とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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武士どもよ!!全ては血風の中で語り合おうぞッ!!!

____by S.Tさん


その隠、圧倒する

 

「俺をボコボコにするだと?随分な自信だな」

 

月光の光が段々と薄れていき、山へと差し掛かる空の下、天一郎と対峙していた猗窩座は彼の言葉に苛立ちを覚えるかの様に頬に筋を湧き上がらせる。

 

「貴様…名は?」

 

「上坂 天一郎。今年で23歳です」

 

「俺は猗窩座だ。天一郎、貴様は俺に生身で挑むつもりか?」

 

「えぇ勿論」

 

天一郎は握り拳を前に突き出しながら続けた。

 

「貴方のような一般人にやられる程、柔な鍛え方などしていませんので」

 

 

「……あ?」

 

 

その言葉を耳にした瞬間 猗窩座の脳裏にその言葉が思い浮かぶ。

 

「(今奴は何と言った…?一般人だ…?俺を人だと思っているのか…?バカな…奴は見る限り隠…俺の目を見て鬼と分からない訳では無いはずだ。ならばなぜ奴は俺を一般人と………まさか____

 

 

 

 

 

_____俺の強さが人間と大差ないとでも言いたいのかぁ!?)」

 

 

その言葉の意味を履き違え、猗窩座は完全に舐められていると受け取ってしまったのか、額から筋を湧き上がらせ怒りを露わにする。

 

 

「言ってくれるなあああああ!!!!!」

 

猗窩座の怒りの咆哮がその場に響き渡る。その咆哮は周囲の草や小石を吹き飛ばし空気を振動させていき、その威力と威圧感に後方で待機していた炭治郎や伊之助の足元は震えていた。

 

 

 

咆哮を放った猗窩座はその場に態勢を低くせ、地面が陥没する程まだ踏み込むと一気に飛び出した。

 

 

対して 天一郎は___

 

 

「成る程。見る限り相当手練れな輩の様ですね」

 

__ゆっくりと呼吸を整えると両腕を構えた。天一郎の両腕が残像を残す程の俊敏な速度で回ると、まるで目の前の空気に手を添えるかの様に両手それぞれを構えた。

 

 

その姿勢を見ていた煉獄は何かを思い出したのか目を大きく開く。

 

「あの構えは…」

 

「知ってるんですか!?」

 

「あぁ…名前は知らないが…とある海国での向かってくる相手の拳の軌道を逸らし捌く時の姿勢だ…だが…相手が鬼では拳の威力も速度も違いすぎる…肉ごと抉り取られてしまうぞ…!」

 

「そんな!!」

 

煉獄の言葉に炭治郎は即座に立ち上がり加勢しようと向かうものの、既に猗窩座の身体は天一郎へと迫っていた。

 

 

 

 

 

そして

 

 

「破壊殺____乱式__ッ!!」

 

その言葉と共に猗窩座の拳が次々と天一郎目掛けて放たれていった。

その人間とは全く異なる量の筋肉と血の力によって放たれる連打は少しでも触れれば肉を抉り取り、深く殴り込めば人体さえも貫くことが容易となる凶器となるだろう。

 

 

「な…!!」

 

 

その光景を目にしていた炭治郎は叫んだ。

 

 

「天一郎さぁあああああん!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい?」

 

「え?」

 

突如と聞こえてきた平然とした声。その声を耳にした炭治郎や煉獄達はその声がした方向へと目を向けた。

 

 

そこには___

 

「どうしました?」

 

猗窩座の脅威的な速度で放たれる拳の雨を涼しい顔で捌いている天一郎の姿があった。

しかもご丁寧に此方に顔を向けていた。

 

「うそぉおおおおおおおおおおおおん!?」

 

「ええええええええええええええええ!?」

 

 

その光景に炭治郎のみならず煉獄も腑抜けた叫び声で仰天してしまう。

 

「何かあったんですか?」

 

「あ、いや何でもないです…」

 

「そうですか」

 

炭治郎と軽く会話した天一郎は再び猗窩座の方へと目を向けた。

 

