とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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あっはっは!見ろ人がゴミのようだ!!__


_____by MSK


その隠 次元の差を見せる

 

『半天狗』

 

上弦ノ参として無惨に仕え、現在の鬼の中で四番目の実力を持つ鬼である。上弦ノ弍である猗窩座は肉弾戦、玉壺は壺を用いた血鬼術と言った様に、上弦はそれぞれ固有な戦闘方法を持っている。中でも半天狗の戦法は特に厄介なものである。

 

それは『分身』

半天狗は自身の首が斬られると元の身体よりも更に若々しい肉体を持った鬼を生成することが出来るのだ。更にその分身体の性格は怒りやすい感情を持った鬼や喜びやすい感情を持った鬼など、喜怒哀楽に由来している。

 

 

現在 炭治郎達が対峙しているのは喜怒哀楽のうち、常に眉間に皺を寄せている怒りの鬼『積怒』

 

炭治郎と無一郎、禰豆子が休んでいる中、突如として部屋の中へと気配を殺しながら侵入してきた半天狗の首を無一郎が斬り飛ばした際に出現した鬼であり、常に怒りに満ちているその悍ましい表情とは別に常に沈着冷静で他の3体の鬼に的確な指示を与えながら炭治郎達を追い詰めていた。

 

 

そして 屋敷が破壊されて炭治郎は体力の消耗に加えて鬼化した禰豆子は瓦礫の下敷き、そして同じく駆けつけた不死川玄弥は4体目の鬼『哀絶』の槍によって木に磔にされ、無一郎は快楽に満ちた鬼『可楽』の扇子に生み出された暴風によって遠方へと飛ばされて退場。炭治郎達は窮地へと立たされた。

 

 

だが、その時であった。

 

 

ドガシャァァァァァンッ!!!!!

 

 

 

突如として空中から何かが飛来しながら瓦礫の海へと音を立てながら落下した。

 

「何じゃいきなり!?……この気配は…」

 

驚いた積怒は即座に自身の近くに落下してきた物体へと目を向けた。そこに転がっていたのは自身らの本体と共に侵入していた上弦ノ肆『玉壺』であった。

 

「貴様は玉壺…!なぜここに…!?」

 

「は…半天狗殿ぉおお!!」

 

するとその声に玉壺は目を覚まし目元から大量の涙を流しながら半天狗にしがみついた。

 

「よがっだぁあ!!!だずげでくだざれぇえ!!!」

 

「ええい寄るな鬱陶しいッ!!!」

 

しがみついてきた玉壺を積怒は脚で引き剥がそうとする。

 

 

そんな光景を目にしていた炭治郎の表情は更に焦り始めた。

 

「な…(上弦ノ肆!?里にもう一体潜んでいたのか…まずい…玄弥も禰豆子も動けないし時透君もいない今…俺一人だけじゃ厳しい…!!どうすれば…)」

 

突如として上空から鬼が降ってきた事に炭治郎は驚き、思わず目を背けてしまう。

 

すると

 

「あれ?炭治郎くんじゃないですか!どうしましたその傷!?」

 

「この声は…!!!」

 

近くから足音が聞こえ、炭治郎は振り返るとそこには上半身の隊服が吹き飛ばされ、やや細身ながらも筋肉が敷き詰められた強靭な肉体や痛々しい素顔を曝け出しながら歩いてくる天一郎の姿があった。

 

「天一郎さん…!ってことは…これもまさか…」

 

「あぁその着ぐるみ着てる人、刀鍛冶を5人も殺したらしいので半殺しにした所です」

 

「ひょえぇぇえ…」

「ム〜!!」

炭治郎は何度も天一郎の強さを間近で目にしているために特に驚く事はなかったものの、やはりその常識から外れた強さに感嘆の声を漏らし、その傍らで瓦礫の下敷きになっていた禰豆子は彼の強さに魅了されたのか、目をキラキラとさせていた。

 

 

一方で、天一郎は瓦礫に埋まっている禰豆子に気づき、大慌てで駆け寄った。

 

「わぁ!?禰豆子さん大丈夫ですか!?待っててください!すぐ出してあげますから…ネッ!!!」

 

