バカとクズは使いよう。   作:枕魔神

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【Side楠木晴楓】

 

「焚き付けたのは良いが、だからといっていきなりAクラスと戦うのは無謀だ。と言う訳で明久、まずはDクラスに宣戦布告しに行ってくれ」

「それは僕に死地に行けってことかな?」

「当たり前だろ?」

「ちょっとは取繕えよ雄二!」

 

 時は過ぎて昼休み、俺達は屋上でランチタイム兼作戦会議を開いていた。

 

「冷静になって考えろ明久、これはお前にしか出来ない事なんだ」

「僕にしか?」

「そうだぞ、な? 晴楓」

「そだな、ムッツリーニは敵の情報集めで忙しい、秀吉も部隊の指揮がある、雄二は大将で言わずもがな、まさか敵地に姫路や美波みたいな女子を向かわせる気か?」

「晴楓の手が空いてるじゃないか」

「コイツに宣戦布告なんでさせたらどうなるか、バカなお前でもわかるだろ明久」

「うん、100パーセント無駄に煽り倒して敵のヘイトを買ってくるね」

 

 流石は明久と雄二である、伊達に去年からの付き合いではない、俺の事をよく理解している。

 そう感心しながら、俺はコイツ使えねぇなと思っているであろう、二人分の視線を無視する。

 

「まぁ適材適所だろ、バカで有名な明久が行くことで向こうもコッチをナメてくれるだろうしな、それだけで勝率は上がるんだ」

「そうだぞ明久、それに大切な使者をボコボコにするなんて漫画やアニメだけの話だから安心して逝け」

「これからAクラスをぶっ倒す、Fクラスの死者なんて光栄だろ?」

「そっか、うん。僕に出来るなら頑張って見るよ!」

「「(お前がバカで)本当に助かるよ明久」」

 

 チョロいバカを騙す事で戦争の段取りを組む事に成功。後で騙されたと騒ぐだろうけど、指示を下したのは雄二だ、俺には関係ないね。

 

「それじゃあ今日の午後から開戦かの?」

「そうだな、作戦としてはシンプルにDクラス代表までの道を切り開き、その不意をついて主戦力である姫路をぶつけて倒す」

「でも坂本、姫路さんは振り分け試験を受けれて無いから戦争に参加できないわよ?」

「試召戦争が始まったら回復試験が受けれる、その間の時間稼ぎが今回の戦争のポイントだ」

「そっか、ウチ、頑張って時間稼ぎするからね! 姫路さん!」

「私も精一杯頑張りますね島田さん!」

「美波でいいわよ。せっかく少ない女の子同士なんだし、ウチも瑞希って呼ぶから」

「はい、よろしくお願いしますね美波ちゃん!」

 

 青春のゴミ溜めFクラスに咲いた、二輪の可憐な花達のほのぼのとしたやり取り。

 ちょうど雰囲気も緩んだところで「腹は減っては戦は出来ぬ、飯にしようぜ」と雄二が話を打ち切り、各々カバンから昼食を取り出していく。

 

 秀吉と美波と姫路は弁当箱を。

 雄二と康太は購買のパンを。

 俺はゼリー飲料を。

 明久は水道水と塩を。

 

「え? 吉井君お昼それだけなんですか!?」

 

 初めて見るであろう、明久の貧しすぎる食事に姫路が驚きの声を上げた。

 他の面子は見慣れた光景過ぎて何も反応が無い、今更突っ込みを入れるのもバカバカしいが、初見で戸惑う姫路の為に、このバカの食生活について説明をする事にしよう。

 

「これが貧乏人明久の主食だ、信じ難いがコイツは塩と水道水だけで生きている。そう言う生き物だと思ってくれ、カブトムシとかと一緒だ」

「失礼な! たまに奮発して砂糖も食べてるよ!!」

「あの、砂糖は食べるって言いませんよ吉井君」

「食べるじゃなくて、舐めるが正しい表現じゃな」

 

 そう説明を受けた姫路、憐れむような視線を明久に向けていた。

 

「食費をゲームにつぎ込んでる明久が悪い」

「……自業自得」

「仕送りが少ないんだよ! それにゲームにお金をつぎ込んでるのは晴楓も一緒でしょ!? 今月いくら課金したのさ!」

「7万」

「僕よりつぎ込んでるじゃないか!!?」

「いや、俺はバイトしてるし。最低限の食費は確保してるぞ?」

「クズの癖に生意気な!!」

「うるせぇぞバカの癖に」

 

