八雲の相棒   作:陽灯

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もこたん、キャラ崩壊注意です


藤原妹紅(ふじわらもこう)の自宅訪問

「なぁ、私が何でこんなに怒っているのか分かるか?」

 

「うぅ・・・」

 

「私言ったよな?最低限の人間らしい生活はしてくれって、腹が減ったら飯を食い寒さに凍えるなら暖を取れって。」

 

「言ってました・・・」

 

「今の状況を見ろ、飯は腐り薪はなくなり家の屋根に穴が空き袖が破けている。これのどこが最低限なんだ?」

 

「・・・ごめんなさい・・・」

 

「ほらとりあえず私の上着を着ろ。おにぎり持ってきたから食え。薪は後で補充する。腐った食材も処分しておく。家の屋根は私が簡単に直しておくから。」

 

「待って!そこまでしてもらう必要は「拒否権があるとでも?」・・・はい。」

 

藤原妹紅、蓬莱人である彼女は自分が不老不死であることにかまけがちな気がする。

 

腹が減ったら我慢すればいいじゃないなんて理論を提唱し始める妹紅は、友人としても普通に人間としても見ていられない。慧音も定期的に妹紅の生活習慣を注意しに来ているが一向に改善の様子が見られないらしい。

 

今回は慧音から「妹紅の生活習慣が悪化の一途を辿っているから注意しに行ってくれ」という依頼を受けてやってきて、久しぶりに会ったのだが予想以上に状況がひどくさすがに怒らざるを得なかった。

 

「よし、着替えたし食べたな。なら食料を調達しに行くぞ、金は今回私が出すから。」

 

「待って!それは嫌!」

 

「でも金ないだろう?」

 

「それはそうだけど・・・とにかく奢ってもらうのは駄目。」

 

「・・・なら今の時期タケノコ採れるしタケノコ狩りでも行くか、道具は・・・使えそうだな。行こうか。」

 

迷いの竹林に住む妹紅は、食料確保のためにタケノコ狩りに赴くことがあるため道具はあるのだ。

 

「それにしても広いなやっぱり、気を緩めたらすぐに迷いそうだ。」

 

「でも詠知は自力で永遠亭たどり着けるじゃん。」

 

「妹紅レベルで地理は理解出来てないからな。お、何か落ちてる・・・クナイだ。」

 

「本当だ、なんでこんな所に?」

 

・・・最近会ってないな。あの集団まだ元気みたいだ。

 

「ん?何か言った?」

 

「なんでも。さ、掘っていくか。」

 


 

「結構採れたな、帰ってアク抜きするか。・・・今更だが今からアク抜きだと妹紅の夕食に間に合わんな、妹紅は今日何食べたい気分だ?」

 

「・・・そういって奢るつもりでしょ。」

 

「そんなに嫌か奢られるの?うーん、じゃあうちで飯食べよう。」

 

「結局それも奢りなんじゃ・・・」

 

「ほら、妹紅は普段竹林に来た人間を助けてるじゃないか。そのお礼だってことにすればいい。それでも気に掛かるならアク抜きした後のタケノコで何か料理を今度作ってくれ、それでいいだろ?」

 

「まあそれなら・・・」

 

「よし、決まり。行こうか。」

 

タケノコの山(なんか違和感を感じる)が入った籠を担ぎ妹紅と歩き出す。

 

「それにしても、妹紅も随分大人になったな。」

 

「・・・別に会ったときと変わらないでしょ。不老不死なんだから。」

 

「精神的な話だ。1300年くらい前に初めて会ったときは一匹狼みたいな近寄りがたさがあったが、今では友達も増えて異変でも顔を見せたりしているそうじゃないか。」

 

最初に会ったころは蓬莱の薬を飲むに至った経緯への罪悪感や不老不死になったことでの喪失感でまともに会話すらできなかったが、今では輝夜と仲良く喧嘩?したり慧音と行動したりしている。

 

