“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
ちょっとした原作崩壊があります。内容は見てのお楽しみで
転生してから12年。
「・・・・・」
心身ともに成長した斗真は日課である訓練をするため地下室に来ていた。目の前には特殊な製法で作られた巻藁があり、その数m先には火のついた蠟燭があった。その前で目を閉じ、居合の構えをとりじっと立っていた。
「・・・・肆の型“紅葉切り”」
そして、精神統一を終えると閉じていた目を開けると同時に、刀を抜刀!豆腐を切るかのように巻藁を切り裂き、剣圧で蝋燭に灯っていた火を消した。
「ふぅ~~~~」
刀を鞘に納め、斬った巻藁を拾い断面を見ようとしたとき、
「朝からせいが出るわね」
長い黒髪をポニーテールで結んだ少女“八重樫雫”が声をかけてきた
「雫」
「おはよう斗真」
『ガウ』
『にゃ』
「ライとシロもおはよう」
雫と朝の挨拶を返すと肩に乗っていたライオンと猫が斗真の肩に跳び移り、頬すりしてきた。
斗真の肩に跳び移り、頬すりをしている2匹は本物の動物ではなくデバイスと呼ばれる科学も加わった“魔法の杖”。その中でも2匹はハイブリッドと呼ばれる型でAIが搭載されたクリスタルをぬいぐるみ型の外装に入れており、本物の動物のように動くことが出来るの。
ライ、正式名称は“ライオネル”と呼ばれたライオンのぬいぐるみは斗真の物で、シロ、正式名称“シロガネ”と呼ばれた猫(正確には豹だが)型は雫のものである。
原作では、魔法の魔すらしらない雫がこの現状を見て驚いていないわけはばれてしまったからである。
ばれてしまった理由は省くが、ばれてしまった以上説明しないわけにはいかなく、魔法について説明したのだ。
「しっかし、雫に魔力があったのには驚いたな~~」
「斗真や朱乃さん、グレイフィアさんに比べれば微々たるものよ。でも、そのおかげでシロと会うことが出来たわけだしね」
雫が手招きすると、シロは雫の下に戻る。
「あぁ~~~やっぱりかわいい~~」
クールビューティーな雫だが、他の女の子同様、可愛いもの好きでシロの可愛さに一発で心を奪われており、シロとじゃれることで日々のストレスを発散している。
「それより雫、久しぶりに一手どうだ?」
「そうね~~~・・・じゃあ、お願いしようかしら」
斗真のいった意味が分かった雫は少し考えた後、提案をのんだ。
「行くぞライ」
『ガウ』
「シロ」
『にゃ』
『了』
2人は一定の距離まで離れると向かい合う。
「ライオネル」
「シロガネ、時雨」
「「セットアップ」」
2人の足元に色は違うが同じような魔方陣が展開されると、ライとシロが2人の内部へと入り着ている服が魔力によって構成された服へと変わった。更に雫が身に着けていた刀のキーホルダーが刀へと変った。
「ルールは分かってるよな?」
「えぇ。剣術のみでの手合わせ。負けた方は勝ったほうのお願いを一つ聞く」
斗真の問いに答えた雫は刀を抜き構える。
「今日は勝たせてもらうわよ」
「いいや、今日も俺が勝つ」
雫の宣言に刀真は不敵な笑みで答える。そして、決闘(デュエル)モードを起動させると、2人の頭上にHPバーが表示される。
『Ready fight』
バトルをスタートさせる電子音と共に2人の手合わせが始まった。
「霞穿」
試合開始の合図が鳴ると雫は素早く斗真との距離を詰める。そして、その速度を一切殺さずに体重を乗せ、神速の3段突きを放った。その3段突きを全て見切り、捌いた斗真は、
「肆の型“紅葉切り”」
お返しとばかりに限りなく神速に近い一閃を放つも雫は左手に持った鞘で斗真の一撃を防ぐも弾き飛ばされる。
「っく」
弾き飛ばされた雫は宙で一回転して衝撃を殺し、そのまま着地すると、刀を正眼で構えようとしたが、ほんの数秒とはいえ無防備となった隙を斗真が見逃すわけもなく、一足で距離を詰めると、
「業炎撃」
炎を纏わせた刀を勢いよく振り下ろした。防ぐのは間に合わないと察した雫は咄嗟に後ろに跳んで躱そうとするがコンマ数秒遅く、斬られてしまった。
