八雲の相棒   作:陽灯

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ちょっぴりだけオリキャラ出ます。
ぱるぱるぱるぱる


宴会の前準備

「そこのは広場の奥側んとこに運んでくれ。・・・ん?って詠知じゃねえか!」

 

「久しぶりだな弥助。何か手伝えることないか?」

 

酒樽を運び出す鬼達の中で、一際体が大きい鬼がこちらに気付き声を掛けてくる。旧都には結構数来ているので、勇儀以外にも知り合いは結構多いのだ。

 

名前は弥助。肌も赤くまさに鬼!といえる彼は旧都の一角を実質的に統治している鬼の1人だ。今の酒樽運搬のとりまとめもどうやらしていたようだ。

 

ちなみに上下関係的にはその上に勇儀がいる、旧都のまとめ役として最も偉い立ち位置なので当然と言えば当然である。

 

身長は私より頭一つ分大きい。2m以上は確実にあるだろう。肉体的大きな差がある人間と鬼を比較すること自体酷ではあるが、里の中では最もがたいの良い私も鬼と並べば中の上程度の体格だろう。・・・ちょっと悔しい。

 

実力(喧嘩が強い)主義な鬼達が多く住む旧都の一部をとりまとめる役割に就いているだけあって相応に実力はある。ただ勇儀や萃香と比較するとまだ太刀打ちできる程度の強さであり、手合わせの際は一応全て勝てている。

 

「客人に手伝わせるほど俺らは無礼じゃねえよ。そこらで暇してな。」

 

「そうか?だが何もしてないで飲み食いするのは申し訳ない。何でも良いから手伝わせてくれ。」

 

基本豪胆な性格の鬼達だが、無礼というわけでは決して無い。客が来れば鬼流ながらももてなすし、饅頭や酒といった土産をくれたりもする。少し酒と喧嘩が好きすぎるだけなのだ。・・・少しでは無いか。

ぱるぱるぱる

「て言ってもなぁ。手伝わせるようなことなんて無いぜ?ここも手は足りてるし・・・」

ぱるぱるぱる

「ならつまみを作るとか・・・」

ぱるぱるぱる

「・・・それは嬉しいが、大体もう出来てると思うぞ?追加で作るにも時間かかるだろ。」

ぱるぱるぱる

「「・・・・・・・」」

ぱるぱるぱる

 

ぱるぱると、分かりやすく不機嫌なオーラをまといながら近付いてくる存在に、どうすればいいかと弥助に近づき小声で話しかける。

 

『なあ、なんでいきなりこんな不機嫌なんだ?理由分かるか?』

 

『いやわからねぇ。・・・ただ、詠知の元に来たって事は多分詠知が原因だろ。また何かしたか?』

 

『特に身に覚えが無いんだが・・・』

 

「・・・この距離になっても無視するなんて・・・妬ましいわね。」

 

「いや、そんなオーラを出されると反応に困ぱるぱるぱる・・・今日も元気そうだな。でも喋りづらいから止めてくれ・・・」

 

「しょうがないわね・・・」

 

あからさまな嫉妬オーラをまといながらこちらに歩いてきたのは、橋姫の"水橋パルスィ"。

 

「とりあえず橋姫の嬢ちゃんと会話するのが詠知の仕事って事で!もうすぐ準備が終わるからちょっとしたら広場に来てくれー!」

 

酒樽を両脇に抱え走り去った弥助。逃げおったな。・・・だが4斗の中身入り酒樽は80kgあるのだが、それを2つ軽々運ぶ姿は鬼の強さを実感させる。

 

「・・・私と鬼だと、鬼の方が興味があるのね、妬ましい。」

 

「それは早計だろう。ただ鬼の身体能力の凄さを実感しただけだ。」

 

「私より鬼の体の方が良いのね・・・妬ましい。」

 

「人聞きが悪すぎるなその言い方・・・」

 

"嫉妬心を操る程度の能力"を持つパルシ・・・パルスィは旧都と大穴の間にある橋を根城とする橋姫。地上と地底を行き来する者達を見守る番人のような役割なのだが・・・

 

「私より鬼と話していた方がやっぱり良いんでしょう、どうでもいいけど妬ましい。」

 

「・・・いつも通りで安心したよ。」

 

非常に当人が嫉妬深く、ゆえに通る際にちょっかいをかけてくる場合がある。私が旧都または地霊殿に行く場合必ず縦穴と橋を通るため、ほぼ100%会話することとなり毎回何かしらで嫉妬されている。

 

能力故に、嫉妬心を糧にして妖怪としての力を得ているらしいが・・・

 

「ああ、妬ましいわね。地上の人間なのに、地底に沢山の友人がいるのが妬ましい。」

 

自分自身の嫉妬心も糧に出来るため、『他人に嫉妬すればするだけ妖怪として強くなる』のだ。そのため他人の嫉妬心を操れるという、中々な能力が使われることがあまり無い。

 

ちなみに話す相手に嫉妬できる点が何一つ無い場合だと、自らの不幸自慢を始め勝手にその過程で嫉妬したり嫉妬できない自分に嫉妬したりする。無敵か?