「・・・確かに幻想郷に来てから定住できるようになって色んな事を知れて、好きなことも増えた。だから、ここに連れてきてくれた詠知には本当に感謝してる。」

 

「それは嬉しい。妹紅には幸せになってほしいからな。なんか親みたいな事ばかり言ってるな、ははは。」

 

「・・・・・・」

 

家に着き、居間に入る。

 

「じゃあ作るから妹紅はそこに座「私も作る。」お、そうか。なら手伝ってもらおうかな。何か食べたいものあるか?」

 

「詠知が作ってくれるなら何でもいい。」

 

「そうか、なら焼き魚定食で良いか。橙がこの前取ってきてくれたんだ。」

 


 

焼き魚と味噌汁と漬物、そしてご飯で構成される焼き魚が完成した。

 

「「いただきます。」」

 

「・・・美味しい。」

 

「そりゃ良かった。」

 

「結構ここで料理振る舞ったりしてるの?」

 

「来客者についでで振る舞うくらいかな。ここでの宴会とかでは大体私より料理上手い子が台所使ってるから振る舞う機会がない。」

 

「そうなんだ・・・。」

 

「妹紅も、私が家にいるタイミングだったら自由に来て良いからな。」

 

「・・・うん。」

 

そうやって会話をし、お互いが完食する。

 

「「ごちそうさまでした。」」

 

「ご飯ありがとう、今度タケノコの料理ごちそうするから・・・それじゃ。」

 

「待て待て。」

 

食べ終わるや否やすぐに帰ろうとする妹紅を引き留める。

 

「何?」

 

「あの穴だらけの家に帰るのはさすがに見過ごせんよ。部屋ならいくらでもあるから泊まっていきな。」

 

「そこまでしてもらう必要ない。」

 

「・・・何があっても死なない事は分かってる。けどあの状態の家に帰すのは心配なんだ。」

 

「・・・」

 

「別に私の負担になるわけでもない、奢ると言ったときの反応もそうだがそこまで気にすることはないぞ?」

 

幻想郷の住民なんて勝手にやって来て勝手に色々やって勝手に帰ってくようなのばっかりだ、今更それで負担になるはずがない。

 

立ち去ろうとした状態だったため背を向けたままだった妹紅が、こちらに振り返る。

 

 

 

「・・・だって、何も返せてない。」

 

その顔は、今にも泣き出しそうなほど悲痛な表情を浮かべていた。

 

「不老不死になりたてだった私に寄り添ってくれて、別れた後も探しだして幻想郷に連れてきてくれて住む場所もくれた。なのに私からは何も返せてない。」

 

「・・・」

 

「詠知に会いたくても、返す恩よりも比にならないくらい親切にしてくれることが分かってたからまた返せない恩が増えてくのが怖くて会いに行けなかった。」

 

「・・・そうか、そうだったのか。」

 

「でも、詠知から私を心配して家に会いに来て色々世話を焼いてくれる。それがすごく嬉しくて、詠知が来てくれるのが楽しみだった。」

 

「・・・すまない、最近全く行けていなかった。妹紅の話を色々な所で聞いていて勝手に私で安心してしまったんだ。」

 

「詠知は何も悪くない。でも最近来てくれないなって時に、慧音から寺子屋で先生代理をしたりしてくれてるって聞いてすごく胸が痛くなった。私には会ってくれないのにって、本当に自分勝手。・・・どうやったら会いに来てくれるのかなって思ったとき、心配してくれる状態になればいつもみたいに来てくれるのかなって・・・」

 

「それであの状態になったのか・・・」

 

「うん。でも私を見て怒っているのが見えた瞬間に「また迷惑をかけた。」っていうのを強く実感しちゃって、これ以上迷惑をかけないようにしないとって思って・・・」

 

「・・・」

 

「本当にごめんなさい。もう心配かけないようにするから・・・」

 

