バカとクズは使いよう。   作:枕魔神

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【Side吉井明久】

 

 翌日、もうすぐ憎きBクラスとの試召戦争が再開するという大事な時に、僕と晴楓はDクラスの教室で対峙していた。

 

「いい加減お前のバカさ加減にはウンザリしてたんだよ明久」

「それはこっちのセリフだド屑やろう!」

 

 睨み合う僕等の空気は一触即発、誰の目から見ても喧嘩してるようにしか見えない。

 今から始まろうとしているのは僕VS晴楓の召喚獣を介した模擬戦もとい喧嘩。

 当然過ぎる僕達の喧嘩に、立会人をお願いした現国の高橋先生が戸惑いの声を上げる。

 

「いったいどういう事ですかこれは」

「決闘っす高橋先生、本当ならあのバカ面を直接殴ってやりたいっすけどそうもいかないんで、お願いします」

「僕からもお願いします! 今ここではっきりさせないと今後の勉学に影響が出ます! 絶対に! だらか召喚許可を!」

「ですが態々Dクラスの教室でやらなくとも」

 

 そう言う高橋先生の意見は最もだけど、他に場所がない、だってFクラスの教室で決闘は無理なのだがら。

 

「先生も見たでしょ、何故か荒らされまくったFクラスのボロ教室。ただでさえ廃墟まっしぐらなのにあんな状態で俺等が暴れまくったら教室ぶっ潰しますよ」

「そもそも喧嘩は良くないのですが」

「それは僕達も分かってます! けれどやらないと駄目なんです! 日頃から散々酷い目見せられて、僕も我慢が限界なんです!」

 

 僕と晴楓は高橋先生に有無を言わせぬ勢いで懇願する。僕達の真っ直ぐな視線に当てられた先生は、難しそうな顔を「はぁ」溜息を吐いて崩し、「仕方ないですね」と言葉を続けた。

 

「確かに拗らせて直接的な喧嘩になるよりマシですし、これも男子同士の友情の一つと言えるかもしれません……承認します!」

 

 その先生の一言で教室内に召喚フィールドが張り巡らされる。

 よし! これで召喚ができるぞ!

 

「謝るなら今のうちだよ晴楓。Bクラス戦前に点数を減らしたくないでしょ?」

「はっ! 今更何を言うかと思えばくだらねぇ、Bクラスより今はテメェをブチのめしたい気分だぜ」

「奇遇だね、僕もだよ」

 

「「試獣召喚ッ!!」」

 

 現国

 Fクラス

 吉井明久 62点

 VS

 Fクラス

 楠木晴楓 415点

 

 この声に同時に呼び出される僕と晴楓の召喚。学ランに木刀の弱々しい僕の召喚獣とは裏腹に、晴楓の召喚獣は神主の様な白い袴を身に纏い巨大なパチンコを持っていて、その腕には金色に輝く腕輪が装備されていた。

 その力の差は歴然、晴楓の召喚獣の攻撃が掠っただけでも僕には致命傷だろう。

 だけど引く事は出来ない、僕には絶対にやらなくちゃいけない事があるんだ!

 

「覚悟は良いか明久ァ!!」

「バッチコイだよ晴楓ッ!!」

 

 そう叫び、僕は晴楓に向かって駆け出す。勢いをつけて高くジャンプ、そのまま晴楓の【巨大パチンコ】めがけてダイブした。

 その僕の突飛な行動に晴楓は戸惑いもせずに、ニヤリと笑う。

 

「よっしゃ! 本邦初披露俺様の腕輪ァ!【お御籤】じゃあ!!!」

 

【特殊能力発動】

 楠木晴楓 415点→315点

 

 晴楓の召喚獣の腕輪が光輝き、背後にでっかい趣味の悪い金色をした御籤筒が出現する。

 まるでバラエティのセット見たいなその御籤筒はガシャガシャとお馴染みの大きな音をたてて一本のくじを吐き出した。

 

 【大吉】

 

 そう朱色の文字でデカデカと書かれた一本のくじ。そのくじが光り輝き消滅すると同時に、晴楓の持つパチンコがさらに大きく、屈強なものへと変化する。

 

「来た来た来た来たぁ! 激アツ勝ち確演出に脳汁ダバダバじゃぁ!」

 

 興奮抑えきれぬ様子の晴楓がそう叫ぶ。

 

「いくよ! 晴楓ッ!」

「こいや! 明久ァ!」

 

 僕の召喚獣が、勢いよく晴楓のパチンコの装填部分に着地してゴムがギリギリと伸びきる。

 その勢いにパチンコを持っていかれないようにグッと堪えながら、Dクラスの壁……正しくはその向こうに居るであろう根本くんに標準を合わせる晴楓。

 Dクラスの人に頼んでBクラスの室外機を壊してもらったから、根本くんは涼むために確実に窓際に居るはずだ。

 

