「「「パルスィお姉ちゃん遊んで~~~!!」」」
「ああもう!まとわりつくんじゃないわよ!」
中央の広場に着いて早々、旧都に住む鬼含めた子ども達がパルスィの元に駆け寄って来て遊んでとせがむ。パルスィが先んじて広場に入ったため、私は少し離れた後ろでその光景を眺めている。
足にしがみつかれたり、服の裾を引っ張られたりとわちゃわちゃ具合が凄い。
ちなみに寺子屋に通う子ども達くらいの背丈だが、普通に酒を飲むことはできる。実際今も酒瓶や杯を片手に持つ子がいる。鬼の子どもなんか既に私よりも酒に強いまである。
良いのかと思うかもしれないが、幻想郷には外の世界のような酒を飲む年齢に関する法律なんて物はないし、もし地上にそのルールがあったとしても旧地底はそのルールは適応されない。そもそも霊夢や魔理沙等外の世界じゃ未成年と言われる彼女達も宴会で普通に酒を飲んでいるため今更である。
だが子ども達にとっては、酒より遊びの方が楽しいのだろう。宴会という事で保護者が酒の席にいるため、子ども達は集まって何かしらで遊んでいるようだ。
そんなこんなでてんやわんやしているパルスィを眺めていると、その視線に気付いたようでパルスィがこちらに顔を向ける。
「絡まれている私へ高みの見物なんて・・・妬ましいわね。」
「いや、随分好かれているな~って。」
「・・・そんな風に考えられるなんて妬ましいわね。いつも暇してるからちょっかいをよくかけられているだけよ。」
「そうかそうか・・・」
「何ニヤニヤしてるのよ・・・妬ましいわね。」
普段から子ども達を構ってあげているのだろう、じゃないとここまで懐かれない。やっぱり優しい子だなと再度実感する。
私とパルスィが会話したことで、子ども達もこちらの存在に気付きその内何人かがこちらに駆け寄ってくる。
「詠知の兄ちゃんだ!一緒に遊ぼ!」
「久しぶり、みんな大きくなってるな。どこかで遊ぶか~。」
屈み込み子ども達の頭を撫でる、角とかでちょっと撫でづらいが。どんな種族でも子どもというのは可愛いものである。
何人かは私の体をよじ登り、肩車のような状態で「たかーい!」とはしゃいでいる。・・・かわいい。
何をして遊ぼうかと考えていると、パルスィに呼び止められる。
「待ちなさい。」
「ん?」
「子どものお守りをするためじゃなく宴会に参加しに来たんでしょう、客人なんだからそっちに行きなさい。」
「・・・確かに。」
旧都から見て私は一応客人ということになる。ならば招待された宴会には参加するべきであろう。少なからず勇儀には挨拶をするべきだ。
「そんな堅っ苦しいこと考える必要ないと思うわよ。真面目で妬ましいわね。」
「・・・心でも読んだか?」
「どこぞの覚妖怪じゃないわよ私は。顔に出すぎなのよ、分かりやすくて妬ましいわね。・・・とにかく行きなさいよ。」
「ああ、すまないな、宴会楽しんでくるよ。後で埋め合わせをする。」
また後で遊ぼうなと子ども達に声を掛け、私は広場の中に歩いて行くのだった。
「あれ・・・?」
広場に足を踏み入れた瞬間、普段とは違った様子に気付く。
広場はかなりの面積があり、100人規模の宴会が開催されても余裕で有り余る程度の広さだ。
旧都を訪問する度に結構な確率で酒を飲むかはさておき宴会には参加するのだが、その際に利用することが多々ある。ちなみに他には旧都に複数存在する宴会場、居酒屋、もしくは誰かしらの家が会場となる。
地上基準で考えると、かなり大規模な宴会にも参加した経験があるのだがこれはその比ではない。何が言いたいのかというと・・・
「・・・人、多くないか?」
見渡す限り人、人、人。正確には妖怪であるが・・・とにかく普段の比にならないほど人でごった返しているのだ。
