“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版   作:白の牙

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 お久しぶりです。執筆が乗らなかったのと、書いては消し、書いては消しを繰り返していたらここまで時間がかかってしまいました。

 


第11話

 

 

 

 檜山のうかつな行動により鉱物に施されていたトラップが発動、強制転移されられた斗真達一行。

 

 転移した場所は石で造られた巨大な橋の中央。橋の両サイドにはそれぞれ奥へと続く通路と上階への階段が見えた。

 

 「お前達、すぐに立ち上がってあの階段の場所まで行け!」

 

 すぐさま周囲の状況を確認したメルドが険しい表情を浮かべながら指示を出す。

 

 メルドの号令に我先へと階段へと動き出すクラスメイト達。だが、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく撤退は叶わなかった。奥へ続く通路と階段側に入口に魔法陣が展開され、階段からは大量の魔物が通路側の魔法陣からは1体の巨大な魔物が出現した。

 

 「まさか・・・・ベヒモス・・・・なのか?」

 

 通路側の魔法陣から出現した魔物を見てメルドがありえないものを見たかのように呟いた。

 

 「グルァアアアアアア!!」

 

 ベヒモスと呼ばれた巨大な魔物は大きく息を吸い込むと階層に響き渡るようなすさまじい咆哮を上げた。

 

 「っ!?アラン!生徒達を率いてトラムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル!全力で障壁を張れ!やつを食い止めるぞ!光輝、お前たちは早く階段へ向かえ!」

 

 ベヒモス咆哮で我に戻ったメルドは矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

 「待ってくださいメルドさん!俺たちもやります!あの恐竜みたいな奴が一番ヤバイでしょう!俺たちも・・・」

 

 「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら今のお前たちでは無理だ!奴は65階層の魔物。かつて“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ!さっさと行け!私はお前たちを死なせるわけには行かないんだ」

 

 光輝は一緒に戦うとするもメルドは駄目だといいこの場かた撤退しろと言う。メルドの鬼気迫る表情に一瞬怯んだ光輝だったが、無駄に高い正義感がそれを許さず、踏み留まる。

 

 どうにか光輝を撤退させようと再度メルドが話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは撤退中の生徒達、全員が轢き殺されてしまう光景が目に浮かぶ。

 

 「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず―“聖絶”」」」

 

 そうはさせまいと王国最強戦力が全力の多重障壁を張る。

 

 純白に輝く半球状の障壁にベヒモスが衝突した瞬間、すさまじい衝撃波が発生し、ベニモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れ、撤退中の生徒たちから悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

 上層へと続く階段の入口に現われた魔法陣から出現する骸骨の魔物“トラムソルジャー”。38階層に現われる魔物で、今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちふさがる不気味な骸骨の魔物と、後方から迫る恐ろしい気配に生徒たちは半ばパニック状態となっている。隊列を無視し、我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員のアランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾けるものはいない。

 

 そんな中、優香が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。呻きながら顔を上げると、眼前で1体のトラムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

 「っあ」

 

 そんな一言と共にトラムソルジャーが剣を振り下ろす。

 

 “死ぬ”。優香がそう感じた瞬間、甲高い音が響いた。その音を聞き、自分の死を悟り目を閉じてた優香が目を開くと、斗真が振り下ろされたトラムソルジャーの剣を受け止めていた。

 

 「はぁ!」

 

 斗真は鍔迫り合いの最中、鉄山靠の要領でトラムソルジャーに右肩からぶつかり衝撃を与え弾き飛ばした後、剣を振るいトラムソルジャーを切り裂いた。

 

 「大丈夫か園部?」

 

 「う、うん、ありがとう八神」

 

 「優香!」

 

 「優香っち!」

 

 斗真が優香に安否を確認していると優香とパーティーを組んでいる2人の少女、“菅原妙子”と“宮崎奈々”が駆け寄ってきた。

 

 「(斬っても、斬ってもキリがない。やっぱり根元を絶たなきゃだめだな)」

 

 上へと上がる階段手前にある魔法陣から次々と召喚されるトラムソルジャーに視線を移す。

 