(絶対に根本くんを)

(ぜってぇに根本の野郎を)

 

「「ぶっ倒すッ!!」」

 

 喧嘩でバラバラになってるように見せかけて、最初っから僕達の気持ちは一つだった。僕は姫路さんのため、晴楓は島田さんのため、それぞれの大事な人の為に僕達は全力を尽くす。

 

 雄二から与えられた根本くんへの奇襲の指示、点数が低く弱い僕がどう足掻いても、Bクラスの奥に鎮座するであろう根本くんの不意をつくことは正当法では考えつかなかった。

 なので僕は晴楓の知恵を借りる、正面から突破出来ないなら、裏から突破すればいいじゃない。壁? 壊せばいいじゃない。

 

 作戦名【実弾(ボール)は友達(物理)大作戦】

 

 マリー・アントワネットと翼くんもビックリのトンデモ自己中作戦をノータイム&無表情で思いついた晴楓は悪魔だとは思うけれど、その悪魔の案に今回だけ覚悟を決めて僕も乗じる。

 

「歯ァくいしばれや明久ァ!」

「外すなよ晴楓ァ!」 

 

「「喰らえっ! 合体技!! ゴムゴムのぉスリングショットォ!!」」

 

 バチンっと大きな音をたててパチンコが弾かれる、瞬間加速する僕の召喚獣は、自分で操作するにはありえない速度とありえない威力で、真っ直ぐに壁に叩き付けられる。

 

「ぐぁああ!!!」

 

 召喚獣のフィードバックによる痛みで断末魔を上げ倒れ込む僕、全身が砕けるようだったけど、これでいいっ!

 

 ドゴォオオオオ!! 

 

 僕と晴楓の凄まじい攻撃によって、壁は豪快な物音をたてて崩壊したのだから。

 

「…………あとは、頼ん……だ、はる……か……」

「おう、任せとけ」

 

 Fクラス

 吉井明久 0点

 

   ◇

 

【Side楠木晴楓】

 

 俺は激怒した。必ず、かのクズで邪智暴虐で性格悪くてクズでナルシストでキノコなクズのBクラスの王を除かなければならぬと決意した。受けた屈辱的な借りは必ず千倍にして返すと心に決めていた。

 

 なので昨日の放課後から鉄人・ザ・ブートキャンプ&徹夜をして無理くり手に入れた俺の努力の結晶である金の腕輪の特殊能力と、微力ながらの明久の尊い犠牲のおかげで、俺は根本の喉元を狙う場所までやって来れた。

 

「何事だっ!」

 

 根本の驚愕の声とBクラス連中のざわめきが聞こえる。無理もない、突然壁が壊れたらだれだってそうなる。それでこそ犠牲を払ったかいがあるってもんよ。

 

「今だ! 全軍突撃ィ!!」

 

 壁の崩壊を合図に、打ち合わせどおり雄二の号令が飛ぶ。その声に合わせて俺は、明久の屍を超え、立会人の高橋先生を連れて空いた穴から混戦状態となっているBクラスの教室へと攻め込んだ。

 

「畜生ッ! 壁を壊すだなんて一体何考えてんだ!? 馬鹿なのか!?」

「ざんねぇん、馬鹿だけじゃなくてクズも原因だぜ!!」

「なっ!! 楠木ィ!!」

 

 雄二の予想通り窓際にいた根本が驚きの声を上げる。

 

「御礼参りじゃクズキノコォ!」

「くっ! やっちまえお前ら!!」

 

「「「「試獣召喚」」」」

 

 根本の取り巻き、昨日の美波を攫いやがった奴らが、根本の奴を囲うかのように召喚獣を繰り出す。昨日情けない姿を晒した俺が悪いが、奴らの表情には壁を破壊された驚きはあっても、まだ余裕が見え隠れして俺を見下してることがバレバレだ。万全の俺と昨日の俺を一緒にするんじゃねぇぞ!

 

 現国

 Fクラス

 楠木晴楓 315点

 VS

 Bクラス

 男子生徒A 210点→0点

 男子生徒B 198点→0点

 男子生徒C 238点→0点

 

 【お御籤】で強化されたままのパチンコで、召喚されたそばからヘッドショットをしていく俺。あっという間に取り巻きの点数は消し飛んだ。

 

『馬鹿なっ! 腕輪だとっ!?』

『クズごときが! なんでっ!?』

「俺がちょっと努力すればこんなもんよ! さて、頼みの取り巻きは消えたし、次は貴様の番だクズキノコッ!! 」

「偉そうに! 俺を舐めるな楠木ィ!!……試獣召喚ッ!!」

 

 現国

 Fクラス

 楠木晴楓 315点

 VS

 Bクラス

 根本恭二 283点

 

