努力したものが全て報われるとは限らん。しかし!成功するものは皆すべからず努力しておる!__
______はじめの一歩
【無間城】
それは鬼舞辻無惨の側近『鳴女』によって作り出された異空間である。その空間は正に城の様にいくつもの襖や階段、そして屋敷があり、彼女の意思によって自在に形を変えていく。
更に、その空間内は太陽の光が届かず灯火だけであるため、鬼達は日光に臆する事なく自由に動け、鬼殺隊の皆にとっては常に警戒が解けない超危険地帯となるのだ。
産屋敷家にて無惨へと攻撃を仕掛けようとした皆は見事に無惨の策略によって無間城へと誘い込まれてしまい、現在は無惨を探すべく皆は鬼を退治しながら突き進んでいた。
だが、忘れてはいけない。皆がいる無間城は鳴女の意思によって動かされている。
即ち、その無間城内に潜む上弦の部屋へと隊士達を誘い込む事さえも可能になると言うわけだ。
ーーーーーーーーーー
無間城のとある場所にて、義勇、煉獄と共に落下した炭治郎は共に鴉の案内の元、先を進んでいた。
「まさかお館様と成り変わり無惨を迎え撃つとは天一郎殿には恐れ入ったぞ!」
「えぇ!?天一郎さん最近見ないと思ったらそんな作戦を!?」
「うむ!!1週間前に通達が来てな!偽のお館様として無惨を待ち伏せ、珠世殿が薬を打つまでの時間稼ぎをするための作戦を持ち込み是非とも採用して欲しいと懇願された!!彼の実力なら君と同じく殆どの柱が目の当たりにしているからすぐに皆は首を縦に振っていたな!!」
「そうなんですね…やっぱり天一郎さんもそれほど無惨を恨んでいるんだ………あれ?」
そんな中であった。
「…」
横を走っている義勇、そして煉獄が足を止めた。
「どうしたんですか!?二人と___!?」
そう言いかけた炭治郎は即座に彼らと同じく足を止めた。
_____!!!!
すると、どこからともなく次々と襖や壁を破壊する音が聞こえてきた。しかもその音は段々と大きくなり、確実に此方へと近づいてきていたのだ。
「(この匂いは…!!)」
接近したと同時に微かに鼻の中に通った匂いに炭治郎が上を見上げたと同時に____
________天井が破壊されると共に、黒い影が炭治郎の目の前へと現れた。
「久しぶりだなぁ杏寿郎…そしてよくもまぁ生き残れたものだ炭治郎…!!!」
「…!!」
その言葉に炭治郎は首に筋を湧き上がらせると刀を握り締め向かっていく。
「猗窩座ぁあ!!!!」
【ヒノカミ神楽】《碧羅ノ天》
そして炭治郎だけではない。煉獄と冨岡も日輪刀を抜き技を放つ。
【水の呼吸】《壱ノ型》水面斬り__ッ!!
【炎の呼吸】《弐ノ型》不知火____ッ!!
冨岡と煉獄の水と炎を纏っているかのような一振りが炭治郎の斬撃を放った猗窩座へ目掛けて放たれた。
だが、
「ふん」
その攻撃を猗窩座は一瞬にして避け、3名から離れた場所へと着地すると笑みを浮かべる。
「ほぅ?そこにいる奴は水…か。随分と面白い組み合わせだ」
その佇まいと表情より、冨岡や炭治郎は勿論だが、煉獄も険しい表情を浮かべる。
「煉獄さん…コイツ…」
「あぁ。前よりもずっと強くなっている。だが、それは俺達も同じだ」
そう言い煉獄は立ち上がると再び刀を構える。
「思い出せ!この数ヶ月間やってきたことを!全てはこの日のためだろう!!」
「…!!はい!!」
その言葉に奮起したのか、炭治郎は頷き、冨岡と共に煉獄に並び立ち日輪刀を構えた。
それに対して、猗窩座は眉間に皺を寄せる。
「そうだ…!!来い!!強くなって俺を楽しませろ…ッ!!!」
その瞬間 猗窩座の姿勢が低くなると共に大きく振り上げられた脚を前に振り下ろした。
それによっめ彼の足元には雪の結晶の様な紋様が浮かび上がった。
___術式展開
____【破壊殺】“羅針”
「では始めようか…あの日の続きを!!」
