とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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将軍家は代々あっちの方は足軽だ


____by T.Sさん


その隠 恋なる柱と遭遇し里を歩く

 

 

炭治郎が里へと到着して3日目の明け方。陽光山にて鉱石を運んでいた天一郎達も無事に里へと到着した。

 

「着いた〜!」

 

天一郎が到着すると、それを聞きつけたのか鍛冶屋の1人『鉄穴森 鉄蔵』が現れた。

 

「これはこれは。また良い鉄ですね」

 

「ご無沙汰してます鉄穴森さん。早速ですが里長はいまどこに?」

 

「ご案内いたしますよ」

天一郎達を迎えた鉄穴森はすぐさま彼らを里長の元へと案内する。

 

 

そんな時であった。

 

「あ〜!!君がしのぶちゃんの言ってた隠の人かな!?」

 

「ん?」

突如として後ろから活気のある少女の声が聞こえ、それを耳にした天一郎が振り向くと、そこには長身の大柄な女性隊士が立っていた。

 

4つに束ねた美しい桜色の髪を三つ編みにしており、更に全身を包む隊服はカナヲと同じくスカート状であるが胸元はサイズが合わなかったためなのか、ボタンで止められず谷間を曝け出していた。

 

そんな独特な服装の彼女を天一郎は見た事があるのかすぐさま頭を下げた。

 

「これはこれは…お久しゅうございます。『恋柱』甘露寺蜜璃様」

 

そう。この破廉恥な格好をしている少女こそ鬼殺隊の柱が1人『恋柱』甘露寺蜜璃なのだ。その体格は一般の女性隊士どころか男性隊士よりも良く、天一郎の背丈など当然の様に超えていた。

 

因みにしのぶが毒の接種をやめ、体内の解毒をする際に大量の栄養を取らなければならない時に食事を提供したのも彼女である。(当然ながらしのぶは食べきれなかった)

 

 

天一郎は隠の仕事で何度かこの少女の事後処理を行っていた事があるため、初対面という訳ではなかったのだ。

 

一方で_。

 

「えぇ!?」

 

天一郎の言葉を耳にした甘露寺は何故か顔を真っ赤に染め上げると天一郎を抱き上げた。

 

「なにこの子!どこで会ったか分からないけど凄い礼儀正しくていい子じゃな〜い!!」

 

「あのすいません、下ろしてください」

 

抱き上げられた天一郎は慌てることなく彼女へと伝えるものの、甘露寺はその声が聞こえないのか天一郎を抱き上げたままクルクルと回り出した。

 

「ふわぁ〜!幾つだろう!私が19歳だから15か14くらいかなぁ!禰豆子ちゃんと同じで弟ができたみた〜い!!」

 

「…」

その言葉にそろそろ天一郎も自身の年上としてのプライドもズタズタとなってきたのか、自身を抱き上げる腕を掴む。

 

「すいませんが下ろしてください。あと、これでも23です、何度か会っております。桜餅ごちそうさまでした」

 

「えぇ年上!?それに会ってたの!?ごごご…ごめんなさい…」

 

天一郎の告白に甘露寺はそこまで意外であった為か、慌ててすぐに下ろした。

 

「恋柱様はなぜここに?」

 

「刀の新調に来たの。私の刀って特殊だから定期的に見てもらわないといけないんだ」

 

「なるほど…」

甘露寺が自身の鞘を見せると天一郎は頷く。因みに鬼殺隊の武器は刀が主流だが、柱達の武器は刀とは異なっているものが多い。例えば天元は鎖で繋がれた二振りの剣、それは中国の武器であるヌンチャクを模しているものである。もう1人は悲鳴嶼と言う岩柱でありその武器は刀ではなく、鎖で繋がれた片手斧と鉄球である。

彼女の武器もまた、特殊な刀であり、極限まで技術を磨き上げた名工にしか作れぬ代物である。

 

「上坂殿、そろそろ」

 

「あ、そうでした」

 

鉄穴森の声に天一郎は里長の元へと向かうことを思い出し、甘露寺へと頭を下げた。

 

「ではこれで失礼します。また何処かで」

 

「うん!いつでも皆で桜餅食べに来てね〜!!」

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

その後 甘露寺と別れ、鉄珍から署名をもらった天一郎は鉱石を運んだ隠の皆と明日の明け方まで休憩することとなった。休憩を受け取った天一郎はそれまで暇つぶしに天一郎は森の中を歩くことに決める。

 

 

すると

 

「炭治郎さん!もっとちゃんと見てください!!明日は人形に刀持たせますからね!」

 

「ひぇ〜!!」

森の奥から何やら子供の声と炭治郎の声が聞こえてきた。その声に首を傾げた天一郎がその場へと向かうと、そこには5本の腕を持つ人形と対峙する炭治郎と、背が低い少年の姿があった。

 

「何ですかこれ?」

 

「ん?あ、貴方は隠の人ですか」

 

天一郎が徐に尋ねてみると、少年は頭を下げながら答えた。

 

「あれは僕の祖先が作ったカラクリで、『緑壱零式』というものです」

 

「へぇ…」

 

カラクリの名前を聞いた天一郎はよくよく見つめると、やはり気になるのか5本の腕について尋ねた。

 

「なぜ5本も?付け根がある限り元は6本あったと見れますが」

 