 振りかぶられる根本の大鎌を、パチンコで今度はしっかりと受け止める。ガキッンと激しい金属音が鳴り響き、ギリギリと鍔迫り合い状態となった。

 

「いい加減諦めたらどようよ根本っ!」

「バカ言え! そっちこそ昨日大人しく殺られれば良かったものをっ! どうせお前らは底辺のFクラスっ! どんだけ頑張ろうとも全部無駄なんだよっ! 」

 

 そう言って薙払われた鎌、俺は根本と距離を置く事で回避する。

 

「何もかも気に食わないんだよ……。なぁ楠木、お前なんで俺の誘いを断った」

「何度も言うけど、テメェの下に付くぐらいなら死んだがマシだね」

「そういう事じゃないっ! 俺が言いたいのはなんで態々Fクラスなんぞに落ちたって事だ!!」

 

 そう激昂する根本、俺は黙って奴の言葉の続きを聞いた。

 

「お前の学力でFクラスな訳がない、つまりワザと点数を落として、自ら望んで底辺クラスに入りやがっただろう!」

「それが? どうかしたかよ根本」

「気に入らないんだよ! お前のそのクラスなんてテストなんてどうでもいいって態度が!!」

「俺はどんな手を使ってでも勝ちたい、点数が欲しいッ! 俺はお前もそうだと思ったさ! 目的の為なら手段を選ばずに狡猾になれる、お前はそう言う男だと! お前と組めば学校を牛耳ることだって出来ると疑わなかった! お前がFクラスに入るまではなぁ!!」

「そうやって自分から強さを放棄し、馬鹿とつるんで大人しくしてるならまだ許せたさ。けど、お前等は馬鹿のくせして俺等に勝負を挑み、あまつさえ勝てるなんて幻想を抱いてやがる」

「認めるわけ無いだろそんなふざけた事! だから俺はっ! お前を叩き潰して俺が正しいって証明するっ!」

 

 今まで溜め込んできた鬱憤を晴らすかのように、そう叫び続けた根本は、肩で息を吐きながら俺を睨みつける。

 そんな根本に対して俺はこう言ってやる事にした。

 

「うるせーばぁーか」

「なっ!!」

 

 長々とどうでもいい事をダラダラ喋りやがって、常々クズのナルシストのキノコだと思ってたけど、まさかメンヘラも拗らせてたとは救えないやつだ。

 

「何勝手に仲間意識持ってやがんだ気持ち悪い、そんなんだから人望ないんだよお前は、勝手に人の事を知ったかぶりやがって、コミュ障か」

「う、うるさい!」

「キモいわ、マジでキモい。もう色々と言ってやりたいことあったけど言う気も失せるくらいキモいわ」

「キモいって言うな!!」

 

 いや、だってキモ過ぎるでしょうよ。

 要するに自分と似てると思った奴が居て親近感持ってたら全然違くて勝手に裏切られた気になってるメンヘラ野郎じゃん。周り見てみろよ、FクラスもBクラスも先生達も、漏れなく全員お前に引いてるよ、ドン引きだよ。

 

「気持ち悪い根本略してキモトよ、お前の気持ちは1ミクロンも理解できんし、どっちにしよ美波に手ぇ出したテメェに慈悲は無い。大人しく塵となれ」

「くそったれ! お前なんかに負けるかぁ!!」

「負けるんだよっ! お前は俺になぁ!!」

 

 俺に襲いかかってくる根本、それを迎え撃つ俺の召喚獣。

 

「お前言ったなぁ! 俺は目的の為なら手段を選ばずに狡猾になれるって!」

「あぁ言ったさ! 間違いだったらしいがな! 」

「それなぁ! 狡猾かどうかは知らねぇが俺は目的の為なら手段を選ばないつもりだぜ!?」

「どこがっ! それなら何でFクラスなんぞに自分から入ったぁ!」

「そんなん簡単な理由だぜ! 俺の目的、欲しいものがFクラスにあるからだぁっ!! トドメの! 【お御籤】ィ!!」

 

 その俺の詠唱で、出現する金色の御籤筒。

 

「美波の仇じゃ死に晒せ根本ボケェ!!」

「く、楠木ィ!!!」

 

 ガチャガチャと音が鳴り、一本のくじが吐き出された。

 

【大凶】

 

 キュイーン…………

 

 

 チュドオォオオオン!!!

