“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
「穿て“ブラッディダガー”」
銀髪の女性が唱える周囲に血の色をした鋼の短剣が多数生成され、魔物へと放たれる。短剣は直線的な動きから直角的な曲がり等といった動きで飛翔し、魔物に触れると爆発した。
「炎よ、剣と共に舞い踊れ」
金髪をリボンで束ねたエルフの少女は炎を剣に纏わせ、魔物を焼き切る。2人の手により襲い掛かってきた魔物の集団は瞬く間に討伐された。
「お疲れさん」
その様子を少し離れた場所で見ていた飛羽真はねぎらいの言葉をかけながら2人に近づく。
「何かあった時の為に動けるようにはしてたが無用な心配だったな」
「そんなことはないよ、飛羽真がいるから私もアルファも好きなように動けたんだから」
「アインスの言う通りよ。それに少しでも実践経験が欲しいと言ったのは私達なんだから」
銀髪紅眼の女性“リインフォース・アインス”と金髪蒼眼の少女“アルファ”は飛羽真のおかげで動けたのだと言う。
「でも、こんな簡単に魔法が使えるようになるなんて」
「アルファの世界には魔法は無かったの?」
「えぇ。魔力は存在していたけど、超常現象はアーティファクトと呼ばれる遺物を使って初めて使えたわ」
「魔力があるのに魔法がないなんて、何て言うか矛盾した世界だな」
アルファの話を聞き、飛羽真とリインフォースは何とも言えない表情となった。
その後もリインフォースとアルファの実戦経験を積みつつ進み、20階層へと辿り着いた。
「2人とも、あの壁に埋め込まれてる鉱石が見えるか?」
階層に着くと飛羽真は壁に埋もれている鉱石を指さす。
「あれが話していてくれた触れた者とその周囲にいる者を強制的に転移させる罠が施された鉱石ですか」
「そうだ。一つ追加すると、無数の骸骨の魔物と大型の魔物が現われ、戦うことになる。2人の実力を考えればこのまま進んでも問題なく行けるが・・・」
「友達の事ね」
「・・・あぁ」
アルファの言葉に飛羽真は頷いて答えた。
「飛羽真、私とアルファなら大丈夫」
「だから、あれに触れて」
「いいのか?」
飛羽真の問いに2人は頷いて答えて。
「2人とも・・・ありがとう」
飛羽真はリインフォースとアルファに頭を下げて感謝を告げる。
「ついでだ。あの鉱石を貰って行こう」
「貰っていくってどうやって持っていくんですか?触れずにあの鉱石を取る方法なんて・・」
「用は触れずに取ればいいのさ」
リインフォースの問いに飛羽真は舞空術を使い宙に浮かび上がると、鉱石が埋まっている場所へと行き、刀を抜いて、壁に突き刺すと円を描くように振るった。
そして、刀を壁から引き抜き、鞘に納めると出来上がった切り口に触れ、壁ごと鉱石を採取した。
「こうすれば触れずに採取できるだろう?時間が出来たらアクセサリーにでも加工するさ」
2人の元に戻ってきた飛羽真は壁ごと採取した鉱石を見せながら言う。
「それじゃあ、行きますか」
飛羽真が鉱石に触れると、鉱石に刻まれた罠が発動し飛羽真、リインフォース、アルファの3人は光りに包まれ、20階層から63階層へと転移した。
「5日しか経っていないって言うのに、懐かしく感じるな」
5日前に訪れた場所にやってきた飛羽真は、懐かしく感じるとともに崩れていた石橋が治っている事に気づく。
「どうなってるんだ?」
飛羽真が混乱する中、階段側と奥に魔方陣が浮かび上がり、大量のトラウムソルジャーとベヒモスが召喚された。
「飛羽真、調べるのは・・」
「後にしろだろ?分かってる。アインスとアルファは後方にいる骸骨騎士達の相手を。俺は・・・目の前の奴をやる」
咆哮をあげるベヒモスを見ながら飛羽真が2人に言う。
「分かった。アルファ」
「えぇ」
飛羽真の指示を受けたリインフォースとアルファはトラムソルジャーの討伐を始めた。
「それじゃあ、俺達も始めようか・・・・ベヒモス」
飛羽真はアイテムボックスから変身ベルト“聖剣ソードライバー”を取り出し、腰に当てるとベルトが自動で巻かれ、装着される。そして、“ワンダーライドブック”と呼ばれる1冊の本を取り出す。
『ブレイブドラゴン』
『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた』
本を開き、閉じた後、ベルトの右のスロットにセットすると、飛羽真の背後に巨大な本が現われる。
『烈火抜刀!』
剣を引き抜くと、ベルトに収められた本と背後にある本が開き、その本から真紅の竜が現れる。
「変身!」