「なんでも、あのカラクリの元になった人物がいたらしく、その人物の動きは腕が6本ないと再現できなかったらしいです。……まぁ、一本は柱のクソガキに折られてしまいましたが」

 

「柱って…恋柱様ですか?」

 

「違います!!霞柱の方です!!!」

 

そう言い小鉄は声を荒げる。彼の言う霞柱とは『時透無一郎』という少年であり、刀を握って2ヶ月で柱に登り詰めた天才である。天一郎も何度か会った事はあるが、その雰囲気は霞の様にぼーっとしており、どんな時でも無表情であった。

 

「なるほど…あの人も来てるんですね…」

 

すると

 

「わぁ!?」

 

人形に負けた炭治郎が此方へと吹き飛ばされ地面へと倒れた。

 

「いつつ…」

 

「大丈夫ですか?炭治郎くん」

 

「天一郎さん!!」

 

倒れている炭治郎へと腰を曲げながら天一郎が声をかけると、炭治郎はパッと顔を上げた。

 

「何故ここに!?」

 

「陽光山からの鉱石を届けに来たんですよ。まぁ、明日の朝には残ったものをもう一度取りにいきますけどね」

 

「た…大変ですね…」

 

「その言葉、そのままバットで撃ち返してあげますよ」

 

すると

 

「ほら炭治郎さん!!休んでる暇なんかありませんよ!!」

 

「はぃぃ!!」

 

小鉄の声があがると、炭治郎はすぐさま立ち上がり再びカラクリと対峙するのであった。

 

「だ…大丈夫なんですか!?」

 

その訓練の過酷さに天一郎は冷や汗を流しながら鼻息を荒くさせる小鉄へと尋ねるも、彼は胸を張り何ともないかの様に答える。

 

「ふん!!なにせ炭治郎さんにはあのチビで無口で生意気で変な癖ついてる長髪クソガキを見返して足蹴にしてもらう事を託してるんです!絶対に超えていただかないと!!」

 

「ちょっと小鉄さぁぁぁん!?前よりも悪口が酷く……ぎゃぁあああ!!!」

 

そして カラクリの持つ棒が炭治郎の身体を叩き、彼の悲鳴がその場に響くのであった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

それから翌日のまだ日の出前。天一郎達 隠は刀鍛冶の里を出立した。因みに鬼の追跡等で目立つため、数時間おきに1人ずつ里から出ていき、後に合流する様な形となっている。

 

そして、その日の夕方に再び陽光山へと戻ると、すぐさま残りの鉱石と新しく採掘された鉱石を運び出した。

 

「よぉ〜し!では最後ですから頑張っていきましょ〜!!」

 

「「「お〜!!!」」」

 

その後 天一郎達は再び2日ほど時間を掛けて刀鍛冶の里へと向かうのであった。

 

「ねぇねぇ天一郎さ〜ん。里にもし不審者が迷い込んだらどうするんですか?」

 

「ん?そうですね〜記憶を消すことができないので…迷い込んだ人だったらただの鍛冶屋の里と言いますけども…鉱石とか刀狙いの輩だったら逃した場合…情報を漏らす可能性がありますからね」

 

荷車を引く中、天一郎や後藤と長く交流がある大柄な女の隠が尋ねると、天一郎は表情を変えることなく答えた。

 

「問答無用で殺します」

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

2日が経過した夜__。

 

静まり返った里の中で、温泉の帰り道を1人の鍛冶屋が歩いていた。

 

「いやぁ〜温まった〜さて、さっさと戻って作業の続きでもしますか」

 

鼻歌をしながら陽気に歩いていると、その鍛冶屋はふと脚を止めた。

 

「…ん?」

 

見ると階段の脇に一つの大きな壺が置かれていた。その模様は独特なものであり、里でも見たことがない工芸品であった。

 

「なんだろこの壺…」

 

その奇妙な柄に興味を持った鍛冶屋はゆっくりと覗き込んだ。

 

 

 

 

その瞬間

 

 

______突如として中から巨大な手が現れ、鍛冶屋を飲み込んだ。

 

悲鳴一つあげることもできず、鍛冶屋が取り込まれた直後に周囲には肉や骨を砕く音が響き渡る。

 

 

そして 壺が1人でに動き出し、その口を側面に向けると、赤い液体と共に鍛冶屋の身体を吐き出した。

吐き出された鍛冶屋の身体は原型がない程まで歪められており、身体の肉が抜き取られているのか、所々が萎んでいた。

 

すると

 

「ペッペッ…不味い不味い…やはり刀鍛冶の肉など食えたものではないわ〜!!」

 

その光景に唾を吐き捨てながらゆっくりと壺の中から何者かが姿を現した。

 

「だが、それもまた良い…!!ここを潰せば鬼狩り共へ大打撃を与えられるだろう…!!」

 

その姿は人ではない。そして一介の鬼とも大きくかけ離れていた。

 

その鬼の名は____

 

_____上弦ノ肆『玉壺』

 

 

 

 

 

それだけではない。

 

鬼殺隊の皆が休む屋敷の屋根にも忍び寄る異形な者の姿があった。

 

 

____上弦ノ参『半天狗』

秘匿とされていた里で今、100年以上を生きる歴戦の鬼達が暴れようとしていた。

 

 




天一郎情報その18→隠として長く働いているため、多くの隊士と会っており、柱に関しては全員と面識がある。
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