八雲の相棒   作:陽灯

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ちぇぇぇん!


(ちぇん)とマヨヒガ

「・・・」

 

「・・・」

 

今日私は藍の式神、橙に招待されてマヨヒガに来ている。

 

「・・・ほれ、猫じゃらしだぞー。猫じゃらし、ねこ、ねこねこねこ。」

 

「・・・」(ダッ)

 

「あっ!」

 

今私は猫じゃらしを用いて猫をあやそうと格闘中であった。なお全敗中である。

 

「やはり背丈が大きいのが問題か・・・警戒心を抱かれている。」

 

「詠知様~ご飯できましたよ!・・・ってまた猫じゃらしで戦ってるんですか?」

 

こちらに飯の完成を報告しに走ってきたのが橙である。

 

藍の式神という立場で、藍に溺愛されている橙とは藍の同行者としてや偶然出くわす等で結構な頻度で会話したり遊んだりしている。ただし直接橙からの招待でマヨヒガに来たのは初めてである。

 

「かんさ?ってのになったんですよね!なら私の家にも来てください!」と言われたため今日来たわけだ。

 

妖怪の山の奥地にあるここに来るのは辛いものがあるため、中々普段来ることのない場所だ。

 

実際今日も天狗に見つかって絡まれた、相手が椛だったためなんとかなったが。文やはたてだったら捕まって飯綱丸連行コースで今日中にたどり着くことはできないだろう。

 

紫のスキマを頼ればすぐではあるが私自身の役割として行くため、自分の力で行きたいという思いからの今回である。

 

「いやぁ、全敗だ。私は猫に好かれないタイプみたいだな。」

 

「そんなことないですよ!私は詠知様のこと大好きです!」

 

「それは嬉しいな。藍に似て良い子だなぁ橙は~」(ナデナデ)

 

「うみゃぁ~♪」

 

動物に関する妖怪とは仲が良いのだが、普通の動物にはあまり懐かれない。犬や猫は普通に可愛いと思うし、可愛がりたいのだが中々コミュニケーションが取れない動物は難しいものだ。

 

「ご飯ができたならぜひいただこう。」

 

「ではこちらです!」

 

廃村の中にある橙の家に入り、焼き魚乗せご飯をいただく。妖怪の山裏にある川に罠を仕掛けて取ってきているらしい、賢い。マヨヒガまでの長旅で空腹だったこともありすぐに食べきってしまう。

 

「ご馳走様、美味しかったよ。」

 

「お粗末様でした!寝る時まで時間がありますし、詠知様のお話を聞かせてもらえないでしょうか?」

 

「いいぞ~。お、この前買った黒髭のおもちゃがあるじゃないか。これでもやりながら話そうか。」

 

「はい!」

 

友人の式の式という立場である橙には孫のような感覚を覚えるため、非常に甘やかしたくなってくる。

 

「なんの話をしよ(ピョン)・・・一回で飛び出るのは運が悪いな。」

 

「逆に運がすごいです!」

 

「確かにそうかもな。うーん・・・何の話をしようか。・・・橙は他の猫の妖怪って知ってるか?」

 

「最近だとお燐ちゃんがたまにここに来ます!」

 

「お燐が?ここに来てるのか、よく博麗神社にいるがいろんな所に出かけてるのか。」

 

「・・・それで、その・・・」

 

「どうした?」

 

「来たときにお話するんですが・・・私が詠知様と知り合いだって知って、神社でよく撫でてもらうって言ってて・・・」

 

「なんだそんなことか。いくらでも撫でよう、おいで。」

 

「はい・・・」

 

膝の上に座らせ頭や顎を撫でる。嬉しそうにゴロゴロと鳴いている橙を見てほっこりする。

 

「橙はかわいいな、藍の気持ちもよく分かる。言ってくれればいくらでも撫でるくらいするからな~~」

 

「はい!ありがとうございます!・・・実はちょっともやもやしてたんです。」

 

「何か悩みごとでもあるのか?」

 

「はい。お燐ちゃんが詠知様に撫でてもらってると聞いたとき、ちょっとだけ嫌な気分になって・・・」

 

「・・・お燐のことが嫌いなわけじゃないだろう?」

 

「お燐ちゃんのことは全く嫌いじゃないです。でもそれじゃあなんで嫌な気分になったのかが分からないんです。藍様に聞いても「いずれ分かるさ。」って言われて・・・」

 

「うーん・・・」

 

返答に困る。ちょっとした嫉妬の感情を抱いているのは間違いない。どういう答えを返すべきか、藍がまだ教えるのに早いという判断をしてる以上馬鹿正直に答えるべきではない。

 

「橙はもし藍が新しく式神を作ったらどう思う?」

 

「一緒に式神として仲良くしたいなって思います。」

 

「じゃあそれが同じ猫の妖怪だったら?」

 

「・・・ちょっと嫌かもしれないです。私に飽きたんじゃないかって・・・」

 

「でも藍はいつも通り可愛がってくれて、その新しい式神もたくさんおしゃべりや遊びに付き合ってくれるすごい良い子だったら?」

 

「それならきっとその子とも仲良く出来ると思います。」

 

「うん、それと同じ。お燐はすごく良い子で、私は橙のことを可愛がっている。一緒、何も不安に思うことはない。」

 

「はい・・・」

 

「もっと大きくなったら、きっとその感情にも答えが出せるようになる。会いに来てくれればいくらでも構ってあげるから、今はそれで納得してほしい。」

 

「分かりました、詠知様。・・・その答えが出るまで、私に構ってくれますか?」

 

「もちろん。・・・寝る時間かなそろそろ。一緒に寝ようか。」

 

「はい!」

 

新しい感情が芽生えた橙の成長を感じ、その未来が楽しみだ。そう思って眠りについた。

 

「・・・詠知様・・・私、そんなに子どもじゃないですよ?・・・ふふ♪」




潜在的ヤンデレ素質のある橙
なお詠知くんは孫に接するような感覚なので一切気付かない模様
10000UAありがとうございます。

つぎは春ですよーとくろまくー。
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