朝日が差し込む中、その倒壊した建物の大きな日陰の中で炭治郎、杏寿郎、甘露寺、実弥は突如として動かなくなった天一郎の四肢を押さえ込んでいた。
そしてその目の前ではそれを見守るカナエとしのぶ、カナヲと、天一郎の身体を検査する珠代の姿があった。
「珠代さん!何とかなりませんか…!?」
「……」
炭治郎の言葉に珠代は冷や汗を流しながら首を横に振る。
「難しいです…無惨の肉片を大量に取り込んでいるために無理に治療すれば天一郎さんの身体がもちません…」
「そんな…!!」
「ですが」
炭治郎や皆が絶望に染まる中、珠代はそれを否定し、懐から薬を取り出すと天一郎の腕へと投与した。
「この方は今まで何度も規格外の力で全てを蹴散らしてきました…この方ならあるいは…!!」
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「無惨…ここにいるのは貴様だけではないぞ」
精神世界の中で、カナヲへと振り下ろされようとしたその腕を止めたのは、長年、無惨に仕え始末された上弦の壱『黒死牟』___
____否、元始まりの剣士が一人『継國巖勝』であった。
「き…!?貴様…!!!なぜここに…!!」
「この者に注いだのは私の血…貴様のみならず、私の血液も混じっているのだ。いてもおかしくあるまい」
「く…死してなお私の邪魔をするのか!?まさか今更罪悪感にでも蝕まれたのか!?貴様がここで私を討ち取ったとしても!!貴様に殺された者達の恨みは消えんぞ!!!」
「……そうだ。私は己のために貴様に降り、お館様の首を切り、鬼殺隊を裏切り緑壱が追放される一因を作った。私は多くの者達の命を斬り伏せた。そして_____」
すると、巖勝の腕が刀を握り締めるとゆっくりと引き抜き、その刀身を無惨へと向けるようにして構えた。
「____貴様をも裏切った私はもはや武士__否、人間の風上におけぬ歪な存在…なればれこそ私は巖勝として本心から動けるというもの」
「恩知らずめが…ッ!!!」
「参る」
その瞬間
「がぁ…!!」
無惨の全身が切り刻まれ四肢が宙に舞った。
月の呼吸___壱ノ型 【闇月宵ノ宮】___ッ!!!!
「ばかめ…!!!この程度でこの私が消えると思っているのか!?」
「知っている。貴様はゴキブリ以上にしぶとい。これは私個人のケジメだ…」
そして黒死牟は背を向けるとただ一言口にする。
「後は貴様だ。思う存分にやるといい」
「…は?」
その言葉と同時に
「おい。私の大事な妹に…何してんだテメェ…!!!」
「!?」
背後から聞こえた声と共に無惨の顔が歪み、その場から吹き飛ばされた。
「グハァ!?こ…この拳は…まさか…!!!」
吹き飛ばされた無惨が着地し、自身がいた場所へと目を向けると、そこには死んだ筈の天一郎の姿があった。
その姿を見た無惨は額に筋を湧き上がらせる。
「おのれ…おのれおのれおのれおのれおのれぇええええええ!!!!」
そして、すぐさま体勢を立て直すと拳を握り締めながら天一郎へと駆け出していった。
「貴様はもう死んだのだ!!さっさと地獄へ堕ちろ化け物めがぁぁ!!!!!___
____ガハァ!?」
「黙れ腐れ外道がッ!!!!」
その瞬間 無惨の顔面に天一郎の拳が深く突き刺さり陥没する。
「これは皆を傷つけた分」
「お…おの…ぐべりぁ!?」
次は頬が深く沈み込む。
「これは私の家族を殺した分___
____そして!!!」
その言葉と共に天一郎の両手が無惨を捉えた。
「これが私の妹に手を出した分だ…ッ!!!!!オラァッ!!!」
その言葉と同時に無惨の頬へと無数の拳が放たれた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
そのラッシュは止まる気配を見せない。再生しようとする無惨の身体を再生すらさせず次々と身体を歪めていった。
そして
「とっととくたばれクソ野郎がッ!!!!!」
___!!!!
最大限に握り締められたその拳の一撃が無惨の顔へと放たれ、彼の身体をその場に叩きつけたのであった。