 「ビナー、少しきついかもしれないが、あの魔方陣の破壊頼めるか?」

 

 「お任せください」

 

 「朱乃はビナーの援護を。俺は魔法陣が破壊されるまで1体でも多く骸骨どもを駆逐する」

 

 「分かりましたわ」

 

 斗真の指示を受け、グレイフィア、朱乃の2人は行動を開始する。斗真も行動を起こそうとしたとき、1つの影が横を通り過ぎた。

 

 「ハジメ!?」

 

 「斗真様、ここは任せて彼のところに」

 

 「すまない。任せた」

 

 この場をグレイフィアに任せると斗真は襲い掛かるトラムソルジャーを倒しつつ、ハジメの後を追った。

 

 そのころ、最前線ではベヒモスと騎士団との防衛線が続いていた。初撃の突進を騎士団の全力の多重障壁に防がれたベヒモスだったが、その後も障壁に向け何度も突進を繰り返していた。

 

 「くそ!もう持たんぞ!光輝!早く撤退しろ!お前達も早く行くんだ!」

 

 「嫌です!メルドさん達を置いていくわけには行きません!絶対、みんなで生き残るんです!」

 

 「っく、こんな時に我が儘を」

 

 いまだこの場に残っている光輝に早く逃げろというメルドだったが、光輝はメルドの言うことをまったくと言っていいほど聞かないでいた。

 

 橋の上という限定された場所でベヒモスの突進を躱すことは不可能に近い。それ故、逃げ切るためには障壁を張って押し出されるように撤退するのがベストだ。

 

 しかし、その微妙なさじ加減は長い間戦ってきた者だけが出来るのであって、今の光輝達では難しい注文だ。その辺りの事情をかいつまんで話、撤退を促しているのだが、光輝は納得できず、逆に自分ならベヒモスをどうにかできると思っている。

 

 「(えぇい。自信をつけさせるために行っていた方針が裏目に出るとは)」

 

 「光輝!メルド団長の言う通りここは撤退しましょう」

 

 唯一状況を理解している雫が光輝を促すが、

 

 「っへ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろう?付き合うぜ光輝!」

 

 「龍太郎、ありがとな」

 

 龍太郎の言葉に光輝は更にやる気を見せてしまった。

 

 「状況に酔ってんじゃないわよ!いいわ勝手にしなさい!香織、行くわよ」

 

 「で、でも」

 

 香織が迷っていると、

 

 「天之河君!」

 

 「な、南雲!?」

 

 「南雲君!?」

 

 光輝の前にハジメが飛び込んできた。驚く一同を他所にハジメは必死の形相で光輝にまくし立てる。

 

 「早く撤退を!皆のところに!君がいないと!早く!」

 

 「い、いきなりなんだ?それより、何でこんな所にいるんだ!ここは君がいていい場所じゃない!ここは俺たちに任せて南雲は・・」

 

 「そんなこと言っている場合か!!」

 

 光輝の言葉を遮って、ハジメは今までにない乱暴な口調で怒鳴り返した。

 

 「あれが見えないの!?レスザンさん、姫島さん、野中さんのお陰で最悪にはなっていないけど、皆、パニックになってる!リーダーがいないからだ!」

 

 光輝の胸ぐらを掴みながらハジメは後ろを指を差す。その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた。

 

 「一撃で切り抜ける力が必要なんだ!皆の恐怖を吹き飛ばす力が!それが出来るのはリーダーの天之河君だけでしょう!前ばかり見てないで後ろもちゃんと見ろ!」

 

 呆然と混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見た光輝は頭をふるうとハジメに頷いた。

 

 「あぁ、分かった。すぐに行く!メルド団長!すいませ・・」

 

 「下がれぇ――!!」

 

 “すいません、先に撤退します”。そう、メルドに言おうと振り返った瞬間、メルドの悲鳴と同時に、遂に障壁が砕け散った。

 

 暴風のように荒れ狂う衝撃波がハジメ達に迫るが、その衝撃波は張られた多数の結界によって防がれた。

 

