とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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その隠 大暴れする

 

「あ、炭治郎くんに皆さんこんにちは。ご心配おかけしました」

 

「え!?天一郎さん…!?し…死んじゃったんじゃ…」

 

「いやぁ〜三途の川を渡ってたら向こう岸からまだ生きてる〜って巖勝って言う人に言われてすぐに船降りて戻ってきたんですよ」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?????」

 

そんな中、炭治郎は天一郎の赤い目や身体、そして額から生える二本の角へと目を向ける。

 

「その目に角…あなた…鬼に…」

 

「え?そうなんですか?」

 

「え、自覚なし!?そうですよ!!鬼になっちゃってるんですよ!!!」

 

「えぇ〜!?どうりでさっきから炭治郎くんを見てると涎が止まらないと思ったら…いやぁ〜まぁこれもまた人生なんで仕方ないですね」

 

「なんでそんな呑気なんですか!?」

 

「それよりも炭治郎くん!!どうしたんですか!?顔の腫れ物!!」

 

「今更ですかぁ!?」

 

炭治郎の心配する言葉を一蹴するかの様に平常運転で返していった天一郎はゆっくりと振り向くと、拳を鳴らす。

 

「まぁいいです。炭治郎くんは下がっていてください…治るまで私が時間を稼ぎます」

 

「いえ!俺も戦います!!だから…べぷぅ!?」

 

咄嗟に炭治郎が首を振ると、天一郎はその頬へと軽めのビンタをお見舞いする。

 

「な…なんで…」

 

「その怪我では満足に戦えないでしょう。珠世さんの薬を打って休んでいてください。私のことはご心配なさらず」

 

そう言うと天一郎は叫ぶ。

 

「後藤さん!!炭治郎くんを運んで!!」

 

「え…?」

 

炭治郎へとビンタをお見舞いした天一郎が後藤を呼び出すと、呼び出された彼はその姿を見て涙を流す。

 

「上坂ぁ〜!!!お前生きてたのかよ〜!!よがっだぁぁ!!!」

 

「おい泣いてんじゃねぇぞ!!仕事だ仕事!!!さっさとやれコラァ!!!」

 

「うぅ〜!!その熱の有り様…間違いなく本物のお前だ〜!」

 

天一郎の怒声に後藤は涙を拭いながら炭治郎を背負っていった。

 

 

そして 付近に誰もいなくなることを確認した天一郎は地面から出てきた無惨へ目を向ける。

 

「さて無惨…これでようやく貴方と同じ土俵に立てましたね。双方とも不死身…勝っても負けても恨みっこ無しです」

 

「バカか貴様?」

 

天一郎の言葉に無惨は額に青筋を浮かび上がらせる。

 

「私の血を吸収したからなんだ…?私の血を体内に取り込んだ貴様はもはや我が傀儡も同然…!!!この場で殺してくれる!!」

 

そう言い無惨は叫ぶと手を天一郎目掛けて掲げると握り締めた。

 

「ハッハッハッ!!死ねぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン

 

 

 

「……なに!?」

 

無惨が血に爆発する様に意識を集中させるも、天一郎に変化が起きることは無かった。

 

「ばかな…まさか私の____グボヘェ!?」

 

「ヒャッハァァァア!!!」

 

無惨が戸惑う中、その顔に目掛けて天一郎の拳が放たれ、彼の顔を歪ませた。

 

「フヒャヒャヒャヒャッ!!!これで思う存分お前をぶちのめせる!!!あの日の恨みを何億倍にもして返してやりますよぉおお!!!」

 

 

無惨が吹き飛ぶ中、その様子を嘲笑いながら見下ろしていた天一郎はすぐさま身体を回転させると、今度は吹き飛ぼうとする無惨の腹に目掛けて脚を突き出す。

 

「オラァ!!!」

 

「ぐぅ!?」

 

それによって、天一郎の脚が深く突き刺さり無惨の身体は地面へと叩きつけられた。

 

「アヒャヒャヒャヒャ!!!ほらほらほらぁ!!!いくぞぉ〜!!!!」

 

「この化け物がぁ!!!!」

 

地面へと叩きつけられた無惨は激昂の叫びをあげると共に無数の触手を展開させると天一郎へと向かっていく。

 

