ハーレムを目指せと言う神の啓示が聴こえてくる様だぜ‼︎ 作:とむとむ
続けられる気はしない
ただこんなのどうかなって言う提案みたいな感じ
もし好評だったら原作読んでから続き頑張る
「参りました」
産まれて初めての敗北宣言。同年代への、と言う枕詞が必要だが。この宣言は今の将棋だけに対するものではない。
「いやーすごいね、危なかったよ」
一度の長考もなかった癖によくもぬけぬけと。
眼前で軽薄な態度を見せる男の名は花菱ちはや。この名は有名だった。珍しい名前だからなどと言う下らない理由ではない。
花菱の次男は傑物だ、それなりの名家であればそんな話を一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
芸事、武芸、音楽、そして学問と全ての分野に於いて他者とは一線を画す結果を残し続けてきた正真正銘本物の天才。
そもそも齢十にしてその様な評価を受けている事自体が異常なのだ。そして、どうして私がそんな怪物とボードゲームに興じているのかと言えば──
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「今日からお前の婚約者になるかぐや嬢だ」
「ずいぶん急だね」
「急などではないさ。娘をよろしく頼むよ」
一月一日。私が産まれた日であるが、所謂誕生日会と言うものをした記憶はない。私の出自の問題もあるが、そもそも元日はグループの幹部を集めた新年会が優先されるからだ。
その新年会の合間を縫って婚約者として紹介されたのがこの花菱ちはやさん。花菱さんのお父様も多忙の身であるためこのタイミングしかなかったようだ。もちろん私の意見は聞かれなかった。この様子では花菱さんですら初耳のようなので私如きが何を言っても無駄だろう。
しかし花菱さんに動揺は見られない。嫌ではないのだろうか。強制的に結婚相手を、人生を決められることが。それとも彼のような才気溢れる人物でさえ親の意向には逆らえないと諦めているのか。
「えーっと、よろしくね」
これが誕生日の贈り物だとしたら我が父ながら絶望的にセンスに欠けている。
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仲を深めなさいとでも言う様に二人きりにされた私達。花菱さんのお父様が戻るまで数時間はあるが何をしようか…
ただ一つ聞いておきたい事はあった。
「花菱さんは……」
「ちはやでいいよ。俺もかぐやって呼んでいい?」
「はい、それでちはやさんは何とも思わないのですか?」
「許婚のこと?」
気になる余り焦りが出てしまったのか、口をついて出たのは全く要領を得ない質問。だがちはやさんは正しく受け取ってくれた。今の簡潔に過ぎる質問の意図をすぐに読み取ってくれた事から、少なからず同じような事を感じていたのではないか、と淡い期待とも言える感情が湧き上がる。
しかしそれもすぐに裏切られた。
「逆にかぐやは嫌なの?」
「えっ…だ、だって自分の人生なのに」
私の言葉がまるで理解できないと言わんばかりの不思議そうな表情。期待との落差故かつい前のめりになってしまう。
「まだ分かんないじゃん。とりあえずこの関係を続けてみてさ、本当に結婚したいって思えたらそれは自分の意思だよね。まぁテメェの事なんざ好きになる訳ねぇだろ、とか言われちゃうとどうしようもないんだけど」
「いえ、そのような事は…」
確かにそうなれば誰も損をしない。それどころか好きになれる人と引き合わせてくれたお父様に感謝の念すら湧くだろう。理解はできる、だが納得はできない。
だってそうだろう。最終的に望んだ結果を得たとしても、それが他人の意思への適応である可能性は否定できない。つまり順序の逆転。与えられたものが『自身が望むもの』なのではなく、与えられたものに対し自身の精神を『それを望む自分』に矯正する様なもの。
「そんなに深く考えなくても。人は往々にして他人に影響されるものだよ。いちいち疑って拒絶してなんて繰り返してたらキリがないでしょ」
「結婚は人生の一大事です。日常レベルの話と混同しないで下さい」
同じ境遇の者どうし分かり合えると思っていたのに。裏切られたような気持ちになり、自分でも語気が強まるのを感じる。
「日常の積み重ねが人生だよ、なんて言っても納得はしてくれないよね。てかそんなに嫌なら言えばいいじゃん」
「え?」
言う?私が?誰に?何を?そんなの私……
「この話終わり! なんか遊べるものない?」