 「・・・え?」

 

 全員が呆然としていると、斗真がハジメ達の前に降り立った。

 

 「“結”」

 

 斗真がベヒモスを指差すと正方形の結界でベヒモスを閉じ込めた。

 

 「ふぅ、ギリギリセーフ」

 

 『グルゥ』

 

 「そう簡単には壊せないぞ」

 

 ベヒモスは結界を壊そうと突撃するが結界にぶつかった瞬間、結界に与えた衝撃が返ってき、数歩、後ろに下がった。

 

 「ただの結界じゃないぞ。反射の効果を加えた特殊な結界だ」

 

 自分がなぜ下がったのかわからいでいるベヒモスに颯真はしたり顔で言う。

 

 「メルドさん、俺が抑えているうちに後退を」

 

 「お前も一緒に・・・」

 

 「逃げている途中で結界が壊され、追って来られたらまずいですからね。誰かが残って足止めしないと」

 

 「なら、俺達が・・・いや、無理だな」

 

 自分達がベヒモスを足止めするために残ろうと言おうとしたメルドだったが、現状を見て無理だと判断する。

 

 「大丈夫ですって、元の世界に戻るまで死ぬ気はないんで」

 

 「・・・・すまない」

 

 メルドは自身の不甲斐なさを呪いながら斗真に謝罪すると団員を担いで後退した。

 

 「八神」

 

 「いつまで突っ立てるつもりだ?やることが分かってるならさっさとやってこい」

 

 悔しそうな表情の光輝にクラスメイトを救えと伝えると、光輝は何も言わず後退していった。

 

 「斗真」

 

 「そんな顔するな。メルド団長にも言ったが、死ぬ気はない」

 

 「自分からフラグ立てないで」

 

 一言そういうと雫は香織を連れて後退していった。

 

 「(ラファエル、戦闘になったと想定して俺は勝てるか?)」

 

 『告。余裕で勝てます。ですが、今それを行うのは危険です』

 

 「(理由は?)」

 

 『告。現時点の勇者でも倒せない存在を倒したとなれば、戦力として上げられ自由に動くことができなくなるからです』

 

 「(でも、倒すなりなんなりしないと上まで追ってきそうだからな~~)」

 

 『告。なら、橋から落とすというのはどうでしょう?』

 

 「(落とす・・かぁ。でも、これだけの巨体を落とすとなる・・・)」

 

 ラファエルの提案が一番いいと思った斗真だったが、どうやってベヒモスを橋から落とすかそれが一番の問題だったが、そんな考えは一瞬で吹き飛んでしまった。何故なら、

 

 「斗真君」

 

 「ハジメ!?それに恵理!?何でここに!?」

 

 ハジメと更には恵理までもがこの場にいたからだ。

 

 『告。ちょうどいいのでベヒモスを落とす手助けをして貰いましょう。作戦はこうです』

 

 「(・・・なるほど、分かった)ハジメ、逃げながらでいいから1つ頼まれてくれないか?」

 

 ラファエルの立案した作戦内容を斗真はハジメに伝えた。

 

 「できそうか?」

 

 「多分・・・出来ると思う。でも、ベヒモスの大きさや体重を考えると1歩でも踏み込んだら亀裂が入ると思うけど」

 

 「何とかなるだろう。脚には自身があるからな」

 

 「・・・分かった。行こう中村さん」

 

 「うん、お義兄ちゃん、死なないでね」

 

 「ははは、義妹の花嫁姿を見るまでは死なねぇよ」

 

 「へんな死亡フラグ立てないでよもう」

 

 「雫にもそれ言われたわ」

 

 斗真の発言にため息を吐きながら恵理はハジメと一緒に下がっていった。

 

 「仕込みはこれで完了。後は俺の仕込みが終わるまでこいつを抑え込むだけっと」

 

 結界を壊そうと何度もぶつかるベヒモス。そのたびにダメージが返ってくるが“それがどうした!”といった感じだ。

 

 「でも、ハジメにも危険が及ぶかもしれない作業を任せたんだ、意地でも時間まで持たせてやる」

 

