“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版 作:白の牙
主人公の名前の書きと特典内容などを変更しました。
詳しくはもう一度読み直してください
何者かが放った魔法をくらい、奈落の底へと落ちて行った優花。それに続くように奈落へと落ちた斗真。
「(園部は何処だ?)・・・見つけた。“剃刀”」
先に落ちてしまった優花を必死に探す斗真。暗く、何処にいるのか分からないでいたが、探知能力で場所と距離を算出した斗真は超スピードで優花との距離を一気に詰め、優花を抱えると月歩でその場に止まる。
「ラフアエル、園部の容態は?」
『解。気絶しているだけで命に別状はありません。背中の傷も痕には残らないかと』
「そうか・・・良かった。さて、問題はこれからどうするか・・だな」
ラファエルの鑑定結果を聞いた斗真はホッとするもすぐに気を引き締め、これからの行動を考えるもいい案は浮かんでこなかった。
「(とりあえずどこまで続いてるのか調べておくか)空間探知(エアマップ)」
取り合えずどこまで続いているのか、休める場所があるのかを調べるため、斗真は微弱な風を流す。流れた風によって、情報が飛羽真の脳内へと流れてくる。両側が切り立った崖になった深い谷。その崖の所々から地下水が噴き出ていた。すると、
「(これは横穴?)」
噴き出た水が反対側の崖まで届き、自然的にできたのかは分からないが空いている横穴に水が流れている光景が脳内に流れてきた。
「横穴・・か。ここで浮いているよりかはましか?」
水が流れている横穴に入り、奥に進むことを決めた斗真は優花を起こさないよう慎重に横穴まで移動し、奥へと進んでいった。
「う、う~~~ん」
身震いするとともに気を失っていた優花が目を覚ました。
「ここは?確か私は・・・」
「目が覚めたが園部」
すると、反対側で毛布に身を包み、魔法陣から出る火で暖をとっていた斗真が声をかけた。
「八・・神?」
意識が完全に覚醒していない優花だったが焚火の近くにあった見覚えのある服を見て固まった。
「!?!?!?!?」
そして、なぜか身を包んでいた毛布の中を覗いたとたん意識が完全に覚醒し、顔が真っ赤に染まった。理由は異性、しかも気になっている人物に自身の裸(下着は着けている)を見られたからだ。
「あ~~~あそこを通って来たせいで全身がびしょ濡れでそのままだったら風邪ひくと思ってな。少しためらったが、下着だけ除いて脱がさせてもらった」
「そ、そう。それなら、仕方ない・・わね。そ、それより、この毛布どうしたの?こんな場所に偶然あっただなんて思えないんだけど」
気恥ずかしさを紛らわそうと優花が話題を毛布へと変える。
「その毛布は俺が持ってきていたもんだ」
「持ってきてたって、バックもないもないのに何処にしまって」
「ここさ」
何処にしまっていたのかを説明すべく、斗真が右手の平を上に向けると、1個のリンゴが手の平に乗っかった。
「え?え?え?」
「見間違いじゃないし、夢じゃないぞ」
ありえない現象を見た優花は目をこすったり、頬を摘まむ。そんな優花を見て、斗真が現実だと告げる。
「隠されているだけで地球にも魔法使い基、魔術士といった存在は実在するぞ」
「そうなの!?ってゆうか、何で八神がそんなことを知ってるのよ」
「偶然知っちまったんだよ。温泉旅行に行ったときに事件に巻き込まれて知ったんだ(本当は嘘だけど)」
自分たちの住む地球に魔法が存在していたことに優花は驚き、なぜ知っているのかを尋ねると、斗真は魔法を知った表向きの理由を話した。
「適性があったみたいでな事件に巻き込んだお詫びとして生活の役に立つ物を教えてもらったんだ(これも嘘だけど)」
「そうだったの」
「(まぁ、そのせいで厄介な連中に目を付けられちまったけどな)」
『告。自業自得かと思われます』
「(うるせぇ)」
せっかくの温泉旅行を台無しにされた怒りから事件に介入し、下手人を半殺しにしたまではよかったのだが、魔術組織に目を付けられ、しつこく勧誘を受けているのだ。
「まぁ、魔法についての話はここまでにして、これからどうするかだ」
「助けを待つんじゃ」
「俺の予想じゃ多分、助けは来ないと思う」
「ど、どうして!?」
助けが来ないと言う斗真に優花が驚く。
「考えてもみろ底も見えない場所へ落ちて行ったんだ、生きているとは誰も思わないだろうよ。自力で戻るしかない」
「そ、そんな」
助けが来ないと言われ、この世の終わりのような表情をする優花。現実を言うのは酷だったが、淡い希望を抱かせるわけにも行かなかったため、斗真は本当のことを言った。
「安心しろ。これでも勇者よりはるかに強いからな園部のことは俺が守る」
「勇者より強いってさすがにそれはもり過ぎよ」
「さて、服も乾いたことだし、探索を始める・・前に園部、これを羽織れ。それだけじゃ寒いだろうからな」
あらかた乾いた服を着て迷宮の探索を始めようとした斗真だったが、あることの気づき、羽織っていた上着を脱いで優花に渡す。優花が羽織っていた上着は魔法で後ろに穴が開き使い物にならなくなったからだ。
「あ、ありがとう。でも、八神は大丈夫なの?」
「少し肌寒いが問題ない。サイズは合わないかもしれないがそこは勘弁な」
