“智慧”、“陽炎”、“ガチャ”を得た転生者の異世界冒険譚~ありふれ編~ リメイク版   作:白の牙

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 前から出そうと思っていたキャラをようやく出すことができました。

 それと主人公が使う刀をオバロの斬神刀皇からディーソード・ベガ(柄はリィンの太刀の柄)に変更しました。やっぱボス最高!!


第13話

 

 

 

 

 「園部、これを飲んで心を落ち着かせろ」

 

 動物とはいえ首が折れる瞬間を見て、気分を悪くした優花を連れ元の場所に戻ってきた斗真。収納空間に収めていたキャンプ用のポットに牛乳を入れ、焚火で温め、粉末のココアをカップに入れ、温まった牛乳を入れてかき混ぜ、優花に渡した。

 

 「・・・ありがとう」

 

 優花は覇気のない声でカップを受け取ると、ゆっくりとミルクココア(ホット)を口にする。青白かった顔も落ち着てきたのか少しづつ元に戻っていった。

 

 「(さて、これからどうしたもんかね)」

 

 ベヒモスという尋常ではない魔物に加え、数で勝っていた狼を蹂躙したウサギを見て正気を保っていられるかというと大抵の人間は無理なうえ、心を折られるだろう。

 

 特にこの世界に来て力を手に入れ、うぬぼれた奴らならだおさらだ。

 

 「(園部はそういう奴らとは違うが。他の奴らは折られてるだろうな)」

 

 斗真は圧倒的捕食者との遭遇、死への恐怖、クラスメイト2名の死亡(死んでないけど)、心が折れるには十分すぎる。

 

 「園部も少し落ち着いたようだし、今後の方針を考えよう。園部には3つの選択肢がある。1つ目は俺が1人で探索をしている間、用意する簡易住居で待っている。2つ目は危険を承知で俺と一緒に来る。3つ目は強くなって一緒に来る。こんなところかな」

 

 斗真は3つの選択肢を優香に提示すると、収納空間からケースを取り出し、そこに収めていたカプセルを取り出し、上部のスイッチを押してから放り投げると軽い爆発とともにカプセルハウスが現われた。

 

 「・・・・・」

 

 「ボーっとしてないで中に入るぞ」

 

 いきなり家が現われたことに優香が唖然としている中、斗真は優香に声をかけ中に入っていった。

 

 

 

 

 カプセルハウスの中に入り、一通りの説明を聞き終えると優香はこれからどうするかを考えるため部屋の中に入っていった。

 

 「さてっと。園部がどんな答えを出すかは分からないが準備はしておくか。グレイフィアにダイオラマ球を返してもらっておいて良かったぜ」

 

 食料、優香の安全確保。やることは山のようにある。斗真は置手紙を書くと、ダイオラマ球の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 「まずは食料からやっておくか」

 

 ダイオラマ球内へとやってきた斗真は家庭菜園用のエリアに来ると、投影されたリストから栽培する物を選び、栽培を始める。

 

 「しっかし、種を植えて1時間で栽培が終わるうえ、それ以外も栽培もできるんだからとんでもないな能力だよな」

 

 改めて自身がガチャで得た能力に感心しながら斗真はスマホを取り出しアイテムリストを開き、人物召喚券で前から喚棒と思っていた人物を召喚したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうすればいいの?」

 

 斗真が用意した簡易住居の一室でベッドの上で膝を抱えながら悩む優香。クラスメイトの誰かに殺されかけ、助けも絶望的な上、遭遇したベヒモスと同じくらいの魔物が生息している階層に死の恐怖。心が折れるには充分な状況だ。だというのに優香の心が折れていないのはひとえに斗真がいるからだ。

 

 「(八神が帰ってくるまで一人でここにいる。私のステータス等を考えれば1番何だろうけど。もし、八神が帰って来なかったら?)」

 

 誰にも看取られずに生を終える。そう考えたら急に怖くなってきた。

 

 「(でも、私が一緒に行っても八神の邪魔になるだけだろうし、私のせいで八神が死んじゃったら)」

 

 精神が不安定になっているせいか考えることすべてが負へとなっていっている。

 

 「・・・シャワーがあるって言ってたし、入ろうかな」

 