 そう意気込み、結界の数を増やそうとしたとき、風の塊が斗真の横を通り過ぎ、結界に当たった。

 

 「(誤射・・か?)」

 

 後ろではトラムソルジャーとの戦いがまだ行われており、魔法も撃たれている。そのうちの1つが流れてきたのだと思ったのだが、見聞色の未来予知で次々と魔法が撃たれてくることが見えた。

 

 「(誤射じゃない。これはベヒモス・・いや、俺を狙って撃ってる)」

 

 誤射ではなく自分を狙って魔法が撃たれているのだと瞬時に理解した。

 

 「(クソ!?一大事って時にどこの馬鹿なんだ!?)」

 

 悪態をつきながら自分に当たりそうな魔法のみを躱す斗真。その結果、結界への意識が薄くなり、

 

 『グルァアアアアアア!!』

 

 結界が破られてしまった。ベヒモスは結界を壊した勢いのまま斗真目指して突っ込んでくる。

 

 「なんの」

 

 通常の結界では間に合わないと判断した斗真はバスケットボールサイズの結界を作ると、ジャンプして片足を乗せる。

 

 「おっとと。予想より遠くまで移動できたな」

 

 そして、ベヒモスが結界にぶつかったときの反動に加え“剃”を使ってその場から離脱した。

 

 「(ハジメのほうは・・・まだみたいだな。もう一度結界で・・・だめだ、また狙われるかもしれない)っと、なるとこれしかないか」

 

 さっきと同じようにベヒモスを被うように結界を張ろうとするも、後ろから狙われると思い案を却下。そして思い至ったのは攻撃することだった。

 

 「(ラファエル、魔力の調整は任せる)」

 

 『了』

 

 斗真の指示にラファエルが了承する。返答を聞いた斗真はスキル“魔力収束”の効果で周囲にある魔力を刀身に集める。魔力が集めるに連れ刀身が居火緋色へと染まっていく。

 

 『魔力収束率39、40・・・45・・・・49、50。どうぞ』

 

 「新月斬破!」

 

 ラファエルの合図で斗真が剣を振るうと火緋色の斬撃波が放たれ、地面を裂きながら一直線にベヒモスへと向かい、直撃。当たると同時に爆発が起こった。

 

 「・・・・・・」

 

 煙が晴れ、ベヒモスの状態を確認できるまで油断することなく剣を構えたままじっと立つ。すると、

 

 『グァアアアア』

 

 ベヒモスの咆哮で煙が吹き飛び、姿を見せる。無傷であることに驚く斗真だったが、よく見ると、尻尾と背部にあった突起の1つがなくなっていることからその2つを犠牲にして身を守ったのだと理解する。

 

 もう一発お見舞いするべく魔力の収束を開始しようとすると、

 

 「斗真君!」

 

 ハジメの声が聞こえてきた。後ろを振り返ると、準備完了の合図を示すジェスチャーをしたハジメが映った。

 

 「(準備完了したみたいだな。なら)さっさとおさらばしますかね」

 

 斗真は剣を鞘に納めると走り出した。

 

 『ガァアアアア』

 

 自身に傷を負わせた存在を許すわけもなくベヒモスは怒りの咆哮を上げながら颯真を追う。

 

 斗真とベヒモスの距離はかなり離れていたが、体格による歩幅の差、怒りによる体のリミッターの解除などの要素が重なり、両者にあった間はあっという間に縮まった。

 

 「しつこい奴は嫌われるぞ」

 

 このままだとハジメに頼んだ仕掛けで一緒に落ちてしまう。まぁ、たとえ落ちたとしても月歩を使えば上ってこれるから問題ないが、色々と面倒になるのでそれは避けたい。身体強化で一気に引き離そうとしようとしたとき、無数の魔法がベヒモスに降り注いだ。

 

 「これならいけそうだな」

 

 たいしたダメージにはならないがベヒモスの足を止めることに成功しており、間が広がった。これならいけると颯真が思っていると、怒りが頂点に達したベヒモスの咆哮が鳴り響く。あまりの咆哮に振り返ると、ベヒモスの眼光がしっかりと斗真を捉えていた。