 

 

 瞬間、俺の召喚獣が爆発四散。

 

 現国

 Fクラス

 楠木晴楓 200点→0点

 VS

 Bクラス

 根本恭二 197点→90点

 

『…………………………』

「…………………………」

「…………………………why???」

 

 当然の大爆発に静まり返るBクラス教室。全員状況を理解できてないみたいである、でしょうね、俺が一番理解できてないよ、まさか誰があの場面で自爆すると思うかよ。

 

「……全く、楠木は爪が甘い」

「戦死者は補習ゥ!!」

 

 そんないたたまれない沈黙を切り裂くのは、鉄人先生を連れて、上の階よりロープをつたって窓からやって来た我がFクラスの黒き変態諜報員。

 

「……試獣召喚」

「……は?」

 

 保健体育

 Fクラス

 土屋康太 483点

 VS

 Bクラス

 根本恭二 238点→0点

 

 二日間に及ぶ俺達とBクラスの試召戦争は、呆気ないがこれで幕引きとなった。

 

「畜生が! 爆発オチなんて最低じゃねぇかよ!!?」

 

   ◇

 

【Side吉井明久】

 

 目を覚ますとそこは美少女の膝の上でした。

 

「あ、目を覚ましましたか? 吉井君」

「ひ、ひひ姫路さんっなななにっ痛っ!!」

「無理しないでください! あんな無茶をしたんですから」

 

 慌てて飛び起きようとすれば、全身に痺れるような痛みが走る。

 流石に弾丸そのものになるのは無茶だったかなとは思うけど、全然後悔は無かった。むしろ目の前のこの娘の為に受けた怪我なら、何処か誇らしかったりもした。

 

 僕は今度はゆっくり怪我が痛まないように起き上がり、姫路さんに向き合う。

 

「それで、試召戦争はどうなったの?」

「はい! 皆が、吉井君が頑張ってくれたおかげで私達の勝利ですよ!」

「そっか! 良かった……晴楓は根本くんを倒したんだね」

 

 僕がそう呟くと姫路さんは気まずそうに視線を落として「いいえ」と言葉を続けた。

 

「根本君を倒したのは土屋君です」

「そうなんだ、じゃあ晴楓も根本くんにやられたんだね」

 

 あんなに頑張って島田さんの仇を打とうとしていた彼の無念の死を悔やもうとする僕を、またもや姫路さんは「いいえ」と否定する。今度はさらに気まずそうだった。

 

「楠木君はその……えっと…………一人で爆発しちゃいました」

「何それどういう状況?」

 

 そうツッコミを入れた僕に、姫路さんは丁寧に順を追って僕が気絶してからの出来事を説明してくれた。つまり完全に晴楓の自業自得、普段の非道な行いの結果だと僕は思う。

 僕は忘れない、僕をパチンコで撃ち放った時の晴楓の悪魔みたいないい笑顔を、作戦を思いついた時の楽しそうな晴楓の鼻歌を、後悔はして無いけれど気にしてないかと言われたら、僕は全力で首を横に降るだろう。

 

「そっか、ざまあみろだね。どっちも」

「で、でも! 戦争が終わってから楠木君、吉井君を心配してましたよ? 吉井くんが起きるまで様子見てて、首を寝違えたらいけないから膝枕でもしてあげてって私、楠木君にお願いされましたから」

「そっか、それはとてもありがたいね」

 

 本当にとてもありがとう晴楓。君のおかげで僕の頭部は姫路さんの太ももの感触を知る事が出来たよ。僕は速攻で手のひらを返した、持つべきものは空気の読める友だと心底実感した。

 

「それで? そんな晴楓は今どこにいるの? 補習室?」

「西村先生も流石に戦後対談が終わるまで待ってくれるみたいなんで、今はあそこに居ますよ」

 

 そう言った姫路さんが視線を向ける先には、根本くんを囲む晴楓と雄二を筆頭にしたFクラスの生徒達。今まさに対談が始まろうとしているのだろう。

 僕も姫路さんに支えられながらそこに混ざる事にした。

 

「お、起きたか明久」

「うん雄二、今から対談?」

「そのとおりだ。さて、明久も起きたことだし、嬉し恥ずかしの戦後対談といくか負け犬代表」

「…………」

「はっ! どうだ参ったかキモトめっ! おやおやおや? 一日前の勝者ムーブかましながらドヤってた君に見せてあげたい程の落ち込みようだねぇ!! ねぇどんな気持ち!? なぁどんな気持ちぃいい!?」

 

 教室に座りこみ、意思消沈させる根本くんに戦後対談を持ちかける雄二。

 そんな雄二に便乗して、煮え湯を飲まされた事と、納得の行く終わり方が出来なかった事のフラストレーションぶつけるかのように根本くんを煽り散らすのはお馴染みのクズだった。

 根本くんに全く持って微塵も全然同情はしないけれど、島田さんのことで見直しかけた人も居ただろうに、これで誰もが晴楓の事を「あぁ、そう言えばこいつクズだったな」と再認識しはずだ。どうしようもない奴だ、本当に。

 

「最後勝手に自爆したくせ元気だなお前は、少し黙ってろ」

「自爆しようが何しようが勝てば官軍なんだよっ! 俺の楽しみ奪うなよな雄二」

 

 むしろこの時の為に生きていると言っても過言では無いと言わんばかりの晴楓。そんな晴楓に呆れた視線を向けるは、雄二の護衛についてた秀吉と、根本を討ち取った功績者のムッツリーニ。

