secundarium creatio 作:スクリプター
...何かを求めてたわけじゃない。
ただ、生きる意味が欲しかっただけ。
どうしようもなく時間を浪費するぐらいなら。
優雅な遊び、しようじゃないか。
変わり映えしない日常に、嫌気がさす。
友人とも知人とも呼べないような彼らとそつなく会話をこなし、作業的に家に帰る。
毎日これの繰り返し。
別に嫌じゃない。
むしろ、このまま続けばいいとさえ思っている。
けど、どこかで。
「...つまんねぇ」
俺は、死にたいと思っている。
人生という膨大な時間を生贄に、今という時間を浪費している。
今まさにこの現状、ベッドに寝転がって液晶を眺めるこの時にでも、俺の寿命は消えて行ってるというのに。
何か行動を起こさなければいけないだろうに、それすらをめんどくさがっている。
「たのしいこと、たのしいこと...」
そんなものはない。
そんなもの、あってもしょうがない。
俺は楽しめない。
命がかかった、スリルがあるものじゃないければ。
俺の歪んだ娯楽感は収まらない。
「...ん?」
なんとなく眺めてた液晶画面が上の方で、recommendと称して通知を提示する。
「...黒の...バースデイ...」
何の通知だろうかとタップすれば、動画サイトに飛ばされる。
広告の合間にタイトルを見れば「official music video」と書いてある。
どうやら音楽のようだが、あまり好きではない。
世の中は大ガールズバンド時代とは言ってるが、俺はどの曲も受け入れられなかった。
しかし、これだけは。
「...めっちゃ、いい」
イントロから惹き込まれた。
今までと違う、何かを感じた。
しかし。
「詳しいことは何もないんだな...ツイッターに公式サイト...」
何の気なしに公式サイトのリンクを踏むと、黒のバースデイのサムネイル、それと下に入力フォーム。
「パスワード...」
日本語、ではないだろう。
英語...だとしてもヒントが薄い。
こういう時は身近にあるものが答えと、エセ探偵の俺が言っている。
「Black birthday...ビンゴ」
まさか本当に一発で行けるとは。
次は立体視アート。
これは立体視さえできればいい。
ページをリロードしてパスワード入力画面に戻す。
「...DEEP」
ヒット。
「...ゲームみてぇだな、大好きだよ、こういうの」
呟く間に更新された新しいページに表示されているのは、日付と時間。
それと、地図アプリのピンのマーク。
タップすれば、どこに行くべきという座標が示されて。
「用事はない...行けるな」
この瞬間だけは、生きるのが楽しくなった。