とある隠の奮闘が鬼舞辻無惨を苦悩に落とす。   作:狂骨

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その隠 ????

 

山の間から昇った太陽の光がその場を照らしていた。宿敵である無惨の肉体は焼けて灰となり、空気へと溶けて変えていく。

 

そして、それを見つめる先には輝く太陽の光を背に立つ天一郎の姿があった。

 

「義兄さん!」

 

その姿を見たカナヲが驚く中、太陽を背に立っていた天一郎は笑みを浮かべた。

 

「よかった…義兄さん…!!」

 

「天一郎ざぁぁぁぁん!?」

 

「うわぁぁぁあん!!!筋肉チビぃい〜!!!生きてた〜!!」

 

「えぇ!?」

 

天一郎の生存にカナヲは喜び駆け寄ろうとすると、それよりも早く炭治郎と善逸が飛び出し彼の元へと駆け出していった。

 

「アイツら…まだあんなに元気なのか…」

 

「ハッ。ほっといてやれ…」

 

その様子に伊黒や実弥は呆れる中、他の柱や隊士の皆も歓声を上げていった。

 

無惨の討伐。鬼殺隊が創設されてより1000年。ついにその目的が果たされたのだ。

 

「やったぁぁぁ!!!」

 

「倒した!無惨を倒したぞぉおおお!!!」

 

「うぉおおお!!!」

 

周囲にいる隊士達は歓声を上げ、隠達も涙を流しながら隊士達を治療し始めていく。

 

 

そんな暖かい空気の中、カナヲも目元から涙を流しながらも笑みを浮かべた。

 

「よかった…終わったよ姉さん…!!……あ、」

 

 

すると、何故だかまたまた身体がモヤモヤし始め、天一郎に撫でられたい要求が出てしまう。

 

「(義兄さんに撫でてもらお)」

 

そう思いながらカナヲは天一郎の元へと向かおうと駆け出した。

 

 

 

その時であった。

 

 

「……ッ!!!」

 

突如として足が止まると同時に全身に寒気が走った。

 

「なに…この感じは…胸の奥が冷たい…寒気も止まらない…」

 

まるで何かが起きる予兆であるかのように全身が震えてしまう。一体何が起きるのか?間違いなく良いものとは言えないだろう。

 

そして、カナヲが天一郎へと目を向けた時であった。

 

「…え?」

 

カナヲは固まると共にすぐさま自身を襲った悪寒の正体が分かった。

 

見れば駆け寄ってくる炭治郎達を出迎えるように立っていた天一郎のその目は__________

 

 

 

 

 

 

 

 

___________無惨のものであったのだ。

 

 

「炭治郎逃げて!!!ソイツ義兄さんじゃない!!!」

 

「…え?」

 

カナヲの叫び声が炭治郎に届いたその直後であった。

 

 

_____ッ!!!!

 

 

「が…!!!」

 

天一郎の足が振り回され、炭治郎の身体をその場から家屋へと叩きつけた。

 

「炭治郎!!!…がはぁ!?」

 

そして天一郎の身体は今度は拳を握り締め、同じく駆け寄ってきていた善逸の腹を殴りつけると、炭治郎と同じく家屋へと吹き飛ばした。

 

「むむ!?竈門少年!!我妻少年!!!」

 

「炭八郎!!紋一!!!」

 

伊之助と煉獄がすぐさま駆け寄る中、その騒ぎに一同全員もその場へと目を向けた。

 

「ぐぅ…!?」

 

壁へと叩きつけられ、煉獄に肩を貸してもらいながら立ち上がる中、炭治郎は天一郎から異様な匂いを感じ取った。

 

「こ…この匂い……まさかお前は…!!!」

 

忘れるはずもなかった。なぜならばつい先程までこの場にいた鬼の始祖の臭いなのだから。

 

 

そして 全員の目が向けられる中、太陽を背に立っていた天一郎は笑みを浮かべた。

 

「ふはははは!!!!やったやったぞ!!まさか本当に成功するとはな!!」

 

その声はいつもの天一郎であったが、その声色は彼とは全く違い全てを見下す傲慢さと残虐性、冷酷性が入り混じった恐ろしい声であった。

 

その声に炭治郎は叫ぶ。

 

「なんでお前が天一郎さんの中にいるんだ!?無惨ッ!!!!」

 

その声に天一郎___否、無惨は振り向き冷酷な笑みを浮かべる。

 

「簡単な事だ。私の細胞を大量に食わせてコイツの身体を乗っ取ってやったのだ。皮肉なものだな。私を殺すために得た力を、まさか利用されて乗っ取られるとはな」

 

 

その時であった。無惨の周囲に治療中であったにもかかわらず柱達が現れた。

 

「無惨はまだ生きているぞ!!!上坂隊士の身体の中でだ!!」

 

「テメェ!!!よりにもよってソイツの身体に乗り移りやがったのかぁ!?」

 

悲鳴嶼の叫びに周囲に立っていた隊士達は起き上がり、実弥も憤怒の表情を浮かべた。

 

周囲を柱が包囲する中、その中心に立っていた無惨は周りを見渡す。

 

 

「ほぅ?貴様らもまだ起き上がるか。だが_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________手負いの貴様らなど簡単に殺せる」

 

 

 

 

その瞬間

 

その場に立っていた柱全員が吹き飛ばされた。

 

「ぐ!?」

 

「きやぁ!!!」

 

「がぁ!」

 

無一郎、甘露寺、実弥が天一郎の蹴りによって吹き飛ばされ、近くの家屋へと叩きつけられ、更にそれに続くように悲鳴嶼達も蹴り飛ばされていった。

 

 

「嘘だろ……いま…何をしやがったんだ…!?」

 

伊之助の肩を借りながら立ち上がっていた善逸はその惨状に顔を真っ青にさせる。

 

その一方で、柱達を一掃した無惨は天一郎の拳を何度も握り締めていた。

 

「今まで使い慣れてきていた身体と比べると感覚が鈍い…だが、それでも太陽を克服している上に身体の強度は全盛期の私…いや!それ以上となる完璧な肉体だ!!しかも私の細胞を取り込んだ事で更に進化している!!実に素晴らしい!!今まで嫌っていた変化というものがここまで素晴らしいものだったとはな!!!」

 

そして、歓喜の声を上げた無惨は柱達が吹き飛ばされていった光景を見つめながら唖然としている炭治郎達へと目を向けた。

 

「次は貴様らだ。安心しろ…時間はたっぷりとある。ここにいる全員…時間を掛けて嬲り殺しにしてくれる…ッ!!」

 

 

 

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