「貸してもらってる身だからそこまで文句は言わないわよ」
優花が上着を羽織ったことで準備が完了し、2人は奥へと続く通路へと歩を進めた。
そこは正しく洞窟といった感じだった。低層の四角い通路ではなく岩や壁がせり出し通路も複雑にうねっており20階層の最後の部屋のようだった。ただし、規模は20階層とは比べ物にならない。通路の幅はゆうに20ⅿ以上あり、複雑かつ障害物だらけ。歩きづらくはあるが隠れる場所も豊富で2人は慎重に先へ進んでいく。
「はぁ、はぁ」
「大丈夫か園部?」
「な、何とか。や、八神はわ、私と同じ距離を歩いたのに、何で、平気なの、よ」
「これでも普段から鍛えてるからな」
息も絶え絶えな優花の問いに答え、道の先を見る斗真。視線の先には分かれ道があった。どの道に進むべきか考えていると、探知スキルが何かが来るのを察知した。斗真は動けそうにない優花を抱え、岩陰に身を潜める。
「ちょ!?やが・・・」
「シィ~~~・・・何かが来る。少し静かにしてろ」
優花はいきなりお姫様抱っこされ顔を赤くし、慌てるが、唇に人差し指を添えられ静かにするよう言われた。数秒間、岩陰に身を潜めていると通路の奥からウサギ型の魔物が現われた。
「何あれ?」
その兎を見て優花は絶句する。そのウサギは大きさが中型犬ぐらいあり、後ろ足が異様に発達している。だが、一番目を引くのは赤黒い線が血管のように幾本も身体を走り、脈打っていた。
「(通り過ぎるのを待った方がいいな)」
自分一人だけだったら死角をついて倒しただろうが、優花もいるため身を潜め、ウサギが別の場所まで移動するのを待っていると、ウサギが何かに反応し立ち上がった。
「(気づかれたか!?)」
「/////」
ウサギの動きを見て気づかれたと思った斗真はすぐに動けるよう優花を抱きしめる。そして、斗真と更に密着したことにより優花の脳内キャパが限界に達しようとしている。
すると、
「グルゥア!」
唸り声とともに狼型の魔物が岩陰から飛び出し、ウサギに襲い掛かった。
その狼は大型犬位の大きさで尻尾が2本生えており、ウサギと同じように赤黒い線が身体に走り、脈打っていた。
「(上層にいた魔物や街道にいた魔物にはあんなものは浮き出てなかったが、一体何なんだ?)」
2匹に浮き出ている赤黒い線を見て疑問を感じていると、別の岩陰に身を潜めていた2体の狼が飛び出る。
狼がウサギを捕食する光景が思い浮かぶだろう。
だが、
「キュウ」
可愛いらしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギはその場で跳び上がり、空中で一回転すると、その太く長い脚で最初に襲い掛かってきた狼に回し蹴りを繰り出した。
只の蹴りが出せるとは思えない音ともに蹴りが狼の頭部に直撃すると、鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に捻じ曲がった。
ウサギは回し蹴りの遠心力を利用して空中で回転すると、逆さまの状態で空中を踏みしめて地上に隕石の如く落下し、着地寸前で縦回転し、強烈なかかと落としを着地地点にいた狼に繰り出した。
断末魔すら上げられずに頭部を粉砕された。
その頃には更に2体の狼が現れて、着地した瞬間のウサギに飛びかかる。
今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、なんとウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたまま高速回転をした。
飛びかかっていた狼2匹が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられ血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。
最後の1匹が、グルルと唸りながらその尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。
「グルゥア!!」
咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。
しかし、高速で迫る雷撃をウサギは華麗なステップで右に左にとかわしていく。そして電撃が途切れた瞬間、一気に踏み込み狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ
狼は仰け反りながら吹き飛ぶと跳躍したウサギの空中かかと落としで地面に叩きつけられ、絶命した。
「キュ!」
ウサギは勝利の雄叫び?を上げ、耳をファサと前足で払った。
「うぅぅぅ」
その光景を見ていた優花は手で口を抑える。
「大丈夫・・じゃなさそうだな」
優花の状態を見て背中をさすりながら、斗真はどうしたものかと頭を悩ました。
「(この先の魔物があれと同等、それ以上だとすると俺1人じゃ園部を守り切れない。せめてあと1人メンバーが欲しいな・・・この世界なら問題なく喚べるが。園部にどう言おう)」
そんなことを考えながら、斗真は限界まで気配を殺し、焚火をしていた場所へと優花を抱え戻るのだった。戻る際、ウサギに気付かれ襲われたが、切り捨て、後ろからやってきた熊を飛ぶ斬撃で切り捨てました。