 

だが、天一郎は向かってくる触手を全て受け止めた。

 

「なに!?」

 

「前も思ったんですけどねぇ…振り回す武器とかは掴まれると主導権握られますから、技術ないならやめといた方がいいですよ」

 

 

その言葉と共に、一纏めにした触手を掴み複雑に巻き上げると天一郎は強く握り締める。

 

「今度はこっちからいくぞクソ野郎…!!!!」

 

その瞬間 天一郎が掴んだ腕を大きく持ち上げ周囲へと振り回していくと無惨を目の前の建物へと叩きつけた。

 

 

「オラァッ!!!」

 

「ゴハァ!?」

 

だが、それだけでは終わらない。

 

「まだまだぁあ!!!!!」

 

天一郎は更に腕を振り回し、壁に叩きつけられた無惨を今度は地面へと叩きつける。そして天一郎は次々と無惨を振り回し、地面や建物へと叩きつけていった。

 

「オラァ!!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!」

 

「ガハァ!?グボァ!?グベラァ!?」

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!!」

 

その振り回しは終わることはなく、次々と無惨を周囲の建物や地面へと叩きつけていき、振り回すにすれてその速度も増し、遂には無惨の身体がゆっくりと歪み始めてしまう程の速度へと到達していた。

 

 

そして

 

「オラァッ!!!!」

 

 

最後の決め手であるかの様に空中で全力で振り下ろし、無惨の身体を地面へと叩きつけた。

 

「がぁ…!!」

 

 

叩きつけられる中、無惨は自身の首元に足を置きながら自身を見下ろす天一郎へと目を向ける。その目はまさに、“怨念だけが込められた狂気の目”であったのだ。

 

「おのれ…おのれおのれおのれおのれぇえええええ!!!黒死牟めぇえ!!!とんだ置き土産をしてくれたなぁぁぁ!!!!!あの恩知らずめがぁ!!!」

 

怒りの声を上げた無惨は天一郎に向けて口を開く。

 

「いい加減に死に絶______がほぇ!?」

 

「させねぇよ」

 

衝撃波が放たれようとしていたその顔面を天一郎は顔を強く踏みつける形で阻止し、それによって無惨の頭が頭蓋骨の砕け散る音と共に血が吹き出す。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

その一方で、後藤はカナヲを治療している同じ場所へと炭治郎を運び込むと、すぐさま薬を取り出した。

 

「後藤さん…?」

 

「血清だ。ここに来る前に珠世さんって人から貰った。これで少しは無惨の毒が引くはずだぜ」

 

そう言い後藤は炭治郎の頬へと血清を打ち込む。すると、炭治郎の肥大化した左の顔が少しずつ治っていき、先程よりも大幅に腫れが引いた。

 

「よし…お前ら!他の柱にもだ!」

 

炭治郎へと注射を打ち終えると後藤は周囲への隠達へと呼びかけていき、生存している柱達の元へと向かわせた。

 

 

それによって、次々と他の柱達も毒を緩和し回復していく。

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

その一方で、天一郎と戦っていた無惨は周囲の柱達がつきつきと起き上がっていく光景に歯を噛み締め焦り始めていた。

 

「クソッ!!!(元々の身体能力が鬼化によって更に引き上げられていると言うのか…!?それに黒死牟ごときの血でこれ程の再生力と力…一体どうなっているのだ!?)」

 

そんな中、天一郎の攻撃に僅かな隙が生じると、無惨は即座に彼の両足を斬り飛ばしその場から駆け出した。

 

 

無惨が選んだのは【逃走】彼にとって戦いなど興味はなく、あるのはただ生きる事への渇望のみであった。

 

 

だが、それを天一郎は決して逃さない。

 

「オラァッ!!!」

 

「ぐ!?」

 

その瞬間 背後から斬り飛ばされた天一郎の足が飛び出すと、そのつま先が無惨の背中へと突き刺さり、更に背後から迫っていた天一郎が無惨の頭を掴むと地面へと叩きつけた。

 

「ヒヒヒ…!!逃さねぇぞむざぁぁ〜ん!」

 