「っ!?」
外傷こそないものの表示されたLPが大きく減少し、さらに軽度の火傷と出血(中)による継続ダメージが追加された。
「あ、相変わらず、凄い技術よね。負傷していないのに実際に負傷を受けた時と同じ痛み等を感じたりするんだもの」
雫はふらつきながらも刀を構える。
「すぅ~~~~はぁ~~~~」
刀を正眼で構えた雫は深呼吸をして気を落ち着かせると、一足で斗真に接近すると、怒濤の連続斬撃を繰り出す。雫の連続斬撃に合わせるように斗真も連撃を繰り出す。鉄と鉄が何度もぶつかり合う音が響き、火花が舞い散る。
打ち合いは最初こそ均衡していたが、時間がたつごとに雫の動きにキレが無くなっていく。
「(このままじゃジリ貧ね。だったら)」
出血により少しづづ減っていくLPを見て、雫は勝負に出ることにした。
連撃を止めて数歩後ろに下がると刀を鞘に収め、抜刀の構えを取ると、身体を捻る。雫はその状態を維持したまま再び一足で斗真に近づき、反動を利用した居合いを解き放った。
斗真は数歩後ろに下がって雫の渾身の一撃を躱すと、刀を両手で握り、斬り伏せようと一歩踏み込んだ。その瞬間、
「っが!?」
頭に連続で衝撃が走り、横に弾き飛ばされた。
「~~っ!?い、一体何が」
立ち上がった斗真は少し身体がふらついている事に気づき、自身のLPバーを見ると減っており、更に軽度の脳震盪と表示されていた。
「何とかうまくいったわね」
雫を見るとしてやったりといった表情をしていた。
「(確実に躱したはずだったのに2撃喰らった。・・・・まさか)断空と登龍を合わせたのか?」
「えぇ。断空と登龍を組み合わせた技よ。うまくいって良かったわ。なにせ、未完成の技なんだもの」
“スムーズに繋げられないのが難点なのよね~~”と呟く雫に、斗真は苦笑いする。
「(軽度とはいえ脳震盪。長引かせると危ない。次で決める)ふぅ~~~~」
呼吸を整え刀を上段で構えた状態で斗真は闘気を高める
「・・・・」
次に一撃で決着がつくと本能で察した雫は、刀を鞘に納め、居合いの構えを取る。
少しの静寂の後、
「紅葉切り・断風」
斗真が動いた。
一足で間合いを詰めた斗真は“紅葉切り”を発展させた超高速の一閃を雫に繰り出す。斗真の斬撃よりも早く鞘に納めた刀を抜いた雫だったが、その速さに及ばず、斬り伏せられてしまった。
そして、雫のポイントがゼロになり試合終了のブザーが鳴り響いた。
「はぁ~~今回も勝てなかったわ」
斗真を膝枕した状態で雫は溜息を吐いた。
「雫は素の力と決め技を覚えるべきだな。後は決め技だな」
「決め技って言うと」
「簡単に言うと必殺技だな。これがあるのと無いとじゃ全然違う」
「そう言われても。いまいちピント来ないのよ」
話を聞いた雫は困った表情となる。
「だったら、魔力付与斬撃を極めたらどうだ?」
悩む雫に斗真はアドバイスを送る。
「魔力付与斬撃を?」
「あぁ。ある騎士曰く『魔力付与斬撃は基礎にして奥義』だそうだ。そこに雫の剣技と能力を合わせれば充分決め技になると思うぞ」
「シンプルだけど強いってわけね。それなら私でも出来そうだわ」
アドバイスを受け、雫は光明が見えた気がした。
「やっぱりここにいた」
すると、地下訓練室に眼鏡をかけた少女が入ってきた。
「恵理」
「おはようお義兄ちゃん、雫」
「おはよう恵理」
斗真の事を義兄と呼ぶ少女“中村恵理”は雫が膝枕を行っているのを見て状況を察した。
「朝から手合わせなんかして、授業に差し支えても知らないよ?」
「大丈夫、大丈夫」
恵理の言葉に斗真は問題ないと言う。
「ならいいけど。もうすぐ朝ごはんが出来るからグレイフィアさんに怒られる前に上に上がったほうがいいよ」
「もうそんな時間か。教えに来てくれてありがとな」
「ん。じゃあ、先に行ってるね」
伝えるべきことを伝え終えると恵理は訓練場から出ていった。
「もう少し、雫の膝枕を堪能したいが小言を言われる前に俺達も行くか」
雫にそう言い、2人は上へと上がっていった。
雫の防護服は無職転生のエリス・グレイラット(修行完了後)の服装でズボンは短パンではなく長ズボン。