_______by K.Rさん
「えっほっえっほっえっほっと。着いた〜」
あれから数十分後。天一郎達は炭治郎を背負いながら無事に蝶屋敷へと到着した。
「はぁ〜…怖かったぁ…お前ぇ!!柱の前でなにやってんだよ!!もう少しでチビるところだったじゃねぇかあ!!」
「べふぅ!?す…すみませ…ん」
後藤は涙を流しながら炭治郎の顔をペムペムと叩く。それに対して炭治郎は頬を腫れさせながら謝罪した。
「まぁまぁ、裁判も終わったんですから。気持ち切り替えていきましょうよ」
「お前…よく冷静でいられるな…」
「え?なにが?」
「いや、なんでもねぇ…」
天一郎の言葉に後藤は返す事さえ無駄なのか、無理やり話を終えた。
「えっと、お二人は古い知り合いか何かなんですか?」
そんなやり取りを見ていた炭治郎は不思議に思ったのか天一郎へと尋ねた。それに対して天一郎は頷く。
「えぇ。私と後藤さんは同期でしてね。年も同じなんですよ。同じ隠として長く勤めてきたので私にとって数少ない友人です」
「そういうことだ」
天一郎が答えると、後藤も同調するかのように返事をする。
それから、蝶屋敷の門を潜ると、入室の許可を得るために屋敷の関係者を探すために、横にある庭へと来た。
するとそこには多くの蝶の内、一匹を指の上に乗せるようにして戯れている一人の女性隊士の姿があった。
「あの子は…最終選抜の時の…」
「あぁ。あの人は継子な」
「継子…?」
後藤の説明に炭治郎が首を傾げていると、天一郎は説明した。
「柱が選んで弟子にした剣士の事です。彼女は蟲柱『胡蝶しのぶ』様の継子である栗花落カナヲ様です」
「成る程…」
天一郎の説明に納得したのか、炭治郎がカナヲと呼ばれた少女を見つめた。
そんな中で、天一郎は早速近寄り、彼女に入室の許可をもらうべく尋ねる。
「少しよろしいですか?」
天一郎が声を掛けると、その少女は指に蝶を乗せたまま静かに振り向くと、指を向けた。
「死んだ魚の目の人…」
「否定しませんけども、その呼び方やめてください」
「……死んだ魚」
「いやそれもうただの魚」
そんなカナヲとの軽いやりとりをしていると、
「どなたですか!?」
「「「!?」」」
背後から大きい声が聞こえ、その声に3人は驚き振り向いた。
振り向くとそこには青い髪を左右に纏めており、やや鋭い目を向けている女性隊士が立っていた。
「え…いや、その!!」
「落ち着いて後藤さん」
慌てふためく後藤を宥めると、天一郎が代わりに話す。
「隠の者です。蝶屋敷の家主である胡蝶しのぶ様から竈門炭治郎くんを運び込むよう命をうけ、来ました」
「成る程…分かりました。どうぞこちらへ」
◇◇◇◇◇◇
その後、案内の元、天一郎は後藤と共に中へと入り、無事に炭治郎をベッドへと寝かせた。
「それじゃ、俺たちはそろそろ行くよ」
「頑張ってくださいね炭治郎君」
「はい!運んでくれてありがとうございました!」
炭治郎へと後藤と天一郎がそれぞれ言葉を掛けると、寝室の出口へと向かった。
そんな時であった。
「あら、隠の方ですか。お勤めご苦労様です」
出口の所から、すれ違うように黒く長い髪を蝶の髪飾りで束ね、白衣を纏った女性が現れた。
その女性は自身らを見ると笑みを浮かべながら会釈する。その笑みは一般の女性よりも美しく、見た者を魅了してしまうほどであり、それを見た後藤はアタフタしてしまう。
「え!?あ、ど…どうも!!」
「後藤さん緊張しすぎですよ」
「だってよ………ん?」
女性の笑みに緊張した後藤を天一郎が宥めると、後藤はある事を思いついたのか、その場で天一郎の肩を掴む。
ガシッ
「お前、しばらくここにいろ」
「え?なんで____」
「いいからいろって言ってんだろぉ!!この無自覚者がぁ!!!」
そう言い叫びながら後藤はソソクサと出ていくと、帰り際にヒョコッと顔を出して言い残した。
「いいな!絶対しばらく動くなよ『天一郎』!!!」
それから玄関の扉が閉まる音が聞こえたのを最後に、辺りは静寂に包まれた。
「どうしたんでしょう後藤さん…」
その様子を不審に思いながらも天一郎は自身も去るべく現れた女性へと会釈しようと、彼女の方へと顔を向けた。
「すいませんね私の同期がご迷惑を。………あれ?」
先程の後藤の行動について、謝罪をしようと振り向いた。だが、見れば女性は瞳を震わせながら口元に手を当てていた。
「あの…どうされました?」
天一郎が恐る恐る尋ねると、その女性は何かを思い出すかのようにゆっくりと近づいてくる。
「その声…その目…そして名前も……やっぱりそうだわ!!」
「え?」
その瞬間___
_____女性は手を大きく広げながら天一郎へと迫ると、そのまま天一郎へと抱きついた。
「「「ええええええ!?」」」
女性の行動に背後で寝ていた炭治郎、善逸、そしてアオイの声が重なりながら響く中、抱きつかれて天一郎も顔を真っ赤に染めながら慌てていた。
「えぇ!?いや…あの!!!何ですか!?何ですか一体!?」
「うふふ。覚えてませんか?」
天一郎が戸惑っていると、抱きついた女性は微笑みながら自身の顔へと指を向けた。
「4年前…貴方に命を救っていただいた胡蝶カナエです!」
そして、その女性はすぐさま天一郎の手を掴むと、その場から引っ張り出した。
「さぁ今すぐ私の部屋に来てください…!!話したいことが10個…いや100個くらいあるので…!!!」
「いやぁああああ!!!!助けてぇえええ!!!何この人こわぁぁぁあい!!!!」