 シャワーでも浴びて一度思考を整えようと思った優花は部屋から出る。

 

 「八神、シャワーを浴びたいんだけど、何処にあるの?って八神?」

 

 斗真の名を呼ぶが返事が返ってこず、首をかしげているとテーブルに書置きがあった。そこには、

 

 『2~3時間、所用で出かける。冷蔵庫の中に食材が、棚には粉末だがお茶が入ってるから好きに使ってくれ。  斗真より』

 

 っと書かれていた。

 

 「・・・・・・」

 

 その手紙を読み、優花は更に不安になってしまった。今は大丈夫だが、いつ魔物の襲撃があるかわからない状況下で1人。不安にならない方がおかしい。

 

 「あれ?」

 

 そんな中、優花はあるものを見つけた。

 

 「これって、ボトルに入ったミニチュア?」

 

 大型のボトルに南国島を連想させるミニチュアが入っていた。こういった模型に興味がない優花だが一目で高いクオリティで作られたものだということが分かった。

 

 「八神が作ったのかしら?」

 

 精巧に作られたそのミニチュアを近くで見ようと歩を進めると“カチ”っと言う何かを踏んだような音が聞こえた。

 

 「え?」

 

 音に気づいた優花だったが、見ている視界が一瞬だけぶれ、目にしたのは青い空、青い海、白い砂浜、密林だった。

 

 「え?え?えぇえええええ!?」

 

 簡易住居にいたとおもえば、テレビや雑誌で見るような南国島に似た場所にいたことに優花は慌てる。

 

 「ここって、私が見てたミニチュアの中?」

 

 見覚えのある風景に優花は自分が今、何処にいるのかを言い当てる。

 

 「・・・もし、ここがあのミニチュアの中ならコテージがあったはず、取り合えずそこに」

 

 チラ見程度だったが、転移する前にコテージらしきものが在ったのを思い出し、優花は少し怖いが密林の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 「ようやく着いた」

 

 密林の中を歩くこと30分。ようやく目的地であるコテージに辿り着いた。

 

 「誰かいるといいんだけど・・・って、いるわけないわよね」

 

 優花は人がいることを願ったがいるわけないとの一人ツッコミをいれる。

 

 「お、お邪魔しま~~す」

 

 声を出しながらゆっくりとドアを開け、中に入る優花。慎重に1階を調べ、2階に上がると薄明かりが見え、声が聞こえてきた。

 

 「(話し声にしては色っぽいわね)」

 

 耳を澄ましその声を聞いているとR18動画等で聞くような声が聞こえてきた。何故、優花がそんな声を知っているかというと年頃の女の子だからということだ。

 

 その声は近づくにつれ大きくなっていった。明らかにやっていることに優花は顔を赤くする。直ぐにでもこの場から離れようと思うがそこは年頃の女の子。興味、誘惑に負け開けられていた扉の隙間から部屋の中を覗くと、目を見開いた。中にいたのは、

 

 「(や、八神!?)」

 

 探していた斗真だった。訳が分からず唖然としていると、

 

 「・・・動かないでください」

 

 背後から声がかけられ、首筋に刃物が添えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「本当に申し訳ありませんでした」

 

 一人の少女が居間で優花に頭を下げ謝罪を行う。

 

 「まさか、斗真さんの知り合いで護衛対象になる人だとは知らず、あんなことを。本当にごめんなさい」

 

 「い、いえ、あの場から直ぐに離れなかった私も悪いので」

 

 必死に謝罪する少女に居た堪れなくなったのか頭を上げるよう優花が促していると、

 

 「どうぞ」

 

 先ほどまで斗真とつながっていた犬耳と尻尾を生やし、誰もが振り返るであろう美貌とスタイルをした少女が優花に紅茶が入ったカップを置くと、会社の秘書のように斗真の後ろへと行く。

 「まぁ、その・・なんだ。悪かったな怖い思いをさせちまった上、あんな光景を見せちまって」

 

 「いいわよ、興味に負けて覗いちゃった私が悪いから。それよりここって置かれていたミニチュアの中なのよ・・ね?」

 