そう言い天一郎はすぐさま禰豆子へとのしかかっていた瓦礫を一瞬にしてひっくり返した。それによって禰 豆子は救出され自由の身となり天一郎へと目を輝かせる。

 

「大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?」

 

「ム〜!!」

 

天一郎に助けられた禰豆子は目をキラキラとさせながら頷いた。その一方で、禰豆子の傍らにいた炭治郎は瓦礫さえもひっくり返す天一郎の腕力に驚いていたのか、目を点にしながら茫然としていた。

 

 

「さてと…怪我人は救出した事だし…」

 

禰豆子を救出した天一郎はゆっくりと立ち上がる

 

「炭治郎くん達の治療の前に…さっきの着ぐるみ野郎を縛り上げますか」

 

その言葉を耳にした炭治郎はすぐさま調子を取り戻すと、自身らが対峙していた鬼の存在も知らせた。

 

「天一郎さん!奴の他にも4体の__」

 

「分かってますよ。でもその前に…」

 

「!?」

 

その瞬間 炭治郎の全身が氷のように凍てついた。目の前に立っている天一郎の表情がいつも様な穏やかな雰囲気が完全に失われていたのだ。

 

鋭い目で猛獣の如く歯を剥き出しにしながら玉壺を睨むその姿はまるで獲物を見据えたヒグマの様であった。

 

 

「_____あの着ぐるみ野郎をやらねぇと気が済まねぇ…ッ!!!」

 

 

天一郎が見せた感情 それは_____【怒り】

 

親しい刀鍛冶を殺された上に気味の悪いオブジェにされてしまった事で天一郎の心の奥底に眠っていた感情が理性という鎖の破壊によって溢れ出してしまったのだ。

 

その姿からは以前の沈着冷静な雰囲気は完全に失われており全身から発せられる威圧感や殺気が比べものにならぬ程にまで上がっていた。

 

 

「さて…」

 

天一郎は、その殺気を振り撒きながらゆっくりと玉壺へと向かっていった。

 

「まだくたばるなよ…?貴方が殺した5人のうち…3人とは交流があったので酷くイラついてるんだ。…取り敢えず貴方の骨を木っ端微塵にし身体を使い古した雑巾の如くボロボロにするまで許さねぇぞ」

 

 

「ひぃいい!!!」

 

天一郎から向けられたその目に玉壺は悲鳴をあげると、すぐさま近くに立っている積怒の足へとしがみついた。

 

「半天狗殿!!お力を!!どうかお力添えを!奴には私の血鬼術がなぜか効かないのでございます!!」

 

「えぇい鬱陶しい!!可楽!!空喜!!今すぐ奴を打ち取れ!!」

 

玉壺を足蹴にし苛立ちながらも積怒はその場にいたテンションが高い鬼『可楽』と同じくテンションが高く、空を飛んでいる『空喜』へと叫んだ。

 

「言われなくともそのつもりじゃわいのぅ!!」

 

積怒の指示を引き受けた2体のうち、空喜は楽しそうに空へと飛び上がり、可楽は駆け出した。

 

 

その際に積怒は杖で地面を叩く。

 

 

 

___シャンシャン

 

 

その場へと響く鈴の音。その音と共に目の前に立っていた天一郎へ轟音と共に蒼い雷が襲った。

 

「ぐぉ…!?」

 

その雷の直撃を受けた天一郎は思わず声を漏らしながらその場で停止してしまう。

彼の動きを止めた事で完全に隙を作った積怒は二人へと指示を出す。

 

「今じゃやれ!!確実に仕留めろ!!」

 

その言葉に2体の分身体は飛び出していった。

 

「ヒャッハァァ!!心が躍るのぉ!!主と生身でやりあえる日が来ようとは!!」

 

駆け出した可楽は雄叫びを上げると、その鍛え上げられた右腕を天一郎へと放った。

 

 

「楽しませてくれよぉおお上坂天一郎ォォオオオオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

 

 

「何だその拳は?」

 

「おろ…?」

 

可楽の身体がその場から地面へと滑り込むようにして崩れ落ちた。突如として視線が下へと下り、気づけば地面にたおれていた可楽は何があったのか認識できず自身を横切っていった天一郎へと目を向ける。

 

