secundarium creatio 作:スクリプター
でもそれは、決して自分も消えたいわけじゃなくて。
何か分からない感情を抱きながら、いつでも生きている。
生きる意味を失くして、迷って探して。
見つけた先には、何があるのだろう。
「クソッ、クソッ...!」
取れなかった、取れなかった!
プレリュードを逃した!
ここまでやっておいて、何も手に入らなかった!
いやだ、いやだ!
『プレリュードは、後2回』
あの会場で流れた、その言葉が脳裏をよぎると共に、興奮していた神経が鎮まるのを感じる。
そうだ、後2回あるんだ。
焦らなくたってチャンスはあるんだ。
落ち着け、何も悲観的になることはないじゃないか。
「後、2回。そこで、取れれば...」
そこで取れればいいんだ。
別に焦らなくたって。
そう考えているから、脳は冷静なはずなのに。
指先が震える。
冷や汗が止まらない。
ーー俺は何を焦ってる?
彼女らからチャンスはまだあると言われたのに、何をそんなに焦る必要がある?
「また、痕跡探しから...」
悲観的になるな。
ここでまだ上位勢に食らいついていれば、チャンスは巡ってくるのだから。
日曜日、午後6時。
「更新は、ない?」
午後8時を過ぎても、彼女らの動きはない。
9時を回っても、10時になっても。
「ない...?」
更新が、ない。
何もない。
俺たちと彼女を繋ぐものはなくなってしまったのか?
「何も、出来ないのか?」
タグ検索をしても、同じように嘆いている。
やはり、みんな一緒なのだ。
AveMujicaという存在に心奪われ、囚われ続けている。
何かを求めて、何かを探して、彼女らに期待を寄せて。
「...はぁ」
張り付くだけ無駄だ。
デジタルデバイス一式の電源を落とし、体を横たえ、暗闇の中に身を沈める。
何もなければ、何も動かないのだ。
馬鹿馬鹿しい思考を止めるかのように、俺は意識を落とした。
土曜日、6時。
彼女らが動いた。
『譏取律縺ョ莠悟香荳?譎ゅ↓
Ave Mujica縺ョ??????繧貞?髢九@縺セ縺吶?
縺翫◆縺ョ縺励∩縺ォ縲』
「文字化け...解読すると...?」
『明日の二十??時に
Ave Mujicaの??????を??開します??
おたのしみに?』
「明日...何かがある」
それだけで心が震える。
彼女らからの施しがあるというだけで心臓が高鳴る。
「はははっ...」
まだ、彼女らは自分たちを布教したいようだ。
ここまで、彼女らに心酔しているのに。
まだ、彼女らは私たちを狂気の底に堕としたいようだ。
「いいね、いいねぇ...!」
液晶を覗きながら、低い笑い声が出る。
こうなってしまった俺はもう、彼女らの想定より深く、堕ちているのかもしれない。
しかし、それが生きる意味になるなら、俺は喜んで深く堕ちようじゃないか。
ーーようこそ。AveMujicaの世界へ