「くぅ…貴様はなぜ私に挑む!?運良く生き残ったのであれば日銭を稼いで生きていけばいいものを!!!今更正義感に目覚めたと言うのか!?戦役で何人も殺めた人殺しめがぁッ!!!」

 

「正義感?アハハハハ!!!正義感なんて〜アハハハハ♪」

 

「!?」

 

無惨の言葉に突如として天一郎は壊れた人形のように甲高い声で高らかに笑い出す。その笑い声はもはや常人の域を超えるほどであり、至近距離で聴いていた無惨は予想外のあまり驚きの表情を浮かべる。

 

 

その一方で笑い終えた天一郎はニヤリと笑みを浮かべながら答える。

 

「そんなのただの建前に決まってるじゃないですか〜♪貴方を殺したくて殺したくて堪らないんですから♡貴方を殺すためなら私は何だってやりますよ〜♪」

 

「ぐぅ!?」

 

天一郎のその恐ろしき復讐への執着心に無惨は嫌悪感を覚える

 

 

「あと無惨…貴方はさっきから人の事を異常者異常者と言いますが_____

 

 

 

 

 

____安易に殺す貴方もその部類ですよ」

 

 

「黙れ!!!」

 

その言葉に無惨はすぐさま払い除ける様に触手を振り回した。

 

「離れろ!!!」

 

「おおっと〜」

 

その振り回された触手を天一郎はすぐさま飛び退く形で退避し、無惨から距離を取る。

 

「アハハのハ〜死なないのに距離取っちゃいましたよ〜」

 

「ハァ…ハァ…ハァ…!!」

 

相変わらずケラケラと笑いながら再び天一郎は戦闘体制を取り、そんな彼を無惨は息を切らしながら睨んだ。

 

 

「……ん!?」

 

 

そんな中であった。無惨はある違和感を覚えた。それは、自身が息切れしている事だ。

 

「(なぜだ!?なぜこうも短時間で息切れを起こす!?奴との戦いであれこんなにも早く来る筈などない…!それになんだ…?身体が少しずつ重く感じられる様になったぞ…!?)」

 

息切れだけではない。自身の身体がいつもよりも鈍く、体重も重く感じられる様になっていた。まるで『老化』しているかのように。

 

 

そんな中、その様子を見た天一郎はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「あれ?気づいちゃいましたか?貴方の吸収した薬…分解されたら凄い効果が立て続けに起こる様に作られてるんですよ?」

 

「なに…!?」

 

「貴方が人間化の薬を分解する事を珠世さんは予測していました。なので分解された場合は即座に別の薬が作用するようになっているんです」 

 

「あの女狐めぇ…!!!貴様と同じ私の邪魔ばかりしおって…ッ!!!」

 

 

 

その時であった。

 

 

__カァー!!カァー!!夜明ケマデ二十分!!夜明ケマデニ十分!!

 

 

「!?」

 

更なる情報を伝えるかの様に上空を旋回していた鎹烏が日の出までの時刻を知らせる。

 

その知らせを聞いた無惨は今まで見せたことがない程にまで冷や汗を垂れ流し焦り始める。

 

「さぁ無惨…最後の勝負といきましょう。ここからはもう殴る蹴るだけじゃないですよ。“ぶった斬る”も追加です!!」

 

すると 天一郎の横に一つの影が降り立つ。そこには僅かながらも傷を回復させた炭治郎の姿があった。

 

 

「な…!?なぜだ!!竈門炭治郎には何倍もの量の血を注いだ筈だぞ!?」

 

「分かってないですね〜それも珠世さんは予測してたんですよ〜。珠世さんの開発した血清によってあら不思議!貴方の血もこ〜んな感じで解毒出来ちゃうんですよ〜♪」

 

「あの女狐がぁぁぉ!!!!どこまで私の邪魔をすれば気が済むのだぁぁぁ!!!!!!」

 

 

天一郎の説明と用意周到すぎる珠世に遂に無惨はその場で今まで以上に激昂の叫び声を上げる。

 

それに対して天一郎と炭治郎は背中を合わせるかの様に拳と日輪刀を構える。

 

「行きますよ炭治郎くん!!」

 

「はい!!!天一郎さん!!」

 

 


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