ーーーーーーーーー
そして別の場所では…
「…(あいつの気配がする…)」
炭治郎と同期である黄色い髪の少年『我妻善逸』の姿があった。だが、その雰囲気は前とは一変しており、常時、怯えて身体を震わせていた彼は今は身震い一つ起こす事なく、半開きであるその瞳はとても鋭くなっていた。
そんな中で、彼はある部屋の前で立ち止まる。
「いるのは分かってる。出てこいよ」
すると
「口の利き方がなってねぇぞ?兄弟子に向かって」
目の前の襖が開き、中から筋肉質な剣士が姿を現した。
「少しはマシになったが…相変わらず貧相な風体だ。久しぶりだなぁ善逸」
元鬼殺隊 現上弦ノ陸『獪岳』
彼の姿を見た途端に鋭かった善逸の瞳が更に鋭さを増す。
「獪岳…鬼になったお前を俺はもう兄弟子とは思わない」
そんな中であった。
ドドドドドドドドド…
「ん…?何だ…!?」
突如として無間城全体が揺れ始めた。それはその場に限った事ではなく同じく無間城内にいる悲鳴嶼や炭治郎達、そして他の上弦の皆も同じくその不審な揺れに驚いていた。
ーーーーーーーー
そしてそして別の場所では……
ドドドドドドドドド___
「うわぁぁぁん!!ここどこぉおお!?こわいよぉおお!!」
天一郎は泣きじゃくりながら出口を探し回っていた。それだけではない。
ドガァァァン!!バコォオオオン!!!
次々と迫ってくる襖などを意に介する事なく全て破壊しながら通過しており、それによって無間城全体を揺らしていた。
その光景は勿論、無間城を操る鳴女は見ていた。
「(何だコイツは!?無惨様…やはりこの男…いかなる障害物も通用しません。貴方のいらっしゃる最深部にまで近づいてきています…)」
天一郎を優先的に排除すべく次々と襖や壁を叩きつけ押し潰そうと試みるも、迫る壁や襖は全て天一郎の身体を押しつぶす事も叩きつける事もできず、粉々に破壊されていった。
それによって天一郎は自然と無惨の潜む最深部へと到達しようとしており、さすがの鳴女自身も焦り始めたのか額から冷や汗を流し始めていった。
そんな中であった。
____ならば鳴女、“奴ら”を合流させろ。
頭の中に無惨の声が響き、その指示に鳴女は頷き琵琶を鳴らした。
ベンッ
ーーーーーーー
その音が響く一方で、天一郎はとある回廊にて__。
「すいませぇぇん!!出口教えてくださぁい!!」
「「「「ひぇえええ!!!!!」」」」
無惨によって召集された鬼達を追いかけていた。天一郎に後を追いかけられている鬼達は全て無惨の血によって下弦程度の力をつけられてはいるものの、天一郎に対しては全く意味をなさず、次々と仲間が倒されていく姿から本能で“コイツはヤバい”と感じ取り逃げ惑っていたのだ。
「ちょっと!!逃げないでくださいよ!」
「くるなぁ!!くるなぁああ!!!」
「あっち行け化け物ぉおおお!!!」
天一郎が最後尾の鬼の肩を掴むと、その鬼は顔面を蒼白させてすぐさま腕を振り払うと走り去っていった。
「そ…そんなぁ〜!!」
それによって、天一郎は再び一人となり、見た事もない出口も知らない回廊に取り残された事でその場に膝から崩れ落ちた。
「せっかく人に会えたのにぃ〜!!!」
その時であった。
「う〜わ驚いた。アイツ鬼からも化け物扱いされてるぜ?」
「そりゃそうだわ。銃弾何十発受けても致命傷にならない上に刃物も通らない奴なんざアイツしかいねぇよ」
付近の暗闇から足音が聞こえ、その足音と聞こえてきた声に天一郎は立ち止まり目を向けた。
「な…!!」
そこには
「だが今日こそ殺す…!!」
「覚悟しやがれ!!俺たちを命の危機に晒しやがった憎き陸軍特攻部隊『上坂天一郎』め…いざ復讐のとき…!!!」
何十人もの軍服を纏った鬼の姿があった。
「その声は…鬼に連れ去られた皆!!!」
天一郎情報その32
→思い込みが激しい