オリキャラ(先代の巫女)が出ます。
吸血鬼異変 その1
博麗神社へ鍛錬に向かう最中、スキマが開き目の前に紫が現れた。
「珍しいな、道端で急に出てくるの。急用か?」
「急用というより懸念点ね。今朝から結界に緩みが出来てるのよ。」
「結界に緩み?」
「大きく影響はないけど外から干渉してきてる。何かしらが転移してくる可能性が高いわ。もし人間の里に大きな被害を与えるような存在だった場合には詠知にも出てもらう可能性がある。」
「分かった、心に留めておく。博麗神社に向かうところだったから一緒に霊華にも伝えておくか?」
「ええ、お願いね。」
博麗神社に着くと博麗の巫女である霊華とその後継となる霊夢が鍛錬を行なっており、こちらに気付くと出迎えてくれた。
博麗の巫女、博麗霊華。現博麗の巫女である。背丈は霊夢の一回り以上大きく、腕には過去の戦闘によってついた傷跡が目立つ。
「やあ詠知。」
「霊華、霊夢。元気か?」
「あぁ、最近は特に問題も起きてないからな。暇で元気すぎるくらいだ。」
「元気よ」
「そりゃあ良かった、だが暇じゃなくなるかもな。鍛錬を始める前に伝えておきたいことがあって・・・」
〜〜〜〜〜
「結界に緩み。やはりか・・・」
「知っていたのか?」
「私も同じ、嫌な予感がするわ。」
「霊夢も?紫はまだ伝えてなかったらしいが一体何で知ったんだ?」
「「勘」」
「勘かぁ。」
~~~~~
鍛錬が終わり、夕食を囲んだ後。霊夢と霊華と縁側に座る。
「霊夢もずいぶんと強くなったな。」
「ああ、代替わりももうすぐかもしれないな・・・」
「お母さんはまだまだ現役でしょ、不吉な事は言わないでよ。」
霊華はずいぶん博麗の巫女の中でも長く務めている方である。ある程度治安が安定している点もあるとは思うが、間違いなく実力は高い博麗の巫女だ。
「さて、いつ来るのか・・・結界の緩みが持続する時間なんてそう長くない。来るなら今夜だと思うが・・・」
「人間の里に戻らなくて良いのか?」
「まだ侵攻の意志があるのか分からないし、人間の里も即座に防衛体制に入れる程度の能力はある。基本霊華に一任するが、人間の里への攻撃の兆候があって防衛体制に入った時にはこの形代が反応するようになっているからな。後程度によっては紫も介入するだろうし。」
「なるほど。」
~~~~~
そこから数刻後、霊華が立ち上がる。
「・・・来た。」
「来たか。場所は分かるか?」
「霧の湖。周辺の妖怪が活発になった。」
「里に近いな・・・!?形代がもう反応した!?」
あまりに早すぎる。幻想郷における人間の里の重要度は高い、それは外部からやって来た者だとしてもすぐに理解出来るはず。即座に人間の里にも攻撃が仕掛けられたとあっては明確な宣戦布告だと言える。
「敵対意志がある、周辺の妖怪を支配したんじゃないか。なら詠知も動けるな。霊夢、博麗神社の防衛を頼む。私と詠知は霧の湖に向かう。」
「ええ、任せて。」
門番として幻想郷全体に戦争を仕掛けた主の館を警護するために気を張りめぐらせていた私、紅美鈴は空からこちらに向かってくる2人の存在に気付いた。
(どちらも人間の気・・・。妖怪を薙ぎ倒しながらこちらに進んできている。まさかこんなに早くここまで来るものがいるとは、予想外ですね。)
まだ配下に降った周辺の妖怪が動き始めて1時間も経っていない。侵攻への軍備が整いきっていない時点での来訪者。
(来る方向は神社方面。それで人間ということは、博麗の巫女。ではもう1人は?・・・見れば分かるか。誰だろうと通すわけにはいかないのだから。)
そうしている間に先行して来た巫女服姿の女性が門の前に降り立つ。明確な強者側の人間、武の心得も相応にありそうだと感じる。