 同じ一人暮らしだとしても明久と一緒にしてほしくは無かった、絶対に。

 

「……ほんと明久はいつか餓死しそう」

「他人事みたいに言ってるけどムッツリーニのせいでもあるからね! 毎回毎回、素晴らしい写真ばかり売りつけて来るんだから!」

「コイツ俺並に責任転換甚だしいな」

「……明久はお得意様」

 

 そう言ってムッツリーニはすっと明久に写真を手渡す。写っていたのは姫路、ローアングルからの悪戯な風にスカートが捲れてチラリズム。

 

「……500円」

「買った!!」

「……ふっ、毎度」

「……お前、食費は?」

「ハッ!!?」

 

 雄二の言葉に、新たなコレクションを手に入れて浮かれていたバカはピシリと固まる。

 

「男ならッ! 男なら……後悔しない!!」

「勇者だな」

「この場合の勇気は明らかに蛮勇だろ」

「吉井って本当に馬鹿なのね……」

 

 呆れる雄二と俺と美波。

 血涙を流しかねないほどに悔しがる明久を憐れに思ったのであろう、姫路は恥ずかしそうに「よろしければ……私がお弁当作ってきましょうか?」と言った。

 

「……ゑ?」

 

 突然の出来事に明久は阿呆ヅラを晒す。

 

「私なんかが作る物でいいならですけど……」

「本当にいいの!? ありがとう姫路さん! 嬉しいよ!」

「はい! もちろんです! それじゃあさっそく明日から作ってきますね!」

 

 久々に塩水と砂糖以外を食べれるよ! と悲しい喜びに浮かれる明久。

 

「良かったじゃないか明久」

「……妬ましい」

「それな、女子からの手作り弁当とか憧れるよな」

 

 例えこれが姫路の慈悲の心からくる、人命救助活動の一環だとしても、可愛い女の子からの手作り弁当と言うものは羨ましい物で、俺はムッツリーニの言葉に同意する。

 

 そんな俺の言葉に、何故か反応を示したポニーテールが一人、うつむき気味に話しかけてきた。

 

「楠木でもそう言うのに憧れるんだ」

「そりゃそうだろ、俺だって健全な男子生徒なんだし」

「ふーん……な、ならウチが作って来てあげよっか? ほら、楠木も吉井程じゃないにしても、何時もゼリー飲料で見てて心配になるし!」

 

 そんな魅力的な案を提示する美波の頬は、ピンクに色付いていて、中身というか腕力はともかく、やはり顔は美少女だよなと俺に再認識させるほどに可愛かった。

 そんな可愛い女の子から貰う手作りお弁当、俺は勿論こう返事をした。

 

「あ、いや結構です」

「なんで速攻で断るのよ!!」

 

 俺から真顔で拒否られた美波がブチ切れる。しかし、待って欲しい。俺にも言い分というものはあるのだ。

 

「だって、お前ただでさえ普段から妹と二人分の弁当作って忙しいじゃん」

 

 意外にも家庭的な一面を持っている美波は、仕事で忙しい両親の代わりに、自宅では家事の手伝いや妹の世話をしている事を俺は知っている。

 

「だから俺の事には気を使うな」

「ば、バカね! 二人分も三人分も変わらないんだから気にしないで良いのに」

「いや、そうは言ってもな」

「栄養不足で倒れられる方が迷惑なの! いいから素直に受け取りなさい!」

 

 美波にグイッと詰め寄られ、強引に押し切られそうになる俺。しかし、ここで折れてはいけないと反論を続ける。

 

「俺だってな! これ以上美波に負担掛けたくないんだよ」

「楠木……そんなにウチの事を心配して」

「あぁ、心配だよ! これ負担掛けて万が一にも美波が痩せてみろ! これ以上何処を削ぎ落とすんだよ! その断崖絶壁!!」

 

 俺は心のそこから美波の事を心配して、そう叫んだ。決して、照れ臭くなって誤魔化したりとかの意図はない絶対に。

 ただ純粋に、本人も気にしているであろう、著しく成長の兆しが見えない美波の胸の事を気遣っているだけなのだが、俺の涙ぐましい気遣いを受けた当の本人はメラメラと殺気立つ。

 

