“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
「オルクス大迷宮、全100層からなると言われている大迷宮で、この世界に7つ存在している大迷宮の1つ。階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現するっか」
遠征に行くと伝えられた日の夜。夕食を食べ終えた斗真は王立図書館でオルクス大迷宮のことを調べていた。
「(他に大迷宮に関して書かれた本は)」
「あ、あの~~~」
情報が他にもないか調べようとしたとき、1人の司書が話しかけてきた。
「調べ物をしている最中、申し訳ないのですが、そろそろ」
「謝らないでください。閉館間近で来たこっちが悪いんですから。寧ろ、入れてくれたことに感謝してます」
「い、いえ、王から勇者御一行様のお願いはなるべく聞くよう言われていましたので」
「本を数冊借りていってもいいですか?」
「それは構いませんが、その量をこれからお読みになるのですか?明日から遠征を控えていると聞きましたが」
こちらの予定を知っていた司書が借りていって、全部読むことが出来るのかを心配するが、
「俺は速読が得意なんで問題ありません。お借りした本は明日、身の回りの世話をしてくれているメイドに返すよう頼みますので」
「は、はぁ」
大迷宮に書かれている本を集め終えた斗真は積んだ本を片手で持つと、司書に一礼し図書館を後にした。
「有意義な情報はなさそうだな」
部屋に戻り、大迷宮について記された本を全て読み終えた斗真はタルトが淹れてくれた紅茶を飲み一息つく。
「斗真様、入ってもいいでしょうか?」
「どうぞ」
許可を得るとグレイフィアが部屋に入ってきた。
「どうした?」
「頼まれた物が出来上がったのでお持ちしました」
斗真の問いにグレイフィアは持っていた風呂敷を広げ完成した服を見せる。
「靴まで作ったのか!?」
「はい。丈などがあっているのかを確認したいので着ていただけますか」
「分かった」
グレイフィアに言われ、刀真はシャツとパンツ以外の服を脱ぎ、戦闘衣に着替える。
「どうですか?」
「・・・・防護服と同じ感覚で動ける。防御の方は攻撃を受けてみないことに分からないな。っま、態々受けるつもりはないけどな」
戦闘衣に着替えた斗真は、屈伸や、シャドーなどを行い、動きに支障がないかを確かめた。
「どうした?」
「やっぱり、その服を着ている斗真様はカッコイイと思いまして」
「服の元となった人に比べれば馬子にも衣裳だよ」
グレイフィアの言葉を聞き、否定するが顔は正直で少し赤く染まっていた。
服の試着を終えると、朱乃が来るまで遠征の話をして時間を過ごすのだった。
そして、その翌日。斗真達、勇者一行は騎士団が用意した馬車に乗って大迷宮に隣接する宿場町“ホルアド”へとやってきた。
「今日はここで一泊し明日の早朝、大迷宮に入る。ゆっくりと休むように。以上、解散」
メルドの号令で解散となり、斗真達は王国直営の宿屋へと入り、割り振られた部屋へと行く。
「ふぅ~~~~」
部屋に入るなり、ハジメはベッドへとダイブし気を緩めた。そんなハジメを見て斗真は苦笑いする。
「やっぱり、普通の部屋が一番だよね」
「確かに」
ハジメの言葉に同意しながらベッドに腰かけると、鞘から剣を抜き手入れを始めた。
「あれ?馬車の中でも手入れしてなかったけ?」
「ん?あぁ、お前は寝てたから知らなかっただろうが、道中、魔獣の襲撃があって、討伐したんだ」
「そ、そうなの!?全然気が付かなかった」
「ぐっすり眠ってたからな。お前を快く思わない連中がいたら非難の嵐だったが、幸い馬車には俺達しか乗ってなかったその心配はない。まぁ、ばれたとしても俺が黙らせるから問題ないけどな」
驚くハジメを横目に斗真は剣の手入れを続ける。
そして、剣の手入れも終え、寝ようとした矢先、扉をノックする音が部屋に響いた。
「(誰だ、こんな時間に?)」
「南雲君、起きてる?白崎です、ちょっといいかな?」
「「(なんですと?)」」
予想外の訪問者に2人は一瞬硬直するのだった。
「ったく、白崎にも困ったもんだ」
予想外の訪問者の予想外の服装を見て眠気が飛んでしまった斗真。香織からハジメと話がしたいと言われる。“部屋に戻ってさっさと寝ろ”と言うつもりだったが、真剣な表情の香織を見て溜息を吐き、話をさせるため部屋を出た。
「・・・・外でライと戯れて時間をつぶすか」
ここ最近愛猫?と遊んでいないことを思い出し、遊ぶことを決めると外へと出る。すると、
「ふ!はぁ!やぁー!」
雫が剣を振るっていた。
「ガゥ!」
「きゃ!?ラ、ライ?」
「精が出るねぇ~」
「斗真。どうして」
何故、此処にいるのかを尋ねると、
「どっかの誰かさんがハジメと話したいって言ってを訪ねてきてな。最初は追い返そうかと思ったが、何か思いつめたような顔をしてたもんだから、お願いを聞いてやった。まぁ、白崎の格好には驚いたけどな」
部屋にやって来た時の香織の服装を思い出し、から笑いする斗真。
「何?興奮でもした?」
「いんや」
もっとすごい物をほぼ毎日見ていた斗真にとって香織の恰好は驚きこそしたが、興奮するほどではなかった。
「それより、シロは?連れてきてないのか?」
「シロなら」
「にゃ!」
「そこにいるわ」
「みたいだな」
何処からともなく現われたシロが斗真の頭部に乗っかった。
2人はじゃれあうライオネルとシロガネを眺めつつ、何気ない会話を行う。
「どうやら話は終ったみたいね」
暫く話していると、香織が自室に戻っていく姿が見えた。
「みたいだな。俺達も戻るとしようぜ。っと、その前に、ほれ」
部屋に戻ろとした斗真だったが、収納空間から液体の入った瓶を取り出し、雫に渡した。
「これは?」
「俺が調合した薬だ。効果は疲労回復、リラックス効果を与えてくれる」
「ありがとう」
薬の効果を聞いた雫は瓶の蓋を外し、入っている量も少なかったので一気飲み干した。
「んじゃあ、お休み雫」
「えぇ。おやすみ斗真」
挨拶を済ませると2人はそれぞれの部屋に戻り、明日の遠征に備え、眠るのだった。