テンプレ転生戦乙女の掲示板 作:必殺技は顔面で受ける
…12章と37章を同時進行してるせいで情緒が
そして突然の残業はきついでござる
目の前で大切な人が敵となる。それは戦乙女の末路の一つであり、残酷な結末であり、非情な現実である。
崩壊エネルギーを扱う以上、いくら耐性があっても命を削ることに変わりはなく、戦乙女は皆短命だ。そのまま「人」として死ねる事がある意味幸運とも言えるかもしれない、それもまた戦乙女の現実。崩壊エネルギーに耐性があるせいでそのまま変異して敵となる、最悪律者になってしまえばその被害は想像以上に大きくなってしまう。
だから、目の前で「敵」となった隊長を、大切な人をこの手で殺さなければならないのだ。
手が震える。ついさっきまで背中を任せて共に戦った、何気ない会話をしていた、自分がここに立つ理由をくれた。その恩師を、隊長をこの手で斬り、その命を終わらせなければならない。
迷いは少し、それでも覚悟を決め、一歩を、一撃を与えよう。短く息を吸って踏み出したその瞬間。
蒼い閃光が横から「隊長だったもの」を思いっきり弾き飛ばした。
「っ!?」
「──しまった、勢いをつけ過ぎた」
拍子抜けするほどに緩い言葉が耳に入る。目の前で起きた事と、起こした本人の落差に思考が空白になる。
目の前に文字通り飛んできたのはB級に支給される装甲を纏った戦乙女。しかしここ等一帯は汚染濃度が高く、A級の部隊しか配置されていないはず。B級の部隊はもう少し後方で打ち漏らした崩壊獣の対処と一般人の保護・避難を担当しているはずだ。
何事もなかったかのように目の前のB級戦乙女は吹き飛ばした相手を見定め、そして怪訝そうな声を出した。
「…うん?まだ微妙に『残っている』のか。随分と強い人じゃないか」
「あんた、一体どこの部隊なの…。ここ、は、A級が担当、してる場所よ…」
こちらが声を出すと、目の前の人物は気づいていなかったのか一瞬驚いた後、焦ったように顔を歪ませた。だがそれもほんの少しの事であり、隊長だったものが耳障りな雄たけびを上げてこちらへと突っ込んできていた。
だが目の前のB級は余裕の表情でその攻撃を躱し、逆に懐へと飛び込んでカウンターを正確に当てる。それだけではない、カウンターで衝撃を与え体勢を崩したと思えば的確に同じ場所へと殴り、蹴り、戦乙女の装甲の残骸を綺麗に壊してく。
あまりにも鮮やかで苛烈、それでいて無駄のない動きと攻撃のキレ。そしてそれら全てを持っていながら「B級」ということにあり得ない、と自身の理性が訴える。
「───なあ、そこのA級の人」
「っ、何…?」
「もし、この人を助けられるって言ったら『共犯者』になってくれるか?」
助ける、崩壊獣になった戦乙女を?そんな話は聞いたことがない。だが、自分の中では助けられないと言う戦乙女の自分と助けたいと願う人の自分がいる。もし、もし本当に助けられるなら。
「…条件、は、何」
「一つ、私がこれからやることをだれにも言わない事。二つ、『突然新種の崩壊獣が現れ、それに対処した』事にすること。三つ、もう少し下がったところにいる怪我人を連れて離脱すること。…怪我人に関しては他の部隊を呼んだ方がいいかもしれないけど」
話しながらもB級戦乙女は激しい攻防を続け、崩壊獣となった隊長を引き付け続けている。纏っていた筈の装甲は既にほとんど壊れて剥がれており、人ならざる肌が表に出てきて浸食を続けている。こんな状態で、本当に助かるのか。万が一を考えて己の剣を強く握る。
B級が一際大きな蹴りを放ち、飛び込んできた時と同じように崩壊獣が吹き飛ばされた。きっと答える時間は今しかない。
「さぁ、どうする?共犯者となり、リスクを抱え込んで大切な人を守るか。ここで名誉の死を与えるか」
その言葉は自身と実力に裏付けされた力強い宣言であり、鈍った覚悟を砕くには十分だった。
「…『ラグナ隊は突然変異の崩壊獣と戦闘し、これを倒すも被害甚大のため撤退した』」
「──ああ、そう言うことだ。私は『撤退してきた部隊と共に後方に下がった』『あんたは何も見ていない』」
怒り狂った咆哮が聞こえる。それを意に介さず、B級は己の影に話しかけた。
「仕事の時間だ■■■■■■」
嫌に静かになる空間、そしてその影から青黒い靄のようなものが溢れ始め、それは朧気ながら形を構成していく。四足歩行のイヌ科のような姿でありながらその大きさは遥かに人より大きい。目に当たる部分から蒼い炎を僅かに揺らめかせ、巨大な黒い猟犬は崩壊獣へと襲い掛かった。