 

その一方で、自身の血鬼術を混ぜた武術を捌かれていた猗窩座はその技術に困惑していた。

 

「何故だ!?何故当たらん!?」

 

「当たり前でしょう。そんな重心の偏りが限定的な連打、すぐに捌けちゃいますよ。此方はある程度の武術は完璧にしてるんです。舐めてもらっちゃ困ります」

 

「く!」

 

その言葉に猗窩座は攻撃の手を止めるとその場に着地し、即座に足に力を込めて蹴り上げた。

 

 

破壊殺___脚式【飛遊星千輪】__ッ!!!!

 

 

風を切る音と共に猗窩座の脅威的な脚力を備えた脚が天一郎へと迫っていく。

 

それに対して天一郎は即座に反応すると、その向かってくる足を一歩下がる形で避けると、代わりに身体の軸を狂わせるべく、その足に手を添え少しだけ持ち上げるようにして投げた。 

 

 

「ほほいと」

 

「ぐぅ!?」

 

それによって猗窩座の身体はその少し回転した脚を軸に回転した。それによって重心がズレてしまい態勢を立て直すことが出来ずその場に崩れ落ちてしまった。

 

そしてすぐさま天一郎の脚が振り上げられると倒れた猗窩座目掛けて振り下ろされる。

 

「ホイサっ!!」

 

「…!!」

 

それを見た猗窩座は即座にその場から起き上がるとその踵落としを避けた。

 

 

攻撃を開始してから僅か数十秒。煉獄との戦いで汗一つ流さなかった猗窩座の額からは一筋の汗が流れ出ていた。

 

「今度は一体なんだ…!?」

 

「合気道ですよ」

 

「合気道…!?」

 

【合気道】それは明治時代に編み出された武術であり、強烈な一撃が多い空手や柔道に対して、相手の力を利用して制圧するという防御に特化した武術である。

 

その力は極めれば体格差を無効化すると言われており、現にその合気道を開発した創始者が5尺程度の身でありながらも、体重100キロ以上で六尺もの身体を持つ力士を投げ飛ばしたという記録がある。

 

「貴方の技は全て力に任せきりで変化がない。まるで長い間、その戦いに固執し続けているかのようです。その力量が大きければ大きいほど、合気道は強くなります」

 

「ぐ…!!」

 

天一郎の指摘に猗窩座は歯を食い縛ると立ち上がり、再び血鬼術を発動させる。

 

「ふざけるな…!!!俺が貴様に敗れるなどあり得ないッ!!!!」

 

そう言い猗窩座は自身よりも強い童磨を倒した相手にも関わらず、非現実的な言葉を叫びながら脚を踏み込んだ。

 

 

すると、再び周囲に雪の結晶の紋様が浮かび上がる。

 

 

___破壊殺__終式 “一極集中”【青銀乱残光】ッ!!!!

 

 

「長い時を経て手に入れた力が…貴様なんぞに破られてたまるかぁ!!!!」

 

 

その瞬間 天一郎目掛けて乱式を超える超高速かつ無数の拳が青い光を伴いながら放たれた。

 

「ヴォオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

「成る程。連打の速さ比べですか。____

 

 

 

 

______面白いッ!!!!」

 

 

 

それに対して天一郎も拳を握り締めて放った。

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!!」

 

「ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!」

 

 

超高速の拳が衝突する。

 

次々とぶつかり合う拳と拳。脆い音を響かせながら拳と拳が衝突した事で衝撃波が発生していく。その衝撃波は次々と周囲に影響を及ぼし、強風を巻き上がらせ小石などを吹き飛ばしていくどころか、近くの岩さえも伝わる衝撃波によって砂へと変えていった。

 

 

その拳の激突は未だ止むことを知らずに互いに拳がぶつかる音を鳴り響かせていった。

 

 

 

 

そのときであった。

 

「オラァッ!!!」

 

天一郎の拳が拳の雨を潜り抜け、猗窩座の顔目掛けて飛び込んできた。

 

 

