“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
戦争への参加を決めた斗真達クラスメイト。だが、力があるとはいえ戦いのたの字も知らないド素人(斗真、グレイフィア、朱乃、雫、恵理を除く)であるため当然、戦いのすべを学ばなければならない。教会もそのことを当然視野に入れていたらしく、聖教協会と密接な関係にある“ハイリヒ王国”と呼ばれるエヒトの眷属であった人物が建国した国で生活をしながら教わることとなった。王国に到着し、その国の王や宰相、騎士団長等が紹介され、それが終わると晩餐会が開かれた。
「無駄に豪華だな」
晩餐会が終わり、与えられた部屋へと案内され、入った斗真の一言目がそれだった。
「えっと、お気に召しませんでしたか?」
部屋まで案内した金髪のメイドが恐る恐る尋ねる。
「いや、予想の斜め上を行く部屋だったんで驚いただけだ。そういえば、解散した時、1人1人にメイドがついていたんだが」
「国王様の命で皆様に侍女を付けるよう仰せつかったからです」
メイドの少女はそう言うと1歩後ろに下がり、斗真に頭を下げ、自己紹介を行う。
「本日より貴方様に付くこととなったタルト・トゥアハーデと申します」
「斗真、八神斗真だ。色々と迷惑をかけるかもしれないがよろしくな」
「はい」
自己紹介を終えたメイド少女“タルト・トゥアハーデ”はもう一度一礼すると部屋から出ていった。タルトの気配が完全に遠のいたのを確認すると収納していた鞄を取り出した。すると、
「ガゥ~~」
「悪かったなライ、長時間暗い所に閉じ込めて」
鞄がひとりでに開き、中にいたライが飛び出、斗真にじゃれついてきた。斗真は甘えてくるライを撫でながら謝る。
「少し早いが、明日からの訓練に備えて寝るか」
斗真は用意された寝間着に着替え、眠ろうとしたが、
「・・あ!グレイフィアの作った弁当と、園部がくれた弁当まだ食べてねぇ」
本人以外どうでもいい事を思い出し、どうしようか悩むのだった。
翌日、朝食を取った後、、騎士団長のメルドに連れられ、斗真達は訓練場と思われる場所へとやって来た。
全員がいることを確認したメルドは全員に12センチ×7センチ位の銀色のプレートを配る。全員が不思議そうに渡されたプレートを見ていると、
「よし、全員に配り終ったな?このプレートはステータスプレートと呼ばれている物だ。これは文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれる。最も信頼できる身分証明書でもあり、これがあれば迷子になっても平気だからなくすなよ?」
「今の自分のステータスが分かるっか・・便利だな。でも、どうやって見るんだ?」
どうすれば使えるのか不思議がっていると、
「プレートの一面に魔方陣が刻まれているだろう?そこに、自分の血を一滴垂らすことで所有者が登録される。登録が終わったら“ステータスオープン”と言えばプレートに自分の現在のステータスが表示される。あぁ、原理とか聞くなよ?そんなもの知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
メルドがプレートの使い方を教えてくれた。使い方よりも気になる言葉があった。
「アーティファクト?」
「アーティファクトって言うのは現代で再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ、神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。今持っているこのステータスプレートもその一つだ。複製するアーティファクトと一緒に昔からこの世界に普及している唯一の物だ。普通、アーティファクトと言えば国宝になるものなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
メルドの説明に納得すると斗真は指先に針を刺し、浮き上がった血をプレートの魔方陣に擦りつけると、魔方陣が淡く輝いた。今ので登録が完了したのだと判断し、プレートの表を見ると、
八神斗真 17歳 男 レベル:1
天職:剣豪
筋力:739
体力:4275
耐性:599
俊敏:756
魔力:10000000
魔耐:595
技能:智慧之王[+思考加速][+未来攻撃予測][+解析鑑定][+並列演算][+詠唱破棄][+森羅万象][+統合分離][+能力改変]・陽炎之王[+思考加速][+覇気][+万能感知][+光熱支配][+空間支配][+多重結界][+陽炎]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+放出]・覇気[+見聞色][+武装色][+覇王色]・剣術・全属性適正・創作[+付与][+編集]・LP変換[+性欲][+食欲][+金欲・物欲]・縮地・気闘法[+身体強化][+部分強化]・超直感・超回復・幸運・気配感知・魔力感知・言語理解
っと、表示されていた。
「(う~~~ん、改めてみるとチートスキルだよな)」
表示された2つの究極スキル等を見て斗真は苦笑いする。
「全員見れたようだな。では説明を再開する。まず最初に“レベル”があるだろう?それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルはその人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。まぁ、そんな奴はそうそういないがな。そして、ステータスは鍛練で当然上昇する、魔法や魔法具で上昇させることも出来る。また魔力の高い物は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことは解っていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前らように装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者ご一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ」
メルドはステータスの上がる条件を教える。