 

 ベヒモスは赤熱化させた頭部を盾のようにかざしながら駆けだすと、跳躍した。

 

 「(その巨体で跳ぶとかまじか)」

 

 あまりの出来事に動きが止まってしまう斗真だったが、すぐに正気を取り戻しベヒモスの落下地点を予測しながら走り、ギリギリのところでジャンプしてベヒモスの突撃を躱した。

 

 直後、全ての怒りを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。ベヒモスの攻撃が橋全体が振動し、着弾点を中心にものすごい勢いで亀裂が入る。更にはハジメが斗真に頼まれ、錬成でもろくしていた場所にも亀裂が入り、崩壊した。

 

 「うぉ!?」

 

 剣を突き刺し、滑り落ちるのを回避した斗真だったが、奈落へと落ちるのは時間の問題。どうにかしようと思っていると、ベヒモスが最後のあがきとばかりに上へと上ってきていた。

 

 「この・・・ブースト!」

 

 その様子を見た斗真は剣を地面から引き抜くと魔法で身体を強化し、何を考えたのか自分からベヒモスへと突っ込んでいく。

 

 「斗真君!?」

 

 声を荒げるハジメを無視し、一定の距離まで走った斗真は跳躍すると、

 

 「往生際が悪いんだよ!」

 

 『グウァアアアア!?』

 

 渾身の力を込めた跳び蹴りをベヒモスの額に叩き込み、奈落へと落とした。そして、さっきベヒモスから距離をとったのと同じ要領で跳び、崩れていない箇所を掴んだ。

 

 後は、強化した腕力で上がるだけだったのだが、掴んだ場所が崩れてしまった。

 

 「(まじか!?)」

 

 奈落へと落ちそうになった時、斗真の手を誰かがつかんだ。

 

 「そ、園部!?」

 

 後ろにいたはずの優花がここまで来ていたことに驚く斗真。

 

 「お義兄ちゃん、早く上がって。ハジメ君が崩れないよう錬成魔法で補強し続けてくれてるけど、長くは持ちそうにないって」

 

 後ろで優花を支えていた恵理がこれ以上崩れないようハジメが錬成魔法で補強していることを告げる。

 

 「分かった。今、上がる」

 

 空いている手で崩れていない石橋の橋を掴み、上へと登ろうとする。すると、超直感が危険信号を発したので斗真は見聞色で少し先の未来を見て、顔色を変える。

 

 「恵理!園部!ハジメを連れて今すぐここから離れろ!」

 

 「そ、そんなことできるわけない・・・」

 

 「南雲!皆!避けろ!!」

 

 斗真の話を聞いた優香が出来ないと言おうとしたとき、幸利の声が聞こえ、同時に後ろから1発の火球が放たれた。

 

 「南雲君!」

 

 幸利の声を聞き、振り返った恵理は放たれた火球の狙いがハジメだと分かり、押し倒すようにハジメにダイブし、ハジメへの直撃を避けさせることに成功したが、

 

 「あ!?」

 

 あることに気づいた。外れた火球がこのままだと何処に行くのかを。火球は恵理が数秒前まで支えていた優花の背中に直撃、着弾の衝撃波をモロに浴びた優花は吹き飛ばされた。

 

 「園部!」

 

 魔法をくらった衝撃で手が離れ、奈落へと落ちそうになった。斗真は優花の腕をつかもうと手を伸ばしたが、その手は空を切り、優花は奈落の底へと落ちて行く。そして、そのコンマ数秒後、ハジメの錬成によってせき止められていた橋の崩落が再び始まり、斗真の掴んでいた場所も砕け、優花を追うように斗真も奈落の底へと落ちて行ったのだった





 リメイク前と違い、ハジメではなく主人公が奈落に落ちました。

 原作通りに進めるのもなんだかなぁ~~と思い、こうしました。ハジメがオルクスに行かない!?っと思う人も思いますが、ちゃんと行かせますし、ユエにも会わせます
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