“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
奈落の底にてハジメと恵理を見つけることが出来た飛羽真。ただ、見つけたのはいいのだが、2人はありとあらゆる意味で一つとなっていた。
「え~~~なにこの状況?」
予想外の状況に飛羽真も唖然とし、戸惑う。
『解。危機的状況で子孫を残すという強い本能が働き、行ったのかと思われます』
「的確な状況説明ありがとさん。さて、どうしたもんかね?」
どうやって2人を仮拠点まで連れて行こうかと飛羽真は頭を悩ます。数分間、考えた末に飛羽真が出した答えは、
“この状態で連れて行こう”
だった。
そうと決めると、飛羽真はあるものを取り出そうとしたら、水滴が落ちる音が聞こえてきた。落ちてくる水滴を辿ると、バスケットボールぐらいの大きさなの青白く発光する鉱石が埋まっていた。
「水が出る鉱石?智慧之王」
『了。解析、鑑定を始めます。・・・・・完了。この鉱石は“神結晶”と呼ばれる、トータスの歴史上でも最大級の秘宝で、遺失物と認識されている伝説の鉱物です。そして、神結晶から溢れでている液体は“神水”と呼ばれている霊薬です』
「神結晶と神水?」
『解。神結晶とは大地に流れる魔力が、千年という長い時間をかけて偶然で来た魔力溜まりの魔力が結晶化し、生まれた鉱石です。更にそこから数百年もの時間をかけて結晶内の魔力が飽和状態になり、液体となって溢れだしたものが神水です。神水は欠損部位こそ再生出来ませんが、飲んだ者はどんな怪我も病も治し、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われています』
「俺が持ってるフルポーションとは違った効果を持つ回復薬か。多くても困ることはないし、持っていくか」
飛羽真は錬成魔法で神結晶を傷つけに用、錬成魔法で周りの壁を崩していき、神結晶を採掘すると収納ポーチにいれ、1冊のライドブックを取り出し、起動スイッチを押し、ページを開く。
『ブックゲート』
音声と共に飛羽真の前に巨大な本が現われ、自動で開く。飛羽真は繫がった状態のハジメと恵理を担ぐと、本の中へと入っていく。飛羽真が本の中へと入っていった。
「う・・・ん、あ、あれ、体が痛くない?」
目を覚ましたハジメはこの4日間で嫌というほど経験した体の痛みがないことに気づくと、自分で掘って作った薄暗い穴の中ではなく電球で明るい部屋にいることに気づく。起き上がると、隣では一緒に奈落に落ちた恵理が眠っていることに気づく。
「もしかして僕達、死んだ・・・の?」
ハジメは自分達が死んだのかと思い自分と恵理の心臓に手を当て鼓動を確かめる。
「鼓動は・・・ある。じゃあ、此処は一体?」
「あら?目が覚めたのね」
生きていることを確認し終えたハジメが周りを見回していると、ドアが開き、金髪エルフが部屋に入ってき、ハジメが目を覚ましたことに笑みを浮かべる。
「え、あ、そ、その」
「飛羽真、彼が目を覚ましたわよ」
美人エルフをみて、感動極まっているハジメを他所にエルフの少女はハジメにとって聞き覚えのある名前を口にした。
「おう、目が覚めたか南雲」
「や、八神君?」
飛羽真にとってもハジメにとっても4日ぶりの再会だった。
「「・・・・・」」
「よく食べるわね」
「4日間、何も食べていなかったみたいだからね」
リビングで出された料理を一心不乱に食べるハジメと恵理。その食べっぷりにアルファは感心し、リインフォースは苦笑いする。
「「八神君、おかわり!」」
「へいへい」
キッチンで調理している飛羽真はおかわりを要求してくるハジメと恵理に呆れつつ、手を動かし料理を作っていく。
「ったく、非常食をいれていたっていうに何で食べてないのかね~」
目を覚ました2人の話を聞いたところ、この4日間、飛羽真が見つけた神水だけを飲んで生きていたとのことだった。
飛羽真は2人が満足いくまで料理を作った。
「さて、南雲と中村の腹も膨れ、綺麗になったことだし。これからについて話し合うぞ」
椅子に座り、淹れたお茶を飲みながら飛羽真が議題を上げる。
「地上に戻ることが最優先事項だが、問題が多々ある。一つ目は上へと上がる階段がないことだ」
「どういうこと?」
「言った通りの意味だ。2人を探すとき、探知魔法で調べたんだが、下へと行く階段はあったが上に行く階段が何処にもなかったんだ」
アルファの問いに飛羽真は探知魔法で調べた結果を伝える。
「ですが、地上への帰還は飛羽真の持っているブックゲートを使えば一瞬では?」
「確かにそうなんだが、この本は記録した場所にしか行けないんだ。現在記録されているのは、城で使っていた部屋と俺と南雲の工房、泊まった宿だけだ」
「じゃあ、城に繋げれば」
「いやいや、死んだと思ってた奴が部屋や工房から現われてみろ、大騒ぎどころじゃねぇ。それに、俺は城から追放されたからな」
「追放って、なにしたの?」
「色々とあったんだよ、色々な」
恵理の問いに飛羽真は肩を竦ませながら答えた。
「んで、2つ目の問題は」
「僕と恵理・・・だよね?」
「あぁ。つーか、いつの間に名前呼びになったんだ?」
「えっと、こっちも色々とあって」
「色んな意味で合体してからな2人は、名前呼びになるのは当然か」
飛羽真のいった意味が分かった2人は顔を赤くする。
「脱線しそうだから、話を戻すぞ。ここに生息している魔物は遠征で戦った魔物とは比べるのもおこがましいぐらい強い。この階層であの強さだ、下の階層はもっと強い可能性もある」
「今の僕と恵理だと死ぬ確率が高い」
「で、でも、それは八神君も同じじゃあ」
「(智慧之王、俺のステータスプレートの隠蔽を解除してくれ)」
『解』
「ん」
飛羽真はステータスプレートにかけている隠蔽を解除して2人に渡し、見るよう言う。
「「な、なに!?このレベルとステータス!?」」
「それが俺の本当のステータスだ」
「こ、こんなの2週間で上げられる訳・・・」
「ないわな」
ハジメの言葉を飛羽真は肯定する。
「実を言うとな俺は異世界に来るのは初めてじゃないんだ」
「「え?」」
そう言うと、飛羽真は中2の時に起きたことを2人に話し始めた。話を聞いた当初、信じられない顔をしていたが、話の腰を折らず、最後まで聞いた。
「っと、いう訳だ」
「到底信じられない話だけど・・・」
「このステータスとレベルを見ると信じるしかないね」
「信じてもらえたところで2人どうしたい?」
「八神君はどうするの?」
「俺は下に行こうと思う。ここが何処まで続いているのか、何が待ち構えてるのが気になるからな」
「・・・・」
「ハジメ君」
「・・・・僕は、僕達は・・・八神君に着いて行こうと思う」
数分に及ぶ考えの末、ハジメは飛羽真達と一緒に行くと告げた。
「本気か?地上に返すことだって出来るし、なんなら此処で待ってるって選択肢もあるんだぞ?」
「地上に戻っても僕と恵理の2人だけじゃ生きていけない。ここに残っても八神君にもしものことがあったら野垂れ死んじゃうかもしれない。だったら、リスクは承知の上で八神君と一緒に行くよ」
「・・・中村はそれでいいのか?」
「うん」
「そうか。っとなると、2人の命を預かるわけだ」
「ふふふ、責任重大ね」
「まったくだ」
アルファの言葉に飛羽真は覇気のない声で答えた。