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新たに花菱ちはやとして生を受けはや十年。自分の才能が恐ろしいね。映像記憶、エコーロケーション、テトラクラマシーなどなど。前世じゃまず信じていなかった様な人間のびっくり能力のオンパレード。並の大人を凌駕する身体能力。顔も既に将来が楽しみな感じになっている。一番ヤバいのはもはや確率いじってんじゃねってレベルの運の良さだよ。マジで願えば大体叶う。
そんな超Tueeee俺は今、いつの間にか許婚になってた四宮かぐや嬢とボードゲーム各種で遊んでいる。もちろん全勝だよ、流石にね。負けず嫌いなかぐやの眦には光るものが。
かあいいなぁ。
表向きつんけんした態度取りながら内に眠る弱さを隠そうとしてる所とか最高。パッパに逆らえないんだねぇ。俺が『じゃあ逆らえば?』みたいな事言った瞬間ビクッてなっちゃって。無理矢理話変えなければどうなっていたことか。自己肯定感よわよわ美少女守ってあげたくなっちゃう。
でも許婚ができたってだけで思い詰め過ぎじゃない?自分の意見を言えない環境のせいか、自身の意思の所在について少々過敏になってる気がする。一般家庭を経験した俺だからこそ分かるけどこっちの方が圧倒的に自由度が高い。いや、こっちの生活がまだ十年程度だから束縛を実感する機会が少ないだけかも知れないと考えればこれは言い過ぎか。
この子の場合出自故に家では肩身が狭かっただろうことも加味すればこの悲壮感にも納得だ。どうにかこの子に自信を持って貰いたい。
でもなぁ、俺もこの子にかかりきりになりたくはないんだよなぁ。だって財閥が生きてる世界だよ?かぐやは妾の子らしいし。つまり財閥の長レベルなら愛人が居てもおかしくない世界観。そんでもって俺も財閥の息子。
ハーレムを目指せと言う神の啓示が聴こえてくる様だぜ‼︎
つまりいろんな女の子とイチャイチャしたいんだよね。かぐやはザ•大和撫子って感じだから…
あーあ、どっかに北欧系の金髪碧眼美少女とか居ねぇかなぁ、居ねぇかなぁ‼︎
「かぐや様、お時間です」
ん?同年代の幼い声、専属の侍女なんかつけてんの…
来たァァァ‼︎‼︎
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「かぐや様?」
ちはやさんが帰った後、私はただ茫然としていた。心配する早坂の声も耳に入らない。
一度も勝てなかった。何をしても勝てるビジョンが見えなかった。スポーツや芸術分野ならば或いは…いや、彼はおおよそ全ての分野でその才を認められている。そもそもそのような希望的観測を根拠に自身の精神に安定を齎す行為を許容する事はプライドが許さない。
今なら分かる。彼にとっては諦める諦めないの次元ではないのだ。その気になれば親の意向など歯牙にも掛けず自由な生を謳歌するだろう。
あの軽薄な態度を見せられた後で素直に認めたくはないが正直なところ憧れはある。私もいつかなれるだろうか。
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「ハァ…ハァ…」
「愛、いつもより積極的だったね。なんかあった?」
十歳での初邂逅から七年。私、早坂愛がかぐや様の許婚であるちはや様と体を重ねた回数は数えきれない。
かぐや様への背信行為に悩み、弱った心につけ込まれ、私のハジメテは驚くほど簡単に喰い散らかされた。
心に明確な弱点を抱え、性知識にも乏しい女など彼にとっては格好の餌食でしかなかったはずだ。まぁ当時中学生になったばかりの12歳の少女に性知識を求めるのもどうかと言われれば、私にはどうしようもなかった事だと納得するしかないのかもしれない。
ただ、彼との逢瀬の間は一人の少女でいられた。私を抱く彼の腕は服の上から見るよりずっと逞しかったし、鼓膜を震わす声はいつもの飄々とした軽い物とは全く違い、深く甘美な響きで私の脳を溶かした。
聞けば、彼は未だに私以外の女を抱いた事がないのだとか。全く信じられる話ではないが、私はそれが事実だと自身に言い聞かせている。
なぜならそれは"私しか知らない彼“の存在を肯定する意味を持つからだ。彼のカタチを知っているのは私だけ。主人を裏切る罪悪感が女としての優越感に塗り潰される。
だがそれは長く続かない。一人になれば再び罪悪感が湧き出し、いじっぱりな主人が隠しきれない喜びを滲ませながら彼の話をする度に私の胸は張り裂けそうになる。
そしてその苦しみを解消できるのもまた彼だけ。『他家の子女と関係を持たないように』などと建前をこじつけて自ら抱かれ始めたのはいつからか。まるで麻薬の様に抜け出せない。
「もっと…ください、んぅ」
私は今日も彼に溺れる
十歳の内面描写なんて私にはできないんです
まぁかぐや様ならこれくらいの言葉遣いでも違和感ないよね