「余計なお世話よ!! いいから黙ってウチの弁当を食べなさい!!」

「ボディはやめろ! ゼリーが出るから! 出ちゃうからぁ!」

「問答無用!!」

「グハッ!!」

 

 美波からのドロップキックを食らった俺は、本日二度目の夢の世界へと旅立った。

 

「……春じゃのう」

「春にしてはバイオレンス過ぎるだろ」

「……クズには似合ってる」

 

   ◇

 

 午後、予定通り無事に使者の明久がDクラスにボコされた事で、俺達の初めての試召戦争の火蓋は切って落とされた。

 

「開戦だ!!」

『オオォ!!!』

 

 雄二の宣言に雄叫びを上げ、教室を飛び出すクラスメイト達。

 渡り廊下には予め準備しておいた数学の長谷川先生と、敵であるDクラスの兵士が待ち構えていた。

 

「皆のもの! わしに続くのじゃ!」

「Fクラスの癖に生意気な!!」

 

「「……試獣召喚!!」」

 

 数学

 Fクラス

 木下秀吉 23点

 VS

 Dクラス

 男子生徒 97点 

 

 試獣召喚、その掛け声と共に秀吉と敵の召喚獣が召喚される。しかしクラスの差は当然召喚獣の差、秀吉の召喚獣は敵の召喚獣より弱々しい。普通に戦えば秀吉が負けるだろう。

 

「へん! 所詮はFクラスだな! ショボい点数だぜ!」

「確かにその通りじゃが、試召戦争はわしだけで戦っておるのではないぞ!」

「待たせな秀吉! 助けに来たぞ!」

 

 だけどな、Fクラスには良くも悪くも普通の奴なんていないんだよ。

 俺は果敢に敵地に攻めゆく秀吉に続くように叫んだ!

 

「いっけぇ! 対数学用殺戮バーサーカー兵器! 島田美波!! Dクラスの連中を蹴散らせぇ!! 所詮はDクラスなんぞ弱者の部類だって事を思い出させろ!」

「そこは自分で助けに行きなさいよ!」

「俺は数学はできん! 3点をナメるな!」

「あぁもうっ! 使えないんだから! ……試獣召喚!!」

 

 数学

 Fクラス

 島田美波 194点

 VS

 Dクラス

 男子生徒 97点→0点

 

 サーベルを装備した美波の召喚獣が相手の召喚獣と衝突する。美波は帰国子女のため日本語に弱いだけで別に頭は悪くない、なので数学ならBクラスくらいの点数は取れるし、Dクラスなんて敵では無いのだ。

 その点数差は歴然、あっと言う間に相手の点数をゼロにしてしまった。

 

「0点になった戦死者は補習ゥ!!」

「ギャアア!! 鬼の補習は嫌だぁ!!」

 

 その瞬間、何処からとも無く現れる鉄人先生。敗北した男子生徒は断末魔を挙げて連行されて行った。まさか最初の犠牲者が自分達の仲間だと思っても無かった敵軍は、明らかに動揺する。

 

『バカなッ! Fクラスの癖に殆ど200点代だと!』

『最低クラスじゃないのか!』

「ふはははっ! 見たかこれが美波の力だ! 俺達をただのFクラスと侮った時点で貴様等の負けは決まったのだよ!!」

「別に晴楓は何もしてないよね?」

「やかましいぞ明久ァ! この部隊の全体的な指揮を任されたのは俺だ! つまり部下の手柄は俺の手柄だ!!」

「でた! クズノ木晴楓のド屑節!!」

『『『くーず! あそれ! くーず!』』』

 

 明久の言葉に味方からのクズコールが鳴り響く。そのコールにDクラスの連中は俺が誰なのか気が付きはじめたみたいだ。

 

『あの堂に入ったクズっぷり! 間違いない!あいつはクズノ木だぁ!!』

『どんな卑怯な手を使って何してくるかわかんねぇぞ! 皆気をつけろ!』

『流石は根本以下!!』

「誰が根本以下じゃボケェ!! 美波ィ! やってお終いっ!!」

「はいはい分かったわよ……さぁ! かかってきなさい!」

 

 そう言って美波がDクラスの団体に突っ込んでいく。一人で何人もの敵を相手にするその姿はまさに戦乙女の名がふさわしい。伊達に暴力系ヒロインをやってないのだ。

 

