______by 天に立つおじさん
柱合会議のあった昼。天一郎はカナエに連れられ、買い物のために街に出ていた。
「あ、あなた。野菜は切れてましたっけ?」
「はい。白菜や里芋も。あ、砂糖はまだ大丈夫でしたよ……あなた?」
「ではこれと…これですね」
店に並べられていた野菜をまとめて購入すると、その荷物が入れられた袋を天一郎は代わりに持つ。
その姿は身長差もあってか、まるで姉の買い物に付き合う弟の様であった。まぁ、実際は彼の方が断然歳上なのだが。
「今更なんですが…なぜ私を買い物へ…?」
「それは勿論、私一人では荷物が持てませんから」
「はぁ…でしたら栗花落さ__」
「カナヲ」
「…カナヲさ__」
「カ・ナ・ヲ」
「………カナヲがいるでしょうに」
「分かっていませんね〜夫婦たるもの一緒の買い物は当たり前ですよ〜♪」
「へぇ!そういうことですか………え…今なんて言いました?」
そんな時であった。
「カァ〜!!」
一匹の鴉がカナエの肩に止まった。見ればその足には一枚の手紙が巻き付けられていた。
「あら?何かしら」
その手紙を解き広げてカナエは一読する。
すると、カナエの目の色が変わった。
「…ごめんなさい天一郎さん。すぐに戻りましょう」
「え…え!?え!?」
突然と雰囲気を一変させ、すぐさま天一郎の手を引いて蝶屋敷へと向かった。
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その後、蝶屋敷へと向かう中、カナエから手紙の内容を尋ねると、何でも音柱である宇髄天元が任務のために隊員であるアオイと、すみを連れて行こうとし、その際に炭治郎、伊之助、善逸が名乗りをあげて向かっていったそうだ。
「冗談じゃないわ…いくら宇髄さんだろうと“私としのぶと貴方”の妹を勝手に連れ出そうなんて…許せない…!!」
「ちょっと待ってください!!貴方!?えぇ!?」
天一郎の言葉に耳を傾ける事なくカナエはグングンと前へ進んでいく。
何よりもカナエは自身の妹同然であるアオイやなほを無断で連れて行こうとした事がどうしても許せないのだろう。
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それから蝶屋敷へと到着すると、丁度、会議から戻ってきたしのぶとも合流し、アオイから話を聞いた。
彼女によると、宇髄は遊郭にて自身の妻を潜入させており、鬼の動向を調べていた様だ。だが、少し前から定期連絡が途絶えために宇髄自身が向かう様になったらしい。
それは柱の間の情報網で皆と共有しており、しのぶ自身も事情は分かっていた。
ならばなぜ、アオイとなほを連れて行こうとしたのか?____
____それはまだ不明である。
「では本人に聞いてきましょうか?行きたくもないですが、前々からの合同任務も兼ねて…って___ぐぇ!?」
「「待ちなさい」」
立ち上がり、向かおうとした天一郎の首をカナエとしのぶが掴み戻した。
「な…何ですか急に…ひぃ!?」
天一郎が振り返るとそこには全身から紫色の毒々しいオーラを放つカナエとしのぶの姿があった。それはまるでその場所へ向かおうとしている事を必死に引き留めるかの様であった。
「な…何ですか!?」
「柱との合同任務…今回は見送りにしましょう」
「え?」
突然とカナエの言葉に天一郎はキョトンとしながら首を傾けるとカナエは説明した。
「場所が悪すぎるわ…いくら貴方でも…無事に帰ってこれる保証がない」
「貴方にはまだ早すぎるわ。もう少し自分の立場を考えて」
「花柱様…蟲柱様…」
カナエとしのぶの言葉に天一郎は理解した。
____今回の任務はそれ程までに危険であるという事を。
「そこまで私の事を…」
そして、それ程までに自身を気に掛けてくれたカナエとしのぶに感謝すると共に少しだけ胸が熱くなるのであった。
◇◇◇◇◇◇
それから天一郎は他の任務へと向かうべく、蝶屋敷を後にした。
その姿をカナエ達が見送る中、アオイはある疑問点をカナエに尋ねる。
「あのカナエ様…流石に天一郎さんなら大丈夫な気がするんですけど…」
アオイの恐る恐るの意見にカナエは首を横に振りながら答えた。
「確かにあの子は男の子…興味を持つのは分かるけど………
_______“はじめて”を私達と終えていない以上、あんな所には行かせる訳にはいかないわ!!」
「そっち!?」
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炭治郎達が遊郭に到着する1日前。
蝶屋敷から数十キロ以上も離れた場所にある色欲の街『遊郭』そこは夜になれば男と女が入り混じり、日本一の賑わいを見せる。
そんな遊郭の中でも、選りすぐりの遊女『花魁』と呼ばれる3人の女のうち、一人の女性が住まう屋敷『京極屋』では__。
頭に帽子を被り、ペイズリー柄のスーツに身を包んだ男『鬼舞辻無惨』と無惨に対して跪く女性の姿があった。
その女性はもちろん鬼だ。その上に、目にはそれぞれ『上弦』『ノ伍』と刻まれていた。
そんな彼女は無惨を恐れているのか額から大量の汗を流していた。
「おい堕姫。貴様、未だに選り好んで人を喰っているようだな」
「そ…それは…」
「美しい人間を食べ続けなければ美しくなれないからか?知った事か」
そう言い無惨の人差し指が女性の額へと突きつけられた。
「もう一度だけ言ってやる。これからは必死になった方がいいぞ…?童磨に続き猗窩座までもがあの隠に返り討ちにされた今…お前達二人の存在価値も見出せなくなってきているからな。今後は誰であろうと【食え】」
「…!!!」
その言葉のみ言い残すと無惨はその場に現れた襖の奥へと消えていった。
「く…」
その女性は頭の中に流れる天一郎の姿を思い浮かべると歯を食い縛る。
「あのガキ…絶対に殺してやるんだから…!!!」
天一郎情報その14→炭治郎や善逸達とは不思議な縁で繋がっている。