“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版   作:白の牙

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第12話

 

 

 

 

 「ふぅ~~~~暖まるわね」

 

 「飛羽真が風呂付の家を持っていて風邪を引かずに済むよ」

 

 飛羽真と共にハジメと恵理を探すために奈落の底へと落ちていったリインフォースとアルファは飛羽真がガチャで手に入れたカプセルハウス内にあるバスルームで風呂に入り、冷えた身体を温めていた。

 

 「まさか、ウォータースライダーのような構造になっていただなんて」

 

 「飛羽真が持っていたカヤックと防水服があれば大丈夫だと思ったけど、水の流れが強くてあまり意味がなかったわね。それにしても飛羽真も一緒に入ればよかったのに」

 

 湯船につかりながらアルファがふと呟く。

 

 「アルファは飛羽真の事が好きなの?」

 

 「私は彼のお陰で元の身体に戻れたわ。腐りきって死ぬという運命を彼は変えてくれた。私の抱いている思いが何なのかまだ分からないけど、全てを差し出してもいいと思っているのは確かよ。そういう、アインスはどうなの?キスしてたでしょう?」

 

 リインフォースの問いにアルファは抱いている思いを告げた後、逆にリインフォースに尋ねた。

 

 「あ、あれは仮契約するためだったからであって、やましい思いがあってしたわけじゃ」

 

 「でも、満更じゃないって感じだったわよ?」

 

 「うぅうう」

 

 アルファに言われリインフォースは照れ隠しの為、深く湯船に沈む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・ったく、あぁいう会話はちゃんと窓を閉じてして欲しいもんだな」

 

 外で流れる川から飲み水の確保をしていた飛羽真は聞こえてきた2人の会話に溜息を吐くと川に浸からせていたナマコを引き上げた。

 

 「いつも思うがこの大きさの何処に300ℓの水を溜め込んでおけるんだ?」

 

 飛羽真が引き上げたナマコは“超貯水ナマコ”と呼ばれているもので川などに10秒浸からせるだけで水を浄水し、溜め込んでおけるのだ。そんなナマコを15匹引き上げ、ケースに入れ収納する。

 

 『ブルルル』

 

 「ゴルド、戻った・・か?」

 

 すると、階層の調査を頼んでいたゴルドが戻ってきた。何かを加えて。唖然とする飛羽真を無視してゴルドは口にくわえた魔物を飛羽真の前へと置く。

 

 「こいつは兎型の魔物なの・・か?」

 

 ゴルドが持ってきたのは大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達し、赤黒い線が血管のように幾本も体を走っていた。

 

 『解。鑑定の結果、この魔物は“蹴りウサギ”ということが分かりました。異常に発達した足が武器で移動系の技能と蹴りの技能を持っています』

 

 「シンプルだが、強い技能だな。強かったか?」

 

 智慧之王の鑑定結果を聞いた飛羽真はゴルドに尋ねると、頷いて答えた。

 

 「智慧之王、この魔物は強さで言うとどのくらいだ?」

 

 『解。波で生まれる兵の中級と上級の間と思われます』

 

 「そんなレベルの魔物が徘徊しているエリア・・か。手がかりになりそうなものは何かあったか?」

 

 『ブルル』

 

 「そうなるとアレを使うしかないか。探知系の魔法は得意じゃないんだがそうも言ってられないな。“受動探知”」

 

 飛羽真は溜息を吐いた後、地面に手を突き、ソナーのように魔力を流し、洞窟内の構造や魔力の発生源を探っていると、不自然に出来た空洞とその空洞内から魔力を感知した。

 

 「(ゴルドが見つけられないわけだ)」

 

 空洞内から感知される魔力が魔物ではなく人であることに気づいた飛羽真は安どの表情を浮かべ、空洞がある場所へと向かおうとしたが、リインフォースとアルファに一言告げてから行った方がいいと思い家に入った。

 

 「アインス、アルファ。2人を見つけたら迎えに行ってくるから待っていてく・・れ」

 

 家の中に入った飛羽真の視界に映ったのはバスタオルを体に巻いた2人の姿だった。

 

 「と、飛羽真!?」

 

 「な、な、な、何で服を着てないんだよ!?」

 

 「替えの服がないんだからしょうがないじゃない」

 

 慌てるリインフォースとは裏腹にアルファはいつも通り凛とした態度で飛羽真の問いに答えた。

 

 「バスローブ見える位置に置いてたの見てないのかよ!?」

 

 出来るだけ2人の裸体を見ないよう心掛ける飛羽真。だが、男の性ゆえ視線は自然といってしまう。

 

 「俺は探している2人を見つけたから迎えにって来る。ちゃんとバスローブを着ておけよ」

 

 そう言うと、飛羽真は家から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 「紅葉切り」

 

 飛羽真が放った横一文字の斬撃が襲い掛かってきた3匹の魔物を切り裂く。技の硬直を見計らったかのように2匹の魔物が背後から襲い掛かるが、

 

 「螺旋撃」

 

 回転の力を加えた切り上げで纏めて斬り伏せた。

 

 「グルゥア!」

 

 すると、残っていた1匹が咆哮とともに電撃を飛羽真へと飛ばす。飛羽真は高速で飛来する雷撃を最小限の動きで躱し、雷撃が止むと同時に、

 

 「零の型“双影”」

 

 自身の分身を生み出す“分け身”で2人に分身し、魔物へと突撃、同時に斬撃を放ち、斬り捨てた。

 

 「討伐完了っと」

 

 探知魔法と能力で魔物がいないことを確認した飛羽真は刀を収めると、収納ポーチに魔物の死体を収納すると、先を急ぐ。

 

 「この先だな」

 

 目的の場所までもう少しだといったところで体長2メートルの熊型の魔物が現われた。ゴルドが倒した蹴りウサギや先程倒した狼型の魔物“二尾狼”と同じように幾本もの赤黒い線を体に浮かばせており、最大特徴は足元まで伸びた太く長い腕に30センチはありそうな鋭い爪だろう。

 

 『告。鑑定の結果、爪熊と呼ばれる魔物と分かりました。爪は風の刃を纏っており、最大30センチまで伸長できます』

 

 「魔力量や身に纏うオーラからしてこいつがこの階層のボスって所か?」

 

 「グルルル」

 

 すると、爪熊は低く捻り声を上げると、その巨体に似合わない素早さで飛羽真に近づき、爪を振るうが、

 

 「“聖絶”」

 

 その一撃は飛羽真が張った障壁に阻まれた。

 

 「グル?」

 

 爪撃が防がれると思ってもいなかった爪熊は動きを止めてしまった。そして、そんな隙を飛羽真が見逃すわけもなく、

 

 「紅葉切り」

 

 横一文字の斬撃で斬り捨てられた。先程倒した二尾狼と同じように収納ポーチに爪熊を収納し、進もうとすると、

 

 『告。隠れ見ている魔物を倒さなくてもいいのですか?』

 

 「(敵意はなさそうだし倒さなくてもいいだろう)」

 

 智慧之王からこっちを見ている魔物がいると教えられるも敵意がなかったので討伐はせずに先を進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「ここだな」

 

 爪熊を討伐してから歩くこと数分、飛羽真は目的地に辿り着いた。

 

 「錬成」

 

 壁に手を突き錬成魔法で穴を開けていくこと数秒、飛羽真が見たのは、

 

 「なんでやねん」

 

 本当の意味で恵理と合体し、眠るハジメの姿だった。

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