「────!!!!!」
「■■■■■■!!!!」
人ならざる者同士の咆哮が響き渡る。黒い猟犬は崩壊獣をその
離れた場所から蒼い炎の瞳でこちらを見てくる黒い猟犬は、グルグルと唸りながらも己を呼び出した本人であるB級の戦乙女が自分の元へとくるのを待っているようだった。
黒い猟犬の足元、そこにはケガを負っているものの「人」が一人、倒れていた。
「───隊長!!」
「落ち着け、まだアイツの食事中だ。もう少し待ってから行かないとあんたも「喰われる」ぞ」
心底面倒くさい、と言った様子を微塵も隠さず大きなため息をつきながらB級戦乙女は黒い猟犬へと近づいていく。猟犬は大人しく近づいてくる主の影に足を踏み入れ、そして出てきたときと同じく不定形の靄となって消えていった。
戦闘跡の中心で倒れている隊長の横に膝をつき怪我の具合と心拍を見ているのか、しばらく真剣な表情をしていたが、安心したかのように頷くと手を招くように振り始めた。
「…まぁ、骨折と内出血は確実にあるけど致命的なダメージはない。ただし右腕と左足は損傷がひどい部分があるせいで治療しても後遺症が残る」
それでも、ちゃんと息をして人のままでいる。それは奇跡のようで、夢かと思えるほどで。
この手で恩師を殺さなければならないという重荷がなくなった反動か、ここがまだ戦場であるというのに涙があふれた。
「…言った条件は覚えてるな、『共犯者』さん?」
「えぇ…必ず、必ず守るわ」
救いの無い筈の末路を防いだ
【報告】
ラグナ隊は突然出現した崩壊獣と戦闘し、これを討伐するも隊は壊滅状態となった。
隊長であるラグナをはじめ、隊員は無塔名姫子を除き全員が戦線復帰不可能となった。その為、ラグナ隊は解散とする。
「───っっだぁー!また負けたぁ…」
「まだまだね、キアナ。懐に入ってきたところまでは良かったけど、そのあとの攻撃の精度が甘いわ」
聖フレイヤ学園の訓練場に一人の少女の叫びが木霊する。地面に大の字になって伸びている少女を一人の教官が笑いながら見ている。そこから少し離れた場所では、戦闘の様子を見ていた副教官が手元のタブレットに課題点を入力していく。
「…姫子教官の言う通り、機動力は十分だ。問題はそこからの攻撃精度と姿勢の維持、あとはカウンターへの対処が課題だな。A級を目指すならこの程度は余裕で熟さないと難しいぞ」
「安藤先生も辛辣ぅ…」
「まだ私が専属で見ている生徒よりはかなり甘めに判断しているんだがな」
そう言って安藤は手に持っていたタブレットを置き、訓練場の中へと入ってくる。軽く体を解す動きをし、キアナに離れるように言うとこちらに向かって対面した。どうやら見本を見せるつもりのようだ。
「あら、あなたが相手だと手加減できないけれどもいいのかしら?」
「…ほどほどに願います」
そう言った顔はあの時と同じで、面倒くさそうににして、そしてどこか優しさを含んだものだった。
あの時と違うのは、ここは戦場ではなく未来を託す相手がいる事。そして私が「共犯者」であること。
「さぁて、行くわよぉ!」
あの時振るわなかった剣を、思いっきり振り下ろした。
時系列見て整理して頭が痛くなってた。
原作と変わったこと
→ラグナ隊全員生存(ただし姫子以外は引退)
→上記から酒に逃げることがあまりない(男関連は除く)
安藤優(過去の姿)
「うちの部隊バラバラになったし逃げるか…」→「アッッッ崩壊獣だなーぐろっ」→「目撃者ぁ!?ついでにまだ崩壊獣だけどこの人の意識残ってるぅ!」(胃痛)
影から出てきたのは事故ッて融合した崩壊獣(調伏済み)。常に飢えているので条件付きでOKを出して崩壊獣を食べさせている。今回は「中の人は食うなよ?崩壊エネルギーだけな」と条件を出していたのでラグナが残り、ラグナの崩壊エネルギーだけを食べた。
ヒント:「奴から逃げるには曲線の中に居なければならない」
無塔名姫子(過去の姿)
隊長を手に掛けずに済んだ戦乙女。黒い猟犬の事は黙っている。
偶に引退した元隊長から手紙と写真が送られてくる。どこかの孤児院にいるのか子供たちと一緒に移っている写真がほとんどである。
ラグナ隊が解散後、テレサにスカウトされて聖フレイヤ学園へ。その時に「この戦乙女いいですよ」と言って安藤をしれっと巻き込む。
立場が下なのは納得いかないが、安藤は恩人でもあるので昇進を推薦したりはしない模様。