 

「最悪の趣味じゃな」

「……相変わらずのクズ」

「はっ! そのクズに負けたのがこのキノコくんだけどなぁ!?」

「根本くんが負けたのはムッツリーニにでしょ?」

「オールフォーワンってしってる? だから皆の手柄は俺の手柄でもあるんだよね。ワンフォアオール何それ? 知らんがな」

「「「「クズだ(じゃ)」」」」

「はっ! 知ってるわ」

 

 何時ものド屑節に対する僕等の正当なツッコミを、そう鼻で笑って開き直った晴楓は、根本の前にしゃがんで視線を合わせる。

 

「てな訳で賭けは俺の勝ちってことだな根本よ」

「……あぁ、クラス設備でも何でも持っていけばいい」

「そーしたいのは山々なんだけどよ、別にクラス設備は要らないんだよ。な、雄二?」

「あぁ、本当なら俺達のちゃぶ台をプレゼントしたいところだが、特別に免除してやってもいい」

 

 晴楓と雄二の言葉に、周りのFクラスは不平不満を垂れ、Bクラスは訝しげな声を上げる。当然だよね、事情をしっている僕だって勿体無いって思ってるし。

 

「落ち着けお前たち、前にも言ったが俺達の目標はAクラス、ここがゴールじゃない」

「……何が条件だ」

「流石腐ってもBクラス代表だな、話が早くて助かる。条件は一つこの後Aクラスに行って試召戦争の準備が出来てると宣言することだ。宣戦布告じゃなくて戦争の意思があると伝えるだけ、それだけでBクラスの設備は見逃してやってもいい」

「……まさか、それだけじゃないだろ?」

 

 そう言って疑りの視線を雄二に向ける根本くん、雄二はその視線に答えるかのように目の前の晴楓を指差す。

 さぁっとBクラスの人達の血の気が引いていく、このクズに彼等の今後の運命が握られたのだ、絶望するのも無理はなかった。

 

「ただAクラスを脅して終わりって、そんなわけ無いじゃんね根本。クソつまんねぇじゃんそんなの」

「あ、あぁ」

「色々卑怯な手を使ってくれたし、勝ったとは言え色々と鬱憤は溜まっているわけよ」

「……っく! なんだよ! はっきりといえよ!」

 

 ゆっくり追い詰めるかのような晴楓の問い掛けに我慢できなかった根本くんがそう叫ぶ。

 その言葉を聞いた晴楓は、ニコッといい笑顔をして「それならはっきり言うわ」と口を開いた。

 

「とりま制服脱ごっか、クズキノコ」

「なっ!?」

「そんでこれ着よっか?」

 

 鞄からフリフリのメイド服をドン!

 

「これ着て化粧して女の子になってAクラスに凸ろうか」

「ば、馬鹿なこと言うなっ! この俺がそんな巫山戯た格好するわけないだろっ!」

 

 当然の様に拒絶の意思を見せる根本くん。

 晴楓よ、いったい何処で仕入れたって言うのさそんなもの。

 

「この洋服はご覧のムッツリーニの提供でお送りしてるから安心安全、作りもしっかりしてる質の高い品だぞ」

「誰が安心できるか! 絶対に嫌だ!!」

「えー、しゃーねぇなぁ。じゃあ妥協案でこれな」

 

 鞄からマイクロビキニをドドン!

 

「なんじゃこりゃあ!!」

「マイクロビキニだけど? サイズはお前に合わせてあるからはみ出たりはしないはずだ。きっと多分ネイビー」

「そういうこと言ってんじゃねぇよ!? 誰が着るかこんな際どいもんっ!! こんなんなら設備交換の方がマシだ!!」

「あれも嫌だこれも嫌だって贅沢じゃね? お前が着ないなら他のやつに……」

 

 そう言って晴楓は周りにいるBクラスの男子生徒、主に根本くんの取り巻きの三人に視線を向ける。その眼はまるで獲物を狙う狐のように鋭く、味方であるはずの僕でさえも寒気がしたのだから、直接その視線を向けられたBクラスの男子達は生きた心地がしなかっただろう。

 邪魔するならありとあらゆる手を使ってお前らを(社会的に)殺す、そう物語っていた。

 

 そんな事を言外に伝えられた彼等は、自分が助かるためだけに速やかに行動する。

 つまり、怒れるクズに生贄の献上だ。

 

『安心しろ楠木! 絶対に俺達が根本に着せてやる!』

『マイクロビキニか!? マイクロビキニを着せればいいんだな!?』

「なっ!? やめろお前達!!」

『うるせぇぞクズキノコ!! お前を捧げないと俺等がクズにやられるんだよ!!』

「ぎゃああ!!!」

「あっははははは!!! ザマァ!」

 

