とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

35 / 53
チュ!地鳴らしてごめん!

____by E,Yさん


その隠 企む

 

それから1ヶ月が過ぎた。復帰した炭治郎は煉獄との鍛錬を経て伊之助と善逸に追いつき、現在は岩柱の訓練へと打ち込んでいた。

 

その一方で、天一郎達『隠』もそのサポートを更に行なっていく。

 

そんな中であった。

 

「…ん?」

 

再び訓練が再開されて数週間、蝶屋敷にて少し休憩していた天一郎の元に一枚の手紙が届く。それはなんと、産屋敷家への招集であった。

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

「あ、岩柱様」

 

「この声は…君か」

 

産屋敷家へと着くとそこには鬼殺隊の中で最も巨大な身体を持つ柱 『悲鳴嶼行冥』の姿があった。

 

天一郎は煉獄との一件を機に幾度かこの悲鳴嶼と任務を共にした事があり、彼自身も既に天一郎の強さについては知っていた。

 

「君も呼ばれたのか?」

 

「えぇ。なんでもどうしても伝えたいことがあると書かれていたので」

 

「そうか…」

 

それから二人は屋敷へと上がると、耀哉の元へと向かった。

 

ーーーーーーーー

 

暗い暗い屋敷の中。その部屋の中心に敷かれた布団の中で、顔を包帯で覆いながら耀哉は静かに眠っていた。

 

その身体は既に壊死し始めているのか身体の所々が変色を起こし骨までもが見えてしまうほどまで衰弱していた。

 

「天一郎…行冥…急に呼び出してすまないね…」

 

「いえ…」

 

途切れ途切れの細々とした声で語りかけてくる耀哉に対して行冥は特に何も言わず首を横に振った。

 

「どうしたんだい…天一郎?声が聞こえないよ。私は目が見えないから声だけでも聞かせて欲しいな」

 

「は…はい…!!!」

 

耀哉のその言葉を耳にした天一郎は涙を堪えながら答えると彼の手を握った。すると、その感触に耀哉は笑みを浮かべる。

 

「ふふ。やっぱり握ってもらうのはいいね。温もりが直に伝わってきて心が落ち着くよ」

 

そんな中、耀哉は切り出す。

 

 

「さて二人とも…単刀直入に言うよ…_____

 

 

 

 

 

 

_______5日後に無惨が来る」

 

 

「「!?」」

 

耀哉から発せられた言葉にその場の空気が変わった。その言葉に悲鳴嶼は尋ねる。

 

「なぜ分かるのですか…?」

 

「ふふ…ただの勘…だよ。天一郎」

 

悲鳴嶼の質問に答えた耀哉は天一郎へと声を掛ける。

 

「…なんでしょうか?」

 

「私から君への最後のお願いだ…。火薬を集めて…屋敷の至る所に設置して欲しい…」

 

「…!!!」

 

その言葉に天一郎は耀哉が一体何を考えているのか感じ取ったのか立ち上がる。

 

「ふざけないでください…いくらお館様と言えども!!!」

 

「待て上坂…!!お前の気持ちは分かるが少し落ち着け…」

 

咄嗟に悲鳴嶼は天一郎の肩に手を置き、彼を宥めながら再び座らせる。

 

「申し訳ありません…取り乱しました」

 

「いや、気にしなくていい。悪いのは君にこんな役を頼んだ私なんだ…だけどね天一郎…」

 

天一郎の謝罪に対して耀哉は首を振りながら自身の発言についても謝罪をするも、再び続けた。

 

「私ももう長くはない。それに奴はすでに私達の場所も検討がついていて真っ先に殺しにくるだろう。せめてこんな私でも…最後は出来る限りの事はしたいんだ」

 

「それが……『自爆』でもですか…?」

 

耀哉の言葉に天一郎は彼へと問う。その声は先ほどよりも低くなっており怒り心頭に達していようとしている事が分かる。

 

だが、それでも耀哉は頷いた。

 

「うん。だからお願いだ」

 

「……」

 

その言葉に天一郎は拳を握り締め震えながらも頷いた。

 

「分かりました…」

 

