「おどろけー!」
「・・・」
「・・・おどろけー!」
「・・・正面から走ってきてそれは誰も驚かないと思うぞ?」
里の外れ。妖怪が侵入していないか確認するために歩き回っているところ、正面に大きな傘を持ち歩いている妖怪を見つける。
向こうもこちらに気付いたらしく、走り寄ってきたと思ったらいきなりのこれである。
「結局脅かし方は下手なままなんだな、小傘。」
「うぅ・・・やっぱり小さい子にしか通用しない・・・。」
多々良小傘。種族はから傘お化け。捨てられた傘が付喪神化して生まれた妖怪である小傘は、人を驚かすことでその感情を食べることで腹を満たす妖怪である。
だがご覧の通りあまりにも脅かす能力がない。そのためしょっちゅう空腹の状態でいる。
「最近ベビーシッター、上手くいってないのか?」
ただ普通に脅かすということが難しいことに気付いた小傘は、"ベビーシッター"を自称し里の子ども達を驚かしてあやしたり泣かしたりしている。大きな1つ目と舌がついた奇抜な見た目の傘を持つがそれが子ども達に大ウケしているらしい。やったね。凄いね。
「最近子ども達の親御さんに接近禁止令を出されてるらしくて・・・全然会えないの。」
「そりゃあ親から見たらいきなり妖怪がやって来て子どもに接してきている構図だしな・・・、そう対処されるのもしょうがない。」
脅かすだけの妖怪であるため、危険性はあまり高くないものの根本的に小傘は妖怪であり妖怪を警戒するのは当然だろう。
「じゃあ鍛冶の仕事もしているじゃないか。そっちで生計を立てるというのは・・・」
「普段の鍛冶屋が今りふぁうむ?っていうのでやってないの・・・」
「リフォームな。それは運がないな・・・」
小傘は鍛冶の仕事をしてもいる。ちなみに私の家に小傘が作った包丁が置かれている、非常に切れ味のよく重宝している。
この前霊夢の封魔針を作成してあげていた、優しい。なおその後その針で退治されていたらしい、不憫。
・・・思い返すと小傘はとことん不憫な気がする。
ある日には普段脅かしの根城にしていた墓地を他の妖怪に占領されたあげく、助けを求めた霊夢や魔理沙にもろとも退治されていた。
ある日には萃香の気まぐれに巻き込まれて吹っ飛ばされていた。
・・・あまりにも不憫だ、それに加えて本人が素直で妖精のような無邪気な性格をしているのも可哀想具合を加速させる。
「うーん。やっぱり驚かすのが一番か、気配を消せば大体どうにかなると思うんだが・・・小傘には向いてなさそうだな。」
「気配を消すのが下手って子ども達にも言われる・・・。でもどうやってやればいいのか分からないの。」
「じゃあ5秒間目を瞑っておいてくれ。」
「え?分かった。5・・・4・・・」
小傘の斜め後ろにあった近くの木箱の裏に隠れる。
「1・・・0。あれ?詠知ー?」
木箱の隙間から見るとキョロキョロ周りを見渡す小傘が見える。
近くの小石を木箱の逆方向に投擲する。道にぶつかりコツンという音を立て、小傘がそちらの方を見る。
「あ!音が鳴った!ふふん、詠知もおっちょこちょいだね!」
小石の落ちた方に向かう小傘の後ろに忍び寄る。足音と気配を消し真後ろまで近づき・・・
「あれ?いな「わっ。」きゃああああ!!」
肩に手を置き脅かすと、悲鳴を上げ飛び上がる小傘。良いリアクションだ。
「こんな感じで、注意を別の場所に引いた後に忍び寄るのも良いな・・・って小傘?」
その場にへたり込んだ小傘。少し怖がらせすぎてしまっただろうか。
「大丈夫か?すまん、驚かせすぎたか。」
「・・・ぴ・・・」
「ぴ?」
「ぴえぇぇぇぇぇぇ!!??」
「うおっ!?」
大声をあげて泣き出す小傘に驚く。辺り一帯に響くような泣き声は、近くの自警団を呼び寄せるのに十分だった。
「どうかしたか!・・・って詠知さん!?これは一体?」
「すまない、私の責任だ。気にしないでくれ!」
このままだと周りの住民どころか妖怪を里の近くに呼び寄せることになる。そう考えた私は小傘を抱きかかえ里から離れていくことにしたのだった。
「うぅ・・・ぐすっ・・・」
小傘を抱きかかえ、あやすように背中をさすりながら歩く。ちなみにこの趣味のわ・・・奇抜な傘は私が持っている。
「すまない、脅かしすぎたな。怖くないから安心してくれ。」
「ひどいよ・・・さでずむだ・・・」
「サディズムじゃないかそれ?」
「そうともいう・・・うぅ・・・お腹すいたよ・・・」
「私が言うのも何だが、あの悲鳴で周りは結構驚いたんじゃないか?」
私も驚いたし、周りの人間も驚いただろう。
「自分の力で驚かさないと意味が無いの・・・むしろ驚いたせいでもっとお腹減っちゃった・・・」
「そういうシステムなのか。」
驚きをもらうことで腹を満たすなら、驚かされる分腹が空くのか。初めて知った。
「とりあえず何か驚かせる策を練らないといけないな・・・とりあえず降ろすぞ?」
「お腹すいて動けないから降ろさないで・・・」
「分かった。それにしてもどうしようか。」
「そういえばぬえちゃんに教わった脅かし方があるんだけど・・・」
「ぬえに?」
悪戯大好きなぬえからの教えなら効果が大分ありそうだ。
「でもなんで最初からそれをやらなかったんだ?もし準備がいるなら手伝うが。」
そんな方法があるのなら私に会った際にでもやれたはずだ。準備が必要になるタイプのものなのだろうか。
「準備はいらない。最初からやらなかったのは限られた人にしかできないやつだから・・・」
「なるほど。限られた人ってのは?」
「・・・」
ちゅっ・・・
「・・・え?」
小傘に唐突にされたキスへの驚愕に体が硬直する。
小傘がぴょんっと私から飛び降り、ペロッと舌を出しウインクする。
「やった!だいせいこうー!!」
元気そうにぴょんぴょん飛び跳ねている小傘。楽しそうだが忠告はしないといけない。
「・・・里の人間達には絶対やるんじゃないぞ?」
これを里の人間達にやられてしまうと色々と問題が生じるし、小傘自身もトラブルに巻き込まれる可能性が高くなる。
「するのは詠知だけだよ!お腹いっぱいになった!ありがとねー!!!」
こちらに手を振りながら走り去っていく小傘・・・元気になったからまあいいか。ぬえには後で説教しよう。
「はぁ・・・って、傘!小傘!傘忘れてるぞー!」
小傘結構出番あるし可愛い。あと不憫。
結構原作ネタ盛り込みました。あと某ホラーゲームのパークみたいなことをする詠知くん。
あとタイトルの名前にふりがなを振りました。
アンケートは次話で終わりにします、果たしてどこになるのか・・・。
評価、感想等もらえると凄く嬉しいです。よろしくお願いします。
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