「何じゃ…?何をしたんじゃ…?いや…動けたのか!?積怒の雷に当てられておるというのに!?」

 

「合気道ですけど……え?これですか?」

 

可楽が驚く一方で、落雷に身を焼かれているにも関わらず立ち上がっていた天一郎は全身を見渡す。

 

「あ〜これ気持ち良いですよね。戦争の帰りに知り合いの治療所で受けた針治療を思い出します」

 

 

 

「な…」

 

「えぇ!?」

 

「ムゥ〜!?」

 

その言葉に積怒、炭治郎、禰豆子は共に硬まってしまい

 

「なんじゃとぉおおおおおお!?」

 

「「えええええええ!?(むぅぅ〜!?)」」

 

ほぼ同時に驚きの叫び声を上げてしまう。

 

「ふざけるな…!!儂の雷をその身に受けて無事な筈が…!!」

 

「いや、ちょっと強いけど結構良い感じですよ」

 

「くっ…!!可楽!!」

 

天一郎の言葉に積怒は歯を噛み締め、更に眉間に皺を寄せると可楽と空喜へと叫ぶ。

 

すると それに応えるかのように天一郎によって地面に投げ捨てられた可楽は彼から後退する。

 

「みくびって悪かったのぅ。こっからは本気で行かせてもらうわい…!!」

 

そう言い可楽は一枚の巨大な葉っぱを取り出した。それはまるで御伽話に出てくる長い鼻を持つ妖怪『天狗』の持つ扇子であり独特な形をしていた。

 

「あれ?仰いでくれるんですか?」

 

「おぅ仰いでやるわいのぅ。首が捻り切れるくらいに…!!!」

 

 

そう答えながら可楽は飛び上がると天一郎目掛けて扇子を振り回した。

 

 

その瞬間 天一郎の立っていた場所を中心に巨大な暴風が吹き荒れ、周囲の木材を次々と吹き飛ばしていった。

 

 

「ヒャッヒャッヒャッ!どうじゃ?風圧で潰れたか!?」

 

砂煙が舞う中 地面へと着地した可楽はその場を見つめた。

 

 

可楽の持つ武器の起こす風はまさに突風に等しく、軽く振っただけで無一郎の身体を遠くへと飛ばし、更に強く振るえば強靭な家屋でさえも一瞬にして倒壊させてしまう。

 

それ程の威力の風を本気かつ真正面から受ければ間違いなく風圧に押し潰され身体の骨は砕けるだろう。

 

 

そんな中であった。

 

「避けろ可楽!!!」

 

「んあ?なぜじゃ?」

 

突如として積怒が叫び出す。その声を耳にした可楽は理由を尋ねようと彼の方へと目を向けた。

 

 

その時であった。

 

 

巻き上がる煙の中から黒い影が可楽へと迫ると同時に手が飛び出し、可楽の顔を掴み上げた。

 

「ふがぁ!?」

 

「随分と面白い事してくれるじゃないですか。えぇ?」

 

煙が晴れ、姿が顕になるとそこには全身に傷を負いながらも平然と立つ天一郎の姿があった。

 

「風如きで私を殺せると思っているのか?悪天候なんて軍事訓練で慣れっこなんだよ…ッ!!!」

 

「おいおい幾ら何でもおかしいわいのぅ…!?」

 

 

可楽が捕まった中、積怒は即座に空中を飛んでいる空喜へと指示を出す。

 

「空喜!やれ!!」

 

「カァーカッカッカ!!よいぞぉ!!」

 

積怒から指示を受けた空喜は滑空すると、天一郎目掛けて急降下しその鋭い鉤爪の生える足を向け振り回した。

 

 

「金剛石をも砕く俺の鉤爪じゃ!!とくと味わうが___」

 

「邪魔ッ!!!!」

 

「ガハァ!?」

 

その瞬間 天一郎は右手で掴んでいた可楽の身体を空から向かってくる空喜へ目掛けて投げつけた。

 

それによって空喜はバランスを崩して可楽と共に地面へと落下していった。

 

 

「くぅ…!!」

 

それを見た積怒は更に眉間に皺を寄せると、飛び出し、背後から攻撃を仕掛ける様にして天一郎の背中へ目掛けて錫杖の先端を突き刺した。

 