その言葉を隣で聞いていた悲鳴嶼は涙を流し、耀哉は強く手を握り返した。

 

そんな中であった。

 

「岩柱様……ゴニョゴニョ…」

 

「……うむ…危険だが…君を信じてその作戦に乗ろう」

 

天一郎は耀哉へと聞こえないように悲鳴嶼へと何かを耳打ちし、それに対して悲鳴嶼は頷いたのであった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

 

 

そして、迎えた5日目の満月の夜。草木が眠る丑の刻にて__。産屋敷廷の庭にある夜風に吹かれる草木がより一層激しく揺れていた。

 

 

そんな中、庭の見える屋敷の中、布団の上で全身をくまなく包帯で巻かれた耀哉はゆっくりと声を上げる。

 

「やぁ。初めましてかな…?」

 

すると、目の前に広がる庭にスーツに身を包んだ謎の男が現れた。

 

「何とも醜悪な姿だな産屋敷」

その男は顔が耀哉と瓜二つであったが、その鋭い目からはそこ知れぬ野心を抱いてる事を感じさせる。

 

 

その男こそ_____

 

_____『鬼舞辻無惨』 

 

1000年もの間、歴史の闇に潜み鬼を増やし続けてきた元凶であり全ての鬼殺隊員達の仇である。

 

「鬼舞辻無惨…遂に現れた…私達の…1000年の宿敵…やはり君は産屋敷家に恨みを持っているから君自身の手で殺しに来ると思ったよ…」

 

「…私は心底興醒めしたよ産屋敷。1000年もの間、幾度となく私の計画を邪魔し続けてきた存在がこのザマとは…醜い。少しでも小突けば崩れてしまいそうだ」

 

「ふふ…確かに何度も医者からは数日で死ぬと言われてきたが…この通りだよ。私は生き延びた…君を倒したいという一心でね…」

 

そう言い耀哉の包帯に巻かれた顔が無惨へと向けられた。

 

「その一心も今宵潰えるな。お前は今から……私が殺す」

 

「…ふふ。そうか」

 

その言葉に対して無惨は何か違和感を感じ取っていた。

 

「…(何だこの違和感は…?ここは本当に産屋敷家なのか…?)」

 

無惨は周囲を見渡す。この広い屋敷には布団で眠る彼以外の人物は勿論だが、護衛も一人たりとも見つからなかった。

 

「(空気の流れも違う…なぜこんな弱々しい男一人というのに胸騒ぎが起こるのだ…?)」

 

「どうしたのかな?無惨。声が聞こえないよ」

 

次々と起こる違和感に、ここへ来てから警戒していなかった無惨は強く警戒し、耀哉から声を掛けられると、彼の包帯で巻かれた全身を見つめた。

 

「(この男もだ…病に侵されていながらなぜ、歯はこれ程まで白く整っている…?口元まではまだ侵食は進んでいないのか…?まぁいい)」

 

 

「…はは。足音からするともう近くか…そうか…私はもう死ぬんだね」

 

「そうだな。だが安心しろ。貴様の子供も妻も惨く殺し…肉片にした後に其方に送ってやる」

 

耀哉の言葉に答えながら無惨は強靭な右腕を握り締めると耀哉へと向ける。

 

「さらばだ産屋敷」

 

そして、無惨の右腕がゆっくりと包帯で覆い尽くされた耀哉へと振り下ろされたのであった。

 

 

その時であった。

 

「なんちゃって♡」

 

「なに!?」

 

産屋敷家が爆発し、耀哉を葬ろうとした無惨と“耀哉?”を爆炎へと飲み込んだ。

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、

 

無惨が産屋敷家へと現れる数分ほど前。

 

「カァァァァ!!緊急招集!緊急招集!産屋敷家襲撃!産屋敷家襲撃!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

産屋敷家へと侵入者が現れた事が鎹鴉によって、悲鳴嶼を除いた全ての柱へと伝えられ、それを聞いた皆は血相を変え、ほぼ同時にその場を飛び出し産屋敷家へと向かったのであった。

 




天一郎情報その30

→なかなかサイコパスな考えが思いつく
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。