“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版   作:白の牙

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第08話

 

 

 

 トータスに連れてこられて早2週間。斗真達は魔族との戦いに備え、日夜訓練に励んでいた。

 

 「・・・・・」

 

 本日も訓練を行う前に座禅を組み、精神統一を行いつつ、イメージトレーニングを行っていた。

 

 「・・・・ふぅ~~~」

 

 ゆっくりと息を吐き、閉じていた目を開いて立ち上がろうとすると、誰かに背後から抱き着かれた。

 

 「っ!?あ、朱乃!?いつ入って来たんだ!?」

 

 「うふふ、ついさっきですわ。声をかけようとしたんですけど、邪魔するのも申し訳ないので終るまで待っていたんですの」

 

 「そうだったのか。はぁ~~イメトレに集中しすぎて周囲の警戒をおろそかにするなんて・・・俺もまだまだだな」

 

 朱乃が入ってきたことに気づくことが出来なかった事に斗真は落ち込むも、すぐに気持ちを切り替えた。

 

 「所でいつまで抱き着いてるんだ?色々と当たってるんだが?」

 

 「あら、お気に召しませんか?」

 

 「召すか、召さないかで言えば召すんだが」

 

 「では」

 

 返答を聞いた朱乃が抱き着く力を強め、胸をさらに押し付ける。

 

 「あ、朱乃、悪いが離れてくれないか?今日はハジメが作った試作品のテストをするんだ」

 

 本音を言えば朱乃と戯れつつLPを入手したいが、ハジメとの約束があるため泣く泣く朱乃にはなれるようお願いする。

 

 「本当はもう少しこうしていたかったのですが、そういうことならしょうがありませんね」

 

 話を聞いた朱乃は渋々離れる。

 

 「悪いな」

 

 「いいえ。でも、」

 

 「でも?」

 

 「この世界に来てから斗真君とのスキンシップが減ってしまったのが残念ですわ。前は3日に一度は一緒に眠っていたというのに」

 

 「城を出て城下町に出れればよかったんだけど、城から出るの禁止されてるからな」

 

 頬に手を添え溜息を吐く朱乃を見て苦笑いする。

 

 「(鬱憤が溜まってるみたいだし、ここは)なら、今日の夜、皆が寝静まった頃、グレイフィアと一緒に部屋に来るか?」

 

 「行きます」

 

 「(即答)」

 

 斗真の提案を聞いた朱乃は秒で答えた。

 

 「ハジメ君を待たせるわけには行かないので訓練場に行きましょう」

 

 「お、おう」

 

 一瞬で機嫌がよくなった朱乃に苦笑いしつつ、訓練施設へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 「さて、ハジメは・・・まだ来てないみたいだな」

 

 訓練施設に着いた刀真は辺りを見回しハジメを探すも見当たらなく、まだ来ていないのだと思ったが、

 

 「ん?」

 

 いつもハジメにちょっかいをかけていた4人組が訓練場の隅に集まっていることに気づく。

 

 「(あいつら、あんな場所で何を?しかも笑って・・・・・まさか)」

 

 遠いからはっきりと分からないが4人が笑みを浮かべていることに気づいた斗真はある可能性に至り、4人のいる場所へと駆ける。そして、

 

 「ハジメ!」

 

 ボロボロのハジメを見つけた。

 

 4人を押しのけハジメに駆け寄り、容態を確認する。

 

 「手めぇら、ハジメに何をした?」

 

 「何って、南雲の特訓に付き合っていただけ・・」

 

 「戦えない人間を一方的に攻撃するのが特訓?」

 

 4人組のリーダーである檜山の話を聞いた斗真はハジメをゆっくりと地面に降ろし、寝かせると、一足で檜山との距離を詰める。そして、

 

 「ふん」

 

 「っ!?」

 

 力いっぱい顔をぶん殴った。

 

 「~~~~!?」

 

 顔を殴られた檜山は地面を転がりながら痛みに悶える。

 

 「一方的に攻撃する。それがお前達の特訓だっていうなら、ハジメにやったことを俺がお前達にしてもいいよな?何せ特訓なんだから」

 

 「この!ここに焼撃を・・・がは!?」

 

 「・・・遅い」

 

 一足で火属性魔法を放とうとしていた中野に近づいた斗真は膝蹴りを腹部にお見舞いすると、後ろ回し蹴りで頭部を蹴った。

 

 「中野!この!」

 

 仲間がやれた事に怒った近藤が持っている槍で突きを繰り出す。身体を少しずらして突きを躱した斗真は突き出された槍を両手で握ると、回転から生まれる力を利用して近藤を槍ごと持ち上げ、

 

 「おりゃ」

 

 一本背負いの要領で近藤を地面へと叩きつけた。

 

 「“風球”」

 

 近藤の相手をしているうちに詠唱を終えた斎藤が風の塊を斗真へと放つ。斗真は右足に魔力を込める。そして、

 

 「シュート!」

 

 「う、嘘だ・・オエ!?」

 

 魔力を込めた右足で放たれた風の塊を斎藤へと蹴り返した。蹴り返された風の塊は斎藤の腹部に当たり、胃液を吐き出した。

 

 「どうだ?ハジメと同じ思いをした感想は?」

 

 斗真は地面に這いつくばっている檜山達を冷ややかな目で見ながら尋ねる。

 

 「これに懲りたらハジメにちょっかいをかけないことだな。今度ちょっかいかけたら、これぐらいじゃ済まねぇからな?」

 

 最後に顔を抑え地面に転がっている檜山の腹部を蹴とばすと、ハジメに肩を貸し、けがの治療をするために医務室に連れて行こうとすると、

 

 「南雲君!?」

 

 香織が血相を変えて近づいてきた。

 

 「丁度いい所に来てくれたな白崎。ハジメの治療を頼めるか?」

 

 「うん」

 

 ハジメの治療を香織に任せた斗真は今日の訓練は中止だなと思っていると、

 

 「八神!」

 

 光輝が大声で話しかけてきた。

 

 「さっきのあれは何だ!?」

 

 「あれ?」

 

 「惚けるな!檜山達の件だ」

 

 「あ~~、あれか。何だも何も、あいつらがハジメにやった特訓と同じ事をした、それだけだ」

 

 「あんなのは特訓じゃない、暴力だ!」

 

 「暴力ねぇ・・・・確かにそうかもしれないな。なら、俺をとがめる前にあの馬鹿共や見て見ぬふりをしていた周りの奴らを咎めたらどうだ?戦うすべを持たないハジメに特訓と言う名の暴力をふるっていたんだぞ?しかも4人で」

 

 「そ、それは」

 

 斗真の正論に光輝は言い返すことが出来ず、話を聞いていた者達は目をそらすのだった。

 

 その後、治療を終えたハジメを部屋へと連れて行った斗真は訓練場に戻ると、メルドにあった事を報告した。報告を聞いたメルドは小悪党4人と見て見ぬふりをしたクラスメイトの訓練メニューを倍にし、制裁をくわえたのだった。

 

 そして、その日の訓練後、

 

 「明日から実践訓練の一環として“オルクス大迷宮”へ遠征に行く。必要な物はこちらで用意してあるが、今までの王都外での実践訓練とは一線を画すと思ってくれ。まぁ、要するるに気合いを入れろってことだ!今日はゆっくり休むように。では、解散!」

 

 メルドからオルクス大迷宮と呼ばれるダンジョンに遠征に行くと告げられたのだった。

  

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