とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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自分の失敗を人のせいにするな! たとえ原因が他にあろうと、最後に決断したのは自分だろう!いつまでも甘えてるんじゃない!

_____by 某公園前派出所 O部長


その隠 激戦を繰り広げる

 

 

「やってみろ極悪人めが…!!!」

 

 

____ドンドンドンドンドン

 

憎伯天の手が残像を残す程まで動き、次々と周囲に太鼓の音を鳴り響かせた。

 

その瞬間___

 

 

 

 

_____周囲から先程の倍以上の数の石竜子が現れた。

 

 

「ぎゃぁあああああ!!!無理無理無理!この量むりぃぃぃ!!!!」

 

「ぎょええええええ!!!憎伯天貴様ぁあああ!!!力を使いすぎじゃあああ!!!」

 

 

甘露寺と木の中に包み込まれた半天狗の叫び声が響く中、大量の石竜子を出現させた憎伯天は全て天一郎へと向けた。

 

「消えよ」

 

「また妖術ですか。そんなもの…ッ!!!」

 

天一郎は両手を広げ、呼吸を整えながら額へと拳を握り締め構えると迫り来る石竜子に向けて振るった。

 

「オラァッ!!!」

 

1発で目の前に迫り来る数体の石竜子を木っ端微塵に消し飛ばした。

 

「ほぅ?やりおるな。じゃがまだ10体残っておるぞ?どうする」

 

「関係ねぇ…ッ!!!」

 

天一郎はその場からクラウチングスタートの体制を取ると一気に加速させるかのように駆け出した。

 

その際に甘露寺のスカート状の隊服が舞い上がり、褌を炭治郎に見られてしまったのはまた別の話である。

 

「オララララ !!!」

 

駆け出した天一郎は次々と拳を放ち、向かってくる石竜子を撃破していった。

 

「ならば…!!!」

 

ドン___。

 

憎伯天の太鼓が鳴り響く音と共に天一郎の背後へと迫っていた石竜子の口が開けられた。

 

『狂圧鳴_____

 

その瞬間

 

 

「オラァ!!!」

 

「なに!?」

 

まるでその血鬼術を察知していたかのように天一郎の拳が背後へと迫っていた石竜子へと放たれ、技を発動する前に破壊された。

 

「くっ…狂圧鳴波の振動で内部から破壊してやろうと思っていたが…全て繰り出す前に破壊するとは…鬱陶しい小蝿めが…!!」 

 

次々と石竜子達を撃破していく様子に憎伯天は痺れを切らすと、その場から天一郎の目の前へと降り立つ。

 

「ならば儂が直々に消してやる…!!」

 

「幻術使いが素手ですか。手は抜きませんよ」

 

 

対峙した両者は互いに睨み合う。

 

 

そして

 

「消えよッ!!!」

 

「…ッ!!」

 

 

二人の拳がぶつかると同時に周囲の空気が振動し、巨大な衝撃波と共に木々が揺れていった。

 

「ひょぇぇええ!!上弦と素手で!?あ…あの子あんなに強かったの〜!?」

 

「は…はい…上弦ノ弍の本気の技を受けてもちょっと傷を負っただけでした…」

 

「し…しゅごぉい…」

 

甘露寺は炭治郎から天一郎の事について聞くと口をあぐあぐとさせてしまう。

 

その一方で、拳をぶつけた憎伯天と天一郎は互いに一度離れると、その場から次々と拳をぶつけ合っていった。

 

「ヌン…!!」

 

「甘い!」

 

「砕けよ…!!」

 

「なんの!」

 

二人は周囲の木々を足場にしながら飛び回り、何度も何度も空中で衝突していく。それによって森全体に二人の拳がぶつかり合う音が鳴り響いていった。

 

 

天一郎は勿論、本気ではないが、その動きは確実に人智を超えており鬼である憎伯天に追いつくどころか、寧ろ切り離していた。

 

だが、憎伯天も負けてなどいない。拳をぶつけ合う度に憎伯天も力を増しているのか段々と天一郎の動きに付いていけるようになっており、速度を増していった。

 

勿論だが

それによって半天狗の本体の力はめっっっちゃくちゃ減っていった。

 

「うぎゃぁあああ…!!力を使い過ぎじゃぁ!!」

 

「つぅ事ぁ今が好機だなぁ!!」

 

「ひぃいいいい!!!」

 

木の中で苦しんでいた半天狗の本体へと、好機と見た玄弥が接近し、本体を包む木をへし折ろうと握る。

 