「ゴハァ…!?」

 

その拳は見事に猗窩座の頬へと打ち込まれ彼の乱舞を中断させると空中へと吹き飛ばした。

 

 

「やった!」

 

「いや…まだだ!首を切らなければ何度も起き上がるぞ!!気をつけろ上坂少年!!!」

それを見た炭治郎は勝利を確信するが、煉獄は首を横に振り天一郎へと叫んだ。

 

 

 

すると

 

「…!!!」

 

煉獄の言った通り、空中に殴り飛ばされた猗窩座はすぐさま体勢を変化させると地面へと着地すると目を血走らせ叫んだ。

 

 

「ヴァアア"ア"ア"!!!認めん!!認めんぞぉおおお!!!!!」

 

その叫びと共に猗窩座は天一郎に向けて駆け出すと、彼の目の前の地面に向けて拳を放つ。

 

 

___破壊殺___【砕式】___ッ!!!

 

 

「うぉ!?」

 

その瞬間 猗窩座の拳が地面へと突き刺さると周囲の砂を巻き上げ砂嵐を巻き起こした。

それによって天一郎は視界を遮られ目を瞑ってしまう。

 

 

そしてその隙を猗窩座は見逃さなかった。

 

 

天一郎が目を瞑る中、猗窩座は身体を動かして天一郎の背後へと移動する。

 

「俺が貴様に負けるはずなどない…ッ!!!!」

 

「あ、背後取られた」

 

天一郎が気づいた時にはもう遅い。猗窩座は己の全エネルギーを収束させた両腕を天一郎に目掛けて渾身の一撃を放った。

 

「消し飛べッ!!!!」

 

 

破壊殺【滅式】__ッ!!!!

 

 

 

 

 

その瞬間 天一郎の姿が紫色の爆炎へと飲み込まれた。

 

 

「天一郎さぁあああああん!!!!」

 

その場に炭治郎の悲痛な叫び声が響くのであった。

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

煙が舞い上がる中、全身に傷はないものの、猗窩座の口からは荒い息がこぼれ落ちていた。

 

「…」

 

それは血鬼術の連発による血液不足もそうであるが、もう一つは天一郎の拳によるダメージであった。

 

切り傷などの外傷はすぐさま再生するが打撃による痛みなどは回復はできない。故に猗窩座の身体はもう煉獄と同じ程までボロボロなのだ。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…(杏寿郎の比ではない…あの男…とんでもない強さだった…だが、あれ程の至近距離で俺の奥義を喰らったんだ…流石に瀕死になるはずだ…!!)」

 

猗窩座は持ち前の自信と共に息を吐きながら、今度は煉獄達へと目を向ける。

 

 

「待たせたな杏寿郎。続きと行こうか…!!」

 

「く…」

 

猗窩座に目を向けられた煉獄は歯を食い縛りながらも立ち上がると刀を構えた。

 

「上坂少年が気掛かりだが…彼がくれたこの機会を逃す訳には行かないな…ッ!!!」

 

 

 

 

 

その時であった。

 

「痛いじゃないですか」

 

 

「「!?」」

 

煙の中から突然と声が聞こえると共にその煙が左右に散り消えていった。それを目にした猗窩座と煉獄は驚き瞳を震わせる。

 

 

「何故だ…俺の…全身全霊を込めた一撃を喰らって…なぜ…」

 

そこには服が所々に破けながらも平然と直立している天一郎の姿があった。 

 

「何故生きているのだぁぁぁ!!!!」

 

「「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?????」」

 

「か…かかか上坂少年!?な…なななななぁ!?えぇ!?ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」

 

猗窩座の叫び声に炭治郎や伊之助も声を合わせながら驚きの声を上げ、煉獄に至ってはもう顎が外れるほど口を開けながら驚きの声を上げていた。

 

 

「いや、流石に痛かったですよ。危うく泣いちゃうとこでした」

 

 

 




天一郎情報その11→ 数種類の武術をマスターしている

因みに空手が正式に日本で武術として認定されたのは昭和の頃らしいです。
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