「美波のおかげで敵が減ったぞ! 一対一で勝てなくても一対複数人ならFクラスでも勝てるよなぁ! 全軍! 今のうちに突撃ィ! 数の暴力で叩き潰せぇ!!」

「よし! 島田にばかり負担はかけられん! わしらも続くぞ!」

『『『オォ!!』』』

 

 出だしは順調と言ったところか、勢いのある軍は一気にDクラスへと攻め込む。

 そんな中、俺の隣で攻める様子が見られないバカが一人。

 

「どうした明久、お前も逝け」

「えー、だって僕の召喚獣痛みがフィードバックするし、この様子だと僕いらなく無い?」

 

 そんな事を抜かす明久、クラス皆が一丸となって戦っているのにサボるとは、クズ野郎ここに極まれりだ。

 しかし、バカがそんな事を言うのは予想済み、対策は打ってある。俺は予め雄二から伝えられていた伝令を明久と全軍に向けて叫んだ 

 

「はぁ、ついでに隊長からの伝令だ! 『逃げたら殺す! 負けても殺す! 死ぬなら道連れにしろ!』だそうだ! 死にたくないやつは全力で戦え!!」

「うぉおおお!!! 全員突撃しろぉ!! 僕が先陣を切ってやるぅ!!」

 

 見事な掌返しで戦地へと走っていった明久、痛みも死すらも恐れないその姿は歴戦の戦士その物だった。

 

   ◇

 

『島田は数学以外はからっきしだぞ! 他の教師を呼んでこい!』

『島田さえ叩けばこっちのもんだ! 一気に畳み掛けるぞ!』

『現国の先生を今呼び言ってる! それまでの辛抱だ!』

 

 試召戦争開始から十数分、戦況が変わり初めたのはDクラスから聞こえてきたそんな声だった。

 

「どうしよう晴楓! このままじゃ島田さんがやられちゃう! 長期戦に持ち込まれたらこっちが不利だよ!」

「本来の目的を見失うな明久! 俺達はあくまでエースの準備ができるまでの時間稼ぎに過ぎない、長期戦は覚悟のうえだ! さぁ! 馬車馬の如く働いてこい!」

「今でギリギリなんだよ! 島田さんがやられたら一気にDクラスがこちらに流れ込んで負けるよぉ!」

 

 明久の情けない声を聞いた味方陣営から焦燥感が漂う。確かに明久の言うとおり、ここで美波を失うのは大きな痛手、彼女には今後も大切な役割が残っているため、戦死させるわけにはいかない。

 しかしそんなピンチな状況だろうとも、この軍を率いる俺には焦りなど微塵も無い。現国が苦手なうちの主力である美波を現国で倒そうとするなんて簡単に予想できるし、その事を対策してないほうが可笑しい。

 クズがクズムーブを噛ます時は、二重三重にも策を弄して絶対に安全な場所から噛ますものだ。

 

『来たぞ! 現国の高橋先生だ!』

 

 そんなこんなしていると、敵から現国の先生がやって来た情報が聞こえてくる。そろそろ潮時だな……

 

「美波ぃ! 帰ってこい!!」

「わかったわ!」

 

 俺は前線にいる美波を大声で呼び戻す。当然要の美波が退いた事で、前線は一気に後退する。

 

『島田が逃げたぞぉ! 今が攻め時だぁ!』

『Fクラスが手こずらせやがって!』

「うわぁ! 駄目じゃ晴楓! 押し切られる!」

 

 あっと言う間に混戦状態、Fクラスは一気にパニックに陥った。

 

「指示どおり戻って来たけど大丈夫なの!?」

「大丈夫じゃないよ島田さん! このクズ判断ミスしやがった!」

『所詮クズに部隊長なんて無理だったんだ!』

『コイツ俺等を囮に逃げる気だ絶対!』

 

 口々に俺を罵るFクラスの男子生徒達。

 勝ってるときは好き好きに持ち上げ、負けそうになると乏しまくるって、掌返しえげつないな。マジでこいつ等囮にしてやろうかとも思ったが、それをすると今度は俺が雄二に殺されかけないので辞めておく。

 俺は騒がしいバカ共を黙らす様に、声を張り上げて新たな命令を下した。

 

「Fクラス全軍に告ぐ!! 全員撤退し回復試験を受けてこい!! 殿はこの俺がやってやる!!」

『『『よっしゃ! 任せたぞクズ隊長!!』』』

 