「させぬぞ」

だが、憎伯天がそれを見逃さなかった。

 

「ヌン…!!」

 

___ドン

 

 

その場に太鼓の音が鳴ると、まるで逃げ出すかのように本体を包み込んだ木が森の中を移動し始めた。

 

「弱き者を狙うなど悪行極まりない…!!」

 

「その弱き者から力を根こそぎ奪おうとしてるんじゃぞ貴様はぁ!!いい加減自重せんかぁ!?」

 

「黙っていろクソチビが。あっちへ行っていろ」

 

憎伯天がそう吐き捨てると、木は進む速度をさらに上げていった。

 

 

そしてそれを見た玄弥と禰豆子は目の色を変えると追いかけていく。

 

「な…!待ちやがれぇえ!!」

 

「む〜!!!」

 

「玄弥!禰豆子!俺もいく!!天一郎さん!ここはお願いします!」

 

「鬼が出たんですか!?でしたらこの迷惑妖術使いは私にお任せを!」

 

玄弥が木の後を追うと、それに続くかのように禰豆子と炭治郎そして甘露寺も駆け出していった。

 

 

 

 

それを天一郎は憎伯天の拳を捌きながら見送ると再び彼へと目を向け、再び彼と次々と拳を衝突させていった。

 

「前に戦った猗窩座とかいう化け物は多少は武道の心得があったのか知りませんが、少し癖のある動きでした。でも貴方の拳はとても単純…やはり素人ですね」

 

「黙りゃあッ!!!」

 

殴り合う中、天一郎の言葉に憎伯天は額に筋を湧き上がらせると拳を振るった。

 

「よっ」

 

その拳を天一郎は避けると、空中で弧を描きながら回転し着地し憎伯天へと鋭い目を向ける。

 

「おしまいですか?」

 

「否…!!!」

 

 

ドン___!!

 

天一郎の言葉に拒否の意を示すと再び憎伯天の太鼓の音が鳴り響く。

 

すると、先程よりも少ないながらも5体の石竜子が首を唸らなせながら地中から姿を現した。

 

「ま〜たその妖術ですか?」

 

新たに現れた石竜子を見た天一郎は再び破壊しようと拳を構えるが、その直後に憎伯天が目の前に迫り拳を放つ。

 

「今度は儂も動くぞ」

 

「成る程。動きながら妖術か」

 

寸前にその拳を受け止めていた天一郎は片方の手を握り締めると再び憎伯天へ向けて拳を放とうとした。

 

 

 

 

その時であった。

 

 

 

『狂圧鳴波』___!!!!

 

 

「え____」

 

突然と上空から人体を崩壊させる程の超音波が放たれ天一郎を襲った。

 

「が…!!!」

 

その音を耳にした天一郎は頭の中に響く巨大な金切り声と振動によって脳が揺れ、その場で硬直すると同時に姿勢を崩しよろけてしまう。

 

「がぁ…!!あ…頭が…!!!」

 

「ふん。外郭は硬くとも内部は脆いものよ」

 

「!?」

 

咄嗟に天一郎が憎伯天へと目を向ける。その彼の背後には首を高く持ち上げ、周囲一帯を見渡せる位置にまで達している石竜子の姿があった。

 

「儂に気を取られすぎて真下に放たれた攻撃に気づかなかった様だな。いくら反応が良くともやはり人間…音速には勝てぬか」

 

その言葉が言い終わると同時に憎伯天の姿が消えて、一瞬にして天一郎へと迫るとその顔面へと向けて拳が放たれた。

 

「おっと!?」

 

その拳を咄嗟に天一郎は慌てながら回避する。だが、その動きは先程よりも不正確であり構えもカウンターも取れぬ素人の様な動きであった。

 

「先程よりも遅い反応…速度が落ちておるか」

 

その動きに憎伯天は確実に弱体化させたことを悟ると次々と拳を放っていく。

 

「ひぃ!?ふぅ!?ほほぅ!?あ〜頭がクラクラ…うわぁ!?」

 

だが、その拳の練撃は全て避けられており、今度は残りの石竜子達全てを天一郎へと向ける。

 

「ふん…!!」

 

「おわぁ!?ひやぁ!?ほほい!?」

 

やはり全て避けられていた。弱体化させたにも関わらず攻撃を当てられない事に痺れを切らした憎伯天は太鼓を鳴らす。

 

 

___ドン。

 

「腹立たしい…!!ならばもう一度当てるのみよ…!!」

 