 

語尾のように「妬ましい」を連呼するパルスィだが、それが止める方法を私は知っている。それは・・・

 

「私が妬ましいか?」

 

「ええ、妬ましいわ。」

 

「・・・そうか。悲しいけど、パルスィに迷惑ならしょうがないな。もう顔を合わせないようにするよ・・・」

 

「!?・・・そ、そこまでしなくてもいいのよ?」

 

「・・・」

 

「別にいなくなってほしいとか、そんなつもりじゃ・・・」

 

「・・・」

 

「そんな、つも(ガシッ)きゃっ!!」

 

パルスィの両脇の下に手を差し込み持ち上げる。寺子屋の子ども達にする"たかいたかい"みたいな感じだ。最近よく寺子屋の手伝いの際に、子ども達にねだられてやるため随分と手慣れた動作でやれるようになった。

 

そう、パルスィは嫉妬深い性格だが"橋姫"という守護者的な存在であることもあり非常に根は優しい性格をしている。さとり曰く「心の奥底では皆を尊敬し憧れの感情を持つ優しい子」らしい*1、さとりが言うのだからそうなんだろう。

 

こんな感じで自身の発言で相手が傷付いた場合は、嫉妬も忘れて相手を心配するくらいに優しい子であるのだ。

 

「・・・また騙したわね!!」

 

「すまんすまん。今更パルスィに何言われても傷付くはずないぞー、パルスィも大切な地底の友人なんだしなー」

 

「そ、そう・・・ってとにかく降ろしなさい!」

 

「ははは、降ろさんぞー!」

 

私に持ち上げられた体勢でジタバタ暴れるパルスィ。だが、腕を水平になるように持ち上げているため単純なリーチ差によってパルスィがいくら暴れてもパルスィの手や足が私の体まで届くことは無い。

 

何というか悪戯っ子?に逆に悪戯するのが最近楽しくなってきた。小傘とかぬえとか。パルスィも他人の嫉妬心を煽って遊ぶこともあるらしいし実質悪戯っ子だろう。だがてゐは許さん、あれは詐欺師。

 

「まだ私が妬ましいか?」

 

「妬ましいってか私が恥ずかしいわよこんな子どもみたいな持ち上げ方!いいから降ろしなさいー!」

 

「しょうがないなー・・・これで良いか?」

 

降ろすと見せかけて、そのまま左腕で背中、右腕で膝下を支えるように持ち上げる。からかうのがちょっと楽しくなってきた。後お燐に"次パルスィに会ったら甘やかしてあげて!"と言われたのもある。何故なのか理由は分からないが。

 

こんな風にするのも皆もう宴会に向かっているからか周りに人影がないからだ。衆人環視の状態だったら流石にやらない。

 

だが、持ち上げられているパルスィの反応が無いことを不思議に思う。さっきのように抵抗されたり何か言われると思っていたんだが・・・

 

「・・・まあ、これならいいわよ・・・」

 

「あっいいんだ。」

 


 

少し時間が経った後、私とパルスィは横並びで話しつつ広場に向かう。

 

「で、何で最初から不機嫌だったんだ?」

 

「結局分かってなかったのね、妬ましい。・・・お燐の猫車に乗って私を無視したでしょう。」

 

「あー・・・」

 

お燐に運ばれる道中では寝ていたため外で何があったか知らないが、道のりを考えるとパルスィに出会う可能性は高いだろう。

 

「すまないな、時間も遅かったし寝てしまっていて全く気付いてなかった。」

 

「・・・そうなの。聞きたかったのだけど、何で猫車に乗ってたのよ?」

 

「それはな・・・」

 

 

 

「鬼がそんなことで詠知を嫌うはずないでしょ。鈍感すぎて妬ましい。」

 

「ああ、我ながら情けないことをしたよ。・・・そういえば、私が猫車に乗っていた話は何処から聞いたんだ?」

 

「勇儀からよ。でも詳しい理由は教えてくれなくて・・・」

 

「私に直接聞こうと思ったと。」

 

パルスィ視点では私に無視されたと思い、理由を聞くために来たらさらに無視された構図だ。そりゃあ不機嫌にもなる。

 

・・・今思ったがお燐の言葉は、パルスィと何かしらの会話をした故の言葉だったのでは?

 

「ちなみにお燐と何か会話をしたか?」

 

「・・・い、いや特にそんなことは・・・軽い挨拶をしただけよ。」

 

「本当に?何か約束をしてたんじゃないか?」

 

「べ、別に約束というか一方的に言われたというか・・・」

 

「・・・」

 

「だから約束では・・・私の意志ではないというか・・・」

 

「・・・」(わしゃわしゃ)

 

「!!」

 

わしゃわしゃとパルスィの頭を撫でる。

 

そこそこ長い付き合いになるため、パルスィの性格はある程度知っている。心の底に親切さがあることを分かっているからこそ、色々と嫉妬をされてもそれを許容できる。

 

今の状態はそこから嫉妬を引かれた素の姿。そこに愛くるしさを覚えるのはしょうがないことだ。

 

「~~~♪」

 

嬉しそうに笑みを浮かべるパルスィの頭を撫でながら、一緒に広場に歩いて行くのだった。

*1
東方外來韋編のクロスレビュー




ぱるぱるぱるぱるってネタ?はアレンジ楽曲が元ネタで良いのだろうか・・・
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