 居た堪れない表情で優花に謝る斗真。優花は自分も悪いと言うと、ここはどこなのかを言い当てる。

 

 「あぁ。ここはあのミニチュアの中だ。持ち運べる別荘って感じだ」

 

 「それ別荘って言っていいの?」

 

 斗真の言葉に疑問を言いながらお茶を飲んで一息吐くと、

 

 「色々と聞きたいことはあるけど、その2人は誰?」

 

 そう問いた。

 

 「この2人か?2人は」

 

 「ご主人様、そこからは自分で言います」

 

 「ご主人様?」

 

 「・・・言っておくが、俺から言い出したわけじゃないぞ?ロクサーヌがそう呼んでもいいかって聞かれたから」

 

 斗真をご主人様呼びする亜人の少女“ロクサーヌ”の言葉に優花はジト目で斗真を見る。その視線に気づいた斗真は自分がそう言うように言ったわけではないと言う。

 

 「初めましてご主人様に仕えるロクサーヌと申します。よろしくお願いします」

 

 ロクサーヌはメイドのような綺麗なお辞儀しながら自己紹介する。

 

 「リーシャ・マオです。斗真さんから園部さんがここに残る場合、護衛役を任されています」

 

 濃い藍色髪の少女が優花に自己紹介を役目を伝える。

 

 「えっと、園部優花です。八神のクラスメイトです」

 

 

 斗真から自分の名前を教えられているだろうが挨拶されたからには自分もしておこうと思い、改めて優花は自己紹介をした。

 

 「それで、2人、ロクサーヌさんとマオさんは何処にいたの?」

 

 「(ん~~~~どう説明したもんかね~~)」

 

 優花の問いに斗真はどういえばいいのか悩んだ。正直に話そうものなら“頭大丈夫?”と言われること間違いなく、誤魔化そうにもいい案がない。どうしたもんかと悩んでいると、

 

 『解。真実を織り交ぜて話し、無限ガチャを見せる案を推奨します』

 

 「(それだと変に勘ぐられないか?)」

 

 『解。そこはマスター次第かと』

 

 「(他にいい案もないし。それでいくか)えーとだな・・・」

 

 ラファエルから案を頂戴した斗真は優花に真実の中に何割かのウソを混ぜて話した後、無限ガチャを目の前で行い、嘘を信じさせた。

 

 「っとまぁ、こんな感じだ。これを口にすれば真実かどうか分かるぞ」

 

 無限ガチャの実演で手に入れた品を試してみろと優花に渡す。

 

 「本当にこれを食べて強くなれるの?」

 

 「そこは食べてみないとわからないが・・・・大丈夫だと思うぞ。勘だけど」

 

 「勘って・・・まぁ、いいわ」

 

 優花は斗真から半信半疑な気持ちで受け取った種のようなものを口にする。すると、

 

 「っ!?」

 

 優花は目を見開き、ステータスプレートをみ、唖然とする。

 

 「その反応を見るに成功したみたいだな」

 

 「え、えぇ。風属性魔法適性に加え、“風足”と“風斬り”っていうスキルが表示されてるわ」

 

 「(ラファエルが解析、鑑定した通り風属性の適性が合ったみたいだな)」

 

 斗真が当て、優花が口にしたのは“風の餞別”と呼ばれるアイテムで風属性の適性があるものが食べると風系統の魔法が覚えられるのだ。

 

 「これで信じてもらったか?」

 

 「・・・・実際にやっているところ見て、強くなったのを見たら誰だって信じるわよ」

 

 ため息をつきながら優花はそう言った。

 

 「2人が何処から来たのかは分かったわ。っで?出会ったばかりの2人とあ、あんなことをしてたのよ?」

 

 事情を思い出したのか優花は顔を赤くしながら質問する。

 

 「あ~~~2人を喚びだしたのはいいが、服、下着がないだろう?だからとある場所に保管されている下着を好きに使ってくれって言ったんだ。そしたら、2人が着た下着にその~~~俺たちの世界で言う媚薬と似たような効果が下着に付与されていてみたいでな。会ったばかりだし俺も抵抗したんだが、理性がなくなってしまいました」

 

 誤魔化すと良くないことが起こると直感が言っているので斗真は事実を伝えたのだった。

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