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あっきゅん、ちょっとキャラ崩壊かもです
「・・・うん、この妖怪の活動地域が人里に少しずつ近づいていっているのは事実だ。残りの変更場所も大きく影響はないだろう。」
「そうですか、なら良かったです。」
本日は幻想郷縁起の編纂作業の確認役として稗田家の屋敷に来ている。
幻想郷縁起とは簡潔に言えば妖怪等の特徴や危険地区等をまとめた書籍である。個人の執筆ということで放っておいても問題はないように思えるが、それぞれの能力や性格等を示す都合上誤情報や強い偏見が混じると各勢力で不都合が生じかねないというのが問題となるため一度確認が必要となる。
最終確認役として紫が確認し。普段は私は関わることのないのだがこっそり事前に確認して間違いがない状態で紫に渡してもらうことで紫の負担を減らす算段である。
「お疲れ様、はい紅茶。これを最後紫が見に来た際に見せれば終了だ。」
「ありがとうございます。・・・ふぅ、最近は異変が多くて困りますね、変更点が多すぎます。」
「まぁスペルカードルールで治安自体は良くなったし、異変のおかげで正体が不定だった妖怪の詳細が分かるようになるしな。嬉しい悲鳴ってやつじゃないか?」
「それはそうですがね・・・、その点妖怪との直接会話の取り次ぎをしてくれている詠知さんには感謝してます。」
今代の稗田家当主、阿求は歴代の中でもかなりアグレッシブな動きをする。わざわざ新しくやってきた妖怪との対談の場を用意してそれを記録したり、実地調査に自ら赴いたりと非常に活発に動き回っている。
ちなみにその際の護衛は大体私が務めている。稗田家の存在は人里にとってどころか幻想郷にとっても重要なのだ。
それぞれの代で性格も大きく変化し、9代目にあたる阿求は活発な少女でかなり話しかけてきたり家に来ることもある。そのため相応に可愛がった、家に来た際は結構な確率で兎鍋をすることになる。
稗田家との関わりは初代の阿礼から始まる。見たもの全てを記憶できるという能力からか学びへの意欲が高すぎる阿礼と、各所を放浪しまくり人妖問わず繋がりの広がった私との相性は良く色々な場所に連れ回したものだった。
そんな阿礼も30近くで亡くなった。時代背景からして30ほどで亡くなる人間はたくさんいたため悲しみこそすれ特段驚きもしなかったが、阿一として転生して再度出会った際には腰を抜かしそうになる程驚いたものである。
どうやら書き残した資料に私の情報も載っていたようですぐに打ち解け同じように連れ回すというサイクルは、幻想郷ができ稗田家が移転して今代に至る現在も続いている。
そのため幻想郷縁起の作成に少なからず関わっていると言えるが、私が出す情報は大概却下されている。歴代の御阿礼の子全員に「詠知は主観が強すぎるから信用がいかない」と言われた。阿求には「風見幽香を「ちょっと怖いが花が好きないい子」と言う人の意見は信用できません。」らしい。解せぬ。
「それにしても結構久しぶりに読んだが随分と読みやすくなったなぁ。阿礼のなんか少し見ただけだがほぼ殴り書きで何書いてあるのか分からなかったのに。」
「その当時と違って大衆に読まれることを目的として書いてますからね、時代に合わせるんですよ。」
「挿絵もそっくりだしいい読み物だな・・・お、私のもあるじゃないか・・・ん?・・・??」
パラパラとめくり幻想郷縁起を眺めていると、私について書かれたページに手を止める。色々と書かれているが、本人がどうこう言うようなものでないため内容には特に何も言わないようにしていたのだが・・・
「え?長くない?」
情報の多い人物に関して枚数が多くなる傾向がある。実際に霊夢等は異変解決についての記述で長めになっている*1。確かに私は稗田家と付き合いが非常に長いし人里の発展に関わってきたため知られていることが多いのは事実である。
だがそんな程度ではない。一人だけ枚数が倍以上あるのだ、違和感がとんでもない。
