独自設定があります。
「あなたは食べても良、なんだ詠知かー」
「会って早々随分なご挨拶だな、ルーミア。」
竹林を抜け人間の里に向かって歩いていると、見覚えのある黒い球体がこちらに向かって飛んできた。
ルーミア、"闇を操る程度の能力"を持つ人食い妖怪である。しかし能力に対して、"今は"その強さは非常に弱いと言わざるを得ない。
周りにルーミア自身が入れる程度の闇を展開し昼間の日光を遮断する、それだけ。しかも中から外の様子が見えないため木にぶつかったりしている姿を結構な頻度で見かける。体の小ささと相まってちょっと可愛い。
「普段博麗神社の方にいたと思うんだが、なんでここに?迷子か?」
「あれ?・・・ふらふら飛んでたらいつの間にか来てたみたい。」
「なら一緒に来るか?戻る道は途中まで一緒だと思うし。」
「じゃあ背負ってってー、昼間に能力なしで飛ぶのは辛いから。」
「分かった。」
ルーミアを背負い歩き出す。
「今度狩りの方法でも教えるか?とりあえず肉は食べれると思うぞ。」
「それ罠とかでしょ?それはめんどくさい~」
「じゃあ最近何食べてるんだ?」
「木の実ー。」
「それでいいのか人食い妖怪。・・・今度何かしら差し入れするか。」
「やったー。」
「その体になって大体何年くらいだ?」
「えー?わかんない。すごい昔。」
当初ルーミアはこのような姿ではなかったのだ、元々は幻想郷の中でも上位格の実力を誇る妖怪であった。
本来持っていた能力も同じように"闇を操る程度の能力"であったがその効果は比にならないほど絶大であり、それこそ実力と雰囲気共に成長し吸血鬼として最大限の実力を持つ将来的なレミリアを想起させる程度の存在だった。
「生活には慣れたか?」
「慣れたー。めんどくさいことに巻き込まれなくなって毎日が楽~。」
夜行性の妖怪は非常に多い、その中で絶大な実力を誇っていたルーミアは面倒事に巻き込まれていくことが多かった。最初は人間の里をも支配しようと戦いを挑んできたこともあったが、だんだんと妖怪同士の戦いに変わっていき最終的にルーミアが自らの能力の封印を施し今の姿に変わった。
封印に関しての取り決め等は紫が執り行っていたため私自身は多くは関与していない。だが自ら力を弱める選択肢を取る妖怪の物珍しさと博麗神社への道中でよく見かけてコミュニケーションを取っていたことから知り合いくらいの関係にはなっていると思う。
「元の体に戻りたいって思うか?」
「うーん、そこまで。でもたまにくらいは戻ってみてもいいかもー。」
「そうか、スペルカードルールさえ守れるなら戻っても全然いいぞー。」
今の幻想郷でなら妖怪同士の殺し合いが大きく起こることは基本的にない。封印前のルーミアであれば理性的であったし、もし能力が元の性能に戻ってもスペルカードルールにもすぐに適応できるだろう。
私は封印の細かい条項は全く知らないため、一体どうやって封印を解くかは知らないがいずれ戻れる時が来るなら本来の姿に戻ってもいいのではないか・・・と思う。
「なら戻ってみるー。」
「え?」
背負ったルーミアがもそもそと動き・・・
シュンシュン
「ちょ、ちょっと待て!」
ファ~ン
謎の効果音が終わり・・・背中に乗る重量が増す。
「・・・ふむ、久しぶりに戻ったが力がある感覚も良い物だな・・・」
「・・・」
「ふふ、どうした詠知。恐れて物も言えないか?とりあえずもう背負わなくて大丈夫だ、降ろしてくれ。」
「・・・」
「・・・おい。」
「・・・」(スタスタ)
「おい、聞いてないのか!?降ろせ!降ろしてくれ!」
「・・・」(思考停止)
「まさか普通に戻れるとは・・・てっきり紫や博麗の巫女あたりの干渉がなければ取れないと思っていたんだが。」
場所は私の家の居間。私とルーミアが向かい合って座っている。
「戻る必要性がなかったから戻らなかっただけだ、あの姿の私が戻ることすら面倒くさがっていたこともあったがな。」
「そうか・・・今更だが本当に同一人物だとは思えないな。」
「ふふ、このカリスマ溢れる姿に刮目するが良い。」
(なんかレミリアみたいだな・・・)
