八雲の相棒   作:陽灯

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色んなエフェクトも活用したい。
てゐ、読み方は"てい"。てぬではない。


因幡てゐ(いなばてい)と鈴仙と落とし穴

「・・・あれ?」

 

髪をかき上げようとした鈴仙が一瞬で消えた。その瞬間横の茂みから一体の見知った妖怪が飛び出してきた。

 

「うささ、掛かった!」

 

「てゐか。・・・また落とし穴掘ったのか。」

 

因幡てゐ、迷いの竹林を根城にする妖怪兎である。といっても阿一の頃から知っている仲であるので普通の妖怪兎とは比にならないほどの長生きであることは確かである。というか多分因幡の白兎だろう。

 

悪戯好きな性格であり、よく落とし穴を仕掛けたりして竹林に来た者に悪戯している。なお9割9分鈴仙らしい、不憫だ。そして例に漏れず今回も鈴仙が被害を受け落とし穴に落ちたのであろう、事実鈴仙がいたところには大穴が空いている。

 

「うささ、やあ詠知。話し相手が急にいなくなってビックリした?」

 

ニコニコしながらぴょんぴょんとこちらに近付いてくるてゐ。鈴仙と私に二重で悪戯ができてご機嫌そうであるが・・・

 

「てゐ・・・ナイスだ。」

 

「え?」

 


 

「なるほどねぇ・・・それは詠知が悪いね。」

 

一連の事情を話すとてゐがあきれ顔でこちらを見てくる。

 

「すっかり認識が甘くなっていたんだ。後で鈴仙に謝らないとな。」

 

ちなみに鈴仙は引き上げた、また気絶していたが。・・・本日2度目の気絶である、不憫だ。今度人参でも差し入れしよう。

 

「猫の妖怪とか懐いている狼の妖怪とかが見せてくるってのは分かったけど、普通見せないスペースを見せることは相応に恥ずかしいってこと忘れないようにしなよ?」

 

「肝に銘じておくよ。」

 

気絶した鈴仙を背負い、そのまま歩き出すと横並びでてゐも歩き出す。

 

「詠知は何しにここに来たの?」

 

「永遠亭に行こうかなと思って、丁度鈴仙が帰る所だったから一緒に向かってたんだ。」

 

「へー。あ、そこにも落とし穴あるよ。」

 

「危なっ!」

 

永遠亭に近付くにつれ落とし穴が増えていっている気がする、地雷原か何かか。

 

「これ普段の患者が来るときに引っかからないのか?」

 

「普段は私の能力がこのあたりで働くおかげで引っかからないようになっているんだよ、今は働かせてないから普通に引っかかるけど。」

 

てゐの能力は"人間を幸運にする程度の能力"とあるが、実際には人間限定ではないのだと思う。四葉のクローバーで一面をいっぱいにすることもでき、個人的には「純粋に幸運なことを起こす能力なのでは?」と思う。

 

「なるほど、便利な能力だな。」

 

「でしょ?もっと詠知も普段から感謝するんだよー、ここに来る人間が引っかからないのは私のおかげなんだからねー♪」

 

「元はと言えばてゐが落とし穴を掘らなければいいんだが・・・まあ迷い込んだ人間を能力で元の場所に返してくれるのには感謝しないとな。」

 

「うささ!でしょー♪」

 

ご機嫌そうで何よりである。鈴仙の立ち耳と違った垂れ耳がピコピコ動いている、玉兎と妖怪兎で耳の形が違うのかと思っていたが妖怪兎の中にも立ち耳や垂れ耳が混在しているため理屈はよく分からない。

 

「~~♪・・・あ、そう言えばこのあたりに大きめの落とし穴が開いてるから気をつけてね。」

 

「大きめってどれくらいだ?」

 

「人3人落ちるくらい。」

 

「はは、なら今落ちるなら丁度良いくらいだ(ミシッ)・・・。」

 

「・・・(がしっ)ちょ、なんで掴むのよ。」

 

「何、気にするな。・・・ちなみに、その落とし穴はどこにあるんだ?」

 

「えぇ~と確か・・・」

 

指を指す形であたりをきょろきょろとするてゐ、その指先はゆっくりと下がっていき・・・

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・ここ。」めしゃ

 

「「うわああぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁ 」」

 


 

「で、どうしようか。」

 

「ぎっちり詰まって出れないね。」

 

そんなこんなで私とてゐ、気絶している鈴仙は三人揃って落とし穴に落ちた。そして不幸なことに私の体格と鈴仙の背負っていたつづらの大きさ故にぎっちりと詰まってしまっており身動きが取れない。背中に鈴仙(気絶中)に胸元にてゐがいる状況だ。

 

「ちなみに無理矢理登ろうとすると横壁が崩れて生き埋めになるよ。」

 

「なんてもの掘ってるんだ・・・あと聞きたいんだが、なんでこんなこの落とし穴深いんだ?他の落とし穴に比べて明らかに深くないかこれ。」

 

「・・・永遠亭が月人に攻め入られることがあったときに備えてね、せめて役に立つようにって・・・」

 

「・・・そうか、それなら納得「うっそぴょーん!」・・・皮剥いで兎鍋にするぞおいこら。」

 

「いたたたたたた!!」ギリギリギリ

 

てゐの頭を握るように締め上げる。兎鍋にして阿求にでも振る舞ってやろうか。

 

この兎は本当に昔から嘘が好きである。根っからの詐欺師根性(なおてゐ自身もよく騙される)だ。

 

「・・・ん、え、何これ?」

 

このタイミングで鈴仙が目を覚ます。落ちる際や今に散々騒いだしさすがに起きるだろう。

 

「鈴仙、実は「助けて鈴仙!詠知に服剥いで食べられちゃう!」おいまて、それは誤解が生じるだろう!?」

 

「何ですって!私に飽き足らずてゐにも手を出すつもりですか!?だからこんな暗くて狭い場所に・・・」

 

「待てまず鈴仙に手も出してないし誤解「そうだ!そのままお師匠様と姫様も手籠めにするつもりなのさ!」ちょっと話を「何ですって!」うるさっ、ちょ、とにかく話を聞いてくれ!」

 

何してるの?

 

上から声が聞こえた気がして顔を上に向けると・・・

 

「・・・何やってるの貴方達?」

 

・・・呆れたような表情で覗き込んでいる永琳がいたのだった。




てゐが因幡の白兎本人だとすると詠知くんの比にならないくらいの年齢というね。

ちょこちょこ日刊ランキングにランクインしているみたいで感謝の極みです。
評価、お気に入り、感想、ここすき等いただけると嬉しいです。

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