しそうな顔をしました。それに気付いた女の子は「どうしたの?」とたずねます。」

 

「うん、ちょっと考えていたんだ。」

 

私が演じる男の子がずっと何か悩むような描写が数回はさまれていく。

 

「さっきからずっと何をそんなに考えているの?」

 

「実はねがいごとをしているんだ」

 

「どんなねがいごと?」

 

「いつも、いつまでも、ずっときみといっしょにいられますようにって」

 

・・・思い出した。昔送った絵本がこんな感じのストーリーだった。確か・・・「しろいうさぎとくろいうさぎ」、2ひきのうさぎが幸せになる話。外界の不朽の名作だ。横を見るとアリスが顔を真っ赤にしつつ台本を読んでいる。ここは感情を込めるシーン、私も台本を注視し集中する。

 

「ねぇ、そのねがいごと。もっとねがってみて」

 

「・・・いつも、いつも、ずっときみといっしょにいられますように!!」

 

「ほんとに?」

 

「ほんとに」

 

「じゃあ、これから先もずっといっしょに、いつまでもあなたといるわ」

 

「ほんとに?いつまでも?」

 

「ほんとに。いつまでも!」

 

「二人は手をつなぎ、楽しそうに踊ります。その幸せな様子を見た村の人たちがやってきて、皆「おめでとう。」と輪になって祝福しました。~~~~こうして二人は結婚し、幸せな毎日を過ごしました。もう男の子は悲しそうな顔をしませんでした。めでたしめでたし。」

 


 

子ども達が帰って行くのを見送りながら、片付けにとりかかる。子ども達に「ひゅ~ひゅ~♪」とはやし立てられられたが一体どういうことなのか。

 

「お疲れ様、子ども達も楽しんでたよ。」

 

「・・・なら良かったわ。」

 

「素人感想だがうさぎを人にして上手く置き換えられてたと思う。うさぎのままだと中々人形劇にするのは難しいだろうから・・・ん?」

 

ステージの前に回り込み、置いてある人形を眺める。

 

老若男女の村人たちの人形が輪になっているが、その中心にいた手を握り合う人形に既視感があった。

 

女の子の人形が金髪で色白、青色に赤と白の装飾が施されたドレス。アリスに瓜二つだったのだ。

 

「へえ、すごくよく出来てる。そっくりじゃないか。まさかアリス本人が女の子役だったとは、相手の男の子は幸せ者だな、ははは。」

 

隣の男の子は正面から見て背中しか見えてないが、背が高く外の世界にいそうな服装だ。これはモデルはどこかに実在しているのかもしれない。

 

「相手の男の子にもモデルがいるのかな。人間の里の者ではなさそうだな、もしかして外界のだ「あなたよ。」れ、か・・・」

 

横に回り込んで顔をのぞき込むと・・・確かに私だった。

 

「私だ・・・」

 

「だからあなたに男の子役を頼んだに決まってるじゃない・・・」

 

「でもなぜ私が?人形劇を頼みに行ったのも一昨日だったし作る暇なんか・・・」

 

「作ったのは結構昔なの。その服も昔あなたに着てもらった服を参考にしてる。作ったのは良いのだけどわざわざ見せに行くのも恥ずかしかったから、あなたから子ども達への人形劇の誘いが来てそのタイミングでちょっとした悪戯って感じで見せようと思ったの。でも私の人形とあなたの人形が動いてる様子を客席にいるあなたに見せながら劇をするのは恥ずかしいから、じゃああなたに実際に演じてもらおうかなって・・・」

 

「なるほどなぁ、確かに驚いた。でも私を驚かせるためならわざわざ恋愛を題材にしなくても・・・」

 

「・・・あなたに言わせてみたいことを考えて子ども達に見せられる内容を考えてたらこうなってたのよ・・・。うぅ、子ども達の前で発表するだけでこんなに恥ずかしいだなんて勢いで台本作るんじゃなかった・・・。」

 

「・・・まぁ今日はいくらでも言ってほしいこととかやってほしいことがあれば要望に応えるから、元気出してくれ。人形劇の追加報酬ってことで。」

 

「うぅ・・・なら片付け終わったら、読んで欲しい台本がまだまだあるから読み聞かせて・・・これ台本・・・」

 

「分厚っ」

 

このあとめちゃくちゃ元気になった。あとめちゃくちゃ「詠知先生と人形劇のお姉ちゃんが結婚した」という噂が立った。慧音には頭突きを食らった。

*1
人間の里の住民が妖怪へ為るのはタブーである。




旧作設定を持ってくる技量が・・・状態なので詠知くんは知らないことに。
原作でもたまに(結構)はっちゃけるアリスいいですよね。
本文中にもありますが人形劇でストーリーの元ネタにした「しろいうさぎとくろいうさぎ」という絵本、ストレートな恋愛を子ども向けに綺麗に表した名作なのでぜひ。

次は橙。とりあえず妖々夢をコンプリートしにいく。書き溜めを全て投稿しきったので時間はかかります。
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