すると その太鼓の音と共に周囲の石竜子達が首を持ち上げ、再び高い場所から此方に向けて口内を開く。

 

「…!!」

 

それを見た天一郎は咄嗟に避けようとするが憎伯天が妨害するかの様に目の前に立ち、天一郎へと拳や蹴りを放つ。

 

「逃がさぬぞ…!!」

 

「ち!?ちょっと!!あんな超音波もう一度食らったら流石に鼓膜が…!!!」

 

憎伯天によって逃げ道を断たれた天一郎は初めて汗を流し焦り始める。その様子に憎伯天はようやく彼を追い詰める手法を見つけたのか思わず笑みを浮かべ、そのまま自身もろとも超音波の餌食にするべく彼を止まらせていく。

 

 

 

そして 

 

 

 

 

_____遂に石竜子の開けられた口から超音波が放たれようとした。

 

 

「ぎぃやああああ!!!うるさいのやだ!!さっきのキーンってするやつやだぁぁ!!!!」

 

「終わりだ。童」

 

天一郎の反応から憎伯天は勝利を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

【恋の呼吸】[参ノ型 恋猫しぐれ]__ッ!!!

 

 

突如として周囲に不規則な斬撃が放たれ、周囲の石竜子達全てが粉々に切り崩された。

 

「なぬ!?」

 

勝利を確信していた憎伯天は歪めていた頬を一瞬にして下げ驚愕の表情を浮かべる一方で、石竜子達を切り刻んだ正体は天一郎のすぐそばまで降り立つと、彼の身体を抱き抱えながら後退した。

 

 

「大丈夫!?」

 

「そ…その声は…!!」

 

救出された天一郎は自身へと掛けられた声に聞き覚えがあるのか、すぐさま見上げ、その顔を見ると驚きの表情を浮かべる。

 

「恋柱様…!?」

 

そこにいたのは炭治郎達と共に半天狗の本体を追って行った恋柱『甘露寺蜜璃』であった。

 

「な…なぜここに…!?鬼が現れたと言うのに!!」

 

鬼を追って行った彼女が戻ってきた事に天一郎は驚きを隠さず思わず尋ねてしまう。それに対して甘露寺は自身の日輪刀を構えながら彼を庇う様にして前に立った。

 

「ご…ごめんなさい!やっぱり貴方一人にはできなかったから戻ってきちゃった…!」

 

「だからと言って!!鬼殺隊の柱ともあろう御方が一般人に!!」

 

「えぇ!?あれのどこがいっぱ____んん。暴漢の対処も役目の一つだよ!!」

 

天一郎の言葉を軽くいなした甘露寺が彼を守る様に前に立つとそれを見た憎伯天はようやく天一郎を追い詰めたと言うのに邪魔された事によって不快感を露わにしたかの様に眉間に皺を寄せる。

 

「おのれ小娘がぁ…ッ!!!」

 

「ひぃいい…!!やっぱ怖いぃぃ…で…でもやらないと!!」

 

憎伯天の様子に甘露寺は怯えながらも立ちすくむ事なく、ゆっくりと立ちがろうとする天一郎へと目を向ける。

 

「木の化物は私が何とかするから貴方はちびっ子をお願い!!炭治郎くん達が鬼を倒すまで二人で何とか持ち堪えるよ!!!」

 

「う〜ん……分かりました…ではしばしお手を拝借します…」

 

その言葉に天一郎は不本意ながらも頷き拳を構えたのであった。

 

 

 

だが、それでも天一郎は葛藤していた。

 

「(う〜ん…ただの妖術使い相手に柱の手を借りるのはやっぱりどうかな…)」

 

彼女は鬼殺隊であり、たとえ妖術使いであろうとも一般人に手を出せば確実に処分が降ってしまう。自身の不始末によって彼女に処分が降る事は天一郎にとって誠に不本意なものであった。

 

何としてでも彼女への処分は避けなければならない。故に天一郎は覚悟を決める。

 

「仕方がない。相手には悪いですが…」

 

「え?どうしたの?」

 

 

突然と喋り出した天一郎に甘露寺は首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

 

 

_______天一郎を中心に周囲の空気の色や流れが変わった。

 

その空気の流れを敏感に感じ取っていた憎伯天と甘露寺は驚きのあまり身を硬直させてしまい、そんな中で空気を自身へと集中させていた天一郎は呼吸を整えるとゆっくりと構える。

 

「ほんの数秒…本気で行かせてもらいます…」

 

 

 




天一郎情報その?→本気を出すととんでもない事になる。
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