『ブレイブ・・・ドラゴン』
掛け声と共に×を描くように剣を振るうと、炎の斬撃波が放たれる。真紅の竜が飛羽真の周りを渦巻くように飛び回り、炎が噴き出る。その炎の中で飛羽真はその身に甲冑ソードローブを纏い、現れた真紅の竜は甲冑の右側と一体となった。そして、先に放った炎の斬撃波が吸い込まれるように頭部と一体となり、目となった。
『烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』
「さぁ、リベンジマッチと行こうか」
満を持してトータスに仮面ライダーセイバーが参上する。
『ガァアアアアア!!』
「突進か、芸のない奴だな」
咆哮をあげながら飛羽真めがけて突っ込んでいくベヒモス。ベヒモスの行動に飛羽真は何処か呆れつつ、その場から動こうとせず、左腕を突き出す。飛羽真の考えなど知った事かとばかりに、ベヒモスは飛羽真に衝突した。
普通なら、6000以上の質量があり、速度が大体32km/hも出している物に衝突すれば、確実に死ぬだろう。だが、ライダーに変身した飛羽真は、ベヒモスの突進を前に突き出していた左腕だけで受け止めていた。
「はぁ!」
飛羽真は剣を持っている右手でベヒモスを殴り飛ばすと、赤い輝きを放つ剣でベヒモスへと斬りかかり、傷を負わせていく。自分に傷をつけた飛羽真に怒ったベヒモスは頭部の兜を赤熱化させる。
「させねぇよ」
飛羽真は剣をベルトにセットしているライドブックを外し、刀身に当てる。
『ドラゴン!ふむふむ!習得一閃!』
本に宿る力が剣へと宿る。
飛羽真はベヒモスに駆け寄って跳躍すると、灼熱の炎の灯した剣で頭部の兜を斬り裂いた。
『グァアアアア!?』
頭部を斬られ、苦痛の声をあげるベヒモス。
「これで終わりだ」
飛羽真は剣を鞘に納刀し、トリガーを1回引き、抜刀する。
『必殺読破!烈火抜刀!
ドラゴン1冊斬り!
ファイヤー!』
「朧・火炎斬・絶天」
居合いの構えを取った飛羽真は炎を纏った剣を振り上げる。いくら強大な力を持つ聖剣でも自身よりも倍近い相手を両断することは難しい。そんな相手を斬り伏せるために飛羽真はある技術を習得した。その名“絶天”。攻撃する瞬間に纏わせたエネルギーを一気に噴射させることで強力な一撃を叩き込むことが出来るの。
その技術を使うことで飛羽真は自分よりも大きな魔物も斬り伏せることが出来るようなった。今まで斬り伏せてきた魔物と同じようにベヒモスも絶天が加わった斬撃で一刀両断された。
「2人の援護・・・は必要ないな」
ベヒモスを倒した飛羽真はリインフォースとアルファの援護に行こうと振り返るが、トラウムソルジャーの姿は何処にもなく、アルファが召喚用の魔方陣を破壊していた。
「片付いたようだな」
「そっちも終わったみたいだ・・・飛羽真、その格好は一体?」
リインフォースは飛羽真の姿を見て目を見開いて尋ねる。
「これか?変身して戦うヒーローの鎧だな」
「変身ヒーロー?」
「アルファの記憶にある世界にはそういうのはなかったな。てっとり早く言えば、おとぎ話や英雄譚に出てくる戦士だと思ってくれればいい」
「成程」
ヒーローと言葉にピンと来なかったアルファだったが、飛羽真の言葉に取り合えず納得した。
「それでこれからどうするの?」
「・・・南雲と中村は奈落の底に落ちていった。手早く探すのなら、俺達もここを降りていくしかないな」
「私や飛羽真は飛ぶ方法があるから大丈夫だけど、アルファは」
「残念ながら無いわ」
「2人とも俺が連れて降りるから問題ない」
そう言うと飛羽真は赤いライドブックを取り出し、開く。
『ストームイーグル!』
『この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている』
飛羽真はライドブックを閉じてベルトの中央にはめ込むと、剣を抜刀した。
『烈火抜刀!竜巻、ドラゴンイーグル!』
飛羽真の背後に現れた2冊の本から真紅の龍と炎の大鷲が現れて飛羽真の周りを飛ぶと、飛羽真の身体に宿る。
『烈火二冊!荒ぶる空の翼竜が獄炎を纏い、あらゆるものを焼き尽くす!』
「鎧が変わった?」
「大鷲の頭部を模した鎧になりましたね」
「今の俺は一体化した大鷲の力を使い、空を飛ぶことが出来る」
2人に新たに取り込んだ力についての説明をすると、飛羽真はアルファとリインフォースをそれぞれ片手で抱きかかえる。
「「ちょ!?」」
「行くぞ!」
突然の行動に2人は驚くも飛羽真はそれを無視、背中の翼の広げると跳躍し、奈落の底へと落ちていった。