大粒の涙を落としながらそう話す妹紅を見て、私は・・・咄嗟に妹紅を無意識に抱きしめていた。

 

「・・・」

 

「私は怒ってる。」

 

「そうだよね、やっぱり・・・」

 

「私自身の身勝手さにだ。」

 

「・・・え?」

 

「慧音や輝夜らとの付き合いを見て妹紅はもう大丈夫だと安心してた。妹紅を散々心配しておいて、勝手に納得して離れるなんてあまりに身勝手すぎる。それであげく出会い頭に理解出来ず怒る、私は最低だな。」

 

「そんなことない!詠知は何も・・・」

 

「妹紅がもう心配しないように宣言するよ。いくら妹紅が私に頼み事をしたり、家に来たとしても一切迷惑でもなんでもない。恩なんて感じる必要性は皆無だ。好きなだけ友人として頼ってくれ。今何か願いがあるなら言ってくれ、私が出来ることなら何でもする。」

 

これは私の身勝手によって招いた事態だ、一つ妹紅の願いを何でも聞くくらいの責任は負うべきだろう。家を建てて欲しいと言われたら2階建て庭園付き家を建てるくらいの覚悟だ。

 

数十秒の沈黙の後妹紅が私を抱きしめ返し、話し始める。

 

「本当に詠知は優しいね・・・・・・・・・じゃあ、パパって呼んでいい?」

 

「ああ、そんなことか。ならいくらでも呼んで・・・・え、パパ?パパって言った今?」

 

「「親みたいなことばかり言ってる」って言ってたし私のこと娘みたいに見てるって事でしょ?」

 

「確かにそうだが・・・でも父親代わりまでじゃなくても、会いに行くし家に来たとき歓迎するぞ?」

 

「言ったでしょ?「寺子屋で先生代理をしているとしって胸が痛くなった」って。寺子屋の子達は詠知に世話されている。それに嫉妬しちゃったの、「私もお世話してほしい」って。」

 

「・・・そっち?」

 

てっきり慧音とばかり会っていることに嫉妬されていると思っていたため面食らう。

 

「ダメ?親子みたいになれば、私も気兼ねなく頼りにできるんだけど・・・」

 

「それで妹紅が楽になるなら全然構わないんだが、パパか・・・せめて父さんとかには・・・。」

 

さすがにパパは何か良くない気がする。・・・何か良くない気がする。父さんはいいのかという話だが、結構呼ばれる(霊夢とか)ためもう慣れた。嫌な慣れだとは思う。

 

「里を歩いてるときに仲睦まじそうに親子が歩いてて、子どもが父親のことを「パパ」って呼んでたの。・・・私は不老不死になってからずっと親がいない生活だったから、それが憧れで・・・」

 

「うっ・・・」

 

言葉に詰まる。妹紅の境遇は知っているため、その憧れは至極当然のように思えてくる。・・・それで妹紅の悩みがなくなるなら安いものだろう。

 

「分かった、好きなだけ呼んでくれ。」

 

「本当!?パパ!パパ!」

 

「・・・あんまり人前で堂々と言わないでくれよ?」

 

「パパ・・・・・・パパ」(すりすり)

 

どうやら全く聞いていないようだ。だが私の胸に頭を擦りつける様子はなんだか子犬みたいで、私の庇護欲をかき立てるのには十分すぎる物だった。

 

「・・・まあいいか。」




妹紅にパパと呼んでもらいたい人生だった。
妹紅は史実ベースだと末っ子だし、詠知くんから見たら1300年程度しか生きてない女の子だししょうがないね。詠知くんとは性格が落ち着く前からの知り合いって事で女の子口調多めになっております(多分)
詠知くんめちゃくちゃちょろい。多分今後もっとちょろくなっていく。父性があふれるからねしょうがないね。

誤字修正してくれた方ありがとうございます。見返しても気付かない、もしくは用途を間違えていることがあるのでぜひおかしいと思った所はどんどん報告してもらえると嬉しいです。

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