とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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その隠 今回は出番がない

 

「さ…最悪だ…!!」

 

山の奥深くに建てられた屋敷にて、愈史郎の札を通して鎹鴉達の目を借りながら無限城内を調査し、指示を行なっていた輝利哉は顔面を蒼白させていた。

 

「柱が集合していない状況下で…天一郎さんが無惨に遭遇してしまうなんて…!!」

 

そして、輝利哉はすぐさまくいなへと指示を出す。

 

「近くにいる柱は!?」

 

「霞柱様、風柱様が最も近い距離に…!」

 

「2人にすぐ向かうように指示を!!それと天一郎さんには柱が到着するまで無惨との直接戦闘を避ける様に伝えて!」

 

ーーーーーーー

 

その後、輝利哉によって全隊士達へと天一郎が黒死牟もろとも無惨を襲撃した知らせが届いた。

 

「カァー!!!カァー!!!上坂隊士!上弦ノ壱二突撃!!並ビニ無惨ヲ襲撃!!」

 

「「「えええええ!?」」」

 

一生聞くことがないであろう前代未聞のその報告に、猗窩座を討ち果たした炭治郎、杏寿郎、義勇の3人は目玉が外れる程まで驚いていた。

 

「ど…どどどどどういうことですかぁぁぁぁ!?」

 

「落ち着け竈門少年!!すすすす即ちちちちちててて天一郎殿は上弦ノ壱と無惨を貫い貫いてゃのだぁ!!!!」

 

「煉獄さんこそ落ち着いてくださいよ!!噛みまくってるじゃないですかぁ!?」

 

「とにかく急ぐぞ!!幾ら何でも危険すぎる……!!!」

 

ーーーーーーー

 

「に…義兄さんが…ここに!?」

 

「はぁぁぁ!?義兄さんんんんん!?あんの化け物いつのまにしのぶさんとカナエさんに手をだしたのかぁあ!?きぃええええ!!!!!」

 

「ンハッハッハァァ!!!さっすが大親分ダァァ!!」

 

善逸が発狂する中、その知らせを受け取ったカナヲや伊之助、村田達も驚きを隠さなかった。

 

今回のその知らせによって、天一郎の脅威的な身体能力が全隊士達へと知れ渡っていったのだ。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

その一方で

無限城の最深部。無惨の肉の繭があった巨大な黒い穴が下に広がるエリアにて。

 

天一郎の頭突きによって壁に叩きつけられていた黒死牟は、陥没したその彼の中で腹から息を吐き出した。

 

「がはぁ…」

 

「ん…?大丈夫ですか?」

 

黒死牟が腹の中から息を吐き出すと、彼の腹に顔を突きつけていた天一郎が顔を上げる。

 

それに対してその顔を見た黒死牟は額に筋を浮かび上がらせる。

 

「貴様の…せいだろがッ!!!!」

 

___月ノ呼吸 【壱ノ型】《宵ノ宮》

 

 

ガシッ

 

「なに!?」

 

黒死牟は咄嗟に刀を振り回すが、もはやその速度を天一郎は見切ってしまったのか、天一郎は目の前の壁に腕を突き刺し、もう一方の腕でその一振りを掴んだ。

 

 

そして

 

「危ないでしょうがッ!!!」

 

「!?」

 

ドガシャァァァァァンッ!!!

 

そのまま刀を黒死牟ごと振り回し、目の前にある通路めがけて黒死牟を投げ飛ばした。

 

「ぐぅ…!?何故だ…なぜ呼吸も扱えぬ上に人間である貴様がこれほどの力を…!!」

 

投げ飛ばされた黒死牟は、ゆっくりと立ち上がる。

 

「…鬼狩り達か…集まってきたか」

 

吹き飛ばされたその通路には既に一足早く辿り着いた鬼殺隊員達の姿があり、黒死牟の姿を目にすると、全員は次々と刀を構えた。

 

「こ…コイツ…上弦ノ壱だ!!手負いだぞ!!」

 

「すぐに首を落とせ!!」

 

その言葉に次々と周囲の隊士達は刀を構える。

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

「ころ…ガハァ!?」

 

 

黒死牟の目の前に立っていた隊士の上半身が消し飛んだ。

 

「な…なん__」

 

その直後に、その背後に立っていた隊士達の首が次々と飛ばされていく。そして、周囲から次々と刀を構えていた隊士達の身体が切断され、切り刻まれ、そして抉り取られていった。

 

 

「…」

 

その光景を見ていた黒死牟は周囲に立っていた隊士達を屠った正体を理解していたのか、その気配が感じられる自身の背後へと目を向けた。

 

 

「無惨様…」

 

 

そこに立っていたのは_____

 

 

 

 

 

_________全身に牙の生えた口が広がり、下半身がドス黒い血の色と化した異形な姿の無惨であった。

 

 

「私のために食料を運んできた事…褒めてやろう産屋敷。いや…奴は瀕死…指揮を取っているのは息子だな…?」

 

その言葉と共に無惨の全身の至る所から生えている口が次々と刈り取った肉を貪り尽くしていく。

 

「一族揃って鬼狩り共の首を差し出し頭を垂れるのならば鬼にしてやらんこともない」

 

 

そんな中であった。

 

無惨が振り向き、彼の鋭い目が此方へと向けられた。その目を向けられた黒死牟は立ち上がりながら彼の名を呼ぶ。

 

「無惨さ____」

 

「黙れ。役立たずめが」

 

「!?」

 

 

その瞬間______

 

 

 

_______無惨の鋭い刃が黒死牟の身体を貫いた。

 

「がはぁ…!お待ちを…なぜ…!?」

 

「お前が不要になっただけだ。たかが奴1人に手こずり、あろうことかこの私の元まで来させるとは…本当に腑が煮えくりかえる。何のために私が血を与えたと思っているのだ?」

 

そして、黒死牟の腹を貫いた無惨の触手が抜き出され、黒死牟はその場から崩れ落ちた。

 

その一方で、黒死牟を貫き、見下ろす無惨の顔は益々、歪んでいった。

 

「思えばそうだ…貴様の記憶を遡れば…貴様が“あの時の子ども”上坂天一郎を殺しておけば良かったのだッ!!!」

 

「…!!!」

 

その言葉を耳にした黒死牟は突如として頭の中にある景色が浮かび上がる。

 

 

「(これは…この記憶は…)」

 

鬼として長く生きている中、記憶の奥底へと埋まってしまい決して思い返すことのない記憶。

 

自身の目の前には1人の少年が立っており、その顔を見た黒死牟はゆっくりと目を開いた。

 

「(まさか…お前は…!!!)」

 

それは日露戦争が勃発する数年ほど前の春の夜に出会った1人の少年との記憶であった。

 

 

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