夜を統べる妖怪同士対立関係になりそうなレミリアとこのルーミアだが、意外と仲良くなれるのかもしれない。今度会わせに行こうか。
それにしても見た目の差が大きい。封印状態のルーミアは幼女のような見た目だったが、今のルーミアは大妖怪としての風格を漂わす妙齢の女性だ。背丈も伸び美鈴と同じくらいになっており、髪も伸び腰に届くほどの長髪に変化している。
「・・・反応薄いな。私がその気になれば人間の里丸ごと闇に葬るくらい容易いんだぞ?」
「そうなったら差し違えてでも殺すが、やらないだろ。普段のルーミアを見てればわかる。」
元々争いが面倒になって自らの力を抑えた妖怪だ、人間の里を滅ぼすという大きな戦火を撒く行為はそう易々としないだろう。
「・・・だが!今私は人肉に飢えている。このまま人の1人でも持ちか(ぐ~)・・・」
「肉ならこの前買った牛肉の塊がある。それ使って何か作るから待ってろ。ついでに米と味噌汁いるか?」
「・・・いる。」
「そういえば自分で再封印はできるのか?」
「できるけど、その時はもう一回封印用の札が必要になる。外した札はこうなる。」
完食したルーミアがそう言って完全にちぎれて使い物にならなそうな札を見せてくる。
「再利用はできないんだな・・・で、その札はどこで手に入れるんだ?」
「知らない。」
「・・・知らない?」
「数百年前の話だし、封印してからの期間が長かったから詳しいことはもう忘れた。」
「うーん・・・霊夢か紫あたりに聞いてみるか。」
外も暗くなってきたし明日にでも聞きに行こうか、そう考えていると玄関の扉が開く音が聞こえてくる。見に行くと、間の良いことに霊夢がいた。
「おと・・・詠知。何か嫌な予感がして来てみたんだけど・・・」
「霊夢?丁度良かった。ちょっと聞きたいことがあるからこっちに来てくれ。」
「何かあったの?・・・誰?」
「博霊の巫女?・・・ほう。」
霊夢をルーミアに会わせるため居間に連れて行く。霊夢はきょとんとした顔をした後、細目でこちらを見つめてくる。
「・・・また誑かしてきたの詠知?」
「誑かしてきたって、人聞きの悪すぎる。ルーミアだルーミア。」
「誰?」
「あれ、紅霧異変の時に戦ってなかったか?」
「覚えてないわ・・・全く。」
確かに戦っていた気がするが・・・思い返せば瞬殺していたから名前すら聞いていないのかもしれない。
「随分と失礼な小娘だな。だが勘を取り戻すには良い相手だ、私と戦え。」
「嫌よ、面倒くさい。」
「戦わないというなら詠知にするが。」
「・・・は?」
「お前が戦えないなら他の相手と戦うというだけの話だ、それなら近くにいる詠知を選ぶのは当然だ。さあ、どうする?」
「へぇ・・・命知らずな妖怪もいたものね。いいわ、相手をしてあげる。・・・後悔するんじゃないわよ。」
「こちらの台詞だ。」
窓から飛び出していく霊夢とルーミア。口を挟む余裕すらなく飛び出していった。
「どうしてこうなった・・・おーい!周りに迷惑掛けない程度にやってくれよー!!」
弾幕が飛び交い始める空に向かって叫ぶ私であった・・・。
やっぱりルーミアを書く時EXルーミアを書きたくなる。
他の二次創作と比べて結構性格はマイルド寄り
霊夢の勘はやっぱりすごいなぁ(KONAMI)
次かその次の話を投稿したらアンケートを閉めます。
ちょっと忙しいので数日更新ないかもしれないです。
次に行く場所
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命蓮寺
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神霊廟
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守矢神社
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妖怪の山
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地霊殿(旧都)