 あっという間に取り抑えられ、制服をひん剥かれていく根本くん。その様子を本日最高の笑顔で喜ぶ悪魔。

 

「じゃ、ムッツリーニよ手筈通り頼む」

「……任された」

「なんの事じゃ?」

「なに、写真に撮ってグラビア作って弱みにすんだよ?」

 

 なんてこと無いようにそう言ってのけた晴楓に僕達は戦慄した、そんな世に出たら一発でアウトな弱みを作り出そうとしているのかコイツはと。

 

「別にネットに晒さないだけ優しい方だと思うけどね」

「そんな恐ろしい発想が浮かぶ奴に写真を握られる事自体最悪だろ」

「僕、本当に晴楓がFクラスで良かったと思うよ。敵に回すと恐ろしすぎる」

「……悪魔」

「徹底的じゃのう」

「え? もしかして根本に同情してる?」

「「「「いや全く全然?」」」」 

「だろ?」

 

 そう言って晴楓は根本くんに群がる人々の中から、剥かれた根本くんの抜け殻もとい制服を取ってきた。

 

「はい、明久の報酬。何に使うかは知らないけれど、使ったらちゃんと燃えるゴミに捨てておけよ」

「うん、ありがとう。そしてやっぱり君は最高にクズだね」

「最高の褒め言葉ありがとう、じゃあ俺は持ち場に戻るんで……ひゃははっ! ザマァ見晒せクソキノコォ! マイクロビキニの次は逆バニーじゃあ! 何安心しろ! 局部は隠してやるよぉ!」

「ちくしょお!!! このクズ野郎が!!!」

『うるせぇクズキノコだな! 黙らせようか?』

「悲鳴が楽しいんだろうがやめろ、だが仲間だからと手を抜くなよっ! 慈悲を与えたらどうなるか分かってんだろうなぁ!?」

『『『イエスッ! サーッ!!』』』

 

 クズは敵だったはずのBクラス生徒を統率して、根本くんをおもちゃに遊びだす。

 よほどストレスが溜まってたのだろう、彼の暴走はもはや誰にも止められない。

 そう、一人を覗いては。

 

「楽しそうだな楠木」

「そっすね鉄人先生! いま最高に生きてるって感じっす!!」

「そうか! そんなに元気なら補習にも身が入るだろう!!」

「そっすね!! ………………あ」

「零点になった戦死者は補習ゥ!!!」

「そうだったぁ!!」

「忘れるなんて晴楓は馬鹿だなぁ!」

「吉井っ! 何を言ってる貴様もだ!」

「そうだったぁ!! ひぇええ!!」

 

 今まで待機していた鉄人が流石に見逃せないと晴楓と僕の首根っこを引っ掴んで引きずっていく。ドナドナされる家畜の気持ちってこんな感じなのだろうか、できる事なら一生知りたくなかった。

 

「壁を壊した罰も含めてしっかりと絞ってやる! 覚悟しろ!!」

「いやだぁ! せっかく勝ったのに補習なんてぇ!」

「畜生ぉ!! まだ煽りたりねぇ!! くっ、ムッツリーニ! 写真は任せたぁ!」

「……報酬分の働きはする、任せておけ」

「この流れ、テンプレ過ぎて安心するのぉ」

「……だな」

 

   ◇

 

【Side楠木晴楓】

 

 鬼の補習は日が暮れるまで行われた。ふらっふらに成りながら夕暮れの校舎を歩くゾンビ2体。そう俺と明久である、おぼつかない足取りで歩くその姿は勝者には程遠いくらいグロッキーだった。

 

「まさかこんな時間まで拘束されるなんてね」

「だな、人っ子一人残ってねぇぞ」

 

 しんと静まり帰った廊下を、上履きの音を響かせ教室まで向かう。

 本当に地獄だった、壁を壊した事への説教も相まっていつもの5倍は辛かった。

 ちくしょう、あそこで大凶じゃなく他の籤だったのなら補習は回避出来たはずだ、明久だけを鉄人先生の餌食に出来たはずだ。ちくしょう。

 

「てかよ、鉄人先生の補習って体罰ギリギリだよな、コンプライアンス的に大丈夫なわけ?」

「そんなの関係ないよ晴楓、だって鉄人は僕の召喚獣に躊躇なく鉄拳制裁を振るうゴリラだよ?」

「……お前フィードバックあんのにな」

 

 鉄人先生の恐ろしさに二人して恐怖していると、見慣れたボロ教室に到着。今日は色々あって本当に疲れたからさっさと荷物を取って帰ろう、そうしよう。そう思って俺は立て付けの悪い扉を開く。するとそこには俺等の予想に反して一人の生徒がまだ残っていた。

 

「あれ? 姫路さん、まだ帰ってなかったんだ」

「あ、吉井君! それに楠木君も、補習お疲れ様です」

 

