とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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兵士なら戦え____

____弱い奴は食われる

______by オソマを好むAさん


番外編 その隠 美食を求む。

 

 

ある日の事であった。

 

「天一郎さん天一郎さん。やけに料理に詳しいようですけど、その手の職についていたのですか?」

 

久しぶりに休暇をもらった天一郎が蝶屋敷にて料理を手伝っていると、横に立っていたアオイにふと尋ねられた。

 

「ん?いえいえ。私が就いたのは軍隊と鬼殺隊のみです。特に軍人では現地で何日もの待機があったので、食料を自身で調達して栄養補給するのは当たり前でしたからね。終わった後は少しばかり北海道に滞在してました」

 

「そうだったんですね…よろしければ、今後の参考のために幾つか教えていただけませんか?」

 

「良いですよ!その前に材料を幾つか取ってきますね」

 

そう言い天一郎はアオイの要望に応えるべく、その場から外へと駆け出していった。

 

 

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それからしばらくして、天一郎は数匹のリスを取って戻ってきた。

 

「まずは北海道に滞在していた時に知り合ったアイヌの方々から教えていただいた『チタタプ』というものですね。我々が刻むものという意味らしいです」

 

そう言い天一郎はリスの身体の皮を剥がし、肉を丸出しにしていく。そして、包丁を両手に取ると、優しく肉を刻み始めた。

 

「こうやって肉を刻んでいきます。ちなみに交代しながら叩くから我々という意味らしいです。アオイさんも。チタタプと言いながら叩いてください」

 

「あ、はい」

 

天一郎から包丁を受け取ったアオイは彼と同じく包丁を手に取ると叩き始めた。

 

「チタタプ…チタタプチタタプ…」

 

「それぐらいでいいでしょう。では、色々とスープに入れて_____」

 

それから完成したのは、肉の香りがするつみれ汁であった。因みにスープや肉に混ぜ込められた調味料や野菜によって独特な臭さも打ち消されており、良い香りがその場に漂っていた。

 

「つみれ汁ですね…いただきます」

 

アオイは一つ掬うと口に運んだ。すると、顔をパァと輝かせる。

 

「…ん!美味しい!肉も柔らかいし血も骨も入ってるのに臭みもない!」

 

「余すことなく食べられるのがチタタプの特徴です。他にも狐やカワウソといった、色々な哺乳類の動物もチタタプして食べられてました。因みに、頭の脳みそを生で食べる習慣があるとか」

 

「の…脳みそを生で…!?」

 

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「さて、お次は少々野蛮ですが美味しいですよ」

 

そう言い天一郎が持ってきたのは______

 

 

 

 

__________巨大なツキノワグマであった。

 

 

「え…どこで取ってきたんですか…?」

 

「いや、近所にいたので」

 

「近所ってどこ…!?」

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それから天一郎は庭で薪をくめて火を起こすと、捌いたクマの心臓を長い腹で串刺しにして焼き始める。因みにクマの捌く音に目を覚ましたのか、入院していた炭治郎の姿もそこにあった。

 

「これは北海道で200頭ものヒグマを仕留めた一流のマタギから教えてもらった料理です。なんでも熊の血には滋養強壮の効果があり、長持ちするだとか。そしてこれはその血が多く含まれた部位であります」

 

そう言い天一郎は炙られたクマの心臓を火から離す。

 

「心臓!!焼きました!!!」

 

「「う…」」

 

すると、炭治郎とアオイは思わず鼻を塞ぐ。それもそうだ。臭みが取り除かれたリスと異なり、今のクマの料理はなんの施しもされておらず獣本来の臭みがそのまま漂っているのだから。だが、ツキノワグマは草食性であるため、これでもまだ臭みが少ない方であり、よく人を襲う上に純粋な肉食性であるヒグマはこれとは比較にならない。

 

一方で、炭治郎は臭いに臆するも、その心臓を手に取り、かぶり付いた。

 

「い…いただきます…ん!!柔らかいですが、やはり血の味で満たされてますね」

 

「おぉ!炭治郎くんもいけますか!ならばこれもどうでしょう」

 

炭治郎の食べっぷりに天一郎は驚くと、今度は水を入れた飯盒を取り出した。

 

「これもマタギの方から教わったんですがね。クマの小腸を洗って、プルプルになった血を敷き詰めて茹で上がらせる…!」

 

そして完成したのは、赤黒いソーセージのようなものであった。

 

「血の腸詰!まぁ純粋に血のみなので、味は個人によって分かれますが」

 

「さ…流石にそこまでは遠慮します…」

 

そう言い炭治郎は心臓へと噛みついたのであった。

 

「因みに残りのクマの部位は野菜と一緒に煮詰めれば美味しくいただけますよ」

 

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それから3人はツキノワグマを食べ尽くすと、次の料理を行う。因みに柱合会議から帰ってきたのか、今度はしのぶも一緒である。

 

「次はインドという国の方から伝わった料理ですね。結構前から日本に渡ってきて人気の料理です」

 

そう言い天一郎はバターを入れて溶かし、先ほどの熊肉をいれて炒めるとジャガイモや玉ねぎ、ニンジンを入れていき、最後に一つの袋を取り出した。

 

「なんですかそれは?」

 

しのぶが尋ねると天一郎は意気揚々と答えた。

 

「決まっているでしょう。これが素ですよ素」

 

そう言い天一郎は袋を開けると、“茶色”の粉を次々と鍋の中へと入れて蓋をした。

 

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しばらくして。

 

「…クンクン。何やら変な臭いが…しかもこれ…さっきの熊とは別の臭さですね…」

 

「お、ではそろそろですね」

 