 俺が宣言するなり一目散に教室へと帰っていく明久を筆頭としたクソ野郎達。俺が命令したとは言え、誰も残ったりしないのか……自分の人望の無さに鋼メンタルの俺といえども少し泣きたくなる。

 

「ちょっと! 楠木だけじゃ無茶よ!」

「そうじゃ! せめてわしも一緒に戦うぞ!」

 

 そう言ってくれるはFクラスの数少なすぎる良心達。心遣いはありがたいが、俺は明久ではない。どんなに博打が好きでも、勝率が無い賭けはしないのが俺だ。

 

「二人には逃げたバカ共に回復試験を受けさせた後、再び戦場に連れてくる役目を頼む。どうせ帰ったが最後そのまま教室に引きこもるのが目に見えてるからな」

「楠木はどうするのよ!」

「俺はコイツらを食い止めてお前らが回復するまでの時間稼ぎをするさ。ほら、さっさと逃げろ!」

「っ……死んだら許さないからね!」

「賭けてもいい俺は死なねぇよ!」

 

 そう言って二人が逃げたのを見送り、俺はやってくるDクラスに向き合う。

 

「虎の衣を借るクズが一人で何ができるって?」

 

 先頭に立つDクラスの男子生徒がニヤニヤしながらそう話しかけてきた。

 

「随分と余裕そうだな?」

「そりゃあお前さえ倒せば、残ったのは瀕死の兵達、俺達Dクラスの勝利は確実って訳だ」

「油断してると痛い目みるぜ?」

「強がるなって、この人数を正面からマトモに相手するのはクズには荷が重いだろ?」

 

 その言葉にゲラゲラと笑い合い、完全に勝ったムードのDクラス達。いったい誰がマトモにこいつ等の相手をすると言ったのだろうか、Dクラスの雰囲気に水を指すように、俺の口から不敵に笑みが溢れた。

 

「くくくっ」

「何が可笑しい」

「いや、こうも綺麗に賭けに勝ったら笑みも溢れるわ」

「はん! ハッタリだ!」

「それはどうかな?……試獣召喚ッ!!」

「このクズに引導を渡してやれ!」

『『『『試獣召喚ッ!!』』』』

 

 現国

 Fクラス

 楠木晴楓 280点

 VS

 Dクラス

 男子生徒A 104点

 男子生徒B 116点

 男子生徒C 129点

 女子生徒A 112点

 

「さぁ! 俺TUEEEEといこうか!!」

『『『『なにいぃぃ!!』』』』

 

 現れる巨大パチンコを装備した袴姿の俺の召喚獣。

 予想してなかった高得点に、Dクラスの連中は驚きの声をあげる。

 

『嘘だ! あんなクズが!』

『カンニングだ!!』

「残念カンニングじゃあねぇんだよ! 俺はなぁ! 諸事情により唯一現国だけは普通に勉強できるんだよ!!」

 

 美波の苦手教科である現国を安直に戦場へと選択した時点で俺は賭けに勝っており、こいつ等の敗北は決まっていたのである。

 

『ならフィールドを数学に戻せ!』

『今なら島田がいない!』

『駄目だ! 長谷川先生がいない! 何処行った!』

 

 ならば数学で戦おうとDクラス連中がさっきまで居たはずの長谷川先生を探しても、近くには現国の高橋先生しかいない。ふっ、慌ててる慌ててる、今の俺はとてもあくどい笑みを浮かべてるだろう。

 

「長谷川先生はFクラスが拉致したぁ!」

『なんだとっ!』

『流石クズだ!』

「文句なら発案者のうちの大将に言うんだな!」

 

 フィールドが切り替わったタイミングで、ムッツリーニが雄二から指示されたとおり長谷川先生を拉致して隔離。

 これは美波と俺の正反対な得意科目を利用した雄二発案の作戦である。

 

「俺はなぁ! 勝ち目の無い戦いはしねぇし、勝ち戦が大好きなんだ!! 最初っからこの状況は勝ち確激アツフィーバータイムなんだよ!!」

『『『このクズ野郎!!』』』

「はっ! なんとでも言え! 負け犬の遠吠えに貸す耳はねぇ! 勝てば官軍なんじゃあ!!」

 

 FクラスとDクラスの試召戦争、第二ラウンドへと突入である。

  

 

 




取り敢えずストック切れるまでは定期的に更新します。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
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