secundarium creatio 作:スクリプター
...全部どうでも良くなったのは、いつからだろうか。
思い出せないけど、相当前かな。
まぁ、どうでもいいね。
何も考えずに、ただ。
結果だけを、見るだけだ。
「このあたり、だな」
サイトに表示された場所についた。
ひとっこ一人いない公園が、座標の正体。
「...誰も、いないんだな」
そりゃそうかと、納得はした。
いきなり座標と時間だけ伝えられ、あまつさえ注意書きに死んでも知らないと書かれていたら、それはビビる。
「...なにも、ない」
何もない。
本当に、何もない。
人一人いない、何もない公園。
一体、何が?
「...?」
後ろから、気配がした。
振り返ると、黒いローブを纏った何かが、こちらを見ている。
「...俺を、呼んでる?」
規則的にはためくローブは、まるで俺を手招きしているかのようだ。
「つられてやるよ」
誘われるがまま、建物に入った。
「まだ、時間前だけど...」
建物内は、まるで俺が来ることを分かっていたかのように妖しく光っている。
奥の方に行くにつれて、だんだん光が大きくなっていくようだ。
「やっぱ、誘われてるな」
こう思ったのなら、退けばいいのに。
だけど、体は光の方へ向かっていた。
そこに向かえば、何かがある気がしたから。
だから、向かうんだ。
理由なんか、後で考えればいい。
「...っはは」
意味もなく、笑いがこぼれた。
きっと、俺の体が、この快楽を享受している。
突如現れた仮面のステージに、俺は魅了されている。
動けない。
動きたくない。
もっと、見ていたい。
もっと、もっと...!
「...っは...!?」
パチッという音がして、意識がつながった。
何が思う訳でもなく、走り出した。
体が勝手に動いている。
考えるものもなく、ただひたすらに走り出す。
「はははっ...ははははっ...!」
なんだか、とっても愉快だ。
体が、かるくて、ふわふわしている。
とても、心地が、良くて。
「これが...俺が...」
長い夢を見ていたような気がする。
短い現実かもしれなかったけど。
「...すごい、経験だった」
もういちど、見たい。
彼女らのステージを、もう一度。
「...な、い...?」
それはそうだ。
あるわけなかったんだ。
「...バカみたいだな。帰るか」
と、ポケットから振動。
携帯を開くと、見慣れないアイコンからメッセージ。
「...最近増えたな、悪戯メッセージ...?」
違う。
見慣れないものじゃない。
むしろ、見慣れ過ぎている。
「Mujina Carnival...」
『ようこそ。あなたのハンドルネームを教えて』