 俺達が、いや明久が入ってきたのを確認するやいなや、晴れやかな笑顔で出迎えてくれたのは姫路瑞希。教室には彼女しか残っていない、様子を見るに明久を待ってたのだろう、俺はなるほどなと納得。となれば、邪魔者は退散するに限るわけだ。

 

「んじゃ、俺疲れたから帰るわ」

「あれ? もう帰るの?」

「おう、俺は空気が読める系のクズなんでね」

 

 そう告げてちゃぶ台の上に置いてたカバンを回収する。即帰ろうとする俺を不思議がる明久の隣では、俺の真意に気が付いたのか姫路が少し顔を赤らめて申し訳無さそうにしていた。

 明久がいい思いをするのは気に食わんが、態々放課後の教室で一人で待ってた乙女のいじらしい思いを無下にするほど、俺の性格は捻れ切れて無い。

 

「それにこれで調子に乗ったら日を改めて断罪すればいいだけだからな」

「何その不穏な独り言!?」

「んにゃ気にするな、それじゃあお二人さんいい週末を」

 

 姫路の為に一応気絶するほど頑張ったんだ、せいぜい頑張ったぶんの報酬を受け取るといい。楠木晴楓はクールに去るのだった。

 

   ◇

 

「……あ、やっと出て来た」

 

 帰路に向けて夕焼けに照らされながら校門を抜けると、そこには門に寄りかかるようにして美波が立っていた。俺と入れ替わりで補習室から開放されてたから、実にあの時以来の再会である。

 

「何でお前も待ってんの? 美波さんよ」

 

 まさかの待ち人に俺はそう問いかける。

 

「別に、特に理由は無いけど」

「理由がねぇのにこんな時間まで外で待っとくなよ」

「だって教室は瑞希が吉井を待ってるっぽかったし」

「あー気を使ったのね、なら尚更さっさと帰ってれば良かったのに、外は春と言っても風邪引くぞ」

「なによ、理由がなきゃ一緒に帰っちゃ駄目なの?」

 

 そう言って拗ねた様に頬を膨らませ、ジト目を向けてくる美波。その仕草にグッと来ないと言ったら嘘でしかないが、正直今はそんな事よりも、どちらかと言えば気まずさが勝ってしまう。

 なにせ調子乗ったことが原因の油断で助けてやれなかった上に、仇は任せろと啖呵きって勝手に自爆したダサい男が今の俺だ。うん、自分で言ってて凄く情けねぇな。

 

「えーっと、とりあえず土下座すればいいか?」

「あの話の流れで、どうしたらとりあえず土下座しようとするのよ!?」

 

 情けなさが限界値に達しようとした結果、気がつけば片膝折れてた俺を、美波は必死で止めに入る。

 

「いや、俺のせいで美波戦死したし、その上約束の仇取れなかったからさ。ここは土下座して踏んでもらって手打ちにしてもらおうかと」

「そんな事しなくていいわよ!? アンタの中のウチってどんなイメージ!?」

「え? 暴力的なバーサーカー系乙女だが? 第六天魔王?」

「むしろ今の言動の方にこそ罪悪感を持ちなさいよっ!」

 

 そう言って美波は俺の肩をグーで小突くと、まったくとため息を吐いて帰り道を歩き出し、俺はその後ろについていく。

 

「別に気にしてないわよ、むしろ助けに来てくれて……ちょっと嬉しかったし」

「結果が伴って無いんだよなぁ、あぁダセェ」

「ダサくなんて無かったし、本当に気にしないでいいから。それにそれを言うならそもそも捕まったウチが悪いんだし」

「いや、それは根本が悪いだろ。クズだし」

「それなら全部根本が悪いでいいじゃない。いよいよ楠木が気にすることないわよ」

「なるほど、全部クズキノコのせいってことか」

 

 こうして全ての責任を知らぬ間に勝手に押し付けられた哀れ根本、もちろん同情も憐憫もない。

 

「けどまぁ、流石に何かお詫びさせてくれ。情けなさでいたたまれねぇからさ」

「本当に気にしないでいいのに」

「いや、俺に残ったなけなしのプライドが納得しないから、何か望みを言えって。軽犯罪くらいまでなら頑張ってみるからよ」

「そんな変な事頼まないわよ!?」

 

 そう惚れ惚れするキレのいいツッコミを返した後に、それじゃあと言葉を続ける美波。望みは予想よりも大分早く決まったみたいだった。

 

「今後、ウチは楠木の事を名前で呼ぶわ。もちろん拒否権はないからね?」

「は? いやまぁ全然良いんだけどよ、美波はそんな事で良いわけ?」

「これで良いのよ。そもそもウチは名前で呼ばれてるし、ちょっと気になってなのよね」

「島田だと姉妹で区別がつかないって、お前の妹が言うから流れでそうなってただけだけどな」

 