鍋から漂ってきた臭いに、炭治郎は思わず鼻を塞いでしまう。その様子に天一郎は立ち上がると鍋の方へと向かう。

 

「この料理はとても辛くともご飯に合う事から色々な場所で料理として出されてきました」

 

そう言い皆が背後から見つめる中、天一郎はゆっくりと、コトコトと音を立てる鍋の蓋を取り上げた。

 

 

「その名も_____

 

 

 

 

 

 

 

_________カレー!!!!」

 

その言葉と共に湧き出てきた湯気の中から見えてきたのは、グツグツと煮え立つ“茶色”の物体であった。

 

カレーは1800年後半より日本に伝わり、多くの店で食事として振舞われてきた。故にしのぶ、カナエ、カナヲは勿論、アオイやきよ、すみ、なほ達も知っていた。

 

だが、それを見たことも聞いたこともない人たちからすれば、漂う臭いから察するにとても良いものには見えないだろう。

 

 

よって、それを見ていた善逸、伊之助、炭治郎は顔面を蒼白させた。

 

「何これぇ!?うんこ!?うんこなのこれ!?」

 

「ウンコだぁ!!俺が毎日出すウンコだぁ!!てことはこれは誰のウンコなんだぁ!?」

 

「天一郎さん…流石に排泄物を調理して食べるのは衛生面的に…」

 

 

「うんこじゃなぁぁぁぁい!!!!!」

 

ーーーーーーー

 

それからしばらくして、カレーをお皿に盛り付けていくと皆は口に運んで行った。

 

カナエやしのぶ達はすでに食べていたからか、盛り付けられたカレーを味わいながら口へと運んで行った。

 

だが、炭治郎、善逸、伊之助は3人揃って口に入れることを躊躇していた。

 

「え…これ食べるの…?食べられるの…?」

 

「……ウンコにしか見えねえ…」

 

「で…でも!しのぶさんたちが喜んで食べてるからきっと美味しいよ!!」

 

 

その後、3人はようやくカレーを口にし、満面の笑みを浮かべたが、予想以上にハマってしまい天一郎に強請りだしたのはまた別の話である。

 

 

炭治郎「天一郎さん!!また食べられるウンコをお願いします!!」

 

善逸「俺も!!あの辛いうんこを!!」

 

伊之助「ベチャベチャのウンコくれぇ…!!!」

 

天一郎「ウンコじゃなぁぁぉぁい!!!!」

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

それからしばらくしてある日の夜。

 

「あら?天一郎さん。何を捌いてるんですか?」

 

布団をまとめていたカナエがふと台所へ入ると、そこには天一郎が料理の支度をしており、その巨大なテーブルには1匹の捌かれた動物が置かれていた。

 

「あ、これは海の市場で知り合った漁師さんからもらった『ラッコ肉』です」

 

「ラッコって貝を叩き割る…食べられるんですか?」

 

「えぇ。ただ、漁師さんが言うには『仲の良い2人』で食べる事を勧められましたね」

 

「まぁ!きっと一緒に食べた人同士を惹き合わせるものね!早速 炭治郎くんとカナヲに食べさせましょう!」

 

「いや、その前に味見が必要です。美味しくないと意味がないでしょう」

 

そう言い天一郎は身を屈めて、下にある戸棚から味見用の小鉢を取り出し、出来上がったラッコ肉をスープと共に入れる。

 

 

そんな時であった。

 

___きゃああああ!!!もう無理ぃ!!!このお薬無理ィイ!!!

 

寝室から善逸の絶叫する声が聞こえ、それと共にアオイの声も聞こえてくる。

 

____静かにしてください!!良い加減にしないと縛りますよ!?あ〜力が強い…天一郎さん!!お願いします!!

 

 

「また善逸くんですか」

アオイからの呼び出しに味見をしようとした天一郎は小鉢を置くと、鎮圧しに向かった。

 

「あらあら。相変わらずですね善逸くんは」

 

それによって、台所はカナエだけとなった。1人となったカナエは小鉢に入れられたスープを見る。

 

「……」

 

色合いはやや濃いめだが、綺麗な艶のあるその肉が、食欲を刺激してきた。

 

「…まぁ、味見だからいいか♪」

 

その匂いと見た目によって、カナエは我慢できなくなってしまったのか、天一郎が盛った小鉢を手に取る。

 

 

すると、廊下からしのぶが入ってきた。

 

「あら?姉さんったら〜!またつまみ食い!?」

 

「あらあら違うわよしのぶ。これは味見♪しのぶもどう?」

 

「まぁ…お腹空いてるけど……うん」

 

カナエから誘われたしのぶはお腹から鳴るその音に我慢ができず、カナエの誘いに乗って、同じように小鉢にスープを盛った。

 

「「いただきます」」

 

そして2人は同時にラッコ肉のスープを口にしたのであった。

 

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ーーーー

ーー

 

それからしばらくして。無事に善逸を鎮圧した天一郎は汗を拭いながら台所へと戻ってきた。

 

「ふぅ〜…何とか落ち着いた…あら?小鉢が二つ…カナエさんとしのぶさんが食べたのか」

 

 

すると

 

___天一郎さ〜ん!ちょっと来てくれますか〜?

 

いつも彼女らが寝ている寝室から声が聞こえてきた。何故だか、いつもより声が少し滑らかだ。

 

「何だろう…は〜い!!」

 

そんな異変に頭を傾げながらも、呼ばれた天一郎は彼女達がいる寝室へと入っていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、皆が寝静まった夜の寝室からやや騒がしい音と共に1人の男性の叫び声と2人の女性の喘ぎ声が聞こえてきたのは別の話である。

 

 

※何が起こったかは『ラッコ肉』『効果』と調べてください。

 

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