「あらそんなことないですよ、むしろ少ないくらいです。」
「いや、前見た時はこんな感じじゃなかったじゃないか?え、これが今人里で読まれてるのか?」
「そうですよ、皆が詠知さんの詳しい話を知れて喜んでました。」
「いやいや、それにしても長すぎる。紫が確認してこれを通したのか?信じられないんだが・・・」
「逆に八雲紫が許可を出してくれたんですよ?「もう詠知は情報を秘匿される存在じゃないから好きに書いて良いわよ」って。」
「えぇ・・・」
元々は人里に関わる際に、私が八雲の縁者としての立場を隠していた事情や他勢力の外交時のためにほとんど情報が明かされていなかったのだ。これは幻想郷縁起にも適応されていた。
しかし人里が一つの自治体としての地位を確立したことや治安が非常に良くなったことで私の役割が減った事情であまり情報を秘匿する必要がなくなった。それは理解出来る。
「だがこんなに枚数を取る必要はないだろう。同じく人里にいる慧音も普通の枚数じゃないか。」
「・・・分かりませんか?ずっと思っていましたがいつまで経っても自分に関することだけ鈍いですね本当に。」
呆れたような顔を向ける阿求。その顔を見て理由を考える、しかし凡人の思考能力しか持たない私にはさっぱり分からない。3万年経っても頭は成長していないことに情けなさを覚える。
「・・・すまん、分からない。」
「悔しいじゃないですか。」
「え?」
「悔しいんです。阿礼の頃から夢を手伝ってくれた人がその功績を忘れられていくのが。」
「あれは当時の気まぐれで・・・」
「律儀に転生のたびに会いに来て協力してくれたのに?」
「阿礼の夢に協力すると約束した。転生したとてそれが阿礼だったのは事実だし同じ夢を持っていたのだから協力しないのは不義理だろう?」
「だとしても普通そこまではしませんよ・・・。阿未に言った「夢が為されるまでは、いつまでも協力する。」って言葉、今でも覚えてますからね。稗田家にとっての大恩人だってことを自覚してください。とにかく、人里から役職を離れてから詠知さんの功績や存在を知らない人が増えてくのが嫌なんです。」
「・・・なるほどな。分かった、好きに書いてくれ。」
それだけ信頼されているということだ、素直に嬉しい。それにしても、阿未に言った言葉を未だに覚えているとは凄い能力だ・・・ん?
「あれ?転生の時に記憶ってほとんどなくなるんじゃなかったか?阿未への言葉も資料に残ってたのか?」
「・・・全然分かっていないじゃないですか、これ読んでください。」
阿求が立ち上がり引き出しから一冊の分厚い本を取り出して渡してくる。表紙には・・・「詠知に関するまとめ」
ページをめくると阿礼の頃にした会話や行った場所から私が話した昔話がびっしりと書き込まれている。驚きとともに見上げると微笑みながらこちらを見つめる阿求がいた。
「ふふ、幻想郷縁起の量がむしろ少ないくらいって言った理由が分かったでしょう?詠知さんも記録対象なのは当然です。でも距離が近すぎて熱が入りすぎていったみたいですね・・・。まぁ私の方が詠知さんのことをより詳しく知ってますけどね!好物の種類の発見数や頭をなでてくれた回数とかがもう最多記録を更新したんですよ!」
「・・・そうか、ここまで詳しく記録してるとは脱帽だ。何か黒歴史がないか心配だな、はは・・・」
「そんなことは何もありませんよ。ここ数年で一緒に行動できる回数が増えたおかげで記録できることが増えて嬉しいです。これもいずれ本として出版したいですしね。この先も、次の代もその次の代もいつまでもよろしくお願いしますね?」
転生するたび過去の資料に対抗心を燃やしていくうちにどっぷり依存するAQN概念、上手く書けたかはなんとも言えない。無自覚ヤンデレっていいなぁと思ってます。
阿求以外の御阿礼の子の性別が不明なのでどっちでもいいようにはしました。
東方求聞史記は持ってるけど口授がどっか行ったので捜索活動中です。
求聞史記の美鈴の立ち絵めちゃくちゃかっこいい。
次回は未定。