「次に“天職”ってのがあるだろう?それは言うなれば才能だ。末尾にある技能と連動していてその天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦闘系天職に分類されるのだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが、百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくもない物も結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
メルドの話を聞いてふむふむと頷いていた斗真だったが、メルドの次の言葉を聞いて嫌な汗が噴き出るのだった。
「後は、各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなくちゃいけないからな」
「(どうすればいいんだ?)」
どうしようか悩んでいると、
「斗真様」
「斗真君」
「斗真」
「お義兄ちゃん」
グレイフィア、朱乃、雫、恵理が近づいてきた。
「どうした?」
「実は・・・」
5人を代表してグレイフィアが表示されたステータスがあまりにも高く、このままでは問題になってしまうと言ってきた。特に、グレイフィアと朱乃は本来の種族が表示されているためまずいとのこと。
「(ラファエル、何かいい案はないか?)」
『解。創作スキルで“偽装”を創ることを薦めます』
この状況を何とかするため、斗真はラファエルに助けを求めると、ラファエルは斗真に創作”で“偽装”というスキルを創ることを薦めた。
「(偽装を)」
『解。そのスキルを覚え使うことでステータスやスキル、種族、年齢を偽り、混乱を防ぐことが出来ます』
「(成程。よし、スキル“偽装”を創作)」
ラファエルから解決策を教えられた斗真は頭の中で念じると念じたスキルに作るのに必要なLPが表示された。
「(2500か。結構高いな。起こるであろう混乱を考えれば安いな。偽装を5人分創作。更にグレイフィア、朱乃、雫、恵理に付与)」
作るのに必要なLPを払い“偽装”を創作し、創ったスキルを4人へと付与した。
「(やっぱ、この脱力感はなれないな~~)」
斗真が使ったスキル“創作”、“付与”、今回は使わなかったが“編集”は使用するのにLP、つまり生命力を消費するのだ。スキルを使うたびに生命力が減っていき、生命力が0になると死んでしまうのだ。
LPは“LP変換”と呼ばれるスキルで増やすことが出来る。変換量は幸福度(性欲”、“食欲”“金欲・物欲”等の欲)に比例する。
LP50万→残りLP48万4500
「(これで大丈夫だろう。ラファエル、4人に“偽装”は付与されているか?)」
『告。付与されています』
ラファエルから4人に偽装がちゃんと付与されていることを確認すると、斗真は4人に説明し、偽装を使い、ステータスを偽った。
八神斗真 17歳 男 レベル:1
天職:剣豪
筋力:100
体力:120
耐性:90
俊敏:110
魔力:200
魔耐:90
技能:剣術・全属性適正・超直感・幸運・言語理解
「っま、こんな所かな?(一部あの馬鹿より多くしたが、鍛えてたからっていえば問題ないだろう)」
偽装した自身のステータスを見た斗真はメルドにプレートを見せた。光輝に次ぐ逸材と言われた。
続くように偽装で改ざんしたステータスをメルドに見せるグレイフィア、朱乃、雫、恵理。そして、とうとうハジメの番となった。
今まで規格外のステータスを確認し、ホクホクとした表情を浮かべていたメルドの顔が笑顔のまま固まった。それからプレートを叩いたり、光にかざした後、確認するも見間違いなどではなく、物凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。
「あぁ、その、なんだ・・・錬成師というのは、まぁ、鍛冶職のことだ。鍛冶するときに便利だとか」
そして、歯切れ悪くハジメの天職について説明する。
その様子をハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがない。鍛冶職ということは明らかに非戦闘天職、ハジメを除く全員が戦闘系天職を持ち、これから戦いが待っている状況では役立たずの可能性が高い。
ハジメを特に目の敵にしている男子“檜山大介”がハジメに絡もうとするが、
「鍛冶職、ハジメにぴったりの天職じゃねぇか」
それよりも早く、斗真が声をかけた。
「斗真君?」
「悲観するのは早いぞハジメ。鍛冶職、つまりには物作りだ。ハジメの努力次第じゃ、銃といった俺達の世界にある武器を作ることだって出来るはずだ」
その言葉を聞き、ニヤニヤと笑っていた男子達の表情が一転、唖然とした表情となった。
「ハジメ、お前はお前のやり方で戦いの貢献しろ」
「・・うん」
元気づけられたハジメは希望が見えてきたのか、頷いて答えると、
「南雲君、気にすることはありませんよ!先生だって非戦系?とかいう天職ですし、ステータスだって殆ど平均です。南雲君は1人じゃありませんからね」
愛子が戦えないのはハジメ1人じゃないと言い、自分のステータスをハジメに見せた。
畑山愛子 25歳 女 レベル1
天職:作農師
筋力:5
体力:10
耐性:10
俊敏:5
魔力:100
魔耐:5
技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
愛子のステータスを見たハジメは死んだ魚のような目をして遠くを見だした。
「あれ?ど、どうしたんですか南雲君!?」
愛子の全体のステータスは確かに低く、非戦系天職であろうことは一目見れば分かるだろうが、魔力は光輝に匹敵しており、技能数なら超えている。さらに糧食問題は戦争には付き物でハジメのようにいくらでも優秀な代わりのいる職業ではない。つまるところ、愛子も十分にチートだった。
「・・・・・」
1人じゃないかもとちょっとばかり期待していたハジメのダメージは深い。
「あらあら、愛ちゃんったら止めを刺しちゃったわね」
「「な、南雲君、大丈夫!?」」
反応が無くなったハジメを見て雫が苦笑いし、恵理と香織が心配そうに駆け寄る。愛子は何故か分からず首を傾げており、そんな愛子を見てほっこりとする斗真達なのであった。