“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
『経験値が一定に達しました。これより、進化を行います』
「「え?」」
恐怖の対象だった爪熊を倒し、歓喜の声をあげようとしたハジメと恵理の頭の中にそんな言葉が流れた。『進化?一体何の事?』っと2人が疑問を感じ、首を捻ると、
「「っ!?」」
激痛が2人の身体を走った。
「南雲!?中村!?」
2人がいきなり倒れたのを見て飛羽真が駆け寄る。すると、
「「あぁああああああああ!?」」
鳴ってはいけない音が2人の身体から鳴り始めた。
「南雲、中村、これを飲め!」
飛羽真は神水を取り出し、2人に飲ませる。神水を飲んだことで効果が発揮し、痛みが引いて行くが、暫くすると再び激痛が2人を襲う。
「神水が聞いてない?(智慧之王、どういうことだ?)」
『解。解析の結果、最終特訓を始める前に食べさせた“進化の実”の効果によって、2人の身体が進化し、その進化に合わせ、肉体が急成長しています』
「(確かに始める前に2人に食べさせたが、その時は何も起きなかったんだぞ?何で今になって)」
『解。おそらく、進化を行う為に必要な経験値が無かった為と思われます。二尾狼、蹴りウサギ、爪熊を倒したことで進化に必要な経験値が集まり・・・』
「(進化が開始されたってことか)」
『肯定』
智慧之王からの話を聞いた飛羽真は2人に進化の実を食べさせたことを激しく後悔した。
「(智慧之王、解決方法は?)」
『解。2人の進化が終るまで待つしかありません』
何も出来ない自分に歯がゆさを感じつつ、2人の安全を確保するため飛羽真達はブックゲートを通って拠点へと戻った。
「すまなかった!!」
目を覚ましたハジメと恵理に飛羽真は土下座で謝った。
「あ、頭を上げてよ八神。驚いたし、死ぬほど痛かったけど」
「効果は見ての通りだから」
進化したことにより、ハジメの身長は10㎝以上伸び、筋肉も細マッチョに近い感じに付いた。一方、恵理も進化したことにより身長が伸び、雫に近いプロポーションへと変わった。
「それと、さっきステータスプレートを見てみたんだけど、僕・・・人間じゃなくなったみたいなんだよね」
「私も」
「・・・っは?」
2人の言っていることが理解できなかった飛羽真は呆けてしまった。2人からステータスプレートを受け取り、表示されたステータスを見る。
南雲ハジメ 17歳 種族:超人 男 レベル1
天職:錬成師
筋力:1432
体力:1545
耐性:1350
俊敏:1470
魔力:1489
魔耐:1489
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・言語理解
中村恵理 17歳 種族:魔人 女 レベル1
天職:呪術師(シャーマン)
筋力:1287
体力:1459
耐性:1289
俊敏:1395
魔力:1559
魔耐:1559
技能:降霊[+口寄せ]・火属性適正・魔力操作・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・言語理解
っと、それぞれ表示されていた。
「・・・なんじゃこりゃあ?」
レベルが1に戻りステータスが一気に上がった事にも驚いたが、飛羽真が驚いたのは超人や魔人という文字だった。
「(智慧之王、どういうことだ?)」
『解。解析の結果対象、進化の実の効果により対象、南雲ハジメと中村恵理は人間の上位種である身体能力に秀でた“超人”、魔法関係に特化した“魔人”へとそれぞれ進化しました』
「(上位種・・ねぇ。もし俺が進化したら何だろうな、身体能力に秀でた超人かねぇ?)」
智慧之王からの報告を聞いた飛羽真はもし自分が進化したら、ハジメと同じ超人だろうと思ったが、その予想は大きく外れる事となることを今の飛羽真はまだ知らない。
「八神君、僕たちどうなるのかな?」
「身長と体格が変わっただけで、後は何も変わってないんだ、どうどうしてればいいんじゃないか?」
人間ではなくなった事に不安を感じるハジメに飛羽真はそう答えた。
「とにかく、進化したことで力も大幅にアップしたし、安心して背中を任せられる。疲れてるだろうから先に進むのは明後日にする。ゆっくり休めよ」
「分かった」
「うん」
2人にゆっくり休むよう言うと飛羽真は2人が使っているカプセルハウスから出る。
「さて、南雲と中村の問題は解決した。残る問題は・・・コイツだな」
『キュ?』
飛羽真は自分の後をついてくる蹴り兎を見て困った顔をする。
「何でか知らないけどみょ~~に懐かれてるんだよな~。お前、このまま俺達に着いてくる気か?」
『キュ!』
飛羽真の言葉の意味が分かったか蹴り兎は頷いて答えた。
「なら、お前は爪熊に勝てるか?」
『・・・』
飛羽真の問いに蹴り兎は首を横に振って答えた。
「なら、連れて行けない。下には爪熊よりも強い魔物がいるかもしれない、爪熊に勝てないようじゃ足手纏いだ」
『キュ~~』
足手纏いと言われ、蹴り兎は落ち込む。
「俺達と一緒に来たいっていうなら強くなれ。ほれ、コイツは餞別だ」
蹴り兎にそう言うと、飛羽真は進化の実を蹴り兎に渡す。
『・・・』
飛羽真の話を聞いた、蹴り兎は貰った進化の実を食べた後、一礼すると、洞窟内へと戻っていった。
『解。進化の実を食べさせて良かったのですか?』
「食べさせないのが普通なんだろうが、何だろうな、あの兎には食わせてもいいかなぁ~~って思ってな。もしもの時は俺が責任をもって斬るさ」
『マスターがそれでいいと言うなら何も言いません』
「さて、南雲と中村が強くなった祝いに今日は豪勢な夕食にでもするか」
食材の在庫を確認しながら今日の夕食の献立を考えるのだった。