「宣戦布告と見ていいか?妖怪。」
「その通りです、博麗の巫女。我々は幻想郷を手中に収めに来た。」
「くだらん真似を。・・・首謀者を討伐すれば済む話、通らせてもらおう。」
巫女がこちらに駆け出してくる。門番として通すわけにはいかない、迎撃の構えを取り巫女がこちらの範囲に入る瞬間を待つ。
あと3歩、2歩、1歩・・・
「頼んだ!!」
巫女が叫ぶ。その瞬間・・・横から突如現れた殺気にすぐさま飛び退いてしまった。その隙をついて巫女は門を突き破るように突破し、本館の方に向かって行く。
すぐに追うべきだった。しかし疑問が頭を支配してしまい膠着していたのだ。
別に元々2人の人間が向かって来ていたことを失念していたわけではない。駆け出してくる巫女に意識は向いていたとはいえ、2人目の奇襲に備えて気を張り巡らせていた。
それが横に来るまで全く存在にすら気付けなかった。
(殺気を隠していた・・・?言い方は悪いが今の人間レベルがその芸当ができるとは・・・)
巫女も強いだろうが我が主が負けるとは思えない。しかしもう一人は不気味だ、この人間はなんとしても止めなければ。そう思いその人間に向かい直す。
(男か。かなり大きいな・・・っ!?)
・・・目の前の男を見た瞬間、魂の底から打ち震えるような感覚を覚えた。
彼から感じる気は間違いなく人間、しかし明らかにその域を逸脱している。
服装は一般人、一目見ただけではただがたいの良い男だと思うだろう。だが私は武人、同じように武を修める者の実力を見るだけである程度測ることはできる。
見た目30前程度の人間が到達していい次元にいない、それどころか今までに出会った人間の中でも最も強いのではないか。
・・・ずっと夢見ていたのだ。100年足らずで妖すら打ち倒せる領域に達する人間が年老いるまで鍛錬に励み身につけたその技術を、肉体の全盛期に宿したらどれだけ強くなるのだろうか。そして欲を言えば長くの間生死を分けるような闘いの経験を積んでいたらどうなるのか?
もしかしたら、4000年近く武を追究する私すら打ち倒せるのではないか。
魔術等を用いたのではない、飛び道具を使うわけでもない。純粋な体術のみでそれを為してくれる。それを確信できる程度には彼は完成されていた。
(あぁ・・・闘いたい。)
だからこそ今の状況に歯噛みする。私は侵略者側でこれは立派な戦争だ。武人としてのぶつかり合いではない、殺し合いをしないといけない。
「・・・紅魔館の門番、紅美鈴です。お見知り置きを。」
無意識に必要のない挨拶をしてしまう。敵としてではなく武人としての礼儀が咄嗟に出てしまった。
目の前の彼は何も喋らない、当然だ。自らの住む土地を侵略する敵に律儀に挨拶を返すわけがない。
(でも・・・いつか闘いたいな、だから名前だけでも・・・)
「詠知だ。・・・もっと別の機会で出会いたかった。」
「!?」
名前を返してくれた。
それに加えて「別の機会で会いたい」?・・・詠知、彼もまた私を武人として評価し惜しんでいる・・・私と同じく「闘いたい」と思ってくれている。
「だが首謀者・・・美鈴の主に用事がある。」
会話をしながら、少しずつ距離を縮めてきた彼。舞い上がった私は気付くのが一瞬遅れた。安々とお互いに攻撃が届くほどの領域に侵入させてしまい・・・気付いた瞬間咄嗟に距離を取ろうとするも避ける間もなく顎を打ち抜かれ、意識を絶った。
過去編は書き上がり次第きまぐれで投下していこうかなと
ちょっと戦闘描写みたいなのも書いてみたかったのもある。
武人としてリスペクトはするがそれはそれとして問答無用な詠知くん。普通に戦うとめちゃくちゃ時間かかりそうだったから苦渋の一撃。