「最後は貴方ですか」

 

対する天一郎はそれを察知していたかの様に避けると、積怒に目掛けて拳を放つ。

 

「くっ!?」

 

向かってくる拳を積怒は咄嗟に首を逸らす形で避けると、突き刺した錫杖を引き、更に天一郎目掛けて放った。

 

「腹立たしい腹立たしい…!!なぜ人間如きがこれ程の力を…ッ!!」

 

「…速いですね。棒術の達人か」

 

積怒が次々と棒を放つ中、それを紙一重で次々と避けていった天一郎は迫り来る数々の棒の中、その内の一本へと目を向ける。

 

「ですが、腕力が強い人に掴まれればその使用権を奪われるのをお忘れなく」

 

その言葉と共に積怒の錫杖を両腕で掴み積怒の連続突きを止めた。

 

「なに…!?」

 

「あと背後からの攻撃が……」

 

「うぉ!?」

 

そしてそのまま両腕で掴んだ錫杖を持ち上げると_____

 

 

「バレバレなんだよぉおおお!!!!!」

 

「「ガハァ!?」」

 

___積怒もろとも振り回し、背後から攻撃を仕掛けようとしていた空喜に目掛けて投げつけた。

 

「あと貴方もッ!!!」

 

「ガハァ!何故じゃ…!?」

 

更に背後から迫っていた可楽へは目を向ける事なく脚を振り回し回し蹴りを放つ形で吹き飛ばした。

 

空へと打ち出された積怒と空喜は地面へ落下し、蹴り飛ばされた可楽もその場に大の字となって倒れていった。

 

 

天一郎の周囲には炭治郎、禰豆子、玄弥の3人を追い詰めた4体のうち、3体の鬼が転がる形となったのであった。

 

「す…凄い…」

 

「ム〜…」

 

 

そんな中であった。

 

3人を圧倒した天一郎の目が炭治郎のすぐそばまで迫っていた玉壺ヘと向けられた。

 

 

「さぁ次はテメェだぁ…!!」

 

「ヒェ!?」

 

目を向けられた事で炭治郎へと不意打ちを仕掛けようとした玉壺は悲鳴をあげた。

 

「炭治郎くんや禰豆子さんを巻き込んだりしてみろ…?すれば貴様の全身の皮を剥がし硫酸に漬け込んでくれるわッ!!!」

 

「ぎゃぁああああ!!!」

 

その怒鳴り声に玉壺はすぐさま炭治郎から離れた。

 

そして天一郎はゆっくりと炭治郎から離れた玉壺へと歩いて向かっていく」

 

「ひぃ…!!!」

 

一歩__また一歩__。その一歩が進むたびに玉壺の身体が触れる頻度が増していき、額から零れ落ちる汗の量も増していった。

 

 

どうする?どうする?どうすればいい?どうしたらいい!?どうする!?どうしたらいい!?どうすればいい!?どうしたらいい!?どうすればいい!?

 

度重なる死への恐怖と彼への恐怖が混濁し彼の思考力を抜け落ちさせていった。

 

血鬼術も肉弾戦も通じない。もう玉壺は次の作戦を思い浮かべる事ができなかった。故に_____

 

 

「こうなったら………こうなったらもうヤケクソだぁああああああ!!!!」

 

 

___自らの命を捨てる覚悟で天一郎への特攻を決める。

 

 

「うわぁあああああああああ!!!!!」

 

その叫びと共に玉壺は剛腕を振り回しながら天一郎へと向かっていった。

 

その技は回転の遠心力によって連打に勝る手数と素早さを誇る連打を生み出す古より伝わりし秘儀____

 

 

_______『ぐるぐるパンチ』である。

 

 

数百年前もの人間時代の頃から忘れていた涙を流しながら玉壺は向かっていく。

 

全てを投げ出していくかのように。

 

 

向かってくる玉壺に対して天一郎は静かに脚を振り上げると__

 

「見苦しいわッ!!!!」

 

「ゴハァ…」

 

その玉壺の頭上へと振り下ろした。それによって玉壺の身体も半天狗の分身達と同じ様に地面へと倒れたのであった。

 

 

 




天一郎情報その14→怒れば言葉が荒くなり手がつけられなくなる。
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