 思い浮かべるは美波に似た顔付きの、俺の事を【もやしのお兄さん】と不届きな呼び名で呼ぶ、ツインテールロリ少女、島田葉月。

 

 当時あんまり美波と仲良くなかったというか、一方的に俺が嫌われてた為、普通に名字で呼んでたのだが、その事にひょんな事で出会ったばかりの葉月が食いついた。

 曰く、『島田だと、どっちを呼んでるか分からないから、ちゃんと名前で呼んでほしいのです!』と。

 で、当然の如くそれを拒否ったら『もやしのお兄さん、お姉ちゃんの事嫌いなんですか』悲しそうに瞳を潤ませ、美波からあ゛ぁん? 何うちの妹泣かせてんだこのクズって視線で睨まれて、仕方なく呼び方を変更するに至ったって訳である。

 

「初めて名前で読んだ時の美波の表情、すげぇ嫌そうなんだけど、けれどそれを表に出したら葉月にバレるから隠そうと必死で、すげぇ面白かったよな」

「そ、そんなに嫌そうにしてた?」

「してた」

 

 迷いなく即答で断言できた。

 

「まったく、変な事ばっかり覚えてるんだから」

「いや、アレは中々にインパクト強かったぞ。沸々と内側から負のオーラ漏れてたし、どんだけ嫌だったんだよ」

「仕方ないじゃない。あの時はまだ結構嫌いだったんだから!」

 

 そんな本人前にして堂々と嫌いだったって言うなよ、相手が俺じゃなけりゃメンタル崩壊して泣いてるぞ。

 

「だからこそ、まさかあの時露骨に嫌がってた美波が、自ら進んで俺の名前を呼ぶ日が来るとは。感慨深いな」

「何をしみじみと言ってるのよ」

「いや、せっかくだし楽しもうかなと。今度はいったいどんな顔をしてくれるのかなと。ほれ記念すべき第一回目、呼んでみ」

「改められると凄い呼びづらいんだけど!?」

 

 そう言って激しく動揺する美波。なるほど、そんな感じのリアクションですか、そうですか。

 そんな彼女の様子に俺の美波揶揄いセンサーが反応する。

 

「美波から言い出したんじゃん? ただ名前呼ぶだけだぜ美波、恥ずかしがるなよ美波」

「ここぞとばかりに美波って呼ばないでよ! あとニヤニヤしない! 絶対わざとからかってるでしょ!?」

「もちろん」

「っ! このクズ!!」

 

 HAHAHA! そんな顔を真っ赤にしてクズと罵られても俺は全然ノーダメージですけど? まぁ普段でも堪える事はめったに無いけどな!

 

「ほらほら言ってみ? 晴楓って言ってみ?」

「分かった! 言うから! 言うからちょっと黙って!!」

 

 そう美波が言うので、俺は黙って彼女に注目する、もちろんガン見だった。

 そんな俺の視線にさらに緊張した様子の美波は、大きく深呼吸を数回の後、心の準備が出来たのかよしっ! と声を上げると俺の目をまっすぐに見つめてこう言った。

 

「は……はるぅ」

 

 だんだん知りすぼみになる言葉尻に比例して、さらに顔が真っ赤に染まり上がる。バッチリと合わさった瞳は羞恥から涙が潤んでいた。

 

 さて、そんな俺が辱めた末の美波の初晴楓呼びに、当の俺の反応は。

 

「………………くはっ」

 

 溢れ出たのはそんなうめき声と熱い鼻血だった。まさか予想を超えてあだ名で来るとは、なんだあの可愛い生き物、流石美波俺の想像の数歩先を余裕でぶっちぎる女。

 

「パないっす、マジ美波さんパネェ。いや、これは破壊力がエグいて、何で明久とかムッツリーニがよく鼻血出すかが謎だったけど理解したわ。コレ限界だと出るんだわ」

「ちょっと! 大丈夫!? ハル!?」

「こふっ!?」

 

 慌てた美波からの二度目の晴楓呼び。まだ抗体ができてない俺は再び心臓を貫かれた。

 ここで俺が死んだら死因はなんだろう、出血多量と心臓発作? 全部まとめてキュン死もしくは尊死って事にしておこう。美波から貰ったティッシュを鼻に詰め込みながら、そんなアホな事を考える。

 

 結局、その日のうちに俺が慣れる事は無く、美波から名前を呼ばれる度に過剰な反応をしてしまう俺。

 当然その事に気が付かれて、先程までの反撃と称して、帰り道ずっと美波からハルと呼ばれ続けると言うご褒美(拷問)を受けることとなったのだった。

 

   ◇

 

【一部ダイジェスト】

「ハル」

「ぐはっ!」

「はーるっ」

「けふっ!」

「ハル♪」

「かはっ!」

「はる♡」

「ンッッッッッッッッ!」

 

 




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