「冬なのよ!」
「春ですよー!」
「「ねぇ、どっち!」」
「・・・とりあえず服装に困る。」
時は3月上旬。まだ雪解けが始まっているのか始まっていないかの時期。
季節の境目となるこの時期は、それぞれの季節を活動時期に置く存在達が揉め事を起こす時期なのだ。
目の前で揉めている二人はそれぞれ春告精のリリーホワイトと雪女の一種であるレティ・ホワイトロック。つまるところ今が冬か春かという揉め事を起こしている最中である。
ちなみに秋と冬では秋姉妹とレティが揉め事を起こす。去年は秋姉妹がボロボロになっていた、不憫。
リリーホワイトは春になると各地を飛び回り、春であることを告げ周りの植物を緑付かせたり動物を冬眠から目を覚まさせたりする妖精である。ちなみに春以外で会うと活発さがなりを潜め、お淑やかになってたり黒色の服に着替えて粗い口調になったりしていまいち詳しい生活を知らない。
レティ・ホワイトロックは冬に力を持つ雪女である。寒気を操るため冬場になるとかなり強い妖怪へと変貌する。なお春になると涼しいところで眠りにつくらしい、一体どこなのだろう。
なぜ私がこの揉め事に関わっているかというと、季節の境目による環境の変化が割と人間の里に被害を与えるためむやみやたらに季節を変えられるとかなり困るのだ。
ぽかぽかとした日差しに薄着で外に出た瞬間に、大雪が降られればどんな人間でも風邪を引く。医療機関が発達していない(永遠亭以外)人間の里にとっては致命傷になる可能性があるため、毎回話し合いの場を無理矢理設けさせている。
「とりあえず去年の今頃は雪が解けてなくてまだ冬だったな。」
「でしょ!」
「でも気温は去年より高いし、大通りの一部では溶けている所も見られた。」
「そうですよ!春なんです!」
「「ぐぐぐ・・・」」
「うーん・・・個人的にはまだぎりぎり冬なんじゃないかって思うんだが・・・でも春だって理屈も分かるしなぁ。・・・そうだ、リリー。私の屋敷にある桜や花を咲かせることで一旦満足してくれないか?ほら、春に移り変わるまで家にいて庭の春を見てていいから。」
「本当ですか!詠知さんの家の桜、大きくて咲かせがいがあります!」
「ほら、あと花屋の花とかも咲かせていいから。花屋の人も喜ぶし万々歳だ。」
私は人間の里の外れに居住地を構えている。元々は人間の里の守護のために外れに掘っ立て小屋を置いてそこで暮らしていたのだが、長期の出向から帰るといつの間にかしっかりとした家ができていた。あまりの豪華さと見違えぶりに「あれ、家どこ行った?」と周りをうろうろしてしまったくらいである。
そこから定期的にいつの間にか増築が重ねられ、二階ができ、地下室ができ、庭ができ、稗田家の屋敷に引けをとらない家が完成してしまった。
それならば庭に植物を植え、交渉や外交の場として使えないかと考えた私は風見幽香監修の元、庭を作っていった。その際に植えたのがその桜である。
今では立派(さすがに西行妖の足下にも及ばないが)になったその桜は、花見の場として里人に限らず様々な人妖が訪れるスポットになったのだった。
「よし、じゃあそれで解決「ちょっと待って。」」
「あの桜が咲いたら人間の里で「詠知の家の桜が咲いたしもう春か」って思われちゃうじゃない。まだ冬なのにそう思われるのは許せないわ。」
「でもなぁ・・・結局お互いにある程度利点があるようにしないと・・・ほら、リリーは納得してるし。」
「早くいきましょう!」
「ダメよ、まだ話が終わってない。」
左腕をリリーに引っ張られ、右腕をレティに引っ張られる。どちらも力をつける時期なこともあって結構力強い。
「・・・私だからいいけど、これ普通の人間にやったら死ぬからな?」
「今は冬なの!」
「春ですよ!」
「あーまた話が最初に戻った。」
「「どっち!」」
「・・・ちなみに今更だが話し合いの場を設けているだけで私は判断役じゃないからな?ほらレティ、秋姉妹との争いの時みたいに落ち着こう。」
「あの時はもうほぼ冬だったから秋姉妹は軽くひねれたけど、今の時期は別よ!」
「・・・ほらリリーホワイト、春はもうすぐだから。ちょっと落ち着いて・・・」
「春ですよ!何と言っても春なんです!」
「・・・」
どちらにとっても季節というのは死活問題であるため、お互いの主張が激しいのは分かる。だがさすがに面倒になってきて、腕を掴んでいる二人を抱き寄せる。
「「きゃっ!」」
「落ち着け。いいか?二人で弾幕ごっこするなり、何か勝負するなりで決めてくれ。それまでは付き合うから終わったら結果を教えてくれ。」
「・・・じゃあこうしましょう。詠知の庭の桜、私の能力とリリーホワイトの能力を使って咲くか咲かないかで決めましょう。咲いたら春が来た、咲かなかったら冬のまま。それでいい?リリーホワイト。」
「・・・負けませんよ。今が春だと教えてあげます!」
「決まりね。春が来るまで毎日勝負よ、少しでも冬を長くするため全力を尽くすわよ。」
「よし、やり方は決まったな。・・・毎日?毎日私の家の桜で勝負するのか?」
「ええ、早速詠知の家に行くわよ!」
「勝負ですよー!」
「待て、咲くまで毎日か?毎日やるのか?」
「「決まるまで付き合う。」でしょ?着替え持ってこなきゃね♪」
「お泊まりですよー♪」
「・・・もう好きにしてくれ。」
勝負は10日間に続き春が訪れ、近くで二人の能力を当てられた私は見事なまでに風邪を引いて永遠亭を訪れるのであった。
どっちも中々キャラクター像が掴めないので大分難航。
プリズムリバー姉妹をゆっくり書きつつ、他の話でも並行して書いていこうかなと。つまるところ次回はほぼ未定です。紅魔館編やるかも