とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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人間やっぱり楽して儲けようとかそういうこと考えちゃいけねーな 汗水たらして稼いだ金は自然と身から離れねーもんなんだ

_____by MDO


その隠 炭治郎を見送る

 

その後 上弦の鬼達が討伐された事で里は救われた。刀を勝手に持ち出した事で研いでいた鋼塚の怒りを買うものの、その場は収まり、炭治郎達は倒れるようにして眠ってしまったようだ。

 

 

そんな彼らが休む一方で、里の皆は準備を始める。

 

復興?否、場所の移動だ。一度鬼にバレてしまった場所はまた襲われる危険性があるために1匹でも鬼が侵入すれば場所を移動する決まりとなっていたのだ。

 

そしてその場所は鬼殺隊において、最も信用されている数名の隠と里の近辺を担当する隠にのみ伝えられる。因みに天一郎もその一人であった。

 

「よいしょっと…これで全部ですね」

 

「ちょっと上坂殿ぉおお!貴方も休んでくだされ!!」

 

「え?」

 

上弦の鬼が討伐されて翌日。多くの刀鍛冶の里の皆が総動員で鉄などを荷車などへと積んで出発の用意をしていた。そして隠の服を着た天一郎も他の隠と共に里の移動作業を手伝っていた。だが、彼は上弦2体を相手にしていた為に少なからず疲れが溜まっているはずであり、その場面を目にしていた鉄穴森は声を上げながら止めていた。

 

「大丈夫ですよこれぐらい。あ、そういえば炭治郎くん達は目覚めましたか?」

 

「炭治郎くんでしたらそろそろ…あ、来たようですよ」

 

咳払いをした鉄穴森は周囲を見渡すと声を上げた。その方向へと天一郎も目を向けると、女性隠が引く荷車に乗せられながら運ばれる炭治郎の姿があった。

 

それを見た天一郎は手を振り声を掛けた。

 

「炭治郎くん!もう怪我は大丈夫なんですか?」

 

「あ!天一郎さん!」

 

天一郎が声を上げると炭治郎はゆっくりと上半身を起き上がらせる。

 

「傷は塞がりましたが、まだ歩くのが辛い状況です」

 

「そうですか…いやぁ、無事で何よりですよ!」

 

「いえ…俺が無事でいられたのも天一郎さんのおかげです」

 

炭治郎の様子が正常な事に天一郎が安心すると、炭治郎は改めて天一郎へと頭を下げた。

 

「今回も俺達を助けてくれて…本当にありがとうございました。貴方や甘露寺さん、時透君達がいなかったら…どうなっていたか…」

 

「そんな〜!私はただ子供の鬼を相手にしただけですよ〜!!」

 

そう言い天一郎は最も厄介な分身体である憎伯天を止めていた事に対して手を横に振る。彼自身は後に鬼と発覚して一時は気を失うものの、成熟しきれていない子供の鬼であると認識しているのだ。

 

だが、炭治郎は違う。あの鬼が現れた時に彼や柱がいなければ確実に負けていた。そう思っているからこそ天一郎へ心から感謝の念を抱いていた。

 

「天一郎さんはいつ頃戻るんですか?」

 

「私はここが完全に移動し終えるまで待って次の里の場所を見てから戻ります。一応、私も里の場所を知る許可を与えられた立場なので」

 

そう言い天一郎は答えると炭治郎の肩へと手を置き____

 

「本当にお疲れ様でした。帰ったらチタタプ作りますからね!」

 

「はい!!」

_____ニッコリと笑みを浮かべた。それに対して炭治郎も笑みを浮かべながら頷いた。

 

 

それから炭治郎は鉄穴森だけでなく、途中から合流した小鉄や鉄珍とも話していった。

 

そんな中であった。炭治郎はこの場に自身の日輪刀を担当している鋼鐵塚の姿がない事に気づき周囲を見渡した。

 

「あれ…?鋼鐵塚さんは…」

 

「鋼鐵塚さん…?あ〜そこにいますよ」

 

小鉄の指を差した方へと目を向けると、そこには岩陰に隠れながら此方を覗く大柄で筋骨隆々でひょっとこの面を被った刀鍛冶『鋼鐵塚 蛍』の姿があった。

 

 

見つかったと気づいた鋼鐵塚は唸りながらもゆっくりと此方に歩いてくる。因みに炭治郎はこれまで何度も刀を紛失し彼の逆鱗に触れているが、彼自身も刀を紛失したことについて重く受け止め、2度とこの様な事態が起きないために修行や研磨術を鍛え上げ、炭治郎の刀の為に準備していたらしい。

 

それに対して炭治郎は改めてお礼の言葉を口にする。

 

「ありがとうございます。俺の刀をいつも打ってくれて…俺は鋼鐵塚さんに御礼が言いたくてこの里に来たんです」

 

「……」

 

「ほら、何とか言ったらどうなんですか〜?」

 

それについて鋼鐵塚は特に何も答えず、小鉄がオラオラと詰め寄ると、小さい声ながらも声を出す。

 

「…刀はまた研いでやる…だから蝶屋敷で待ってろ…」

 

「はい!!ありがとうございます!!」

 

「お…おぅ…」

その言葉に炭治郎は再び満面の笑みを浮かべ、背を向けている鋼鐵塚も満更ではない様な様子であった。

 

因みにその後、小鉄の余計な一言によって物理的に振り回されたのは別の話である。

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

それから里の入り口へと運ばれた炭治郎は周囲から多くの感謝の言葉と、暖かい見送りを受けながら里を後にするのであった。

 

天一郎も彼のその姿が見えなくなるまで手を振った。

 

 

そして彼の姿が見えなくなると、天一郎は頬を叩き、里に残った数名の隠へと声をかける。

 

「さぁ!我々も準備を急ぎましょう!」

 

 

「「「「おおおおー!!!!」」」」」

 

その後、数日を掛けて無事に新たなる拠点へと里が移され、そこでも相変わらず刀を力一杯打つ金属音の音が鳴り響くのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

場所は変わり『異空間』【無限城】にて。

 

「…」

 

実験器具が大量に置かれたテーブルの上でフラスコに溜まった赤い液体を見つめていた無惨。その顔は____

 

 

______歓喜に満ちていた。

 

 

なぜ彼がこれほどまで笑みを浮かべているのか?その理由は先程まで情報収集として資産家の息子に成りすましていた時に入ってきた情報からだ。

 

 

 

“太陽を克服した鬼の出現”

 

 

それは長年、無惨が探し求めていたものでもあり、彼の真の目的である太陽の克服への礎となるものであった。

 

自身が探し求めていた物が遂に現れた事で天一郎によって場を掻き乱された怒りも消え去り、喜びと期待のみが彼の頭の中を巡っていた。

 

 

そんな中、無惨は琵琶を鳴らす鬼『鳴女』へと目を向ける。

 

「おい鳴女、私はこれから本格的に動く。全国に散布させている鬼をここへ入れろ」

 

「分かりました」

 

「その前に、まずはここへ私を移動させろ」

 

 

その後、無惨は無限城から出ていった。それからしばらくし、鬼の出現がパタリと止むと同時に_____

 

 

 

__________数十名もの歴戦の元軍人が失踪する事件が起きたのであった。

 

 

 

 

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