加えて所々で屋台が開かれていたりステージらしき場所で踊っている鬼がいたりと祭りに近しい感じだが、屋台と屋台の間で敷物の上に座った住人達が酒を酌み交わしている。屋台の店主らしき人物も杯を片手に話の輪に加わっている様子も見られ、さながら祭りと宴会が融合したような姿になっている。
「特別な事が重なるとこうやって大きい宴会が開かれるのさ。」
「萃香?」
喧噪を眺めていると、人混みの中から萃香がこちらに歩いてくるのが見える。右手に酒瓶、左手に串団子を持っている。・・・拳大の団子が10個くらい一串に刺さってる気がするが。串も小太刀くらいの長さがある。どういう理由でこんな団子が作られたのか知らないが相当ボリューミーである。
そんなことはさておき、鬼ではあるが普段地上で活動している萃香がここにいることに疑問を覚える。
「珍しいな旧都にいるの。この催しに参加するためか?」
「んにゃ、それがただの偶然だね。タイミングが良くてラッキーだったよ。」
「そうか。ちなみに特別な事って何だ?」
「単純にめでたいことさ。結婚とか出産とか色々、それが重なるとパーッって祝っちゃおうって事で大きい宴会を開くのさ。年に数回はやってるね。」
「なるほどな・・・」
改めてこの光景を眺める。こうして見ると旧都もかなりの住人が居ることが分かる。多くの割合が鬼ではあるが、人間と違い性質的に一癖も二癖もある妖怪達をとりまとめる勇儀には尊敬の念を抱かざるを得ない。
「萃香、勇儀の場所って分かるか?挨拶したいんだが・・・」
「勇儀の場所は知ってるけど、今はやめたほうがいいかもね。」
「・・・?忙しかったりするのか?なら手伝うが。」
「そんな感じ。でもそこまでじゃないからもうちょいしたら大丈夫だと思うよ、手伝う必要はない。」
「分かった、ありがとう。」
それまで何をしていようか・・・宴会を楽しむと言った手前パルスィの元にすぐ戻るわけにもいかないし、屋台や見世物を見て回りながら出会った知り合いにでも挨拶していくか。
「萃香は今時間あるか?一緒にここらの屋台でも回らないか。」
「いいよ~、設営も手伝ったし大体の場所は分かるから案内してあげるよ。」
「助かる。」
辺りを少し見回すだけでも、あちらこちらで何かしらの催し事が起こっている。そんな中で案内人がいるのは非常にありがたい。
だが1つ問題がある。それはかなりの人混みだという点だ。この中を萃香と歩くと間違いなく100%はぐれるだろう。
ただでさえ里で頭1つ抜ける背丈の私でも違和感なく紛れ込めそうなほどの人混みだ、加えて背丈の低い萃香の事は見失わない方がおかしいだろう。
手でも繋ごうかと思ったが、萃香は酒と団子で両手が塞がっている。・・・団子が一切減っていないのを見るに萃香も買ったことを後悔していそうな気がする。
萃香が手を使わずに、私とはぐれないようにする方法・・・そうだ。
「よっと。」(ひょい)
「わわっ!?」
萃香を持ち上げ、私の首を跨ぐように座らせる。つまり肩車、私が萃香の足さえ掴めば萃香が手を使うこともない。萃香の視界確保もでき完璧である。
「よし、行くぞ。」
萃香の持つ団子のような、里では見られない規格外な屋台があるのかもしれない。少しワクワクしながら歩き出すのだった。
「・・・えっ、何で肩車?」
色々忙しく投稿遅れました、来週くらいからまた投稿ペースは戻る・・・はず。
投稿遅れててすみません!8月31日(予定)に本編か番外編どっちかを投稿します!
あと3~4話くらいで地底編は終わる予定です(多分)
萃香はスカート、ということは・・・
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